パームスプリングス国際映画祭2011 受賞結果!

 パームスプリングス国際映画祭は、日本ではさほど知られていないと思いますが、アメリカ国内で開催される映画祭としては、トップ・クラスの重要な映画祭の1つで、一昨年はここで『おくりびと』が観客賞を受賞してもいて、それがアカデミー賞受賞へのはずみにもなったとも考えられます。

 この映画祭の面白いところは、新作映画を上映して優秀作品を表彰するいわゆる普通の映画祭の部分と、全米映画賞レースの真っ只中に開催される映画賞として、昨年活躍した映画人を表彰する「映画賞」という部分を持っている、つまり、映画祭と映画賞の2つの側面を持っている映画祭だということです。

 「映画祭」の部分で上映される映画には、昨年の国際映画祭サーキットをまわって受賞歴を重ねてきた話題作が多く、実質的に、「米国アカデミー賞外国語映画賞の前哨戦」(+ドキュメンタリー賞部門の前哨戦)になっています。

 一方、「映画賞」の部分は、Black Tie Awards Galaと呼ばれ、受賞内容は事前に発表されるのですが、この部門は、米国アカデミー賞のキャスト部門と監督賞部門、および、作曲賞部門などの前哨戦の1つになっています。
 Black Tie Awards Galaの授賞式は、映画祭の前半、今年は1月8日に行なわれました。

 今年の第22回パームスプリングス国際映画祭(1月6日~17日)のBlack Tie Awards Galaの受賞者は以下の通りです。(賞自体は毎年すべての賞が発表されるわけではありません。)

 ◎ブレイクスルー女優賞(Breakthrough Performance Award,Actress):キャリー・マリガン

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 ◎ライジング・スター賞(The Rising Star Award):ジェニファー・ローレンス

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 ◎デザート・パームビーチ貢献賞男優賞(Desert Palm Achievement Award, Actor):コリン・ファース
 ※この部門は、いわゆる主演男優賞にあたり、2009年はショーン・ペン(『ミルク』)、2010年はジェフ・ブリッジス(『クレイジー・ハート』)が受賞しています。

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 ◎デザート・パームビーチ貢献賞女優賞(Desert Palm Achievement Award, Actress):ナタリー・ポートマン
 ※2009年はアン・ハサウェイ(『レイチェルの結婚』)、2010年はマリオン・コティヤール(『NINE』)が受賞しています。

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 ◎生涯貢献賞男優賞(Career Achievement Award, Actor):ロバート・デュバル

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 ◎インディー・インパクト賞(Variety’s Indie Impact Award):マーク・ウォールバーグ

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 ◎インターナショナル・スター賞(International Star Award):ハヴィエル・バルデム

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 ◎アンサンブル・パフォーマンス賞:『ソーシャル・ネットワーク』

 ◎アイコン賞(Icon Award):マイケル・ダグラス

 ◎フレデリック・ロー賞作曲賞(Frederick Loewe Award for Film Composing):ダイアン・ウォーレン(Diane Warren)

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 ◎委員長賞(2011 Chairman’s Award):ベン・アフレック

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 ◎ソニー・ボノ ヴィジョナリー賞(2011 Sonny Bono Visionary Award):ダニー・ボイル
 ※ソニー・ボノはパームスプリングス国際映画祭の設立者の名前です。

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 ◎ディレクター・オブ・ザ・イヤー(Director of the Year Award):デイヴィッド・O・ラッセル
 ※ヴィジョナリー賞とディレクターズ・オブ・ザ・イヤーは、監督賞に当たり、2009年のヴィジョナリー賞はガス・ヴァン・サント(『ミルク』)、2010年のヴィジョナリー賞はジェイソン・ライトマン(『マイレージ、マイライフ』)、2010年のディレクターズ・オブ・ザ・イヤーはクエンティン・タランティーノ(『イングロリアス・バスターズ』)が受賞しています。

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 映画祭のメイン・プログラムの各賞の結果は、以下の通りです。

 ◎観客賞作品賞(Mercedes-Benz Audience Award for Best Narrative Feature):“The Whistleblower”(米・カナダ) 監督:Larysa Kondracki

 ◎観客賞作品賞 次点:以下、英題アルファベット順
 ・『唐山大地震』(中) 監督:フォン・シャオガン
 ・“Goethe”(独) 監督:Philipp Stölzl
 ・“The Hedgehog(Le hérisson)”(仏) 監督:Mona Achache
 ・『紙の鳥』“Paper Birds”(西) 監督:エミリオ・アラゴン
 ・“Simple Simon(I rymden finns inga känslor)”(スウェーデン) 監督:Andreas Öhman

 ◎観客賞ドキュメンタリー部門(Audience Award for Best Documentary Feature):“Louder Than a Bomb”(米) 監督:Greg Jacobs、Jon Siskel

 ◎観客賞ドキュメンタリー部門 次点:以下、英題アルファベット順
 ・“Bill Cunningham New York”(米) 監督:Richard Press
 ・“Jane’s Journey”(独) 監督:Lorenz Knauer
 ・“A Not So Still Life”(米) 監督:Karen Stanton
 ・『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』“Waste Land”(ブラジル・英) 監督: ルーシー・ウォーカー
 ・“Wild Horse, Wild Ride”(米) 監督:Alex Dawson、Greg Gricus

 ◎国際批評家連盟賞 年間最優秀外国語映画(FIPRESCI Award for Best Foreign Language Film of the Year):『神々と男たち』(仏) 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ

 ◎国際批評家連盟賞 男優賞:Lars Rosing “Nuummioq”(グリーンランド) 監督:Otto Rosing、Torben Bech

 ◎国際批評家連盟賞 女優賞:Anne Coesens “Illégal (Illegal)”(ベルギー・ルクセンブルク・仏) 監督:Olivier Masset-Depasse

 ◎境界の架け橋賞(Bridging the Borders Award):“También la lluvia (Even the Rain)”(西・仏・メキシコ) 監督:イシアル・ボリャン(Icíar Bollaín)

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 ◎ニュー・ボイス/ニュー・ヴィジョン賞(New Voices/New Visions Award):“Smukke Mennesker (Nothing’s All Bad)”(デンマーク) 監督:Mikkel Much-Fals

 ◎ニュー・ボイス賞スペシャル・メンション:“Sound of Noise”(スウェーデン・仏) 監督:Ola Simonsson、Johannes Stjärne Nilsson

 ◎ニュー・ボイス賞スペシャル・メンション:『40』“40”(トルコ・米) 監督:エムレ・シャーヒン(Emre Sahin)

 ◎ジョン・シュレシンジャー賞/第1回作品賞(John Schlesinger Award for Outstanding First Documentary):『夏の草原』“Summer Pasture”(中・米) 監督:リン・トゥルー、ネルソン・ ウォーカー

 見てわかるように、米国アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされているような作品ばかりが上映されてコンペティションが行なわれていて、その中で、『神々と男たち』が「年間最優秀外国語映画」に選ばれています。
 なので、本来ならここで、『神々と男たち』が米国アカデミー賞外国語映画賞最有力といきたいところだったのですが、既に発表されている通り、『神々と男たち』は米国アカデミー賞外国語映画賞ノミネーションから漏れてしまいました。
 ま、これが米国アカデミー賞外国語映画賞のチョイスはよくわからないと言われるゆえんでもあるのですが……。

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 以下に、受賞作品を簡単に紹介しておきます。

 ・“The Whistleblower”(米・カナダ) 監督:Larysa Kondracki
 出演:レイチェル・ワイズ、モニカ・ベルッチ、デイヴィッド・ストラザーン、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、リアム・カニンガム
 物語:Kathryn Bolkovacの実際に体験を映画化したもの。ネブラスカの警官キャサリンは、紛争後のボスニアの平和維持軍に参加することになるが、セックス・スキャンダルが起こって、国連軍から追放されてしまう……。


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 ・“Louder Than a Bomb”(米) 監督:Greg Jacobs、Jon Siskel
 出演:Kevin Coval、Adam Gottlieb、Elizabeth Graf、Kevin Harris、John Hood
 物語:4人のシカゴの高校生のポエトリー・リディーング・チームが、世界最大のユース・スラムに向けて準備を進めていくが、事態は二転三転し、期待と絶望を繰り返し味わうことになる……。

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 •“Nuummioq”(グリーンランド) 監督:Otto Rosing、Torben Bech
 出演:Lars Rosing、Angunnguaq Larsen、Julie Berthelsen、Morten Rose、Makka Kleist、Mariu Olsen
 物語:グリーンランドを旅することで、過去のことは忘れて、新たな人生を切り開こうとする青年の物語。
 サンダンス映画祭2010 出品。
 米国アカデミー賞2011 外国映画賞 グリーンランド代表。

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 ・“Illegal”(ベルギー・ルクセンブルグ・仏) 監督:Olivier Masset-Depasse
 出演:Anne Coesens、Alexandre Golntcharov
 物語:タニア(39歳)は、息子のイワンとともに、ベルギーに住んでいる。彼らはロシア系移民だが、身分証明書を持っていない不法滞在者で、滞在8年目にして、ついに移民警察に見つかってしまう。イワンは逃げおおせたものの、タニアはつかまって拘置所に入れられる。彼女は、拘置所が地獄のような場所だと知って、さらなるショックを受けるのだった……。
 監督のOlivier Masset-Depasseは、短編“Chambre froide”(2000)が高く評価され、トロント、ドレスデン、ナミュール、メルボルン、ヴァレンシアなどの映画祭で賞を受賞しています。
 カンヌ国際映画祭2010 監督週間出品。Prix SACD/SACD Prize(Société des auteurs et compositeurs dramatiques:最優秀長編フランス語映画賞)受賞。
 米国アカデミー賞2011外国語映画賞 ベルギー代表。
 エルサレム映画祭2010 スピリット・オブ・フリーダム賞受賞。
 アカデミー賞2011 外国語映画賞 ベルギー代表。
 リュミエール賞2011 フランス語外国語映画賞ノミネート。
 セザール賞2011 外国語映画賞ノミネート。


 ・“También la lluvia(Even the Rain)”(西・仏・メキシコ) 監督:イシアル・ボリャン(Icíar Bollaín)
 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル
 物語:映画監督のセバスチャンは、スペインのアメリカ征服に関する映画を撮ろうとしてボリビアに向かうが、ちょうどその時期はコチャバンバの水戦争の時期だった。物語が進むにつれ、現在と過去、フィクションと映画の境目が曖昧になってくる……。
 イシアル・ボリャンは、東京国際女性映画祭2010で、『Take My Eyes』(2003)が上映されています。
 トロント国際映画祭2010 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 米国アカデミー賞2011 外国語映画賞 スペイン代表作品。
 ゴヤ賞2011-13部門ノミネート。


 ・“Smukke mennesker(Nothing's All Bad)”(デンマーク) 監督:Mikkel Munch-Fals
 物語:インゲボルグは、もう何事にも興味が持てず、若いヨナスは何事にも興味津々で、若い娘アンは体に傷を負い、年輩のドナルドは心に傷を負っていた。それぞれに愛を求める4人が出会い、よりよい人生を求めて、試行錯誤する……。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 Zabaltegi-New Directors(新人監督部門)出品。スペシャル・メンション受賞。
 デンマーク・アカデミー賞2011-6部門ノミネート。

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 ・“Sound of Noise”(スウェーデン・仏) 監督:Ola Simonsson、Johannes Stjärne Nilsson
 物語:アマデウス・ワーネブリングは、音楽一家の生まれだが、彼自身は、音楽が大嫌いで、音楽とは無縁の刑事という仕事に就いていた。ところが、あるグループが、街全体を楽器に見立てた“音楽テロ”を行なうことがわかり、否応なく、彼も音楽の世界に深入りすることになる。
 カンヌ国際映画祭2010 批評家週間出品。OFAJ (Very) Young Critics’ Award受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 オープン・アイズ部門出品。
 釜山国際映画祭2010 ワールド・シネマ部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2010 フリー・スピリット・コンペティション部門出品。フリー・スピリット賞、観客賞フィクション部門受賞。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2010 ニュー・ヴィジョンズ部門 スペシャル・メンション受賞。
 スウェーデン・アカデミー賞2011 最優秀貢献賞受賞。

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 ・『40』“40”(2009/トルコ) 監督:エムレ・シャーヒン(Emre Sahin)
 低級な犯罪者と野心的なナースとアフリカ人移民がお金と幸運と生きる希望を得ようとする姿を描いて、イスタンブール1200万人の人々の心をわしづかみにした作品。
 トロント国際映画祭2010 CITY TO CITY 部門出品。
 日本では、大阪ヨーロッパ映画祭2010で上映。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年12月~2011年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_48.html

 ・パームスプリングス国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_22.html
 ・パームスプリングス国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_32.html

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