コム・チャット・ルック映画賞(タイ)2012 受賞結果!

 タイの日刊紙コム・チャット・ルック紙の発表する映画賞、第9回コム・チャット・ルック映画賞(The Kom Chad Luek Awards)が発表になりました。(2月9日)

 【タイの映画賞】

 タイの主な映画賞には、このコム・チャット・ルック映画賞と、タイの映画雑誌が発表するスターピクス・アワード、それからバンコク映画批評家協会賞、タイ・アカデミー賞であるSuphanahongse Awardがあり、さらに昨年にはタイ映画監督協会賞が創設されました。
 これらの中で、コム・チャット・ルック映画賞は新年一発目に発表されるタイの映画賞ということになります。

 これからこの4映画賞のノミネーションと受賞結果を順に書き出してくことにしますが、この4映画賞の違いは――

 コム・チャット・ルック映画賞(The Kom Chad Luek Awards):日刊紙「コム・チャット・ルック」紙(2001年創刊)が発表する映画賞で、作品賞と監督賞と脚本賞とキャスト4部門しかなく、新聞が発表する賞だけあって、ノミネーションと受賞結果は比較的スタンダード。
 「コム・チャット・ルック」紙の公式サイト(タイ語):http://www.komchadluek.com/

 スターピクス・アワード:映画雑誌「Starpics」が発表する映画賞で、メインの部門は11あります。たぶんスター志向の強い雑誌ではなくて、シネフィルな雑誌で、インディペンデント系の作品やドキュメンタリーもピックアップしています。
 「スターピクス」誌公式サイト(タイ語/英語):http://www.starpics.co.th/

 タイ映画監督協会賞:100人近いタイの映画監督によって構成されるタイ映画監督協会(Thai Film Director Association)が選出する映画賞で、2011年に創設。監督賞部門と作品賞部門があります。
 タイ映画監督協会公式サイト:http://www.thaifilmdirector.org/index.php

 バンコク映画批評家協会賞:メンバーは約20名。インディペンデント系の作品やドキュメンタリー作品、映画作家の作品も取り上げるものの、シネフィル度はそんなには高くなく、どちらかといえば、優れたドラマ作品を高く評価する傾向が強いようです。メインの部門は今年から2つ新設されて13になりました。
 バンコク映画批評家協会賞に関するWikipedia(タイ語):http://th.wikipedia.org/wiki/%E0%B8%A3%E0%B8%B2%E0%B8%87%E0%B8%A7%E0%B8%B1%E0%B8%A5%E0%B8%A0%E0%B8%B2%E0%B8%9E%E0%B8%A2%E0%B8%99%E0%B8%95%E0%B8%A3%E0%B9%8C%E0%B9%84%E0%B8%97%E0%B8%A2_%E0%B8%8A%E0%B8%A1%E0%B8%A3%E0%B8%A1%E0%B8%A7%E0%B8%B4%E0%B8%88%E0%B8%B2%E0%B8%A3%E0%B8%93%E0%B9%8C%E0%B8%9A%E0%B8%B1%E0%B8%99%E0%B9%80%E0%B8%97%E0%B8%B4%E0%B8%87

 タイ・アカデミー賞(Suphanahongse Award) :国立タイ映画協会(The Federation of National Film Associations of Thailand)が運営する賞。部門数が16あり、タイの映画賞の中ではもっとも部門数が多い。アクション映画、アニメーション、ホラー、ドキュメンタリー、娯楽作品、作家主義的な作品等、取り上げる作品のジャンルも幅広く、映画賞としてもっともバラエティーに富んでいます。
 公式サイト(タイ語):http://www.thainationalfilm.com/site/

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 第9回コム・チャット・ルック映画賞の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆作品賞
 ◎“Laddaland” 監督:ソポン・スクダピシット(Sophon Sakdaphisit)
 ・“Pumpuang(The Moon)” 監督:バンデッド・ソンディ(Bhandit Thongdee)
 ・『ヘッドショット』 監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
 ・“Tee-Rak(Eternity)” 監督:Sivaroj Kongsakul
 ・“Baby Arabia” 監督:パヌ・アリー(Panu Aree)、Kaveenipol Ketprasit、コン・リッディ(Kong Rithdee)

 ◆監督賞
 ◎ソポン・スクダピシット “Laddaland”
 ・ペンエーグ・ラッタナルアーン 『ヘッドショット』
 ・Sivaroj Kongsakul “Tee-Rak(Eternity)”
 ・アーティット・アッサラット 『ハイソ』

 ◆主演男優賞
 ◎ノッパチャイ・ジャヤナマ(Noppachai Jayanama) 『ヘッドショット』(監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン)
 ・Saharat Sangkhapreecha “Laddaland”
 ・アナンダ・エヴァリンハム 『ハイソ』
 ・Patchara Chirathivat 『トップ・シークレット 味付けのりの億万長者』“Top Secret Wairoon Pun Lan(The Billionaire)”(監督:ソンヨット・スックマークアナン(Songyos Sugmakanan))

 ◆主演女優賞
 ◎Paowalee Pornpimol “Pumpuang(The Moon)”(監督:バンデッド・ソンディ(Bhandit Thongdee))
 ・Piyathida Worramusik “Laddaland”
 ・パチャラパー チャイチュア(Patcharapa Chaichuea) “30 Kamlung Jaew”(監督:Somjing Srisuparb)
 ・Namfon Udomlertlak? “Tee-Rak(Eternity)”

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 ◆助演男優賞
 ◎Nattawat Sakidja “Pumpuang(The Moon)”
 ・ソムブーン・ニヨムシリ(Somboonsook Niyomsiri)  『トップ・シークレット 味付けのりの億万長者』

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 ◆助演女優賞
 ◎Suthatta Udomsilp “Laddaland”
 ・クリス・ホーワン(Cris Horwang) 『ヘッドショット』
 ・サジー・アピウォン(Sajee Apiwong) 『ハイソ』

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 ◆脚本賞
 ◎Sophon Sakdaphisit、Sopana Chaowwiwatkul “Laddaland”
 ・Sivaroj Kongsakul “Tee-Rak(Eternity)”
 ・アーティット・アッサラット 『ハイソ』
 ・Nawapol Thamrongrattanarit 『トップ・シークレット 味付けのりの億万長者』 

 ◆人気映画賞(The Popular Award)
 ◎“30 Kamlung Jaew”(監督:Somjing Srisuparb)

 ※おそらく各部門ごとに5ずつノミニーが選ばれているはずですが、全ノミネーションを英語で書き出しているサイトが見つけられなかったので、断片的な情報を元に上記リストを構成しました。
 タイ語のサイトも探ってみましたが、ネット上に求める情報があるかどうかも定かではなく、最終的に上記までとすることにしました。
 全ノミネーションを書き出すところまではいきませんでしたが、受賞者はすべて書き出してあります。

 ※『ハイソ』は東京国際映画祭2010で、『ヘッドショット』は東京国際映画祭2011で、『トップ・シークレット 味付けのりの億万長者』は大阪アジアン映画祭2012で上映されています。

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 ノミネーションはいろんなタイトルが上がっていますが、受賞作は4つの作品に絞られました。

 全部で8つの部門しかありませんが、そのうちの4つを“Laddaland”が制しています。

 このあとで、2012年のタイ映画賞の各賞の受賞結果を書き出していくつもりですが、2011年のタイ映画で上位の賞を争っていたのは、“Laddaland”と『ヘッドショット』の2作品ということになるようです。

 一方はホラー、もう一方はスリラーで、こういった作品が賞レースの上位を争うというのは、タイらしいと言えばタイらしいのですが、2010年に『ブンミおじさんの森』がタイ映画界のみならず、全世界を席捲したことへの反動でもあるのでしょうか。もっともコム・チャット・ルック映画賞自体は、昨年『ブンミおじさんの森』を無冠に終わらせていますが。

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 主な受賞作品について簡単に紹介しておきます。

 ・“Laddaland”(タイ) 監督:ソポン・スクダピシット(Sophon Sakdaphisit)
 出演:Saharat Sangkapreechat、Piyathida Woramuksik、Sutadta Udomsil、Atipit Chutiwatkajornchai
 物語:よりよき生活を願ってバンコクからチェンマイに一家が引越しする。家族の引越しに先立って、まず父親がチェンマイに移り、そこで新しい仕事も得て、家族を迎える準備をする。夢と希望でいっぱいの新生活のはずが、少しずつ様子がおかしくなってくる。うさん臭い仕事、ローンのプレッシャー、バンコクから離れたくなかったことを隠そうとしない娘、妻の元上司との関係、義母のとの不和……。庭では黒猫が鳴き、近所でミャンマー人の家政婦が顔に酸をかけられて、殺され、冷蔵庫に詰め込まれて発見されるという事件も起こる。そしてゴーストが現れるようになる……。
 『心霊写真』(2004)の脚本を手がけたソポン・スクダピシットの第2回監督作品。
 現実に起こった出来事を原案として映画化。

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 ・『ヘッドショット』“Headshot”(タイ・仏) 監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
 出演:ノッパチャイ・ジャヤナマ、セリーヌ・ホーワン、チャノックポーン・サヤンクーン、アピシット・オーパートイアムリキット、クルークキアット・パンピパット
 物語:実直な警官のトゥルは、力のある政治家からの麻薬取引のもみ消しを断ったために、罠にかけられる。彼は、投獄されるが、ヒットマンになるという条件をのめば、刑務所から出してやるという謎の依頼人からの申し出を受け、闇社会で生きることに決める。着実に任務をこなしていた彼は、ある日、任務中に頭を撃たれ、昏睡の身となる。3ヶ月後、意識を取り戻した彼は、視界が逆さになって見えるようになり、また、彼自身、命を狙われるようになったことを知る。彼は、仏門に入って、身をくらまそうとするが、敵は彼を執拗に追いかけてくるのだった……。
 小説家Win Lyovarinの短編ノワールを元に映画化した作品。
 トロント国際映画祭2011 VANGUARD部門出品。
 東京国際映画祭2011 コンペティション部門出品。

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 ・“Pumpuang(The Moon)”(タイ) 監督:バンデッド・ソンディ(Bhandit Thongdee)
 出演:Paowalee Pornpimon、Nathawut Sakidjai
 物語:Pumpuang Duangjan (1961-92)の生涯の映画化。Pumpuangは、貧しい農家に生まれるが、月を意味する「Duangjan」という芸名をもらって、 70年代末から歌手/女優として活躍し始める。彼女は読み書きもできなかったが、タイの貧しい農村から出てきた彼女の歌は力強く、説得力もあって、一気にスターダムにのし上がる。しかし、またたくまに人気を失い、1992年、31歳という若さで病没する。
 彼女の死後すぐにTV映画が制作されたが、彼女の複雑な人生を描こうとすると、遺族ともめたり、訴訟に追い込まれそうになったりして、映画化にこぎつけるまでに20年近い歳月を要した。本作で描かれる物語も、あくまで「非公式」という風にされている。

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 ・“30 Kamlung Jaew”(タイ) 監督:Somjing Srisuparb
 出演:アム=パチャラパー チャイチュア(Patcharapha Chaichua)、Phuphoom Pongpanu、Peter Corp Dyrendal、Nitit Warayanon、Wirinda Damrongphon
 物語:ジャーは、広告代理店に勤めるキャリア・ウーマン。そろそろ結婚したいなと考え始めた矢先、30歳の誕生日にそれまでつきあっていたパイロットに別れを切り出される。しかし、そんな彼女に年下の男の子が猛アタックをかけてくる。さらにしばらくすると元カレまで彼女に復縁を求めてくる……。

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 *当ブログ記事

 ・コム・チャット・ルック映画賞2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_35.html
 ・コム・チャット・ルック映画賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201103/article_5.html

 ・スターピクス・アワード2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_6.html
 ・タイ映画監督協会賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_7.html
 ・バンコク映画批評家協会賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_8.html
 ・タイ・アカデミー賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_9.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年1月~6月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_1.html

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