モンペリエ地中海映画祭2010 受賞結果発表!

 第32回モンペリエ地中海映画祭の受賞結果が発表になりました。(映画祭開催期間は10月22日-30日)

 モンペリエ地中海映画祭(Montpellier Mediterranean Film Festival)は、地中海周諸国の作品に限った映画祭で、日本ではそんなに知られてはいないと思いますが、今年で32回を迎えます。(似たような趣向を持った映画祭には、アジア太平洋映画祭(今年で55回)、ハワイ映画祭(今年で30回)があります。)

 地中海をはさんで、国どうしが向かい合っているとはいえ、この30年間、国家間レベルではいろいろあったはずで、そうでありながらも、この映画祭が現在まで続いているというのは、たぶん、政治や信条、国境を超えて、個人レベルではわりと簡単に交流ができ、実際にいろんな形で近隣諸国の人々とつきあいがあるからであり、また、開催地が移民を受け入れるのにわりと積極的な(という風に見える)フランスだからこうした催しがやりやすい、ということもあるのでしょうか。(以上、昨年の記事から一部修正して転載)

画像

 【長編部門】

 ◆グランプリ/Golden Antigone (District of Montpellier)
 ◎“The Mosquito Net”(西) 監督:Agustí Vila
 出演:Emma Suárez、Eduard Fernández、ジェラルディン・チャプリン、Marcos Franz、Alex Batilori
 物語:老マリアは、アルツハイマー病を患って、話すことができなくなっている。一方、彼女の孫である15歳のルイスは、両親の夫婦仲が危機にあることを感じ取って、家の中でしゃべらなくなり、通りで捨て猫や捨て犬を見つけては拾ってくるようになる。父ミゲルは、それをやめさせようとするが、母アリスは彼を甘やかしてしまう。家の中には、どんどん動物が増えていき、混乱に拍車がかかっていく……。
 老マリアを演じるのは、ジャラルディン・チャプリンで、彼女は、この映画の脚本は生涯のベスト3に入る素晴らしい脚本だと絶賛したそうです。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 グランプリ受賞。

画像

画像

画像

 ◆スペシャル・メンション
 ◎“The Mosque(A Jamaâ)”(モロッコ・仏) 監督:Daoud Aoulad-Syad
 物語:前作“Waiting for Pasolini”を撮影に際して、Mohaの土地を借りて、セットを設営した。撮影終了後、クルーが去り、セットが残されたが、村人はすべてのセットを解体した。ただ1つ、モスクを除いては。モスクは、村人にとって、本当の信仰の場となったが、Mohaにとってそれが災難の始まりだった。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。

画像

 ※審査員:Karin Albou(監督)、Michèle Corrotti (Arte-Mareの設立者/会長)、Mazarine Pingeot(ライター/批評家)、Jean-Jacques Bernard (ジャーナリスト/President of the Syndicat français de la critique de cinéma)、Michel Reilhac (監督/プロデューサー/Arte France cinémaのCEO).

 ◆批評家賞(Critics' Award (Crédit Coopératif))
 ◎“The First Beautiful Thing(La prima cosa bella)”(伊) 監督:パオロ・ヴィルツィ
 出演:ヴァレリオ・マスタンドレア、ミカエラ・ラマゾッティ、ステファニア・サンドレッリ、Marco Messeri、Claudia Pandolfi
 物語:ブルーノは、ミラノの学校で文学を教えている中年男性で、自分の不幸な人生にうんざりしていた。そんな彼は、妹ヴァレリアに母が癌で余命いくばくもないという連絡を受けて、トスカーナ地方にある故郷リヴォルノに帰省する。彼は、ここで、過去と対峙し、これまでの関係を修復することに決める……。
 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2010 主演男優賞(ヴァレリオ・マスタンドレア)・主演女優賞(ミカエラ・ラマゾッティ)・脚本賞受賞。
 ナストロ・ダルジェント賞2010 主演女優賞(ミカエラ・ラマゾッティ、ステファニア・サンドレッリ)・脚本賞・衣裳賞・音響賞受賞。
 イタリア・ゴールデングローブ賞2010 女優賞受賞(ステファニア・サンドレッリ)。
 米国アカデミー賞2011外国語映画賞イタリア代表。

画像

 ※審査員:Néamat Allah Hussein (Akher Saa、エジプト)、Ana-Maria Echeverria (AFP、 仏)、Pavlina Jeleva (Dnevnik、Lik、Obektiv, ブルガリア)、Alain Masson (Positif、仏)、 Alex Masson (Première、仏)、Richard Pevny (L’Indépendant、仏)、Umberto Rossi (Cineforum、伊)、Leo Soesanto (Les Inrockuptibles、仏)、Guy Spica (France Télévisions).

 ◆音楽賞/JAM award for best music (CMCAS)
 ◎Salim Aissa、Amine Hamerouch、Youcef Boukella、Cheikh Sidi Bémol、Redouane Bouhired、Youcef Gouaïche、Billal Boumessaoud、Amine Boumediene
 “The Place”(アルジェリア) 監督:Dahmane Ouzid
 物語:2010年。新興住宅地の心臓部「スクエア」では、問題が山積している。公衆衛生も整っていないし、人々にも活気がない。住民は、土地の開発を進めようとする。サッカー場、ショッピング・センター、公園などなど。しかし、共通の理解が得られず、すべては棚上げになってしまう。商魂たくましい少数の人々は、土地の確保に躍起になり、そうではない大多数は無関心なまま。若い世代は、退屈な日常から飛び出して、愛やビザ、よりよい生活を夢見る……。

画像

画像

 ※審査員:Sophie Grattard(ピアニスト)、Gérard Pansanel(ミュージシャン/作曲家)、 Jean-François Fontana ( JAM会長)、Jean Peiffer (JAMのディレクター).

 ◆ワールド・セールス・サポート賞(Insomnia World Sales Export Support Prize)
 ◎“Susa”(グルジア) 監督:Rusudan Pirveli
 物語:スサは12歳の少年。彼の母親は無許可のウォッカ醸造所で働いていて、彼は出来上がった商品を運ぶ手伝いをさせられている。しかし、せっかくのウォッカを悪い奴に奪われたり、警察に追いかけられたりして、彼は幼いながら生きる希望を見出せないでいる。そこへ、父が帰ってくる。彼は、父がこんな日常から自分を救い出してくれるのではないかと思い、希望を抱くのだった……。
 ロッテルダム国際映画祭2010 World Premieres部門出品。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション部門出品。
 全州国際映画祭2010 インターナショナル・コンペティション部門出品。グランプリ受賞。

画像

画像

 ◆ヤング審査員賞/Young People's Award (CMCAS Languedoc)
 ◎“The Woman with a Broken Nose”(独・セルビア) 監督:Srdjan Koljevic
 物語:ベオグラードのブランコ橋にタクシーが差し掛かった時、突然、タクシーの中から、「鼻の折れた女」が飛び出して、橋から飛び降り自殺をする。ここから、この飛び降り自殺を目撃した3人の物語が始まる。1人目は当のタクシー運転手Gavriloで、ボスニア難民である彼は捨て子の赤ん坊を抱えて、途方に暮れていた。2人目は陰気な女教師Anicaで、彼女は息子を亡くしたトラウマから逃れられずにいた。3人目の薬剤師Biljanaは、フィアンセが思っていたような相手ではないということを悟ったばかりであった。それぞれに問題を抱える3人は、自分の抱える問題にうまく向き合えないでいた。「鼻の折れた女」は、一命を取りとめ、Gavriloが面倒を見ることになるが、人間嫌いの彼にとって、それが、生まれて初めて、他人にとって大切な人間になるということになった……。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門出品。
 チューリヒ映画祭2010 グランプリ受賞。

画像

画像

 [受賞を逃したその他のエントリー作品]
 ・“La Passione”(伊) 監督:カルロ・マッツァクラーティ
 ・“Just Between Us”(クロアチア・セルビア・スロベニア) 監督:Rajko Grlic
 ・“Black Field(Mavro Livadi)”(ギリシャ) 監督:Vardis Marinakis
 ・“Once Again…(Marra oukha)”(シリア) 監督:Joud Said
 ・『コスモス』(トルコ・ブルガリア) 監督:レハ・エルデム
 ・“Hair(Sac)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Tayfun Pirselimoglu

 ◆Filmgoers' Award (Midi Libre)
 ◎“18 Years Later”(伊) 監督:Edoardo Leo [長編パノラマ部門で上映]
 物語:ミルコとジェンツィアーノは、兄弟だが、母が交通事故で悲劇的な最期を遂げて以来、会うこともなく、一言も口を利いていなかった。ジェンツィアーノは、ロンドンに住み、株のブローカーとして成功していた。他方、ミルコは、ローマに住み、父と共に働き、妻と4歳になる息子があった。そのまま2人の人生は交わらないかとも思われたが、父が死んで、遺灰は、妻と一緒の墓に兄弟で埋めてくれという遺言を残したため、久しぶりに兄弟が顔を合わせることになる……。

画像

 【短編部門】

 ◆グランプリ/Grand Prix for Short Films (District of Montpellier)
 ◎“Eva Is Leaving”(イスラエル) 監督:Aya Somech

画像

 ※審査員:Yasmina Nini-Faucon (フランスの脚本家/プロデューサー)、Yaël Perlov (イスラエルのチーフ編集者/プロデューサー)、Olivier Jahan (フランスの監督)、Stephan Komandarev (ブルガリアの監督)、Corneliu Porumboiu (ルーマニアの監督).

 ◆Filmgoers' Award (Midi Libre - Kodak - Titra Film)
 ◎“Garagouz”(アルジェリア) 監督:Abdenour Zahzah

 ◆ヤング審査員賞/Young audience Award (Ville de Montpellier)
 ◎“Condemnations…”(チュニジア・仏) 監督:Walid Mattar

 ◆Beaumarchais Association Award
 ◎“The Man who Slept”(仏) 監督:Inès Sedan

 ◆Canal+ Award
 ◎“Eva Is Leaving”(イスラエル) 監督:Aya Somech

 ◆Cinecourts Award (CINÉCINÉMA)
 ◎“Tasnim”(イスラエル) 監督:Elite Zexer

 【ドキュメンタリー部門】

 ◆グランプリ/ Ulysses Award
 ◎“Blood Relation”(イスラエル) 監督:Noa Ben Hagaï
 物語:14歳の時に、祖母の妹が行方不明になる。数年が経ち、家族の元に彼女から手紙が届くようになる。彼女は、アラブ人として難民キャンプに住んでいて、家族に助けを求めていたのだった。しかし、家族は、知らぬ存ぜぬを決め込む。祖母の死後、その手紙を発見した監督は、過去に遡って、家族に隠された物語を明らかにしょうとする。

画像

画像

 ※審査員:Emma Baus(監督)、Laure Pradal(監督)、François Barat (監督/Delegate General of GREC).

 【製作支援部門】(Development Grants)

 ◎€7,000 grant:“Moments de grâce”(イスラエル・仏) 監督:Emmanuel Naccache

 ◎€7,000 grant:“Khibula”(グルジア) 監督:George Ovashvili、プロデューサー:Guillaume de Seille

 ◎€7,000 grant:“La Pommeraie”(レバノン)  Carlos Chahine

 ◎脚本研修(Writing residency)+技術支援費 €5,000:“L’Accusation”(イスラエル) 監督:Mihal Brezis

 ◎€4,000 grant+技術支援費 €6,000:“La Guerre de Tarik”(仏・アルジェリア) 監督:Mohamed Ouzine

 ◎ €3,000 grant+コダック賞(3000mのポジフィルムと1000mのネガフィルム):“Je vous ai compris”(仏) 監督:Frank Chiche、プロデューサー:Laurent Thiry

画像

--------------------------------

 コンペ部門はざっと上記のような感じですが、そのほかの特集上映もけっこう充実しています。

 ◆カルメン・マウラ特集
 ・“Tigres de papel”(1977/西) 監督:Fernando Colomo
 ・“Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón”(1980/西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ・『バチ当たり修道院の最期』(1983/西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ・『グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人』(1984/西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ・“Sé infiel y no mires con quién”(1985/西) 監督:フェルナンド・トルエバ
 ・『歌姫カルメーラ』(1990/西) 監督:カルロス・サウラ
 ・“Cómo ser mujer y no morir en el intento”(1991/西) 監督:Ana Belén
 ・『ルイ、少年王』“Louis, enfant roi”(1993/仏) 監督:ロジェ・ブランション(Roger Planchon)
 ・“Sombras en una batalla”(1993/西) 監督:Mario Camus
 ・『しあわせはどこに』(1995/仏) 監督:エティエンヌ・シャティリエ
 ・“Le Harem de Mme Osmane”(2000/仏・西・モロッコ) 監督:Nadir Moknèche
 ・“Reinas”(2005/西) 監督:マニエル・ゴメス・ペレイラ(Manuel Gómez Pereira)
 ・『ボルベール<帰郷>』(2005/西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ・“Chicas”(2009/仏) 監督:Yasmina Reza

画像

 ◆マルコ・フェレーリ監督特集
 ・“El pisito”(1958)
 ・“El cochecito”(1960)
 ・『女王蜂』(1963)
 ・“La donna scimmia”(1964)
 ・“Dillinger è morto”(1969)
 ・“L'uomo dei cinque palloni”(1969)
 ・“L'udienza”(1971)
 ・『最後の晩餐』(1973)
 ・“Non toccare la donna bianca”(1974)
 ・『バイバイ・モンキー/コーネリアスの夢』(1977)
 ・『マイ・ワンダフル・ライフ』(1979)
 ・『町でいちばんの美女/ありきたりの狂気の物語』(1981)
 ・『I LOVE YOU』(1986)
 ・“Como sono buoni i bianchi”(1987)

 ◆ヒアム・アッバス特集
 ・“The Bread(Le Pain)”(2000/仏)[短編] 監督:ヒアム・アッバス
 ・“Satin rouge”(2002/仏・チュニジア) 監督:Raja Amari
 ・『シリアの花嫁』(2004/イスラエル・仏・独) 監督:エラン・リクリス
 ・『アズールとアスマール』(2004/仏) 監督:ミシェル・オスロ
 ・『パラダイス・ナウ』(2005/仏・独・オランダ・パレスチナ) 監督:ハニ・アブ・アサド
 ・『扉をたたく人』(2007/米) 監督:トマス・マッカーシー
 ・“The Lemon Tree”(2008/仏・イスラエル・独) 監督:エラン・リクリス
 ・“Amerrika”(2009/米・カナダ・クエート) 監督:Cherien Dabis
 ・“Chaque jour est une fête”(2009/仏・独・レバノン) 監督:Dima El-Horr
 ・“Miral”(2010/パレスチナ) 監督:ジュリアン・シュナーベル

 ◆ロニ・エルカベッツ(Ronit Elkabetz)特集
 ・“Hatouna Mehueret”(2001/イスラエル・仏) 監督:Dover Kosashvili
 ・“Or”(2004/仏・イスラエル) 監督:Keren Yedaya
 ・“To Take Wife”(2004/イスラエル) 監督:ロニ・エルカベッツ、Shlomi Elkabetz
 ・『迷子の警察音楽隊』(2007/イスラエル・仏) 監督:エラン・コリリン
 ・“Shiva”(2007/仏・イスラエル) 監督:ロニ・エルカベッツ、Shlomi Elkabetz
 ・“Tête de Turc”(2009/仏) 監督:パスカル・エルベ
 ・“Kalat Hayam”(2009/仏・イスラエル・独) 監督:Keren Yedaya
 ・“Les Mains libres”(2010/仏) 監督:Brigitte Sy

画像

 ◆ダリオ・アルジェント監督特集
 ・『サスペリア PART2』(1975)
 ・『サスペリア』(1977)
 ・『インフェルノ』(1979)
 ・『スリープレス』(2001)
 ・『デス・サイト』“The Card Player”(2004)
 ・『愛しのジェニファー』“Jenifer”(2005)
 ・『愛と欲望の毛皮』“Pelts”(2006)
 ・『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(2007)

画像

 ◆ガリ・バルディン特集
 ・“Prezhde my byli ptitsami(We Used to Be Birds Before)”(1982/ソ連)
 ・“Banket(Banquet)”(1986/ソ連)
 ・“Marriage”(1987/ソ連)
 ・『紆余曲折』“Vykrutasy(Fioritures)”(1988/ソ連)
 ・“Puss in Boots”(1995/ロシア)

 まだまだいろんな部門や特集、企画がありますが、うっかりすると、全ラインナップを書き出してしまいたい衝動にかられてしまうので、とりあえず、このくらいにしておきたいと思います。

 ちなみに、オープニング作品は、Pierre Salvadori監督のフランス映画“De vrais mensonges”とフランス短編“Chienne d'histoire”(監督:Serge Avedikian)、クロージング作品は、フランソワ・オゾンの『しあわせの雨傘』でした。

--------------------------------

 *なるほどねっ!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 応援してね!

 *当ブログ記事
 ・モンペリエ地中海映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_40.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック