2010年度オーストラリア映画 人気ナンバーワンはこれだ! IF賞2010発表!

 オーストラリアの映画賞、第12回Kodak Inside Film Awards(IF賞)が発表になりました(11月14日)。

 この賞は、一般からの投票で受賞が決定するもので、アメリカのMTVムービー・アワードやピープルズ・チョイス・アワードに当たる映画賞ということになるでしょうか。
 今年は、13万3000票もの投票があったそうです。

 個々の賞にスポンサーがついていて、賞名の原題にはスポンサー名が冠としてついています。

 ◆作品賞(The SHOWTIME MOVIE CHANNELS IF Award For Best Feature Film)
 ・“Animal Kingdom” 監督:David Michôd
 ・“Beneath Hill 60” 監督:Jeremy Hartley Sims
 ・『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer” 監督:ブルース・ブレスフォード
 ◎“Tomorrow When The War Began” 監督:スチュアート・ビーティー

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 ◆監督賞(The AFTRS IF Award For Best Direction)
 ・ブルース・ベレスフォード 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ◎David Michôd “Animal Kingdom”
 ・Rachel Perkins “Bran Nue Dae”
 ・Jeremy Hartley Sims “Beneath Hill 60”

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 ◆男優賞(Events Nsw IF Award For Best Actor)
 ◎ベン・メンデルスゾーン “Animal Kingdom”
 ・ツァオ・チー 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ・Deniz Akdeniz “TomorrowWhen The War Began”
 ・ジョエル・エドガートン “The Waiting City”

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 ◆女優賞(The IF Award For Best Actress)
 ◎Caitlin Stasey “Tomorrow When The War Began”
 ・ジャッキー・ウィーヴァー “Animal Kingdom”
 ・ジョアン・チェン 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ・ラダ・ミッチェル “The Waiting City”

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 ◆脚本賞(JAMESON IF Award For Best Script)
 ・David Michôd “Animal Kingdom”
 ・ジャン・サルディ 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ◎スチュアート・ビーティー “Tomorrow When The War Began”

 スチュアート・ビーティーは、『コラテラル』『30デイズ・ナイト』『オーストラリア』『G.I.ジョー』などを手がける脚本家/監督。

 ◆撮影賞(CineAlta By SONY IF Award For Best Cinematography)
 ・グレッグ・フレイザー 『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩~』“Bright Star”
 ・ピーター・ジェームズ 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ◎Denson Baker “The Waiting City”

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 ◆編集賞(AVID IF Award For Best Editing)
 ・Luke Doolan “Animal Kingdom”
 ・アレクサンドル・デ・フランチェスキ(Alexandre De Franceschi) 『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩~』“Bright Star”
 ◎ヴェロニカ・ジャネット “The Waiting City”

 ヴァロニカ・ジャネットは、『スウィーティー』『ピアノ・レッスン』『ある貴婦人の肖像』『ホーリー・スモーク』『裸足の1500マイル』『リトル・イタリーの恋』などを手がける編集者。

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 ◆美術賞(DYSON IF Award For Best Production Design)
 ・Layton Jauncey “Beneath Hill 60”
 ・Felicity Abbott “Bran Nue Dae”
 ◎ジャネット・パターソン 『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩~』“Bright Star”

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 ◆録音賞(SA Film IF Award For Best Sound)
 ・Sam Petty、Rob Mackenzie、Philippe Decrausaz “Animal Kingdom”
 ・John Dennison、Tony Vaccher、Craig Butters 『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩~』“Bright Star”
 ◎Robert Sullivan、Liam Egan、Mark Cornish、Tony Murtagh “Beneath Hill 60”

 Robert Sullivan、Liam Egan、Tony Murtaghは、『サムソンとデリラ』も手がけるエンジニア。

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 ◆音楽賞(Dinosaur Designs IF Award For Best Music)
 ・チェザリー・スカビスゼウスキー(Cezary Skubiszewski)、Jimmy Chi、Kuckles “Bran Nue Dae”
 ・クリストファー・ゴードン(Christopher Gordon) 『小さな村の小さなダンサー』“Mao's Last Dancer”
 ◎ジョニー・クリメック(Johnny Klimek)、ラインホルト・ハイル(Reinhold Heil) “Tomorrow When The War Began”

 ジョニー・クリメックとラインホルト・ハイルは、トム・ティクヴァ組として知られる音楽家で、そのほかの作品に『白バラの祈り』『ランド・オブ・デッド』『ワン・ミス・コール』などがある。

 ◆短編アニメーション賞(The AUTODESK IF Award For Best Short Animation)
 ・『イヴ』“Evelyn Everyone”(オーストラリア) 監督:カイリー・プランケット(Kylie Plunkett)
 ◎“The Lost Thing”(オーストラリア・米) 監督:Shaun Tan、Andrew Ruhemann
 ・“Zero”(オーストラリア) 監督:Christopher Kezelos

 『イヴ』は、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2010上映作品。
 “The Lost Thing”は、アヌシー国際アニメーションンフェスティバル2010 短編部門グランプリ。

 ◆短編賞(The Holding Redlich IF Award For Best Short Film)
 ◎“Celestial Avenue”(オーストラリア) 監督:Colin & Cameron Cairnes
 ・“Daniel's 21st”(オーストラリア) 監督:Adrian Wills
 ・“The Wake”(オーストラリア) 監督:Gemma Lee

 “Celestial Avenue”は、オーストラリア撮影者協会賞2009 フィクション・ドラマ短編部門賞受賞。ロード・アイランド国際映画祭2009 最優秀短編賞受賞。
 “Daniel's 21st”の監督Adrian Willsは、ドキュメンタリー賞とライジング・タレント賞にもノミネートされています。

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 ◆短編ドキュメンタリー賞(The FACB IF Award For Best Short Documentary)
 ・“Big Fella”(オーストラリア) 監督:Michael Longbottom
 ◎“From Dope To Dalai Lama”(オーストラリア) 監督:Jason Raftopoulos
 ・“Little Ripper”(オーストラリア) 監督:Craig Boord

 “From Dope To Dalai Lama”は、薬物依存症から仏僧になり、今ではダイアモンドのディーラーになった男性の悟りの物語。

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 ◆ドキュメンタリー賞(Best Documentary IF Award)
 ・“Boxing For Palm Island”(オーストラリア) 監督:Adrian Wills
 ・“Lani's Story”(オーストラリア) 監督:Genevieve Grieves
 ◎“Strange Birds In Paradise”(オーストラリア) 監督:Charlie Hill-Smith

 “Strange Birds In Paradise”は、西パプアについてのドキュメンタリーで、西パプアの豊かな音楽と息を呑むような自然だけでなく、インドネシア軍に押さえつけられて独立を阻止されている様などをとらえる。

 ◆ミュージック・ビデオ賞(The SAE Institute IF Award For Best Music Video)
 ・Gyroscope “Baby I'm Getting Better” 監督:Nick Pollack
 ◎Angus And Julia Stone “Big Jet Plane” 監督:Kiku Ohe
 ・Philadelphia Grand Jury “The Good News” 監督:Luke Tierney

 受賞作“Big Jet Plane”は、スーパーのレジ係をしている女の子の日常を描いたシンプルなドラマ仕立ての作品でした。

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 ◆インディペンデント・スピリット賞(National Film And Sound Archive Independent Spirit IF Award)
 ◎“Caught Inside”(オーストラリア) 監督:Adam Blaiklock
 ・“Lan Franchi's Memorial Discotheque”(オーストラリア) 監督:Richard Baron
 ・“Little Sparrows” 監督:Yu-Hsiu Camille Chen

 ◆ライジング・タレント賞(EFilm IF Award For Rising Talent)
 ・Adrian Wills
 ◎Ariel Kleiman
 ・Craig Boreham

 Adrian Willsは、短編賞とドキュメンタリー賞にダブルでノミネートされている監督。
 Ariel Kleimanは、“Deeper Than Yesterday”の監督。
 Craig Borehamは、“Before the Rain”“Violet”を発表した監督。

 ◆メディア賞(The Media Super Out Of The Box IF Award)
 ・Hugo Johnstone-Burt(男優)
 ・Firass Dirani(男優)
 ・Eva Lazarro(女優)
 ・Katherine Hicks(女優)
 ・Richard Davies(男優)
 ◎Ryan Corr(男優)

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 ◆生ける伝説賞(The Kodak Living Legend IF Award)
 ◎ブライアン・ブラウン

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 ◆TVへの貢献賞(Contribution to TV at the 2010 Inside Film Awards)
 ◎Penny Chapman(プロデューサー)

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 主な作品のノミネート&受賞状況は、以下のようになっています。

 ・“Animal Kingdom”(2/8):作品・監督・脚本・男優・女優・撮影・編集・録音
 ・『小さな村の小さなダンサー』(0/6):作品・脚本・男優・女優・撮影・音楽
 ・“Tomorrow When The War Began”(4/6):作品・脚本・男優・女優・撮影・音楽
 ・“The Waiting City”(2/4):男優・女優・撮影・編集
 ・“Beneath Hill 60”(1/4):作品・監督・美術・録音
 ・『ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩~』(1/3):編集・美術・録音
 ・“Bran Nue Dae”(0/3):監督・美術・音楽

 最多ノミネートは“Animal Kingdom”でしたが、監督賞こそ押さえたものの、2部門の受賞にとどまりました。

 効率のいい受賞をしたのは“Tomorrow When The War Began”で、勝率2/3で、作品賞・脚本賞・女優賞・音楽賞を受賞しました。

 『ブライト・スター』は、わずか1部門の受賞で、これはジェーン・カンピオンというよりもデザイナーのジャネット・パターゾンの実力というべきでしょうか。

 この賞は、一般による人気投票なので、インディペンデント系の意欲作・野心作や芸術性・作家性の強い作品など、いわゆる批評家に好まれそうな作品は選ばれずに、ポピュラーな話題作が選ばれる傾向にあると思われますが、そう考えると、この結果は、まあまあ、妥当なものと言えるかもしれません。
 ちなみに、“Tomorrow When The War Began”は、ボックス・オフィスで今年公開されて$13.4 millionを稼ぎ、『小さな村の小さなダンサー』は昨年公開されて$15.4 millionを稼いでいます。

 オーストラリアのもう1つの映画賞(もっとあるのかもしれないけど)、オーストラリア映画協会賞も、ノミネーションではほぼ同じような作品の顔ぶれになっているので、2010年の注目すべきオーストラリア映画はだいたい上記のような作品と考えてよいだろうと思われます。あとは、オーストラリア映画協会賞が、IF賞とどんな違いを見せつけてくれるか、ということになるでしょうか。

 “Animal Kingdom”くらい、日本でも劇場公開してもらいたいものですが、昨年の『サムソンとデリラ』や『ブレスド』も東京未公開のままなので、何とかしてもらいたいものだと思いますね。もっとも、わざわざ見せるまでもない程度の作品である可能性もありますが、果たしてどうなのでしょうか。
 “Tomorrow When The War Began”あたりは、ファンタが存続していたら、上映していたかもと思いますが。

 全米映画賞レースには、上記作品の中から“Animal Kingdom”がかろうじて小さくからむかからまないかというところでしょうか。

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 以下に、上記の作品から主だったものを紹介しておきます。

 ・“Animal Kingdom”(オーストラリア)
 監督:David Michôd
 出演:ガイ・ピアース、ベン・メンデルスゾーン、ジョエル・エドガートン(Joel Edgerton)、ルーク・フォード(Luke Ford)、ジャッキー・ウィーヴァー(Jacki Weaver)、James Frecheville
 物語:母の死をきっかけに、17歳の少年が、犯罪ファミリーと彼を助けてくれようとしている刑事との間で気持ちを揺らがせる。
 サンダンス映画祭2010 審査員グランプリ受賞。

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 ・ “Tomorrow When The War Began”(オーストラリア・米)
 監督:Stuart Beattie
 出演:Caitlin Stasey、Rachel Hurd-Wood、Lincoln Lewis、Deniz Akdeniz、Phoebe Tonkin、Chris Pang、Ashleigh Cummings、Andrew Ryan、Colin Friels
 物語:高校生たちがキャンプから帰ってみると、国が侵略され、家族も行方知れずになっているとこがわかる。彼らは、銃を手に取り、戦う覚悟を決める。
 ジョン・マーズデンの『Tomorrow-明日、戦争が始まったら』の映画化。

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 ・“The Waiting City”(オーストラリア)
 監督:Claire McCarthy
 出演:ラダ・ミッチェル、ジョエル・エドガートン、イザベル・ルーカス
 物語:オーストラリア人のカップルが養子を手に入れるためにインドに向かう。しかし、エージェンシーの手続きが完了しておらず、彼らは何もすることがないまま待たされることになる。待っている間に、インドの持つ神秘的な雰囲気に呑み込まれて、2人はそれぞれ別々に行動し始める。それが夫婦の別れにつながるとも知らずに……。
 トロント国際映画祭2010 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。

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 ・ “Beneath Hill 60”(オーストラリア)
 監督:Jeremy Hartley Sims
 出演:Brendan Cowell、Harrison Gilbertson、Steve Le Marquand、Gyton Grantley、Alex Thompson
 物語:オリバー・ウッドワードの実話に基づく物語。1916年、始まったばかりのオリバーの恋は、彼が西部戦線に行くことになって引き裂かれる。彼と彼のオーストラリア小隊は、戦争の流れを変えるために作られた、水が漏る、迷路のような地下通路網を守るために戦う。

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 ・ “Bran Nue Dae”(オーストラリア)
 監督:Rachel Perkins
 出演:ジェフリー・ラッシュ、マグダ・ズバンスキー、トム・バッジ、デボラ・メイルマン、アーニー・ディンゴ、ジェシカ・マーボイ、ロッキー・マッケンジー
 物語:1965年の夏。主人公は、アボリジニの血を引く青年で、彼は、友人たちと楽しく過ごしていたが、将来のためにもっと勉強しなけれないけないと母親にミッション・スクールに入れられてしまう。しかし、そこでは、人種的偏見や体罰がひどく、彼は逃げ出して、家に帰ろうとする……。
 初のアボリジニ・ミュージカルとして人気のある舞台劇の映画化。
 トロント国際映画祭2009 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 サンダンス映画祭2010 スポットライト-フィクション部門出品。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション部門出品。
 ズリーン国際映画祭2010インターナショナル・コンペティション 青少年向け長編作品部門出品。
 アジア太平洋映画賞2010 児童映画賞ノミネート。

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 *当ブログ記事
 ・オーストラリア映画協会賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_5.html

 ・IF賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_32.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:Http://Umikarahajimaru.At.Webry.Info/201005/Article_23.Html

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