国際ドキュメンタリー協会賞 IDAアワード2011 発表!

 国際ドキュメンタリー協会(International Documentary Association /IDA)が贈る第27回IDAアワードの結果が発表されました。(12月2日)

 ◆長編ドキュメンタリー賞(Best Feature Award)
 ・“Better This World”(米) 監督:Katie Galloway、Kelly Duane de la Vega
 ・“How to Die in Oregon”(米) 監督:Peter D. Richardson
 ◎『光、ノスタルジア』“Nostalgia for the Light”(仏・独・チリ) 監督:パトリシオ・グスマン(Patricio Guzmán)
 ・“The Redemption of General Butt Naked”(米・グルジア・リベリア) 監督:Eric Strauss、Daniele Anastasion
 ・“The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”(メキシコ) 監督:Tatiana Huezo

 『光、ノスタルジア』“Nostalgia for the Light”(仏・独・チリ) 監督:パトリシオ・グスマン(Patricio Guzmán)
 物語:チリのアタカマ砂漠。天文学者が、生命の起源に関わる答を求めて、宇宙をじっと凝視している。その近くでは、女性たちのグループがピノチェト時代に殺された愛する者たちの遺体を求めて、砂をふるいにかけている……。
 『光、ノスタルジア』は、カンヌ国際映画祭2010特別上映作品。トロント国際映画祭2010 MASRERS部門出品。ピープルズ・チョイス賞ドキュメンタリー部門次点。ヨーロッパ映画賞2010 ドキュメンタリー賞受賞。サンタバーバラ国際映画祭2011 スペイン/ラテン・アメリカ映画賞受賞。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011 山形市長賞(最優秀賞)受賞。

画像

 ◆短編ドキュメンタリー賞(Best Short Award)
 ・“Broken Doors”(米) 監督:Goro Toshima
 ・“Maya Deren’s Sink”(米) 監督:バーバラ・ハマー
 ・“Minka”(民家)(米・日) 監督:Davina Pardo
 ◎“Poster Girl”(米) 監督:Sara Nesson
 ・“The Warriors of Qiugang(仇崗勇士)”(米) 監督:Ruby Yang

 “Poster Girl”(米) 監督:Sara Nesson
 物語:ロビン・マーレイ(Robynn Murray)は、オール・アメリカン・ハイスクールのチアリーダーだったが、“Army Magazine”の表紙に起用されて、闘う女たちの「ポスターガール」となる。今、彼女は、イラクから帰還し、PTSDと闘っている。鋼のような外見にはひびが入り、人生の再建に挑んでいる。
 “Poster Girl”は、米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー賞ノミネート。

画像

 ◆ドキュメンタリー・シリーズ賞 限定シリーズ部門(Best Limited Series Award)
 ◎“Boomtown”(米) 監督:Rachel Libert
 ・“If God is Willing and Da Creek Don’t Rise”(米) 監督:スパイク・リー
 ・“Michael Feinstein’s American Songbook”(米) 監督:Amber Edwards
 ・“The National Parks Project”(カナダ) 監督:Brenda Kovrig、Mike Downie、David New、Sarah Goodman、Jeff Thrasher、Sean Michael Turrell、Ryan J. Noth、Geoff Morrison
 ・“On Series”(米) 監督:Tom Barbor-Might、Jon Brooks、Neil Edson

 ◆ドキュメンタリー・シリーズ賞 継続シリーズ部門(Best Continuing Series Award)
 ・“30 for 30”(米)
 ・“American Experience”(米)
 ・“The Passionate Eye”(カナダ)
 ◎“POV”(米)
 ・“Vanguard”(米)

 2009年は“POV”が受賞し、2010年は“30 for 30”が受賞しています。

 ◆学生作品部門賞(David L. Wolper Student Documentary Award)
 ◎“Guañape Sur”(伊・ペルー) 監督:János Richter
 ・“Heart-Quake”(伊・セルビア) 監督:Mark Olexa
 ・“River of Victory”(米・カンボジア) 監督:Trevor Wright
 ・“Smoke Songs”(米) 監督:Briar March
 ・“Transit”(シンガポール) 監督:Regina Tan

 “Guañape Sur”(伊・ペルー) 監督:János Richter
 ペルーにある不毛な孤島。そこは、住人はわずかだが、数千もの海鳥が住み着いて、繁殖を繰り返している。そこに、11年に一度、何百人もの人々がやってきて、鳥のフンを回収する。というのも、そのフンは、貴重な肥料になるからだった。
 シルバードックス・ドキュメンタリー映画祭2011 グランプリ(Sterling Award)受賞。サンセバスチャン国際映画祭2011 International Film School Meeting Award第2席。

画像

 ◆ヒューマニタス賞(IDA Humanitas Award)
 文化や人種、ライフスタイル、政治的信条、宗教的信念は違っていても、人類としてまったく変わりはないということを探求しているようなドキュメンタリー作品に贈られる。
 ・“The Carrier”(米・ザンビア) 監督:Maggie Betts
 ・“How to Die in Oregon”(米) 監督:Peter D. Richardson
 ・“The Learning”(米) 監督:ラモーナ・S・ディアス(Ramon S. Diaz)
 ◎『星空の下で』“Position Among the Stars (Stand van de Sterren)”(オランダ・インドネシア) 監督:レナート・レーテル・ヘルムリッヒ(Leonard Retel Helmrich)
 ・“The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”(メキシコ) 監督:Tatiana Huezo

 『星空の下で』“Position Among The Stars(Stand van de Sterren)”(オランダ・インドネシア) 監督:レナート・レーテル・ヘルムリッヒ(Leonard Retel Helmrich)
 「インドネシアの貧民地区に暮らす家族を12年間追い続けた三部作の完結編。両親を亡くし叔父一家と暮らす孫娘を訪ねて田舎から出てきた祖母を中心に、定職がなく闘魚に興ずる叔父とそれを嘆く妻との夫婦喧嘩、反抗期を迎えた孫娘の大学進学問題などがテンポよく映し出される。宗教間の衝突や貧富の格差、世代間の意識のずれを巧みに折り込みながら、家族を想う庶民の日常を、疾走するカメラワークでドラマチックかつユーモラスに描いた作品。」(YIFF)
 シルバードックス・ドキュメンタリー映画祭2011 ワールド部門審査員スペシャル・メンション受賞。
 山形国際ドキュメンタリー映画祭2011インターナショナル・コンペティション部門出品。

画像

 ◆ABCニュース ビデオソース賞(ABC News Videosource Award)
 ドキュメンタリーに不可欠な要素としてニュース・フッテージがあるが、その用法がもっとも優れた作品にこの賞が贈られる。
 ・“The Green Wave”(独) 監督:Ali Samadi Ahadi
 ・“Michael Feinstein's American Songbook- ep. 2 ‘Best Band in the Land’”(米) 監督:Amber Edwards
 ・“POV- The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers””(米) 監督:Judith Ehrlich、Rick Goldsmith
 ◎“The Pruitt-Igoe Myth”(米) 監督:Chad Freidrichs
 ・“Reagan”(米・英) 監督:Eugene Jarecki

 “The Pruitt-Igoe Myth”(米) 監督:Chad Freidrichs
 プルーイット・アイゴーは、ミズーリ州セントルイスにあった住宅団地で、1951年にスラムを取り壊し、日系アメリカ人建築家ミノル・ヤマサキにより改良住宅として設計され、1954年にオープン、1956年に完成した。しかし、その後、団地自体がスラム化し、犯罪の温床となるなど環境が悪化、入居者も激減して、1972年に爆破解体された。今では、建築家や政治家、計画立案者たちの間で、戦後のアメリカにおける住宅計画の失敗の象徴のようにみなされている。本作では、アメリカの公共住宅の衰退を招いた政治的、経済的、立法的問題を探っていく。次に都市が変わるために、プルーイット・アイゴーを忘れるな。

画像

 【名誉賞・特別賞】

 ◆Pare Lorentz Award
 1930~40年代に活躍したドキュメンタリー作家Pare Lorentz(1905~1992)にちなんだドキュメンタリー賞。自然環境の適切な利用やすべての者に対する公平、急を要する社会問題にスポットライトを当てることなど、模範的な映画制作を行なっている作品に贈られる。

 ◎“The Last Mountain”(米) 監督:Bill Haney
 石炭の鉱山会社と小さなコミュニティーが、アパラチアの最後の大鉱山を巡って闘う。未来のエレルギー資源のために。

画像

 ◆Jacqueline Donnet Award(新人監督賞)
 ◎Danfung Dennis

 Danfung Dennis “Hell and Back Again”(英・米)
 2009年のアフガン行きから帰郷して、米国内でリハビリを果たすまでが、1人の海兵隊員の目を通して描かれる。我々は、現在の“見境のない”戦争が、実際に戦争に参加している兵士たちにどんな影響を及ぼすのかを目撃することになる。
 サンダンス映画祭2011審査員グランプリ受賞。

画像

 ◆生涯貢献賞(Career Achievement Award)
 ◎Les Blank
 Les Blankは、1984年の“In Heaven There Is No Beer?”(サンダンス映画祭特別審査員賞&メルボルン国際映画祭グランプリ)や1982年の“Burden of Dreams”(BAFTAフラハティー賞)などで知られるドキュメンタリー作家。.

 【技術部門賞】(Creative Recognition Awards)

 ◆撮影賞(Best Cinematography)
 ◎マッシモ・D・アーノルフィ(Massimo D'Anolfi) “Il Castello”(監督:マッシモ・D・アーノルフィ 、Martina Parenti)

 ◆編集賞(Best Editing)
 ◎クリス・キング(Chris King)、Gregers Sall 『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』(監督:アシフ・カパディア)

 クリス・キングは『ヤング@ハート』などを手がける映画編集者。

 ◆音楽賞(Best Music)
 ◎Paul Brill “Better This World”(監督:Katie Galloway、Kelly Duane de la Vega)

--------------------------------

 ノミネーションの記事で紹介した日本/日本人がらみの2作品“Broken Doors”と“Minka”、および、日本でもよく知られているスパイク・リーやバーバラ・ハマーの作品は受賞なりませんでした。

 一方、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011に出品されていた作品が2本ノミネートされていましたが、それらは2本とも受賞することができました。ま、山形以前に評価を得ていた作品ではありましたが。

 IDAアワードは、映画賞シーズンに発表される映画賞ですが、Jacqueline Donnet Awardを受賞したDanfung Dennisを除けば、今年は米国アカデミー賞2012にからんでくるような作品は1本もありませんでした。これも、映画賞の方向性・指向性、および対象作品の違いから来るものでしょうか。

 山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された2作品に関しては、いずれ特集上映などで東京の映画館でも観られたりするのではないでしょうか。

 *この記事が参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・IDAアワード2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_9.html
 ・IDAアワード2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_27.html
 ・IDAアワード2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_7.html
 ・IDAアワード2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_24.html
 ・IDAアワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_10.html

 ・米国アカデミー賞2012長編ドキュメンタリー賞候補ショート・リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_18.html
 ・米国アカデミー賞2012短編ドキュメンタリー賞候補ショート・リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_11.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック