詳細解説! 米国アカデミー賞2011 視覚効果賞候補15作品発表!

 米国アカデミー賞2011 視覚効果賞候補ロングリストが発表されました。(12月10日)

 ・『アリス・イン・ワンダーランド』
 ・『ナルニア国物語/第3章 アスラン王と魔法の島』
 ・『タイタンの戦い』
 ・『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』
 ・『ヒア アフター』
 ・『インセプション』
 ・『アイアンマン2』
 ・『エアベンダー』
 ・『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』
 ・『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』
 ・“Scott Pilgrim vs the World”
 ・『シャッター・アイランド』
 ・『魔法使いの弟子』
 ・『トロン:レガシー』
 ・『アンストッパブル』

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 昨年は、最初に候補作品15作品が発表された後、それが7作品にまで絞り込まれ、その中からノミネーション3作品が選ばれ、最終的に『アバター』が受賞する、という過程をたどりました。
 以下のタイトルが最初の15作品で、△印はセミファイナルまで進んだ作品、○印はノミネーションまで進んだ作品、◎印が受賞作品です。

 •『天使と悪魔』
 •『アバター』 ◎
 •『コララインとボタンの魔女』
 •『Disney’s クリスマス・キャロル』
 •『第9地区』 ○
 •『スパイ・アニマル Gフォース』
 •『G.I.ジョー』
 •『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 △
 •『シャーロック・ホームズ』
 •『スター・トレック』 ○
 •『ターミネーター4』 △
 •『トランスフォーマー/リベンジ』 △
 •『2012』 △
 •『ウォッチメン』
 •『かいじゅうたちのいるところ』

 ついでにもう1年遡ると、2008年度は15作品が候補作品に選ばれ、そこから7作品に絞り込まれた後、『アイアンマン』『ダークナイト』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』がノミネート作品に残り、最終的に『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』が受賞しています。

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 この部門の傾向性を書き出してみると――

 ①この賞をノミネート/受賞しやすい作品のジャンルは、SF(近未来もの、宇宙もの、スーパーヒーローもの、モンスターもの、ファンタジー)、パニックもの、災害もの、冒険活劇(現在、過去、未来/海洋、山岳)など。

 ②ホラーやスプラッタ系の作品は選ばれにくい。

 ③視覚効果(SFX)がその作品を映画史上に残る作品にするのに大いに貢献している作品は評価されやすい。『ジュラシック・パーク』『フォレスト・ガンプ』『タイタニック』『マトリックス』『ベンジャミン・バトン』など。

 ④『フォレスト・ガンプ』『タイタニック』『グラディエーター』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』など作品賞受賞作品がこの部門を制することもある。

 ⑤受賞するかどうかはともかく、シリーズとして評価の高い作品は連続してノミネートされやすい。『スターウォーズ』旧3部作(すべて受賞)、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(すべて受賞)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(第2作のみ受賞)など。

 ⑥シリーズ第1作、新シリーズ第1作は、ノミネートされやすい。たとえば、『ナルニア国物語』『ライラの冒険』『トランスフォーマー』『スーパーマン・リターンズ』『ダークナイト』『アイアンマン』など。

 ⑦ジェームズ・キャメロン作品は、この部門に相性がいい。『エイリアン』『アビス』『ターミナーター2』『タイタニック』『アバター』とノミネートされた作品のほとんどが受賞(『トゥルー・ライズ』はノミネーションのみ)。

 ⑧スピルバーグ、ピーター・ジャクソン、マイケル・ベイもこの部門と相性がいい。

 ⑨近年は、ブライアン・シンガー、クリストファー・ノーラン、といったインディーズ系の意欲的な作品で世に出た映画作家の作品も登場するようになっている。

 ⑩リメイク作品、再シリーズ化作品は注目を集めやすい(最新のSFXを使って作品を全く新しいものとして作り直そうという意欲や試みが評価されるから?)。たとえば、『宇宙戦争』、『ポセイドン』、『スーパーマン・リターンズ』、『ダークナイト』

 ⑪アニメーション作品としては、過去に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』と『スチュアート・リトル』がノミネートされたことがある。

 ⑫ノミネート作品は異なるタイプの作品が選ばれやすい。

 ⑬この部門を持つ米・映画批評家協会賞には、セントルイス、フェニックス、ラスベガスの各映画批評家協会賞がある。

 ⑭受賞作品は、視覚効果協会賞受賞作品と重なりやすい。

 これらを今年の候補作品に当てはめると――

 ②では、今年は、視覚効果で「映画史上に残る」ほど画期的な作品はないような気もしますが、一応ピックアップしてみると、『アリス・イン・ワンダーランド』、『インセプション』、『トロン:レガシー』あたりでしょうか。

 ④では、2010年の全米映画賞レースに大きくからんでいる作品は、この中では『インセプション』のみです。

 ⑤では、『ナルニア国物語/第3章 アスラン王と魔法の島』、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』、『アイアンマン2』。『ナルニア国物語』はシリーズ第1作がノミネート、『アハリー・ポッター』は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のみノミネート、『アイアンマン』は第1作がノミネートしています。

 ⑥では、今年度の作品でシリーズ化が決定しているのは、『タイタンの戦い』があります。『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』は原作は全5部作らしいのですが、映画でもシリーズ化されるのかどうかははっきりしていません。

 ⑨では、『インセプション』。

 ⑩では、『タイタンの戦い』『魔法使いの弟子』『トロン:レガシー』の3本が対象作品です。

 以上から考えて、⑫を加味すると、ノミネーションの3作品に残るのは『インセプション』と『トロン:レガシー』がたぶんまず当確で、あと1本は、『アリス・イン・ワンダーランド』か『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』かというところでしょうか。

 『ハリー・ポッター』は、シリーズを通してこれまで1度しかノミネートされていませんが、今回は全米で大ヒットしたこともあり、大きく注目されていて、どこかでアカデミー賞にからめるとしたら視覚効果賞、ということになる可能性があります。
 『アリス・イン・ワンダーランド』に関しては、ティム・バートンと視覚効果賞との相性の悪さがあって、彼の監督作品は、『スウィーニー・トッド』『チャーリーとチョコレート工場』『ビッグ・フィッシュ』『マーズ・アタック!』はもちろん、これまで1度もアカデミー賞視覚効果賞にノミネートされたことがありません。
 と考えると、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』がやや有利ということになるかと思われます。

画像

 視覚効果賞のこの後のスケジュールは、1月上旬に視覚効果賞の選定委員(Academy’s Visual Effects Branch Executive Committee)が集まって、7本にまで絞込みを行ない、その7作品の15分間のシーンを視覚効果賞部門の全委員(All members of the Visual Effects Branch)が観て、ノミネート対象作品3作品を選ぶ、ということになっています。
 セミファイナリスト7作品は、1月上旬に発表される予定です。

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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2010 視覚効果賞ロングリスト15作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_21.html
 ・米国アカデミー賞2010 視覚効果賞セミファイナリスト7作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_7.html

 ・米国アカデミー賞2011 短編アニメーション賞候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_4.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編ドキュメンタリー賞候補 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2011 長編アニメーション賞候補 ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_24.html
 ・米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_25.html
 ・米国アカデミー賞2011 外国語映画賞各国代表65作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_22.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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