ペルーでは靴磨きの少年もラップトップを持つ! #『LIFE IN A DAY』

 You Tubeで動画の募集をして、「全世界のいま」を映し出すようないろんな動画が欲しいと考えても、現状では、どうしたって、カメラやAV機材、インターネット環境などに恵まれたある一定以上の生活水準の人からしか応募がないのではないか(=偏った動画ばかりになってしまうのではないか)、という懸念が生まれるのは当然だろうと思います。

 これまで当ブログで紹介してきたように、ドバイのインド人の庭師を写してるのはイギリス人監督だったし、バリで家政婦をしているインド人女性を写しているのはインドネシア人監督でしたが、こんな風に、誰か撮ってくれる人がいれば、そうした撮る手段を持たない人の生活も動画で撮れて、よりバラエティーに富んだ動画を集めることができますが、それには、どうしたって限界があります。

 『LIFE IN A DAY』の制作チームもそう考えたようで、そのための対策として、発展途上国にビデオ・カメラの貸し出しを行なって、それで応募してくれるよう段取りを整えたらしいという話が伝えられています。

 「らしい」とか「話が伝えられています」とか書くのは、この話が公式サイトには一切書かれておらず、いくつかのインタビューから漏れ聞こえてくるに過ぎないことだからです(応募に関して、別ルートがあったなんていうことを知ると、おそらく、ちょっとフェアじゃない気もして、不快に感じる人もいるだろうと考えて、おおっぴらに公表していないのだろうと思われます。)

 一説には、貸し出したビデオ・カメラは、400台とも500台とも言われますが、はっきりしたことはわかっていません。しかし、ただカメラを貸しただけで、どんな目的で、何をどうすればいいのかということについてまでは、説明が行き届いていなかったため、結果的にこのルートでの募集は「失敗に終わってしまった」、少なくとも「もっとうまくやれたはずだ」、ということになっているそうです。

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 さて、そんな、ことの是非はともかく、そうしたビデオ・カメラのうち、10台がペルーに送られたようです。

 『LIFE IN A DAY』でサンダンス映画祭プレミア上映に招待された「共同監督」の12組目は、ペルーのアルベルト・ゴンザレス・ラミロ・ベナディデス(Alberto Ramiro Gonzalez Benavides)ですが、彼によると、ペルーでは、教育省が『LIFE IN A DAY』プロジェクト協力することになり、このプロジェクトのために最初に10組を選んだ(つまり彼はその中の1組に選ばれた)と話しています。

 彼が、発案して、10組のうちの1つに選ばれることになった題材は、「靴みがきをしている少年カイン・アベルの人生を描くこと」で、彼は、厳しいながらもカイン・アベルは愛情を受けて生きていて、同じような環境にある子供たちが、辛くても、楽しく生きようとしていることを伝えたかった、と語っています。

画像

 彼が『LIFE IN A DAY』のために、You Tubeにアップロードした動画は、現在は、You Tube上では観られなくなっているので、その動画は、是非、本編でご覧ください。

 「厳しい環境の中で子供たちが健気に生きる姿を描く」というのは、いかにもありがちで、ステレオタイプそのものじゃないかという気がしてしまいますが、そんな靴磨きをしないと生きていけないような少年が、「子供1人にラップトップ1台」政策のおかげで、ラップトップを手に入れていて、「Wikipediaは図書館みたいで面白い」と言ったりするのは、現実の方がやすやすと想像を超えていった瞬間で、自分の安直な思い込みを恥じるとともに、こういうことがあるからドキュメンタリーは面白いのだと思わせてくれます。

 サンダンス映画祭での公式インタビュー(Experience Sundance: Meet the Filmmakers #12)



 監督のアルベルト・ゴンザレス・ラミロ・ベナディデスは、カイン・アベルの学校の先生らしく、映画に関するキャリアは一切ありません。(facebookやLinkedInがありますが、中身は空っぽです。)

 彼は、この映画がいい機会になって、この映画を実際には観たりできないわれわれの現実に興味を持ってもらうことができたらと語っています。

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 *当ブログ記事

 ・『LIFE IN A DAY』ファイナル・カットに採用された全監督リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201107/article_7.html
 ・『LIFE IN A DAY』でサンダンス映画祭プレミア上映に招待された監督たちのリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201107/article_8.html

 
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