詳細解説! 米国アカデミー賞2011 オリジナル歌曲賞候補41作品発表!

 米国アカデミー賞2011 オリジナル歌曲賞候補41作品が発表になりました。(12月15日)

 昨年が63曲、一昨年が49曲だったので、今年は候補作品がかなり少ないということになります。

 米国アカデミー賞2011 歌曲賞候補41作品は、以下の通りです。

画像

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 ・“Alice”-『アリス・イン・ワンダーランド』(監督:ティム・バートン)
 ・“Forever One Love”-“Black Tulip”(監督:Sonia Nassery Cole)
 ・“Freedom Song”-“Black Tulip”
 ・“Bound to You”-『バーレスク』
 ・“Welcome to Burlesque”-『バーレスク』(監督:スティーヴン・アンティン)
 ・“You Haven’t Seen the Last of Me”-『バーレスク』
 ・“There’s a Place for Us”-『ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島』(監督:マイケル・アプテッド)
 ・“Coming Home”-“Country Strong”(監督:Shana Feste)
 ・“Me and Tennessee”-“Country Strong”
 ・“Despicable Me”-『怪盗グルーの月泥棒』(監督:クリス・ルノー、ピエール・コフィン)
 ・“Prettiest Girls”-『怪盗グルーの月泥棒』
 ・“Dear Laughing Doubters”-“Dinner for Schmucks”(監督:ジェイ・ローチ)
 ・“Better Days”-『食べて、祈って、恋をして』(監督:ライアン・マーフィー)
 ・“If You Run”-“Going the Distance”(監督:Nanette Burstein)
 ・“Darkness before the Dawn”-“Holy Rollers”(監督:Kevin Asch)
 ・“Sticks & Stones”-『ヒックとドラゴン』(監督:クリス・サンダース、ディーン・デュボア)
 ・“Le Gris”-“Idiots and Angels”(監督:ビル・プリンプトン)
 ・“Chanson Illusionist”-『イリュージョニスト』(監督:シルヴァン・ショメ)
 ・“Never Say Never”-『ベスト・キッド』(監督:ハロルド・ズワルト)
 ・“To the Sky”-『ガフールの伝説』(監督:ザック・スナーダー)
 ・“What If”-“Letters to Juliet”(監督:Gary Winick)
 ・“Life during Wartime”-“Life during Wartime”(監督:トッド・ソロンズ)
 ・“Made in Dagenham”-“Made in Dagenham”(監督:ナイジェル・コール)
 ・“Little One”-『愛する人』(監督:ロドリゴ・ガルシア)
 ・“Be the One”-“The Next Three Days”(監督:ポール・ハギス)
 ・“If I Rise”-“127 Hours”(監督:ダニー・ボイル)
 ・“When You See Forever”-“The Perfect Game”(監督:William Dear)
 ・“I Remain”-『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』(監督:マイク・ニューウェル)
 ・“Dream Big”-“Pure Country 2: The Gift”(監督:Christopher Cain)
 ・“How I Love You”-“Ramona and Beezus”(監督:Elizabeth Allen)
 ・“Darling I Do”-『シュレック フォーエバー』(監督:マイク・ミッチェル)
 ・“Noka Oi”-“Six Days in Paradise”(監督:John Vidor)
 ・“This Is a Low”-“Tamara Drewe”(監督:スティーヴン・フリアーズ)
 ・“I See the Light”-『塔の上のラプンツェル』(監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ)
 ・“Rise”-“3 Billion and Counting”(監督:Dr. Rutledge)
 ・“We Belong Together”-『トイ・ストーリー3』(監督:リー・アンクリッチ)
 ・“Eclipse: All Yours”-『エクリプス/トワイライト・サーガ』(監督:デイヴィッド・スレイド)
 ・“Nothing" from”-“Tyler Perry’s Why Did I Get Married Too”(監督:テイラー・ペリー)
 ・“A Better Life”-“Unbeaten”(監督:Steven C. Barber)
 ・“Shine”-“Waiting for ‘Superman’”(監督:デイヴィス・グッゲンハイム)
 ・“The Reasons Why”-“Wretches & Jabberers”(監督:Gerardine Wurzburg)

 候補歌曲の条件は、歌または音楽で構成された歌曲で、映画のために作られたオリジナルであること、明瞭に聴き取れ、それだけで独立した歌詞とメロディーを有していること、映画の本編かエンドロールの1曲目に使われていること、です。

 今後のスケジュールは、2011年1月6日に、ロサンゼルスで、アカデミー会員音楽部門のメンバーに、該当部分のクリップの上映会があり、メンバーの投票によって、アカデミー賞ノミニーを決定します(当日上映に来られないメンバーのために同様の内容を収録したDVDも制作される)。

 ノミニーとなる条件は、8.25ポイント以上の投票を得られることで、8.25ポイント以上の曲が1つもない場合はノミネートなしとなり、8.25ポイント以上の曲が1つしかない場合は次点を加えてノミネーションを2曲とし、8.25ポイント以上が多数あった場合は最大5曲までがノミネートされます。

 同一作品からは2曲まで有効で、もし上位曲の中に同一作品から3曲入っていた場合は、次点の曲が繰り上げになります。

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 ノミネーション作品のうち-
 アニメーションが6作品:『怪盗グルーの月泥棒』、『ヒックとドラゴン』、『イリュージョニスト』、『シュレック フォーエバー』、『塔の上のラプンツェル』、『トイ・ストーリー3』
 ドキュメンタリーが4作品:“3 Billion and Counting”、“Unbeaten”、“Waiting for ‘Superman’”、“Wretches & Jabberers”
 あります。

 ノミネート数では、『バーレスク』が3曲、“Black Tulip”と“Country Strong”と『怪盗グルーの月泥棒』が2曲ずつということになっています。

 これまで発表された全米映画賞(のノミネーション)で歌曲賞部門があるのは、サテライト・アワード、ゴールデン・グローブ賞、そして、まだ記事にはしていませんが、放送映画批評家協会賞があります。

 ◆サテライト・アワード2010 ノミネーション
 ・“If I Rise”-“127 Hours”
 演奏:Dido & A・R・ラフマーン 作詞・作曲:Dido、Rollo Armstrong、A・R・ラフマーン
 ・“Alice”-『アリス・イン・ワンダーランド』
 歌:アヴリル・ラヴィーン 作詞・作曲:アヴリル・ラヴィーン
 ・“You Haven’t Seen The Last Of Me”-『バーレスク』
 歌:シェール 作詞・作曲:ダイアン・ウォーレン
 ・“Country Strong”-“Country Strong”
 歌:グウィネス・パルトロウ 作詞・作曲:Jennifer Hanson、Tony Martin、Mark Nesler
 ・“What Part Of Forever”-『エクリプス/トワイライト・サーガ』
 演奏:Cee-Lo Green 作詞・作曲:Cee-Lo Green、Oh Hush、Rob Kleiner
 ・“Eclipse(All Yours)”-『エクリプス/トワイライト・サーガ』
 演奏:Metric 作詞・作曲:Howard Shore、Emily Haines、Jimmy Shaw

 ◆ゴールデン・グローブ賞2011 ノミネーション
 ・“Bound To You”-『バーレスク』
 作曲:Samuel Dixon 作詞:クリスティーナ・アギレラ、Sia Furler
 ・“Coming Home”-“Country Strong”(監督:Shana Feste)
 作曲・作詞:Bob Dipiero、Tom Douglas、Hillary Lindsey、Troy Verges
 ・“I See The Light”-『塔の上のラプンツェル』(監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ)
 作曲:アラン・メンケン 作詞:グレン・スレーター(Glenn Slater)
 ・“There’s A Place For Us”-『ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島』
 作曲・作詞:キャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)、デイヴィッド・ホッジス(David Hodges)、Hillary Lindsey
 ・“You Haven’t Seen The Last Of Me”-『バーレスク』
 作曲・作詞:ダイアン・ウォーレン(Diane Warren)

 ◆放送映画批評家協会賞2011 ノミネーション
 ・“I See the Light”-『塔の上のラプンツェル』(監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ)
 パフォーマンス:マンディー・ムーア & ザカリー・レヴィー(Zachary Levi) 作曲・作詞:アラン・メンケン& Glenn Slater
 ・“If I Rise”-“127 Hours”
 演奏:Dido & A・R・ラフマーン 作詞・作曲:Dido、Rollo Armstrong、A・R・ラフマーン
 ・“Shine”-“Waiting for ‘Superman’”(監督:デイヴィス・グッゲンハイム)
 作曲・作詞・演奏:John Legend
 ・“We Belong Together”-『トイ・ストーリー3』(監督:リー・アンクリッチ)
 作曲・作詞・演奏:ランディー・ニューマン
 ・“You Haven’t Seen The Last Of Me”-『バーレスク』
 歌:シェール 作詞・作曲:ダイアン・ウォーレン

 3つの賞に揃ってノミネートされているのは、“You Haven’t Seen The Last Of Me”のみで
 サテライト・アワードと放送映画批評家協会賞にノミネートされているのが“If I Rise”
 ゴールデン・グローブ賞と放送映画批評家協会賞にノミネートされているのが“I See the Light”
 という風になっています。

 このあと発表される、ラスベガス、ヒューストン、フェニックス、デンバーの各映画批評家協会賞にも歌曲賞部門が設けられています。

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 オリジナル歌曲賞の特徴としては―

 ①アニメーション作品はノミネートされやすい。
 近年では、『ベルヴィル・ランデブー』『ポーラー・エクスプレス』『シュレック2』『カーズ』『ウォーリー』『プリンセスと魔法のキス』

 ②ただし、アニメーション作品が歌曲賞を受賞したのは過去の話である。
 1990年の『リトル・マーメイド』から始まって、『美女と野獣』、『アラジン』、『ライオン・キング』、『ポカホンタス』、『プリンス・オブ・エジプト』、『ターザン』、『モンスターズ・インク』まで、ほぼ毎年のようにアニメーション作品が歌曲賞を受賞していましたが、2002年の『モンスターズ・インク』を境に、アニメーション作品の歌曲賞受賞はパッタリ途絶えています。
 これはアカデミー賞に長編アニメーション賞ができたのとたぶん無関係ではなく、それまではアニメーション作品への評価を歌曲賞に肩代わりさせていたようなところがあったのが、長編アニメーション賞を設けたことでその必要もなくなり、「歌曲賞はもっとほかの作品に」と考えられるようになったからだろうと考えられます。
 長編アニメーション賞ができたのと同じ年にアニメーション作品の歌曲賞受賞がパッタリ途絶えたというのはとても象徴的です。(この時代は、ちょうど1990年代のディズニー・アニメーションの全盛期とも重なっていて、ひょっとすると、ディズニー関係者は、アカデミー会員にこの部門でプロモーションをかけたのではないか、とも考えられます。)

 ③音楽にまつわるドラマはノミネート&受賞しやすい。
 アニメーションに代わって、受賞することが多くなったのが、音楽が重要なファクターとなっている作品の受賞で、受賞作品には、『エビータ』『8マイル』『ハッスル&フロウ』『ONCE ダブリンの街角で』『クレイジー・ハート』があり、そのほかのノミネート作品には、『ミュージック・オブ・ハート』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『シカゴ』『オペラ座の怪人』『コーラス』『ドリームガールズ』『NINE』などがあります。

 ④作品賞受賞作品が歌曲賞までも制してしまうこともある。
 『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』『スラムドッグ$ミリオネア』など。
 このクラスの作品がノミネートされると俄然受賞の確率も高くなります。

 ⑤2007年にドキュメンタリー作品として(たぶん)初めて『不都合な真実』が歌曲賞を受賞していますが、これは例外であって、ドキュメンタリー作品は候補には挙がりますが、ノミネートまで進むことは稀です。

 ⑥歌曲賞を持つ他の映画賞の中では、ゴールデン・グローブ賞との一致度が高い。
 昨年は、他の映画賞でも受賞を重ねていた“The Weary Kind (Theme from Crazy Heart)”が受賞しましたが、一昨年は、他の映画賞とアカデミー賞の結果は一致しませんでした。なので、今回もどう転ぶかはわかりませんが、1つの作品が受賞を重ねていけば、それが本命になっていく可能性は十分にあります。

 以上から、今年のノミネーションを予想してみると―
 ・“Coming Home”-“Country Strong”
 ・“I See the Light”-『塔の上のラプンツェル』
 ・“You Haven’t Seen The Last Of Me”-『バーレスク』
 の3作品が有力です。

 アカデミー賞では、まだノミネート対象者までは発表されていませんが、“I See The Light”の作曲者アラン・メンケンは、これまでこの部門で13回ノミネートされて、4回受賞という、この部門での最多受賞者になっています(同率タイで4回受賞者が4人います)。

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 上記3曲をYou Tubeで探してみましたが、今のところ、映像つきの動画はなくて、サウンドトラックに申し訳程度の画像を添えてあるだけです。
 わりといいなあと思ったのは、“I See the Light”ですが、いかにもディズニーらしい楽曲じゃないか(『美女と野獣』みたいだし、アラン・メンケンだし)と言われれば確かにそうかもしれません。
 実際に映像と重ね合わせればまた違うのかもしれませんが、“Coming Home”はちょっと線が細い感じがし、“You Haven’t Seen The Last Of Me”はちょっと重たい感じがしました。

 “I See the Light”が受賞すれば、アニメーション作品としては、ほぼ10年ぶりの歌曲賞受賞で、アラン・メンケンは最多受賞記録を更新し、単独首位になります。

 
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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2010 歌曲賞候補63曲:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2009 歌曲賞候補49曲:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_28.html

 ・米国アカデミー賞2011 短編映画賞候補 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_17.html
 ・米国アカデミー賞2011 視覚効果賞候補ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_15.html
 ・米国アカデミー賞2011 短編アニメーション賞候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_4.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編ドキュメンタリー賞候補 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編アニメーション賞候補 ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_24.html
 ・米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_25.html
 ・米国アカデミー賞2011 外国語映画賞各国代表65作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_22.html

 ・2010年11月時点でのオスカー予想:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_12.html
 ・2010年にブレイクアウトした10人!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_5.html
 ・ポスト・トロントでのオスカー2011 詳細予想! 21部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_41.html
 ・25週前のオスカー2011予想!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_1.html
 ・2010年前半期全米ムービー・チャート TOP35!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_9.html
 ・早くも米国アカデミー賞2011を予想してみました!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_25.html

 ・米国アカデミー賞各部門の名称について:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_19.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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