アジア太平洋映画賞2011 発表!

 第5回アジア太平洋映画賞(4th Annual Asia Pacific Screen Awards)の受賞結果が発表になりました。(11月24日)

 【アジア太平洋映画賞(4th Annual Asia Pacific Screen Awards)】

 アジア太平洋映画賞といっても、世界各地で開催される様々な映画祭・映画賞の1つに過ぎませんが、スポンサーにユネスコとCNNと国際映画製作者連盟がついているというのがユニークで、そんな映画賞がなぜかオーストラリアのクイーンズランドを拠点として開催されています(音頭取りをしているのが、クイーンズランドだからなんですが)。

 アジア太平洋映画賞は、2007年ニスタートしていて、中東までを含めたアジア全域と、オセアニアの映画の振興を目的とする賞で、対象国は70カ国にも及んでいます。
 スケールや認知度・注目度は格段に違いますが、おそらくヨーロッパ映画賞を意識はしていて、アジア太平洋地域におけるヨーロッパ映画賞のような映画賞を目指しているのだろうと思われます。

 今年は、10月10日にノミネーションが発表され、11月24日に授賞式が行なわれました。

画像

--------------------------------

 ◆作品賞(Best Feature)
 ◎『別離』“A Separation”(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 ・“Let the Bullets Fly(譲子弾飛)”(中・香港) 監督:チアン・ウェン
 ・『グッドバイ』“Goodbye”(イラン) 監督:モハマド・ラスロフ(Mohammad Rasoulof)
 ○“Once Upon a Time in Anatolia”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 ・“Wedding Planners”(インド) 監督:Maneesh Sharma

画像

 ◆監督賞(Achievement in Directing)
 ・アスガー・ファルハディ 『別離』“A Separation”(イラン)
 ◎ヌリ・ビルゲ・ジェイラン “Once Upon a Time in Anatolia”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ)
 ・モハマド・ラスロフ(Mohammad Rasoulof) 『グッドバイ』“Goodbye”(イラン)
 ・チアン・ウェン “Let the Bullets Fly(譲子弾飛)”(中・香港)
 ・ナ・ホンジン 『哀しき獣』“The Yellow Sea”(韓)
 ○アンドレイ・ズビャギンツェフ “Elena”(ロシア)

 ノミネートは5人だったはずですが、なぜかアンドレイ・ズビャギンツェフに特別賞が贈られています。

 ◆男優賞(Best Performance by an Actor)
 ・Peyman Moadi 『別離』“A Separation”(イラン)
 ◎ワン・バオキアン(Wang Baoqiang) 『ミスター・ツリー』“Mr Tree(Hello!樹先生)”(中)(監督:ハン・ジェ)
 ・サッソン・ギャベ(Sasson Gabay) “Restoration”(イスラエル)(監督:Yossi Madmoni)
 ・Fa’afiaula Sagote “The Orator(O le tulafale)”(ニュージーランド・サモア) (監督:Tusi Tamasese)
 ・Daniel Connors “Toomelah”(オーストラリア) (監督:Ivan Sen)

 ◆女優賞(Best Performance by an Actress)
 ・ジュディー・デイヴィス “The Eye of the Storm”(オーストラリア) (監督:フレッド・スケピシ)
 ・Nahed El Sebai “Cairo 678”(エジプト) (監督:Mohamed Diab)
 ◎Nadezhda Markina “Elena”(ロシア)
 ・シャイヤステ・イラニ(Shayesteh Irani) “Facing Mirrors”(イラン) (監督:Negar Azarbayjani)
 ・Leyla Zareh 『グッドバイ』“Goodbye”(イラン)

画像

 ◆脚本賞(Best Screenplay)
 ・ユン・ソンヒョン(Yoon Sung-hyun) 『Bleak Night』“Bleak Night”(韓) (監督:ユン・ソンヒョン(Sung-Hyun Yoon))
 ◎Denis Osokin “Silent Souls”(ロシア) (監督:Aleksei Fedorchenko)
 ・アレクセイ・バラバノフ “A Stoker”(ロシア) (監督:アレクセイ・バラバノフ)
 ・アスガー・ファルハディ 『別離』“A Separation”(イラン)
 ・エルジャン・ケサル(Ercan Kesal)、エブル・ジェイラン(Ebru Ceylan)、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン “Once Upon a Time in Anatolia”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ)

画像

 ◆撮影賞(Achievement in Cinematography)
 ・Vladimir Bashta “Brest Fortress”(ロシア) (監督:アレクサンドル・コット(Aleksandr Kott))
 ・ユーリー・クリメンコ(Yuri Klimenko) “The Edge”(ロシア) (監督:アレクセイ・ウチーチェリ(Aleksei Uchitel))
 ・リー・ピンビン 『ノルウェイの森』(日) (監督:トラン・アン・ユン)
 ・Sonthar Gyal 『オールド・ドッグ』“Old Dog”(中・チベット)(監督:ペマツェダン)
 ◎ギョクハン・ティリィヤキ(Gökhan Tiryaki) “Once Upon a Time in Anatolia”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ)

画像

 ◆児童映画賞(Best Children’s Feature)
 ・『僕は11歳』“11 Flowers(我十一)”(中・仏) 監督:ワン・シャオシュアイ
 ◎“Buta”(アゼルバイジャン) 監督:Ilgar Najaf
 ・“The Flood(Mabul)”(イスラエル・仏・独・カナダ) 監督:Guy Nattiv
 ・『4枚目の似顔絵』“The Fourth Portrait”(台湾) 監督:チョン・モンホン
 ・“Red Dog”(オーストラリア) 監督:Kriv Stenders
 ○“Wind and Fog”(イラン) 監督:モハマド・アリ・タレビ

画像

 ◆長編ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature)
 ・『アミン』“Amin”(イラン・韓・カナダ・ウクライナ) 監督:シャヒーン・パルハミ(Shahin Parhami)
 ・“Bakhmaro”(グルジア・独) 監督:Salomé Jashi
 ◎『タリバンの売られた娘』“I Was Worth 50 Sheep”(スウェーデン・日・米) 監督:ニマ・サルベスタニ(Nima Sarvestani)
 ・“Marathon Boy”(インド・英) 監督:Gemma Atwal
 ○“Pink Saris”(インド・英) 監督:キム・ロンジノット

 『タリバンの売られた娘』は、NHK「シリーズ 明日をひらく女たち」で放映された作品。

画像

 ◆長編アニメーション賞(Best Animated Feature)
 ・『星を追う子ども』“Children Who Chase Lost Voices From Deep Below”(日) 監督:新海誠
 ◎“Leafie”(韓) 監督:Seong-yun Oh
 ・“RPG Metanoia”(フィリピン) 監督:Luis C. Suarez
 ・『TATSUMI』“Tatsumi”(シンガポール) 監督:エリック・クー
 ・“The Ugly Duckling”(ロシア) 監督:ガリ・バルディン

画像

 ※ ◎印は最優秀賞、○印は特別賞(High Commendation)です。

 ◆FIAPF賞
 ◎チャン・イーモウ

 ◆ユニセフ賞
 ◎“Toomelah”(オーストラリア) (監督:Ivan Sen)

画像

 ◆NETPAC助成賞(APSA NETPAC Development Prize)
 ◎Sheron Dayoc “Halaw (Ways of the Sea)”.(フィリピン)

 審査員:ナンサン・シー(香港のプロデューサー)、Cameron Bailey(トロント国際映画祭の共同ディレクター)、サミュエル・マオス、Ming Zhenjiang(中国のプロデューサー)、桃井かおり、Alan Finney(オーストラリアの映画人)

--------------------------------

 複数ノミネート作品は以下の通りです。

 ・“Once Upon a Time in Anatolia” (2/4):作品・監督・脚本・撮影
 ・『別離』“A Separation”(1/4):作品・監督・男優・脚本
 ・『グッドバイ』“Goodbye”(0/3):作品・監督・女優
 ・“Elena”(1/2):監督・女優
 ・“Let the Bullets Fly(譲子弾飛)”(0/2):作品・監督

 作品賞は『別離』“A Separation”が制しましたが、部門数的には“Once Upon a Time in Anatolia”が2部門+1を受賞して、総体的評価が高い作品であることを示しています。一方は、ベルリン国際映画祭の金熊賞+銀熊賞受賞作品で、もう一方はカンヌ国際映画祭のグランプリ受賞作品で、この2作品は、ともに米国アカデミー賞2012外国語映画賞にエントリーされています。2011年を代表するアジア映画ということになるでしょうか。

 例年だと何かしら日本作品/日本人が賞をもらったりするのですが、今年はノミネートも少なく、『タリバンの売られた娘』を除けば、受賞もありませんでした。もうちょっとノミネートされてもよさそうなものですが、そもそもエントリーしている日本作品が少ないのかもしれません。

 ノミネート作品が多すぎるので、ここでは以下に3本だけ紹介しておくにとどめておきますが、大半の作品は当ブログのどこかで何らかの形で触れているので、気になった作品があったら、ブログ内検索でチェックしてみてください。

 *この記事がなかなか参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事
 ・アジア太平洋映画賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_32.html
 ・アジア太平洋映画賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_6.html
 ・アジア太平洋映画賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_44.html
 ・アジア太平洋映画賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_7.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

--------------------------------

 ・『ナデルとシミン』“A Separation(Jodaeiye Nader az Simin)”(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 出演:Leila Hatami、Peyman Moadi、シャハブ・ホセイニ(Shahab Hosseini)、Sareh Bayat、Sa rina Farhadi、ババク・カリミ(Babak Karimi)、メリッラ・ザレイ(Merila Zarei)
 物語:シミンは、夫と娘とともにイランを出国する計画を立て、準備を進めていた。しかし、夫のナデルには、別の考えがあった。というのも、彼の父親はアルツハイマー病を患っており、父を置いて、出国することはできなかったからだ。ナデルが出国を取り消したが、シミンはなおも出国を望んだので、離婚の協議が行なわれることになる。しかし、認められず、シミンはナデルと暮らすことを拒絶して実家に帰る。父の世話をすることになったナデルは、ラジーという名の女性を雇い入れる。彼女は妊娠していたが、それをナデルには明かさなかった。ある日、ナデルが家に帰ると、父が独りぼっちで、しかもしばりつけられているのを発見する。ナデルは、ラジーに怒りを爆発させるが、それは彼の人生を崩壊させ、娘に幻滅を味わわせることにもなるのだった……。
 ベルリン国際映画祭2011 コンペティション部門出品。金熊賞、銀熊賞(女優賞:女性キャスト・アンサンブル)、銀熊賞(男優賞:男性キャスト・アンサンブル)、エキュメニカル審査員賞受賞。
 米国アカデミー賞2012外国語映画賞 イラン代表。


 ・“Once upon a Time in Anatolia (Bir Zamanlar Anadolu'da)”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 出演:Muhammet Uzuner、Yilmaz Erdogan、Taner Birsel、Ahmet Mümtaz Taylan、Firat Tanis、Ercan Kesal
 物語:小さな町での生活は、草原地帯の只中を旅することに似ている。丘を越えれば「今までにない斬新な何かが現れるかもしれない。けれども、結局、先細りするか永遠に続くかわからない、単調で寸分たがわぬ道が続くだけなのだ……。
 カンヌ国際映画祭2011 コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 米国アカデミー賞2012外国語映画賞 トルコ代表。


 ・“Toomelah”(オーストラリア)  監督:Ivan Sen
 出演:Daniel Conners、Christopher Edwards、Michael Conners
 物語:人里離れたアボリジニのコミュニティで、10才のダニエルは「ギャング」になることを夢見ている。彼にとってはギャングこそが男の模範だった。彼は、ギャングになるべく、授業をさぼり、喧嘩をふっかけ、地元ギャングのボスで麻薬ディーラーでもあるリンデンの使い走りをしていた。ダニエルは、目標のギャングになりつつあった。しかし、服役していた敵対ギャングのディーラーが出所し、暴力的な抗争が始まって、すべてが変わる。リンデンとその手下は刑務所行きとなり、ダニエルは、突然ひとりぼっちになってしまう。
 カンヌ国際映画祭2011 ある視点部門出品。

画像

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック