ルイ・デリュック賞2010 ノミネーション発表!

 ルイ・デリュック賞2010のノミネーションが発表されました。(11月24日)

 ◆作品賞(Liste des films nommés pour le prix Louis-Delluc)

 ・“Carlos, Le Film”(仏・独) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 出演:Édgar Ramírez、Alexander Beyer、Anna Thalbach、Julia Hummer、Farid Elouardi、Alexander Scheer、Susanne Wuest、Katharina Schuttler、Udo Samel、Nora Von Waldstätten
 物語:ベネズエラ出身で、1975年のOPEC総会襲撃などを行なった国際的なテロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス(1949~ )(コードネームが「カルロス」で、ヨーロッパ公安当局からは「ジャッカル」と呼ばれる)が1994年に逮捕されるまでを描く。
 この作品は、元々は、テレビ向けに製作された作品で、ミニシリーズとしての上映時間は全330分、カンヌ向けの再編集版の上映時間は140分。
 カンヌ国際映画祭2010 特別上映作品。
 サンパウロ国際映画祭2010 批評家賞オナラブル・メンション受賞。

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 ・“Des Filles En Noir”(仏) 監督:ジャン=ポール・シヴェラック
 出演:Lhomeau Elise、Leah Tissier、Elise Caron.
 物語:ノエミとプリシラは、地方都市に暮らす17歳の少女。同じようなバックグラウンドを持ち、世界に対して同じような嫌悪感を抱き、同じような絶望感を感じ、内に秘めたる暴力性でも似通っていた……。
 監督のジャン=ポール・シヴェラックは、FEMISの2期生で、現在はFEMISの教授も務めています。監督作品としては、フランス映画祭2007「FEMIS短編集」で上映された『リュックによると人生とは』でミュンヘン国際学生映画祭の審査員特別賞を受賞しているほか、“Toutes ces belles promesses”(2003)でジャン・ヴィゴ賞作品賞を受賞しています。本作が第7長編。
 カンヌ国際映画祭2010 監督週間出品。

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 ・『神々と男たち』“Des Hommes Et Des Dieux”(仏) 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
 出演:ランベール・ウィルソン、ミシェル・ロンダール、オリヴィエ・ラブルダン
 物語:1996年3月、アルジェリアのチベリーヌにあるフランスのトラピスト会士の修道僧7人がイスラム武装集団(GIA)に誘拐され、殺害された事件を映画化したもの。
 カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門出品。グランプリ&エキュメニカル審査員賞受賞。
 米国アカデミー賞2011外国語映画賞フランス代表。
 ヨーロッパ映画賞2010 作品賞&撮影賞ノミネート。

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 ・“Mystères de Lisbonne”(ポルトガル・仏・ブラジル) 監督:ラウル・ルイス
 出演:レア・セドゥー、メルヴィル・プポー、レナ・フリードリヒ、クロチルド・エスム
 19世紀の著名なポルトガルの作家カミロ・カステロ・ブランコの小説の映画化。
 物語:嫉妬深い伯爵夫人、金持ちのビジネスマン、孤児の少年が、ポルトガル、フランス、イタリア、ブラジルと世界中をまわり、神秘的な出来事に巡り合っていく……。
 トロント国際映画祭2010 MASTERS部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。監督賞/シルバー・シェル賞受賞。
 サンパウロ国際映画祭2010 批評家賞最優秀作品賞受賞。

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 ・“La Princesse de Montpensier”(仏・独) 監督:ベルトラン・タヴェルニエ
 出演:メラニー・ティリー、ギャスパー・ウリエル、ランベール・ウィルソン、フロランス・トマサン
 物語:幼い頃からギーズ公を愛していながら、モンパンシェ公爵に嫁がなければならなかった主人公の悲恋を描く。
 『クレーヴの奥方』で知られるラファイエット夫人の短編小説「モンパンシェ公爵夫人」の映画化。
 カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門出品。

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 ・『ゴースト・ライター』“The Ghost-writer”(仏・独・英) 監督:ロマン・ポランスキー
 出演:ユアン・マクレガー、キム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズ、ピアース・ブロスナン
 物語:ゴーストライターとして成功している男性が、前英国首相の回想録を書く仕事の依頼を受ける。エージェントはこれがライターとしていいチャンスになるだろうと言うが、前にこの仕事を引き受けたライターは謎の死を遂げているのだった……。
 ベルリン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。銀熊賞(監督賞)受賞。
 イタリア・ゴールデングローブ賞2010 最優秀ヨーロッパ映画賞受賞。
 国際批評家連盟賞2010 グランプリ受賞。
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 ・“Tournée”(仏) 監督:マチュー・アマルリック
 出演:マチュー・アマルリック、ジュリー・フェリアー、アン・ブノワ、ダミアン・オドゥール
 物語:ショーのプロデューサーをしていた男がアメリカにわたり、たくさんの女の子を連れてフランスに戻ってくる。彼は、各地でバーレスク・スタイルのショーを行ない、パリでフィナーレを迎えさせる。
 マチュー・アマルリックの第4長編。
 カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門出品。監督賞&国際批評家連盟賞受賞.。

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 ・『ホワイト・マテリアル』“White Material”(仏) 監督:クレール・ドゥニ
 出演:イザベル・ユペール、ニコラ・デュヴォシェル、アイザック・ド・バンコレ
 物語:不安と抵抗の時代のアフリカ。主人公は、コーヒー園を営む女主人マリアで、彼女は、コーヒー園を手放してフランスに帰るべきなのか、収穫を前にしてここを去ることは自分たちの臆病さを露呈してしまうことになるのではないかと悩み、そして決断を迫られる。
 ベネチア国際映画祭2009 コンペティション部門出品。

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 ◆新人賞(Liste des films nommés pour le Prix Louis-Delluc du premier long métrage)

 ・“Belle épine”(仏) 監督:Rebecca Zlotowski
 物語:プルーデンスは、17歳で、数日前に母親を亡くしたばかり。途方に暮れていた彼女は、高校中退のマリリンから、ルンギスにある違法のサーキットを教えてもらう。そこでは、命知らずの男たちが激しいバイク・レースを繰り広げていて、彼女は、悲しみを忘れ、すっかり彼らに魅了されてしまう。
 カンヌ国際映画祭2010 批評家週間出品。

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 ・“Domaine”(仏・オーストリア) 監督:Patric Chiha
 出演:ベアトリス・ダル、Isaïe Sultan、アラン・リボール、Raphaël Bouvet、Silvie Roher、ウド・ザメル、タティアーナ・ヴィアル、Bernd Birkhahn
 おばさん(ベアトリス・ダル)につきまとわれる10代の少年の物語。
 ベネチア国際映画祭2009 批評家週間出品。

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 ・“Gainsbourg (vie Héroïque)”(仏・米) 監督:Joann Sfar
本作は、人気コミック作家 Joann Sfarの監督デビュー作で、セルジュ・ゲンズブールの人生を描く。ロシア系ユダヤ人の一家に生まれ、ナチ占領下のフランスで少年時代を過ごし、やがて名声を得ていく様子を描く。セルジュ役はEric Elmosnino、ブリジット・バルドー役はレティシア・カスタ、ジェーン・バーキン役はルーシー・ゴードン。
 イスタンブール国際映画祭2010 インターナショナル・コンペティション出品作品。
 トライベッカ映画祭2010 男優賞受賞(Eric Elmosnino)。

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 ・“Une Exécution Ordinaire” 監督:Marc Dugain
 出演:アンドレ・デュソリエ、マリナ・ハンズ、エドゥアール・ベール、ドゥニ・ポダリデス、トム・ノヴァンブル
 物語:1952年の秋。泌尿器科医で、睡眠薬処方医でもある若い女性が、モスクワ郊外の病院に勤めている。彼女には物理学者の夫がいて、彼は子供を望んでいるが、なかなか子宝に恵まれない。病気療養中で、死の渕にあるスターリンの元に秘密裏に呼ばれる。スターリンは専属の医者をクビにしたばかり。やがて、スターリンは、若い夫婦の生活にズカズカ入り込んでくるようになり、2人はこれまでに味わったことのないような恐怖を味わうのだった……。

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 ・“Un Poison Violent” 監督:Katell Quillévéré
 出演:Clara Augarde、Youen Gourvil Leboulanger、Lio、Stefano Cassetti、Michel Galabru
 物語:14歳のアンナが、寄宿学校から実家に帰ってくる。久々に帰った実家で、彼女は、母と祖父がより信心深い生活に入っていることを知る。彼女はふと父のことを思い出すが、彼女の父はずっと以前に家を出ていて、理由も何も聞かされていなかった。彼女は、自分の心と体が何かを求めているということを感じるが、それが神なのかどうか、確信を持てずにいた。
 監督Katell Quillevéréの最初の短編『ボクにできること』“À bras le corps”(2005)は、監督週間の短編部門で上映されたほか、セザール賞短編映画賞にもノミネートされています(日本ではシネフィル・イマジカにて放映)。本作が彼女の初長編。
 カンヌ国際映画祭2010 監督週間出品。

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 ・“La Vie Au Ranch” 監督:Sophie Letourneur
 “ランチ”(農場)で一緒に過ごす20歳の女性たちの幸福な日々を、厳しい現実と彼らの関係を交えながら、描く。
 ロッテルダム国際映画祭2010 コンペティション部門出品。

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 対象作品がどうやって決められているのかはわからないので、はっきりしたことは言えないのですが、2010年のフランス映画で話題になった作品はまあこんなものかなと思う一方で、合作作品にはいくつか「これは選ばれないの?」という作品もあります。

 ・“Mammuth”(仏) 監督:Benoît Delépine、Gustave de Kervern
 ・“Hors La Loi(Outside The Law)”(仏・アルジェリア・ベルギー) 監督:ラシッド・ブシャール 
 ・“Un Homme Qui Crie(A Screaming Man)”(仏・ベルギー・チャド) 監督:マハマット=サレー・ハルーン(Mahamat-Saleh Haroun)
 ・ “Copie Conforme(The Certified Copy)”(仏・伊・イラン) 監督:アッバス・キアロスタミ
 ・“Simon Werner a Disparu…(Qu'est-il arrivé à Simon Werner?/ What Happened to Simon Werner?”)”(仏) 監督:Fabrice Gobert
 ・“Rebecca H. (Return to the Dogs)”(仏) 監督:ロッジ・ケリガン
 ・“Life Above All”(仏) 監督:オリバー・シュミッツ(Oliver Schmitz)
 ・“Film Socialisme”(スイス・仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
 ・“Pieds nus sur les limaces(Lily Sometimes)”(仏) 監督:ファビアンヌ・ベルトー(Fabienne Berthaud)
 ・“Illégal”(ベルギー・ルクセンブルグ・仏) 監督:Olivier Masset-Depasse

 “Illégal”あたりは、新人賞にノミネートされてもよかったのではないかと思うのですが、これはベルギー映画という扱いなのでしょうか。

 まあ、他の賞(セザール賞やリュミエール賞)のノミネーションが発表されれば、たぶん相対的にルイ・デリュック賞がどんな作品を選んだのか見えてくると思いますが。

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 作品賞は、相対的な評価の高さから言うと、『神々と男たち』が受賞するような気がしますが、高度な作家性を評価するなら、オリヴィエ・アサイヤスやラウル・ルイスが受賞してもおかしくないと思います。ヨーロッパ全体では、『ゴースト・ライター』の評価が高かったりもします。

 昨年は本命の『アンプロフェット』が受賞しましたが、豊作だった一昨年は、『パリ20区、僕たちのクラス』『セラフィーヌの庭』『クリスマス・ストーリー』『夏時間の庭』を抑えて、レイモン・ドパルドンの『モダン・ライフ』が作品賞を受賞して(受賞させて?)いますから、番狂わせが起こる可能性もなくはありません。

 フランス映画界の第一線で活躍している監督は、一度はルイ・デリュック賞を受賞しているものですが、今年、作品賞にノミネートされている監督で、過去に受賞経験のあるのはタヴェルニエだけです。(過去70年余りの歴史の中で、2回受賞しているのは、ルイ・マルとミシェル・ドヴィルとクロード・ソーテの3人だけ、3回受賞しているのはアラン・レネだけです。)

 新人賞部門は、この中でよさそうかなと思えるのは“Un Poison Violent”ですが、この部門は、昨年も一昨年もノミネーションの発表段階では選ばれていなかった作品を新人賞に選んでいますから、今年もどうなるかはわかりません。

 結果の発表は、12月17日です。

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 *当ブログ記事
 ・ルイ・デリュック賞2008 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_5.html
 ・ルイ・デリュック賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_22.html
 ・ルイ・デリュック賞2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_39.html
 ・ルイ・デリュック賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_18.html

 ・ヨーロッパ映画賞2010 対象作品48作品発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_17.html
 ・ヨーロッパ映画賞2010 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_9.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 追記:
 ルイ・デリュック賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_36.html

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