ヨーロッパ映画賞2011 発表!

 第24回ヨーロッパ映画賞の結果が発表されました。(12月3日)

 結果を書き出す前に、ノミネーションの記事を書いた時に、私が書いたコメントを再録しておきます。


 「カンヌでの評判からしたら、ちょっと意外だなという印象を持ちましたが、ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』が7部門8ノミネートで最多ノミネートになりました。

 注目のポイントは、作品賞にノミネートされていながら、監督賞にノミネートされていない監督の作品と、監督賞にノミネートされていながら、作品賞にノミネートされていない監督の作品と、作品賞・監督賞双方にノミネートされている作品があることでしょうか。
 というのも、ヨーロッパ映画賞で、作品賞と監督賞が同じになる確率はかなり高くて、過去10年では7回もあるからです。
 そうすると、今年、作品賞と監督賞を受賞する可能性の高い作品は4作品に絞られるということになります。

 最多ノミネート作品がそのまま最多受賞作品になることも多いのですが、今年はどうなるでしょうか。

 ちなみに、ラース・フォン・トリアーは、過去にヨーロッパ映画賞作品賞を2回、監督賞を1回受賞していて、あと1回ずつ受賞するとともに最多タイ記録になります。(作品賞はジャンニ・アメリオが3回、ケン・ローチとミヒャエル・ハネケとペドロ・アルモドバルがそれぞれ2回、監督賞はペドロ・アルモドバルが唯一2回受賞しています。

 ダルデンヌ兄弟は、ヨーロッパ映画賞とは全く縁がなくて、過去にドキュメンタリー賞を受賞したことがあるだけです。まあ、そのほかの映画賞や映画祭でいろんな賞を受賞しているので、別にヨーロッパ映画賞で無冠でもなんてことはありませんが、あれだけ評価の高いダルデンヌ兄弟がヨーロッパ映画賞では無冠というのもちょっと意外な気がします。今年は脚本賞あたりどうでしょうか。

 授賞式は、12月3日にベルリンで行なわれます。」



 今年の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆作品賞(Best European Film)
 ・“The Artist”(仏) 監督:ミシェル・アザナヴィシウス
 ・“Le Gamin au Velo (The Kid with a Bike)”(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 ・『未来を生きる君たちへ』“Haeven (In a Better World)”(デンマーク) 監督:スザンネ・ビア
 ・『英国王のスピーチ』“The King’s Speech”(英) 監督:トム・フーパー
 ・“Le Havre”(フィンランド・仏・独) 監督:アキ・カウリスマキ
 ◎『メランコリア』“Melancholia”(デンマーク・スウェーデン・独) 監督:ラース・フォン・トリアー

 ◆監督賞(European Director)
 ◎スザンネ・ビア 『未来を生きる君たちへ』“Haeven (In a Better World)”(デンマーク)
 ・ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ “Le Gamin au Velo (The Kid with a Bike)”(ベルギー・仏・伊)
 ・アキ・カウリスマキ “Le Havre”(フィンランド・仏・独)
 監督:
 ・タル・ベーラ 『ニーチェの馬』“A Torino Lo (The Turin Horse)”(ハンガリー・仏・スイス・独)
 ・ラース・フォン・トリアー 『メランコリア』“Melancholia”(デンマーク・スウェーデン・独)

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 ◆男優賞(European Actor)
 ・ジャン・デュダルジャン “The Artist”
 ◎コリン・ファース 『英国王のスピーチ』
 ・ミカエル・パーシュブラント 『未来を生きる君たちへ』
 ・ミシェル・ピコリ “Habemus Papam”(伊・仏) 監督:ナンニ・モレッティ
 ・アンドレ・ウィルム “Le Havre”

 ◆女優賞(European Actress)
 ・キルステン・ダンスト 『メランコリア』
 ・セシル・ド・フランス “Le Gamin au Velo (The Kid with a Bike)”
 ・シャルロット・ゲンズブール 『メランコリア』
 ・Nadezhda Markina “Elena”(ロシア) 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
 ◎ティルダ・スウィントン “We Need to Talk About Kevin”(英・米) 監督:リン・ラムジー

 ◆脚本賞(European Screenwriter)
 ◎ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ “Le Gamin au Velo (The Kid with a Bike)”
 ・アナス・トマス・イェンセン(Anders Thomas Jensen) 『未来を生きる君たちへ』
 ・アキ・カウリスマキ “Le Havre”
 ・ラース・フォン・トリアー 『メランコリア』

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 ◆撮影賞(European Cinematographer)
 ◎マヌエル・アルベルト・クラロ(Manuel Alberto Claro) 『メランコリア』
 ・フレッド・ケレメン(Fred Kelemen) 『ニーチェの馬』
 ・ギヨーム・シフマン(Guillaume Schiffman) “The Artist”
 ・アダム・シコラ(Adam Sikora) 『エッセンシャル・キリング』(ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー) 監督:イエジー・スコリモフスキ

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 ◆編集賞(European Editor)
 ◎タリク・アンウォー(Tariq Anwar) 『英国王のスピーチ』
 ・マティルド・ボンフォワ(Mathilde Bonnefoy) “Drei (Three)”(独) 監督:トム・ティクヴァ
 ・モリー・マレーネ・ステンスガード(Molly Malene Stensgaard) 『メランコリア』

 ◆美術賞(European Production Designer)
 ・パオラ・ピッツアリ(Paola Bizzarri) “Habemus Papam”
 ・アンチョン・ゴメス(Antxón Gómez) “La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”(西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ◎イェッテ・レーマン(Jette Lehmann) 『メランコリア』

 ◆作曲家賞(European Composer)
 ◎ルドヴィック・ブールス(Ludovic Bource) “The Artist”
 ・アレクサンドル・デプラ 『英国王のスピーチ』
 ・アルベルト・イグレシアス “La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”
 ・ヴィーグ・ミハーイ(Mihály Vig) 『ニーチェの馬』

 ◆ディスカバリー賞(European Discovery – Prix FIPRESCI) ※10月11日発表
 ◎“Adem (Oxygen)”(ベルギー・オランダ) 監督:Hans Van Nuffel
 ・“Atmen (Breathing)”(オーストリア) 監督:カール・マルコヴィックス(Karl Markovics)
 ・『ミヒャエル』“Michael”(オーストリア) 監督:マルクス・シュラインツァー(Markus Schleinzer)
 ・“Smukke Menesker (Nothing’s All Bad)”(デンマーク) 監督:Mikkel Munch-Fals
 ・“Tilva Ros”(セルビア) 監督:Nikola Ležaić

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 ◆ドキュメンタリー賞(European Documentary) ※10月18日発表
 ◎『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』“Pina”(独) 監督:ヴィム・ヴェンダース
 ・『星空の下で』“Stand van de Sterren (Position Among the Stars)”(オランダ) 監督:レナード・レーテル・ヘルムリッヒ(Leonard Retel Helmrich)
 ・“¡Vivan las Antipodas!”(独・オランダ・アルゼンチン・チリ) 監督:Victor Kossakovsky

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 ◆長編アニメーション賞(European Animated Feature Film) ※9月20日発表
 ・“Le Chat du Rabbin (The Rabbi’s Cat)”(仏) 監督:Antoine Delesvaux、ジョアン・スファール
 ◎『チコとリタ』“Chico and Rita”(西・マン島) 監督:Tono Errando、ハビエル・マリスカル、フェルナンド・トルエバ
 ・『パリ猫の生き方』“Une Vie de Chat (A Cat in Paris)”(仏・ベルギー) 監督:ジャン=ルー・フェリシオリ(Jean-Loup Felicioli)、アラン・ガニョル(Alain Gagnol)

 ◆短編映画賞(European Film Academy Short Film 2011) ※9月26日発表
 ・ブリストル(英)代表:“Derby”(ルーマニア) 監督:Paul Negoescu
 ・コーク(アイルランド)代表:“Händelse Vid Bank (Incident By A Bank)”(スウェーデン) 監督:リューベン・オストルンド(Ruben Östlund)
 ・ヴィラ・ド・コンデ(ポルトガル)代表:“Dimanches”(ベルギー) 監督:Valéry Rosier
 ・ヴァリャドリッド(スペイン)代表:『僕の夢』“Små Barn, Stora Ord (Little Children, Big Words)”(スウェーデン) 監督:Lisa James-Larsson
 ・アンジェ(仏)代表:“Jessi”(独) 監督:Mariejosephin Schneider
 ・ゲント(ベルギー)代表:“Berik”(デンマーク) 監督:ダニエル・ジョセフ・ボーグマン(Daniel Joseph Borgman)
 ・ロッテルダム(オランダ)代表:“I Lupi (The Wolves)”(伊・オランダ) 監督:Alberto De Michele [ドキュメンタリー]
 ・ベネチア代表:“Hypercrisis”(オーストリア) 監督:Josef Dabernig
 ・ベルリン代表:“Återfödelsen (The Unliving)”(スウェーデン) 監督:Hugo Lilja
 ・ロカルノ代表:“Opowiesci Z Chlodni (Frozen Stories)”(ポーランド) 監督:Grzegorz Jaroszuk
 ・クラクフ(ポーランド)代表:“Paparazzi”(ポーランド) 監督:Piotr Bernas [ドキュメンタリー]
 ・サラエボ代表:“Tse (Out)”(イスラエル) 監督:Roee Rosen
 ◎ドラマ(ギリシャ)代表:“The Wholly Family”(伊) 監督:テリー・ギリアム
 ・タンペレ(フィンランド)代表:“Apele Tac (Silent River)”(独・ルーマニア) 監督:Anca Miruna Lăzărescu
 ・グリムスター(ノルウェー)代表:“La Gran Carrera (The Great Race)”(西) 監督:Kote Camacho

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 “The Wholly Family”(伊) 監督:テリー・ギリアム
 本作は、テリー・ギリアムがイタリアのパスタ・メーカー「ガロファロ」の依頼によって制作した短編映画で、全編オール・ナポリ・ロケで、すべてイタリア人キャストにて作られました。物語は、10歳の子供を持つアメリカ人家族の、家族関係をベースに彼らの愛や緊張、エモーションを描いたもので、ナポリのマジックとイタリア料理の伝統がモチーフになっているそうです。
 出演:クリスティーナ・カポトンディ(Cristiana Capotondi)、Nicolas Connolly、Douglas Dean

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 ちなみに、ガロファロは、2008年から毎年1本ずつ短編映画を製作していて、その監督にはパッピ・コルシカートやヴァレリア・ゴリーノらがいます。

 ◆ピープルズ・チョイス賞
 ◎『英国王のスピーチ』“The King’s Speech”(英) 監督:トム・フーパー
 ・『雨さえも~ボリビアの熱い一日~』“Tambien La Lluvia(Even The Rain)”(西) 監督:イシアル・ボリャン
 ・“Les Petits Mouchoirs(Little White Lies)”(仏) 監督:ギヨーム・カネ
 ・『しあわせの雨傘』“Potiche”(仏) 監督:フランソワ・オゾン
 ・“Welcome To The South (Benvenuti Al Sud)”(伊) 監督:Luca Miniero
 ・『どうぶつ会議』“Animals United (Konferenz Der Tiere)”(独) 監督:ラインハルト・クロース(Reinhard Klooss)、Holger Tappe
 ・『アンノウン』 “Unknown”(米・独) 監督:ジャウマ・コレット=セラ
 ・『未来を生きる君たちへ』“Haeven (In a Better World)”(デンマーク) 監督:スザンネ・ビア

 ◆生涯貢献賞(European Film Academy Lifetime Achievement Award)
 ◎スティーヴン・フリアーズ

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 ◆ワールド・シネマへの貢献賞2011(European Achievement in World Cinema 2011)
 ◎マッツ・ミケルセン

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 ◆特別名誉賞(European Film Academy Special Honorary Award)
 ◎ミシェル・ピコリ

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 ◆ヨーロッパ共同製作賞(European Co-Production Award 2011 - Prix Eurimages)
 ◎マリエラ・ベスイエフスキー(Mariela Besuievsky)
 マリエラ・ベスイエフスキーは、ダニス・タノヴィッチの“Triage”、『瞳の奥の秘密』、コッポラの『テトロ』、アレックス・デラ・イグレシアの『オックスフォード連続殺人』、エリック・ロメールの『三重スパイ』、セルゲイ・ボドロフの『ベアーズ・キス』などを手がけるスペインのプロデューサー。

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 各作品のノミネート&受賞状況は以下の通りです。

 ・『メランコリア』(3/8):作品・監督・女優・女優・脚本・撮影・編集・美術
 ・『未来を生きる君たちへ』(1/5):作品・監督・男優・脚本・ピープル
 ・『英国王のスピーチ』(2/5):作品・男優・編集・作曲・ピープル
 ・“The Artist”(1/4):作品・男優・撮影・作曲
 ・“Le Gamin au Velo (The Kid with a Bike)”(1/4):作品・監督・女優・脚本
 ・“Le Havre”(0/4):作品・監督・男優・脚本
 ・『ニーチェの馬』(0/3):監督・撮影・作曲
 ・“Habemus Papam”(0/2):男優・美術
 ・『エッセンシャル・キリング』(0/2):脚本・撮影
 ・“La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”(0/2):美術・作曲
 ・“Elena”(0/1):女優
 ・“We Need to Talk About Kevin”(1/1):女優
 ・“Drei (Three)”(0/1):編集

 受賞部門数こそ多くありませんが、最多ノミネートの『メランコリア』がそのまま最多受賞となりました。
 監督のカンヌでの発言がマイナスに働くかと思うと全然そんなことはなくて(しかも今回の開催地はドイツだったし)、とは言っても監督賞はもらえなかったわけですが、『メランコリア』が今年のヨーロッパ映画の顔というか、2011年のヨーロッパ映画を代表する作品としてヨーロッパの映画人たちが認めた、と考えてよさそうです。

 これで、ラース・フォン・トリアーは、ヨーロッパ映画賞を3回受賞し、作品賞受賞最多タイになりました。

 全体的には、『英国王のスピーチ』は1年遅いよ、という気がしないでもありませんが、男優賞や女優賞や脚本賞などがいずれも収まるところに収まったように思います。

 ヨーロッパ映画賞が、他の映画賞に与える影響は、さほど大きくありませんが、これで『メランコリア』の映画としての格が上がったことは確かであり、一方、逆に、ここではあまり評価を得られなかった“The Artist”や“Le Havre”、“La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”、“We Need to Talk About Kevin”などの作品が各国の映画賞でどのような評価を得ていくのか、今後の動きに注目です。

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 それにしても、今年のヨーロッパ映画賞は国際的にもよく知られている人ばかりが受賞したし、出席者も豪華だったし、とっても華やかでしたね!(↓↓↓)

 *当ブログ記事

 ・ヨーロッパ映画賞2011 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_1.html

 ・ヨーロッパ映画賞2010 ピープルズ・チョイス賞 投票スタート!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_3.html
 ・ヨーロッパ映画賞2010 長編アニメーション賞ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_35.html
 ・ヨーロッパ映画賞2010 ロングリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_17.html
 ・ヨーロッパ映画賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_9.html
 ・ヨーロッパ映画賞2010受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_8.html

 ・ヨーロッパ映画賞2009 ノミネーション対象作品48作品発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200909/article_6.html
 ・ヨーロッパ映画賞2009 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_11.html
 ・ヨーロッパ映画賞2009受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_19.html

 ・ヨーロッパ映画賞2008 ノミネート対象作品44作品発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200809/article_7.html
 ・ヨーロッパ映画賞2008 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_4.html
 ・ヨーロッパ映画賞2008 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_12.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

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