詳細解説! 米国アカデミー賞2011 短編映画賞候補 10作品発表!

 米国アカデミー賞2011 短編映画賞候補のショートリストが発表されました。(11月30日)

 ・“The Confession”(英) 監督:Tanel Toom
 ・“Wish 143”(英) 監督:Ian Barnes
 ・“The Crush”(アイルランド) 監督:Michael Creagh
 ・“Shoe”(アイルランド) 監督:Nick Kelly
 ・“Na Wewe”(ベルギー) 監督:Ivan Goldschmidt
 ・“Seeds of the Fall(Slitage)”(スウェーデン) 監督:Patrik Eklund
 ・“Sma Barn, Stora Ord (Little Children, Big Words)”(スウェーデン) 監督:Lisa James Larsson
 ・『アンディ』“The Six Dollar Fifty Man”(ニュージーランド) 監督:Mark Albiston、Louis Sutherland
 ・“Ana’s Playground”(米) 監督:Eric D. Howell
 ・“God of Love”(米) 監督:Luke Matheny

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 ・“The Confession” (英) 監督:Tanel Toom
 物語:おとなしくてまじめな9歳の少年サムは、生まれて初めての告解が心配で仕方がない。彼の良心はきれいなものだが、だからこそ、初めての告解が落ち着かないのだ。彼と友だちのジャコブは、そのための対策を考えるが、無邪気な思いつきが悲劇を巻き起こすことになる。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 International Film Students Meeting (国際映画学校ミーティング)部門出品。

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 ・“Wish 143”(英) 監督:Ian Barnes
 物語:15歳の少年デイヴィッドは、余命1ヶ月で、何でも希望をかなえてあげるから、1つだけ言ってごらんと、Dreamscape Charityから申し出を受ける。しかし、彼の望みは、ディズニーランドに行くことでも、サッカー選手のゲイリー・ネヴィルに会うことでもなかく、裸の女性と1時間2人きりで過ごすことだった……。
 パームスプリングス短編映画際2010 観客賞受賞。

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 ・“The Crush”(アイルランド) 監督:Michael Creagh
 物語:8歳の少年アーダルは恋していた。ただ1つ問題があったのは、彼が恋したのがパーディー先生だったということだ。彼は、恋心の証として、おもちゃの指輪をプレゼントしようとする。しかし、先生のボーイフレンドが本物のエンゲージリングを持って現れる。アーダルは何とか2人を会わせないように試みるのだった。
 トライベッカ映画祭2010 ニューヨーク・ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。審査員スペシャル・メンション受賞。

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 ・“Shoe”(アイルランド) 監督:Nick Kelly
 物語:自殺しようとしている男性ヴィンスの物語で、彼が死のうとするとしつこい物乞いにじゃまされてしまう。
 Nick Kellyは、アイルランドのシンガーソングライター。

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 ・“Na Wewe”(ベルギー) 監督:Ivan Goldschmidt
 物語:1994年頃の中部アフリカのブルンジ共和国。国内は、ハジ族とツチ族の内戦状態にある。反乱軍が、カラシニコフを発砲して、一般人の乗ったバスを止め、乗客を降ろす。彼らは、乗客をハジ族とツチ族に選別しようとする。しかし、どうやったらそれがわかるのだろうか。タイトルは、キルンディ語で、「あなたも」の意。

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 ・“Seeds of the Fall(Slitage)”(スウェーデン) 監督:Patrik Eklund
 物語:ロルフとエヴァは、中年のカップルだが、もうすっかり互いへの情熱は失っている。寝るのも、ただ服を脱ぎ、そして着るだけだ。エヴァは、性的な欲求不満に陥り、ある晩、ロルフを誘惑するが、彼に拒絶される。しかし、思ってもみなかったことが起こり、2人の関係を永遠に変えてしまう。
 Patrik Eklundは、前回『アブラカタブラ』“Instead of Abracadabra”でノミネートされていて、2年連続エントリーです。
 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間出品。Canal+短編グランプリ(Canal+ Grand Prize for Best Short Film)受賞。
 モントリオール世界映画祭2009フォーカス・オン・ワールドシネマ 短編映画部門出品。
 バリャドリッド国際映画祭2009 短編部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 プラハ短編映画祭プレゼンツ部門出品。

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 ・“Little Children, Big Words( Små barn, stora ord)”(スウェーデン) 監督:Lisa James Larsson
 物語:7年生のクラスで、大人になったら何になりたいかという発表会があり、アレックスの順番がまわってくる。そこから不毛な議論が始まる。クラスの担任は、自分の経験に基づいた話を始めるが、それは、長い間抑えこんでいた記憶の扉をこじ開け、心の傷を甦らせることになるのだった……。
 バリャドリッド国際映画祭2010 短編コンペティション部門出品。最優秀ヨーロッパ短編賞受賞。

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 ・『アンディ』“The Six Dollar Fifty Man”(ニュージーランド) 監督:Mark Albiston、Louis Sutherland
 物語:遊び場でいじめに遭った8歳の少年アンディは、想像上の世界でスーパーヒーローになることで現実世界から逃避する。しかし、そんな彼にも現実に立ち向かわなければならない時がやってくる。
 カンヌ国際映画祭2009 短編部門 スペシャル・メンション受賞。
 バリャドリッド国際映画祭2009 短編部門出品。銀のスパイク賞短編賞受賞。
 ベルリン国際映画祭2010 The Deutsches Kinderhilfswerk For The Best Short Film Special Mention(ドイツ児童救済事業協会短編部門スペシャル・メンション)受賞。
 ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2010 ニュージーランド・プログラム出品。

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 ・“Ana’s Playground”(米) 監督:Eric D. Howell
 物語:かつて子供たちの遊び場だったところが内戦の勃発により遊ぶことができなくなる。アナが危険地帯のそばで遊んでいると、サッカーボールが入ってはいけないと言われているところに飛び込んでしまう。彼女はボールを取りにそこに入り、秘密めいた狙撃兵との鬼ごっこめいたゲームが始まる。そうやって遊ぶうち、2人の間にある決め事が生まれる……。
 監督のEric D. Howellは、現役のスタントマンでスタント・コーディーネーターも務めているという異色の経歴の持ち主で、スタント作品には『シンプル・プラン』や『スタンド・アップ』、スタント・コーディーネーター作品には『シリアスマン』などがある。
 サンタバーバラ国際映画祭2010短編映画賞(Bruce Corwin Award for Best Live Action Short Film Under 30 Minutes)受賞。
 クラクフ映画祭2010 インターナショナル短編フィクション部門出品。

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 ・“God of Love”(米) 監督:Luke Matheny
 物語:ラウンジ・シンガーでダーツ・チャンピオンのレイモンドは、愛へと導くダーツの包みを受け取り、自分の祈りは聞き入れられたのだと感じる。
 “God of Love”は第37回学生アカデミー賞金賞受賞作品で、監督のLuke Mathenyは、ニューヨーク大学の学生で、本作では主役も務めている。

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 今年は、子供を主人公とする作品が多くて、過半数を占めています。

 短編映画部門は、文字通り短編映画ばかりなので、単に観ればわかるというか、短い時間に凝縮された物語の持つインパクトや、短い時間でどれだけ人の心を動かせるか、ということがポイントとなるはずで、短編映画としてのさまざまのバリエーションや方法論の中で、特に受賞作品の傾向性のようなものはないようです。

 ただし、これまでの受賞結果をみると、古くはクロード・ベリから、“In the Loop”のピーター・キャパルディ、『プラダを着た悪魔』のデイヴィッド・フランケル、“John Rabe”のフロリアン・ガレンバーガー、“Fish Tank”のアンドレア・アーノルドなど、結果的に、のちに長編監督として名をなしていくことになる監督が短編時代に作った作品が選ばれている、ということがわかります。

 とすると、一発芸的なショートショートよりは、作家性の萌芽のようなものが感じられる作品、あるいは、短い中にも映画作家としての手腕が垣間見られる作品、が選ばれるのではないか、と考えられます。

 まあ、アカデミー賞受賞が映画監督への道を切り開くのかもしれず、どちらが先かは定かではないのですが。

 個人的には、過去の受賞作品もノミネート作品もほとんど観れていないので、どういった作品がアカデミー会員にウケるのか、本当のところはよくわからないのですが、シノプシスから判断すると、ノミネーションに残りそうな5作品は以下のような感じでしょうか――
 ・“Na Wewe”
 ・“Little Children, Big Words( Små barn, stora ord)”
 ・『アンディ』
 ・“Ana’s Playground”
 ・“God of Love”

 “Wish 143”や“Seeds of the Fall(Slitage)”も悪くなさそうですが、性的な内容を含む作品は敬遠されるのではないかと考えて、予想から外してみました。

 さらに、この中から、アカデミー賞にふさわしい作品をと考えると、“Na Wewe”か“Little Children, Big Words( Små barn, stora ord)”、ということになるでしょうか。

 なお、前回は、前々回のノミニーが連続ノミネートから受賞を果たしていますから、今回、連続ノミネートの可能性を有しているPatrik Eklundが受賞する可能性もなくはありません。

 この部門は、もうこれ以上の予備選考はなく、この後は、ノミネーション5作品に絞る選考があって、ノミネーションの発表が行なわれるだけです。

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 ・米国アカデミー賞2010 短編映画賞候補 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_8.html


 ・米国アカデミー賞2011 視覚効果賞候補ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_15.html
 ・米国アカデミー賞2011 短編アニメーション賞候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_4.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編ドキュメンタリー賞候補 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編アニメーション賞候補 ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_24.html
 ・米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_25.html
 ・米国アカデミー賞2011 外国語映画賞各国代表65作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_22.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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