Hot Docs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2012 各賞発表!

 北米最大のドキュメンタリーの祭典、Hot Docs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2012の各賞の結果が発表されました。(発表は5月4日。映画祭の開催期間は4月26日~5月6日。)

 ◆最優秀作品 カナダ映画部門(Best Canadian Feature)
 ◎“The World Before Her” 監督:Nisha Pahuja

 “The World Before Her”(カナダ・独・米・英) 監督:Nisha Pahuja
 厳選された20人のミス・インド候補が、コンテストを前に1ヶ月にわたって開かれる研修に入る。彼女たちが、ミス・インドを目指すのは、そうなることで、手っ取り早くスターになれ、キャリアが築け、伝統的な家父長制から抜け出すことができるからだ。一方で、インドの一部では、原理主義者の女性部会が運営するキャンプで、ヒンズーの従順な女性たちを作り出すべく、訓練と教育が行なわれている。インドにおける西洋的な現代性と古い家父長制との衝突は、女性の行動や、女性に対する支配という面でも如実に現れてきている。

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 ◆審査員特別賞 カナダ映画部門(Special Jury Prize – Canadian Feature)
 ◎“Peace Out” 監督:Charles Wilkinson

 “Peace Out”(カナダ) 監督:Charles Wilkinson
 カナダ北西部の風景を永遠に変えてしまうかもしれない、ピース川に関する4つエネルギー資源開発プロジェクトについて考察する。水力発電のためのダム、天然ガス破壊、原子力発電所、オイル・サンド。われわれはこれらのためにどんな代償を支払わなければならないのだろうか? そして正しい選択の道は?

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 ◆Inspirit Foundation Pluralism Prize
 Canadian Spectrum部門で上映された作品の中で若者の相互理解に貢献したと思われるような作品に贈られる。
 ◎“The Boxing Girls Of Kabul” 監督:Ariel J. Nasr

 “The Boxing Girls Of Kabul”(カナダ) 監督:Ariel J. Nasr
 アフガニスタンの女性たちがワールド・クラスのボクシング選手になるためにトレーニングを積んでいる。元オリンピック候補がコーチをしているが、ボクサーのために必要な基礎的な設備があるわけでもない。撮影クルーは1年以上にわたって、彼女たちが2012年のオリンピックを目指して、最初の選手権に挑むまでを追う。彼女たちの1人が優勝したことをTVが報じた時、アフガニスタンの一部では、女性たちに石が投げられ、彼女たちやその家族までが生命の危険にさらされる。彼女たちはどうしてそんな危険を冒してまでボクサーになるとするのだろうか?
 ベルリン国際映画祭2011 フォーラム部門出品。

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 ◆最優秀作品 インターナショナル部門(Best International Feature)
 ◎“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall、Katherine Fairfax Wright

 “Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall、Katherine Fairfax Wright
 ウガンダは、ローマン・カトリックが40%以上を占める国で、同性愛者問題が大きく取り上げられる。活動家のデイヴィッド・カトーは、ゲイ仲間やトランスジェンダーの市民(Kuchuと呼ばれる)のために、同性愛者を迫害する法律を撤廃しようと熱心に活動している。特に発熱した議論が交わされたのは、「HIVポジティブのゲイには死を」といった反同性愛者による法案が出された時で、新聞には「ホモによるテロ!」という見出しが躍ったという。デイヴィッド・カトーは、こうした動きに対して、反対を主張し続けている少数派の1人で、「われわれが声を上げなければ、われわれはいないことになってしまう」と発言する。
 ベルリン国際映画祭2012 パノラマ部門出品。テディー賞 最優秀ドキュメンタリー賞、Siegessäule Readers’ Award スペシャル・メンション、観客賞 ドキュメンタリー部門第2位。

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 ◆審査員特別賞 インターナショナル部門(Special Jury Prize – International Feature)
 ◎“The Law In These Parts” 監督:Ra’anan Alexandrowicz

 “The Law In These Parts” 監督:Ra’anan Alexandrowicz
 43年におよぶ占領パレスチナ地域に対するイスラエルの法制度がどのようなものであるのかを、制度の設計者に対する挑発的なインタビューや、パレスチナ人に対してどのように機能しているのかを示す歴史的記録映像を通して、明らかにしていく。
 サンダンス映画祭2012 審査員グランプリ受賞。

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 ◆最優秀作品 中編部門(Best Mid-Length Documentary)
 ◎“My Thai Bride”(オーストラリア) 監督:David Tucker

 ◆オナラブル・メンション 中短編部門(The Shorts and Mid-Length honourable mention)
 ◎“Nessa”(イラン) 監督:Loghman Khaledi
 ◎“Family Nightmare”(米) 監督:Dustin Guy Defa

 ◆最優秀作品 短編部門(Best Short Documentary)
 ◎“Five Fragments Of The Extinct Empathy”(フィンランド) 監督:Anna Nykyri

 ◆HBO新人監督賞(HBO Documentary Films Emerging Artist Award)
 ◎Bill Ross、Turner Ross “Tchoupitoulas”(米)
 ◎Benjamin Kahlmeyer “Meanwhile in Mamelodi”(独・南ア)

 ◆2012 ホットドックス貢献賞(The 2012 Hot Docs Outstanding Achievement Award)
 ◎Michel Brault(カナダの映画作家)

 ◆ドン・ヘイグ賞(Documentary’s Don Haig Award)
 ◎Mia Donovan “Inside Lara Roxx”(前回大会の上映作品)

 ◆ドン・ヘイグ賞 オナラブル・メンション(Documentary’s Don Haig Award honourable mention)
 ◎Charles Officer “Mighty Jerome” (前回大会の上映作品)
 Charles Officerは、“Nurse.Fighter.Boy”で、ジニー賞2010で10部門でノミネートされています。(歌曲賞受賞。)

 ◆Lindalee Tracey Award
 強い社会正義とユーモアを持った若く情熱的なカナダのフィルムメーカーに贈られる。
 ◎Jasmine Oore

 ◆The Shaw Media-Hot Docs Forum Pitch Prize
 ◎“Shadow Girl”

 ◆The Cuban Hat Award
 パワフルでユニークなプロジェクトに贈られる。
 ◎“Svalka: Yula’s Journey” Hanna Polak Films/Goats Hill

 ◆観客賞 トップ10
 1.“Chasing Ice”(米) 監督:Jeff Orlowski
 2.“Big Boys Gones Bananas!*”(スウェーデン)  監督:Fredrik Gertten
 3.“G-Dog”(米)  監督:Freida Mock
 4.“We Are Wisconsin”(米) 監督:Amie Williams
 5.“Life In Stills”(イスラエル 監督:Tamar Tal
 6.“Brooklyn Castle”(米) 監督:Katie Dellamaggiore
 7.“5 Broken Cameras”(仏・イスラエル・パレスチナ) 監督:Guy Davidi, Emad Burnat
 8.“Jason Becker: Not Dead Yet”(英) 監督:Jessie Vile
 9.“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall, Katherine Fairfax Wright
 10.“The World Before Her”(カナダ・独・米・英) 監督:Nisha Pahuja

 “Chasing Ice”(米) 監督:Jeff Orlowski
 2005年春、「ナショナル・ジオグラフィック」誌の写真家James Balogは、気象変動の兆候を撮影するために北極圏に派遣される。当初、彼がこの試みに懐疑的であった。人間によって気象変動が起こりつつあるとして、われわれに何ができるのかと。しかし、最初の訪問で彼は衝撃を受け、何年にもわたる本格的な調査を始めることになる。
 サンダンス映画祭2012 撮影賞受賞。

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 サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭を経て、既に2012年を代表するドキュメンタリー作品がピックアップされつつあります。

 “The Boxing Girls Of Kabul”、“Call Me Kuchu”、“The Law In These Parts”、“Chasing Ice”の4作品がそれで、中でも“Chasing Ice”は、米国アカデミー賞2013長編ドキュメンタリー賞の最初の候補と考えていいのではないでしょうか。実際にノミネートされるかどうかは、時の運みたいなものがありますから、どうなるかはわかりませんが、確実にノミネート候補には挙がるはずです。ひょっとすると東京国際映画祭のnatural Tiff部門にも選ばれるかもしれませんね。

 ドキュメンタリー作品は、テーマに関して、年ごとにトレンドのようなものが見受けられますが、2012年のそれは、性に関する人権侵害や人間による環境破壊、ということになるでしょうか。

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 *当ブログ記事
 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年1月~6月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_1.html

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