ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2011 発表!

 第14回ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードの受賞結果が発表されました。(12月4日)

 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードもUstreamで実況していたようで、すべての賞が出揃ったのは、つい先ほどです。

 ◆作品賞(Best British Independent Film)
 ・『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』“Senna” 監督:アシフ・カパディア
 ・“Shame” 監督:スティーヴ・マックイーン
 ・“Tinker Tailor Soldier Spy” 監督:トマス・アルフレッドソン
 ◎『ティラノサウルス』“Tyrannosaur” 監督:パディ・コンシダイン

 今年のブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードは、サンダンス映画祭2011に出品された『ティラノサウルス』(監督賞受賞)と『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』(観客賞受賞)、ベネチア国際映画祭2011に出品された“Shame”と“Tinker Tailor Soldier Spy”、そして作品賞にはノミネートされませんでしたが、ベルリン国際映画祭2011に出品された“Coriolanus”、カンヌ国際映画祭2011に出品された『少年は残酷な弓を射る』が賞を争っていましたが、作品賞を制したのは、新人監督のパディ・コンシダインが監督した『ティラノサウルス』でした。
 2007年にアントン・コービンの『コントロール』、2009年にダンカン・ジョーンズの『月に囚われた男』という風に、奇数年は新人監督の作品が作品賞を受賞しているので、今年もそういうめぐり合わせだったということなのかもしれません。ちなみに、それらの作品にはさまれた2008年は『スラムドッグ$ミリオネア』が、2010年は『英国王のスピーチ』が作品賞を受賞しています。

 ◆監督賞(Best Director)
 ・Ben Wheatley “Kill List”
 ・スティーヴ・マックイーン “Shame”
 ・トマス・アルフレッドソン “Tinker Tailor Soldier Spy”
 ・パディ・コンシダイン(Paddy Considine) 『ティラノサウルス』
 ◎リン・ラムジー 『少年は残酷な弓を射る』“We Need To Talk About Kevin”

 『少年は残酷な弓を射る』は、今年の3月時点で(ということは映画の完成前から)既に2012年のオスカーの下馬評に挙がっていて、その後、カンヌ国際映画祭2011のコンペティション部門に出品され(無冠)、現在に至るわけですが、ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードでは、作品賞にはノミネートされず、監督賞を受賞するという結果になりました。

 ◆主演男優賞(Best Actor)
 ・ブレンダン・グリーソン 『アイルランドの事件簿』“The Guard”(監督:ジョン・マイケル・マクドノー)
 ・ニール・マスケル(Neil Maskell) “Kill List”
 ◎マイケル・ファスベンダー “Shame”
 ・ゲイリー・オールドマン “Tinker Tailor Soldier Spy”
 ・ピーター・ミュラン 『ティラノサウルス』

 マイケル・ファスベンダーもゲイリー・オールドマンもピーター・ミュランもそれぞれの作品の顔ともいうべき存在でしたが、ここは“Shame”を代表する形でマイケル・ファスベンダーが受賞しました。ちなみに、彼は、この作品でベネチア国際映画祭2011男優賞を受賞しています。

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 ◆主演女優賞(Best Actress)
 ・レベッカ・ホール “The Awakening”(監督:ニック・マーフィ)
 ・ミア・ワシコウスカ “Jane Eyre”(監督:ケイリー・フクナガ)
 ・マイアンナ・バーリング(Myanna Buring) “Kill List”
 ◎オリヴィア・コールマン(Olivia Colman) 『ティラノサウルス』
 ・ティルダ・スウィントン “We Need To Talk About Kevin”

 この中ではどうみてもオスカーを争っているティルダ・スウィントンが本命でしたが、ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードは、主にTVを活動の舞台としてきて、これまでさほど評価されることのなかったオリヴィア・コールマンの方を主演女優賞に選びました。
 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードは、本命ではなく、こうした苦労人や若い才能に賞を与えることがあります。

 ◆助演男優賞(Best Supporting Actor)
 ◎マイケル・スマイリー(Michael Smiley) “Kill List”
 ・トム・ハーディー “Tinker Tailor Soldier Spy”
 ・ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch) “Tinker Tailor Soldier Spy”
 ・エディー・マーサン 『ティラノサウルス』
 ・エズラ・ミラー(Ezra Miller) 『少年は残酷な弓を射る』

 ◆助演女優賞(Best Supporting Actress)
 ・フェリシティー・ジョーンズ “Albatross”(監督:ニオール・マコーマック(Niall MacCormick))
 ◎ヴァネッサ・レッドグレイヴ “Coriolanus”(監督:レイフ・ファインズ)
 ・キャリー・マリガン “Shame”
 ・サリー・ホーキンス 『サブマリン』“Submarine”(監督:リチャード・アヨエイド)
 ・キャシー・バーク “Tinker Tailor Soldier Spy”

 フェリシティー・ジョーンズは、今年の映画賞レースの顔の1人ですが、ここでは受賞はならず、オスカーの助演女優賞候補にも挙がっているヴァネッサ・レッドグレイヴが受賞しました。“Coriolanus”で受賞したのは主演女優賞だけなので、彼女がこの作品を代表しているということなのでしょうか。

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 ◆脚本賞(Best Screenplay)
 ・ジョン・マイケル・マクドノー 『アイルランドの事件簿』“The Guard”
 ・Ben Wheatley、Amy Jump “Kill List”
 ・アビ・モーガン(Abi Morgan)、スティーヴ・マックイーン “Shame”
 ◎リチャード・アヨエイド 『サブマリン』
 ・リン・ラムジー、ロリー・キニア(Rory Kinnear) 『少年は残酷な弓を射る』

 米国アカデミー賞でも下馬評に名前が挙がっているのは、“Shame”であり、サテライト・アワード2011オリジナル脚本賞にノミネートされているのは、『ティラノサウルス』『アイルランドの事件簿』“Shame”ですが、ここではそれらではなく、『サブマリン』が受賞しました。

 ◆技術貢献賞(Best Technical Achievement)
 ・クリス・キング(Chris King)、Gregers Sall (編集) 『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』
 ・ショーン・ボビット(Sean Bobbitt)(撮影) “Shame”
 ・ジョー・ウォーカー(編集) “Shame”
 ◎マリア・ジャーコヴィク(Maria Djurkovic)(美術) “Tinker Tailor Soldier Spy”
 ・シーマス・マクガーヴィー(撮影) 『少年は残酷な弓を射る』

 サテライト・アワード2011では、編集賞に『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』と“Shame”がノミネートされていますが、ここではそれらではなく、“Tinker Tailor Soldier Spy”が受賞しました。

 ◆ニューカマー賞(Most Promising Newcomer)
 ・Jessica Brown Findlay “Albatross”
 ・John Boyega  “Attack The Block”(監督:Joe Cornish)
 ・クレイグ・ロバーツ(Craig Roberts) 『サブマリン』
 ・ヤスミン・ペイジ(Yasmin Paige) 『サブマリン』
 ◎Tom Cullen “Weekend”(監督:Andrew Haigh)

 ◆新人監督賞(The Douglas Hickox Award(Best Debut Director))
 ・Joe Cornish “Attack The Block”
 ・レイフ・ファインズ “Coriolanus”
 ・ジョン・マイケル・マクドノー 『アイルランドの事件簿』
 ・リチャード・アヨエイド(Richard Ayoade) 『サブマリン』
 ◎パディ・コンシダイン 『ティラノサウルス』

 パディ・コンシダインは、監督賞と新人監督賞にノミネートされていましたが、監督賞はリン・ラムジーに譲り、新人監督賞を受賞しました。まあ、ここは順当というところでしょうか。
 パディ・コンシダインは、サンダンス映画祭2011でも監督賞を受賞しています。

 ◆プロダクション賞(Best Achievement In Production)
 ・“Kill List” 監督:Ben Wheatley
 ・『ティラノサウルス』 監督:パディ・コンシダイン
 ◎“Weekend” 監督:Andrew Haigh
 ・“Wild Bill” 監督:デクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)
 ・“You Instead” 監督:ディヴィッド・マッケンジー

 “Weekend”(英) 監督:Andrew Haigh
 出演:Tom Cullen、Chris New
 物語:ラッセルは、金曜日夜、家での飲み会の後、ゲイ・クラブに繰り出す。彼は、ストレートだったが、閉店間際にそこでグレンをひっかける。ほんの一晩限りの戯れのつもりだったが、2人で酒を飲み、ドラッグをやり、話をして、セックスするうちに、2人の関係は特別なものになっていく……。
 SXSW映画祭2011でEmerging Visions部門観客賞を受賞しています。

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 ◆ドキュメンタリー賞(Best Documentary)
 ・“Hell And Back Again” 監督:Danfung Dennis
 ・『LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語』“Life In A Day” 監督:ケヴィン・マクドナルド
 ・『プロジェクト・ニム』“Project Nim” 監督:ジャームズ・マーシュ
 ◎『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』 監督:アシフ・カパディア
 ・“TT3D: Closer To The Edge” 監督:Richard De Aragues

 『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』は、米国アカデミー賞2012長編ドキュメンタリー賞こそノミネートされませんでしたが、ナショナル・ボード・オブ・レビュー2011ドキュメンタリー部門トップ5、米・製作者組合賞(PGA)ドキュメンタリー部門ノミネート、サテライト・アワード2011ノミネート、と本年度を代表するドキュメンタリー映画の1本となってきていて、サンダンス映画祭2011観客賞に続き、本年度映画賞レースで1つ目の受賞となりました。

 ◆英国短編賞(Best British Short)
 ・“0507” 監督:Ben Blaine、Chris Blaine
 ◎“Chalk” 監督:Martina Amati
 ・“Love At First Sight” 監督:Michael Davies
 ・“Rite” 監督:Michael Pearce
 ・“Rough Skin” 監督:Cathy Brady

 “Chalk”(英) 監督:Martina Amati
 物語:2人の体操選手が、国の強化合宿に選ばれる。彼らは、そこで体のこと、男の子たちのこと、そして友情について何かを学ぶ。
 タイトルの“Chalk”は、「チョーク」(白墨)のこと。
 ベルリン国際映画祭2011短編部門出品作品。

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 ◆外国映画賞(Best Foreign Independent Film)
 ・『アニマル・キングダム』“Animal Kingdom”(オーストラリア) 監督:デイヴィッド・ミショッド
 ・『ドライヴ』“Drive”(米) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
 ・『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』“Pina”(独・仏・英) 監督:ヴィム・ヴェンダース
 ◎『別離』“A Separation(Jodaeiye Nader az Simin)”(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 ・“The Skin I Live In(La piel que habito)”(西) 監督:ペドロ・アルモドバル

 『別離』は、ここまでにニューヨーク映画批評家協会賞2011受賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー2011受賞、インディペンデント・スピリット・アワード2012ノミネート、サテライト・アワード2011ノミネートと快進撃を続けていて、本年度の外国(語)映画賞部門の本命となっています。

 ◆レインダンス賞(The Raindance Award)
 ・“Acts Of Godfrey” 監督:Johnny Daukes
 ・“Black Pond” 監督:Tom Kingsley、Will Sharpe
 ・“Hollow” 監督:Rob Sorrenti
 ◎“Leaving Baghdad” 監督:Koutaiba Al-Janabi
 ・“A Thousand Kisses Deep” 監督:ダナ・ラスティグ(Dana Lustig)

 “Leaving Baghdad”(イラク・UAE・ハンガリー・英) 監督:Koutaiba Al-Janabi
 物語:サディクは、サダム・フセインの元個人カメラマンで、今は国から国へと逃げ回っていた。というのも、彼はフセインの残額行為の証拠を握っていると考えられていたからで、ずっとイラクの秘密警察に付け狙われていた。彼は、密輸業者や詐欺師に騙され、パラノイアになり、始終びくびくしていた。ロンドンにいる妻に会いに行くが、つれなくされる。絶望した彼は、息子に手紙を書く。それは、彼の告白であり、イラク時代に何があったのかを打ち明けるものだった……。

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 ◆リチャード・ハリス賞/英国映画貢献賞(The Richard Harris Award (For Outstanding Contribution By An Actor To British Film))
 ◎レイフ・ファインズ

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 ◆Variety賞(The Variety Award)
 ◎ケネス・ブラナー

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 ◆特別審査員賞(The Special Jury Prize)
 ◎Graham Easton
 同姓同名のGraham Eastonは映画界に何人かいますが、受賞したのは投資家のGraham Eastonだそうです。

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 主な作品のノミネート&受賞状況は以下の通りです。

 ・“Shame”(1/7):作品・監督・主演男優・助演女優・脚本・技術・技術
 ・“Tinker Tailor Soldier Spy”(1/7):作品・監督・主演男優・助演男優・助演男優・助演女優・技術
 ・『ティラノサウルス』(3/7):作品・監督・主演男優・主演女優・助演男優・新人監督・プロダクション
 ・『少年は残酷な弓を射る』(1/6):作品・監督・主演女優・助演男優・脚本・技術
 ・『サブマリン』(1/5):助演女優・脚本・ニューカマー・ニューカマー・新人監督
 ・“Kill List (1/5):監督・主演男優・助演男優・脚本・プロダクション
 ・『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』(1/3):作品・技術・ドキュメンタリー
 ・『アイルランドの事件簿』(0/3):主演男優・脚本・新人監督
 ・“Albatross”(0/2):助演女優・ニューカマー
 ・“Coriolanus”(1/2):助演女優・新人監督
 ・“Attack The Block”(0/2):ニューカマー・新人監督
 ・“Weekend”(2/2):ニューカマー・プロダクション
 ・“The Awakening (0/1):主演女優
 ・“Jane Eyre”(0/1):主演女優
 ・“Wild Bill”(0/1):プロダクション
 ・“You Instead”(0/1):プロダクション

 最多ノミネートの『ティラノサウルス』が3部門受賞で最多受賞となりましたが、全体としては、そんなに多くはない賞をたくさんの映画で分け合った形になりました。

 昨年は『英国王のスピーチ』が5部門を制して最多受賞だったので、その反動ということもあるのかもしれません。

 イギリスには、もう1つ大きな映画賞としてBAFTA英国アカデミー賞がありますが、あちらは選考対象にアメリカ映画を含み、アメリカ映画寄りの受賞結果を出すので、こちらとは大分様子の違った趣きとなります。
 ここでは受賞ならなかったピーター・ミュランやティルダ・スウィントンらがBAFTA英国アカデミー賞で受賞するかどうかが注目されます。

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 *当ブログ記事
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_4.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_2.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2010受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_10.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_3.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_12.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2008 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_3.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

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