サンパウロ国際映画祭2010 受賞結果!

 第34回サンパウロ国際映画祭(São Paulo International Film Festival/Mostra Internacional de Cinema de São Paulo)の受賞結果が発表になりました。(映画祭開催期間は10月22日-11月4日)

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 サンパウロ国際映画祭は、ブラジル最大の映画祭であるのはもちろんのこと、上映本数では世界最大級ともなる作品を上映する映画祭でもあります。

 具体的に、映画祭の内容を書き出したいのですが、公式サイトの使い勝手が悪くて、今年はどんな部門があって、どういう作品がコンペティションを競い、どういう特集上映がなされたのか、全く知ることができません。ヴェンダースやアラン・パーカーが映画祭入りしたらしいことはわかりましたが、果たして彼らが審査員として映画祭入りしたのか、それともレトロスペクティヴが行なわれたのかもわかりません。クリックしてもリンク先に飛んでくれなかったり、英語ページを指定しても、英語とポルトガル語がごちゃごちゃになって出てきたりして、本当に困ってしまいます。

 そんな状態ですが、一応、受賞結果らしきものは判明したので、以下に書き出しておきたいと思います。

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 ◆審査員賞 フィクション部門

 ◎作品賞:“Die Fremde(When We Leave)”(独) 監督:Feo Aladag
 出演:シベル・ケキリ、Settar Tanriögen
 物語:ドイツ生まれのトルコ人女性ウマイは、イスタンブールでの抑圧的な結婚生活を逃れるようにして、息子と2人でベルリンに戻ってくる。それは、ベルリンに戻れば、家族が助けてくれるだろうと期待しての帰国だったが、現実はそんなに甘くはなく、伝統としきたりを重んじる家族は、彼女の思いとは裏腹に、息子を父親の元に返そうとするのだった……。
 ベルリン国際映画祭2010 パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞。
 ドイツ映画賞2010 ブロンズ賞受賞。
 トライベッカ映画祭2010 グランプリ受賞。
 第4回ラックス賞ノミネート。
 ヨーロッパ映画賞2010 女優賞ノミネート(シベル・ケキリ)。

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 ◎審査員特別賞:“Beyond (Svinalängorna)”(スウェーデン・フィンランド) 監督:ペルニラ・アウグスト
 出演:ノオミ・ラパス
 物語:レーナは、34歳で、夫と2人の娘とともにストックホルムで暮らしている。ある日、彼女の母が死んだという知らせが届く。そのことは、彼女が日頃、意識から抹消していること、すなわち、両親がアル中で、少女時代は嫌な思い出しかなかったということを思い出させるのだった……。
 ベネチア国際映画祭2010 批評家週間出品。“Regione del Veneto per il cinema di qualità”Award受賞。

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 ◎俳優賞:ノオミ・ラパス “Beyond (Svinalängorna)”(スウェーデン・フィンランド)

 ◆審査員賞 ドキュメンタリー部門

 ◎作品賞:“Niel Giardino Dei Suoni(In The Garden of Sounds)”(スイス) 監督:Nicola Bellucci
 物語:盲目のミュージシャンWolfgang Fasserについてのドキュメンタリー。彼は、音楽を通して、障害を持つ子供たちの知覚と表現力を広げ、彼らのためにはできていない世界に彼らの居場所を見つける手助けをする。

 ◎審査員賞:“O Samba Que Mora Em Mim(The Samba That Lives Within Me)”(ブラジル) 監督:Georgia Guerra-Peixe
 物語:サンバとリオ・デ・ジャネイロのコミュニティーに関する私的なドキュメンタリー。

 ◆観客賞

 ◎最優秀外国映画:“Balibo”(オーストラリア・東チモール) 監督:ロバート・コノリー
 出演:アンソニー・ラパグリア、オスカー・アイザック、ネイサン・フィリップス
 物語:1975年。東ティモールの独立運動にインドネシアが介入して、混乱状態となり、行方不明となった戦場特派員を、仲間の1人が探しに向かう。
 実話を元にした作品。
 『ポエトリー、セックス』などのプロデューサーとしても知られるロバート・コノリー監督作。
 オーストラリア映画協会賞2009 主演男優賞・助演男優賞・脚色賞・撮影賞・編集賞受賞。
 オーストラリアIF賞2010 編集賞・音響賞受賞。

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 ◎最優秀ドキュメンタリー:“Solutions Locales pour un Désordre Global(Think Global, Act Rural)”(仏) 監督:コリーヌ・セロー
 物語:コリーヌ・セローは、3年以上にわたって、世界中を旅して、疲弊してしまった土地を元に戻すために様々な試みをしている農業従事者や哲学者、経済学者に会って、彼らの話を聞いている。その中には、フランスのPierre Rabhi や Claude & Lydia Bourguignon、ブラジルの Ana Primavesi、インドの Vandana Shiva も含まれる。

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 ◎最優秀ブラジル映画:“Meninos De Kichute” 監督:Luca Amberg

 ◎最優秀ブラジル・ドキュメンタリー:“José & Pilar” 監督:Miguel Gonçalves Mendes

 ◆批評家賞

 ◎最優秀作品:“Mistérios De Lisboa”(ポルトガル) 監督:ラウル・ルイス
 出演:レア・セドゥー、メルヴィル・プポー、レナ・フリードリヒ、クロチルド・エスム
 19世紀の著名なポルトガルの作家カミロ・カステロ・ブランコの小説の映画化。
 物語:嫉妬深い伯爵夫人、金持ちのビジネスマン、孤児の少年が、ポルトガル、フランス、イタリア、ブラジルと世界中をまわり、神秘的な出来事に巡り合っていく……。
 トロント国際映画祭2010 MASTERS部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。監督賞/シルバー・シェル賞受賞。

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 ◎オナラブル・メンション:“Carlos”(仏・独) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 出演:Édgar Ramírez、Alexander Beyer、Anna Thalbach、Julia Hummer、Farid Elouardi、Alexander Scheer、Susanne Wuest、Katharina Schuttler、Udo Samel、Nora Von Waldstätten
 物語:ベネズエラ出身で、1975年のOPEC総会襲撃などを行なった国際的なテロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス(1949~ )(コードネームが「カルロス」で、ヨーロッパ公安当局からは「ジャッカル」と呼ばれる)が1994年に逮捕されるまでを描く。
 この作品は、元々は、テレビ向けに製作された作品で、ミニシリーズとしての上映時間は全330分、カンヌ向けの再編集版の上映時間は140分。
 ヨーロッパ映画賞2010 監督賞・編集賞ノミネート。

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 ◆イタマラチ賞

 ◎最優秀作品:“Rosa Morena”(デンマーク・ブラジル) 監督:Carlos Oliveira

 ◎最優秀ドキュメンタリー:『ヴィック・ムーニーズ/ごみアートの奇跡』(ブラジル・英) 監督:ルーシー・ウォーカー、João Jardim、Karen Harley

 ◎最優秀短編:“Pimenta”(ブラジル) 監督:Eduardo Mattos

 ◎Prêmio Itamaraty pelo Conjunto da Obra:Carlos Reichenbach

 ◆ヤング審査員賞

 ◎『イリュージョニスト』(仏・英) 監督:シルヴァン・ショメ

 ◆功労賞(Prêmio Humanidade)

 ◎マハマット・サレー=ハルーン

 ◎ラウル・ルイス

 ◎ハンナ・シグラ

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 日本からの出品作は以下の通りです。

 ・『タイガー・ファクトリー』“The Tiger Fatory”(マレーシア・日) 監督:ウー・ミンジン
 ・『おとうと』“About her Brother” 監督:山田洋次
 ・『空気人形』“Air Doll” 監督:是枝裕和
 ・“After All These Years”(マレーシア・中・日) 監督:Lim Kar Wai
 ・『キャタピラー』“Caterpilar” 監督:若松孝二
 ・『京都太秦物語』“Kyoto Story” 監督:山田洋次、阿部勉
 ・『ロスト・パラダイス・イン・トーキョー』“Lost Paradise in Tokyo” 監督:白石和彌
 ・“Memoirs Of A Teenage Amnesiac”(米・日) 監督:Hans Canosa
 ・『アウトレイジ』“The Outrage” 監督:北野武
 ・『しんぼる』“Symbol” 監督:松本人志
 ・『羅生門』“Rashomon” 監督:黒澤明

 大きな資本がからまない、ごく低予算の作品で国際的な合作作品が増えつつあるというのが、最近の傾向で、それは今後もっともっと増えていくだろうと思われますが、そういう作品が今年のサンパウロ国際映画祭には3本もエントリーされています。ま、ブラジル人の感覚で見れば、日本人もマレーシア人も同じアジア人に過ぎなくて、これらが他の日本映画とそんなに違うようには見えないかもしれませんが。

 そのほかの作品は、基本的には国際映画祭に引っ張りだこの作品ばかりです。

 黒澤明の『羅生門』は、黒澤明生誕百年を記念した上映会で上映されたもので、黒澤作品との関わりも深い野上照代さんが映画祭入りして記念講演を行なったりもしたようです。

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 特に気になる作品は、コリーヌ・セローが3年以上かけて完成させたというドキュメンタリー“Solutions Locales pour un Désordre Global(Think Global, Act Rural)”です。岩波ホールあたりで上映できたら面白いと思うのですが、どうでしょうか。この作品は、内容的には『落穂拾い』の系譜につながるし、コリーヌ・セローは岩波ホールとは無縁でもないので、可能性はなくもないと思うのですが。

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 *当ブログ記事
 ・サンパウロ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_38.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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