チューリヒ映画祭2010 受賞結果!

 チューリヒ映画祭は、昨年のポランスキー逮捕という事件のせいで、なんだかネガティブなイメージがついてしまいましたが(実際は映画祭サイドも被害者なのですが)、2005年にスタートしたまだまだフレッシュな映画祭で、今年で第6回を迎えました。(開催期間は9月23日-10月3日)

 今年は、The Golden Icon(名誉賞)をマイケル・ダグラスに贈ったのですが、マイケル・ダグラスは、病気療養中で授与式に出席できず、なんだか、この映画祭、とことんついていません。

 映画祭の中身自体は、春先からの映画祭サーキットを回ってきたような作品ばかりですが、逆に、だからこそ、ある程度以上のクォリティーが保証された作品が多く、決して悪いものではありません。(このクラスの映画が日本には全く入って来ないんですが。)

 若い映画祭だからと、新しい才能の発掘・紹介に力を入れたくても、それは、ロカルノ国際映画祭が積極的にやっていることなので、それに太刀打ちできるはずもなく、かといって、ベネチアやサンセバスチャンのような実力派の作品を集めたプレミア度の高い映画祭にもできない、というわけで、とりあえず、現在のような形に落ち着いている、という感じでしょうか。

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 ◆インターナショナル・コンペティション(International Feature Film Competition/ Internationaler Spielfilmwettbewerb)

 ・“Pelican Blood”(英) 監督:Karl Golden
 ・“Third Star”(英) 監督:Hattie Dalton
 ・“Bon Appetit”(西・独・スイス) 監督:David Pinillos
 ・“Belle Epine”(仏) 監督:Rebecca Zlotowski
 ・“Lily Sometimes”(仏) 監督:ファビアンヌ・ベルトー(Fabienne Berthaud)
 ・“Oxygen(Adem)”(ベルギー・オランダ) 監督:Hans Van Nuffel
 ・“Adrienn Pal”(ハンガリー・仏・オーストリア・オランダ) 監督:Ágnes Kocsis
 ・“The Woman With A Broken Nose(Žena sa slomljenim nosem)”(セルビア) 監督:Srdjan Koljevic
 ・“R”(デンマーク) 監督:Tobias Lindholm、Michael Noer
 ・“Blue Valentine”(米) 監督:Derek Cianfrance
 ・“Monogamy”(米) 監督:Dana Adam Shapiro
 ・“A Useful Life(La vida útil)”(西・ウルグアイ) 監督:Federico Veiroj

 ※審査員:フランク・ランジェラ(審査員長)、バリー・ギフォード、Julia Solomonoff (アルゼンチンの監督・脚本家)、カルロス・キュアロン、Sharon Swart (オランダの俳優)、Anatole Taubman (スイスの作家)

 ◎最優秀作品:“The Woman With A Broken Nose(Žena sa slomljenim nosem)”(セルビア) 監督:Srdjan Koljevic
 物語:ベオグラードのブランコ橋にタクシーが差し掛かった時、突然、タクシーの中から、「鼻の折れた女」が飛び出して、橋から飛び降り自殺をする。ここから、この飛び降り自殺を目撃した3人の物語が始まる。1人目は当のタクシー運転手Gavriloで、ボスニア難民である彼は捨て子の赤ん坊を抱えて、途方に暮れていた。2人目は陰気な女教師Anicaで、彼女は息子を亡くしたトラウマから逃れられずにいた。3人目の薬剤師Biljanaは、フィアンセが思っていたような相手ではないということを悟ったばかりであった。それぞれに問題を抱える3人は、自分の抱える問題にうまく向き合えないでいた。「鼻の折れた女」は、一命を取りとめ、Gavriloが面倒を見ることになるが、人間嫌いの彼にとって、それが、生まれて初めて、他人にとって大切な人間になるということになった……。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門出品。

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 ◎批評家賞(Critics Choice Award):“Adrienn Pal”(ハンガリー・仏・オーストリア・オランダ) 監督:Ágnes Kocsis
 出演:エヴァ・ガボール、István Znamenák、Ákos Horváth
 物語:あまりにも多くの死と出会いすぎて、頭がおかしくなりそうになった看護婦が、長い間、音信不通になっている子供時代の友だちを捜す旅に出る。しかし、彼女の思うようには行かず、その旅は、意図したものとは全く違うものになってしまう。
 カンヌ国際映画祭2010 ある視点部門出品。国際批評家連盟賞受賞。
 サラエボ映画祭2010 長編コンペティション部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2010 インターナショナル・コンペティション部門出品。

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 ◎Variety ニュー・タレント賞(Variety’s New Talent Award):“Oxygen(Adem)”(ベルギー・オランダ) 監督:Hans Van Nuffel
 出演:Stef Aerts、Wouter Henrickx、Marie Vinck、Anemone Valcke、Rik Verheys
 物語:トムとルーカスは、兄弟で、ともに遺伝性の肺の病を患っていた。トムは、短い人生を憂いて、刹那的に生きることしかできず、チンピラたちとつきあっていた。しかし、病院で、同じ病気のグサヴィエと出会い、考え方が変わる。グサヴィエは、とても楽天的な性格で、恋人に振られても前向きで元気でいられた。そんなグザヴィエの影響を受けて、トムも前向きになり、入院患者で、ちょっと風変わりな女の子エリーヌに恋をする。彼女は、感染を防ぐために外界から遮断された部屋に入れられていて、トムとは肌を触れ合うこともできず、ただ電話のみがコミュニケーション手段であった。そんな時、ルーカスが肺の移植手術の最中に死んでしまい、トムはまたふさぎ込んでしまう。
 モントリオール世界映画祭2010 ワールド・コンペティション部門出品。グランプリ&エキュメニカル審査員スペシャル・メンション受賞。

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 ◆ドイツ語作品コンペティション(German-Language Feature Film Competition/ Den Besten Film im Internationalen Spielfilmwettbewerb)

 ・“180°”(スイス・独) 監督:Cihan Inan
 ・“Das Lied in mir(The Day I Was Not Born)”(独・アルゼンチン) 監督:Florian Micoud Cossen
 ・“Der letzte schöne Herbsttag”(独) 監督:Ralf Westhoff
 ・“Die Hummel”(独) 監督:Sebastian Stern
 ・“Snowman's Land”(独) 監督:Tomasz Thomson
 ・“Stationspiraten”(スイス) 監督:Mike Schaerer
 ・“Vielleicht in einem anderen Leben”(オーストリア・ハンガリー・独) 監督:Elisabeth Scharang
 ・“Zu Zweit”(スイス) 監督:Barbara Kulcsar

 ※審査員:ジェシカ・ハウスナー、ヨハンナ・ヴォカレク、Frieder Wittich (ドイツの監督・脚本家)、Christof Neracher (スイスのプロデューサー)、Christoph Schaub (スイスの監督)

 ◎最優秀作品:“Das Lied in mir (The Day I Was Not Born)”(独・アルゼンチン) 監督:Florian Micoud Cossen
 出演:ジェシカ・シュヴァルツ(Jessica Schwartz)、ミヒャエル・グヴィスデク(Michael Gwisdek)、Raphael Ferro、Beatriz Spelzini、Carlos Portaluppi、Alfredo Castellani
 物語:31歳のマリアは、チリへの旅の途中に立ち寄ったブエノスアイレスで、自分が意味のわからないままに口ずさんでいた童謡がここアルゼンチン発祥のものらしいことを知って驚く。そして、そのことを電話で父に話した後、しばらくこの街をぶらついてみることにする。2日後、彼女のホテルに突然父がやってくる。父は、70年代の独裁政権時代にマリアを養女に貰い、ドイツに連れ帰ったのだと話す。父は、娘を失いたくないという思いを抱きつつ、娘と2人で、娘の実の両親を捜すことにする。
 モントリオール世界映画祭2010 ワールド・コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞&エキュメニカル審査員賞&観客賞受賞。

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 ◎観客賞(Publikumspreis):“Stationspiraten”(スイス) 監督:Mike Schaerer
 物語:主人公は、ガン病棟に入院している5人の青少年。ガンで入院してはいても、彼らは彼らなりに希望を持ち、友情を育む。たとえずっとパジャマ姿で、体からチューブが垂れ下がっていても。ただし、5人のうちの1人だけは、自分が直面している状況をうまく受け止められずにいた。

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 ◆インターナショナル・ドキュメンタリー・コンペティション(International Documentary Film/ Den Besten Film im Internationalen
Dokumentarfilmwettbewerb)

 ・“The Edge of Dreaming”(英) 監督:Amy Hardie
 ・“The Rising Sun”(スイス) 監督:Fabian Kimoto
 ・“Adopted”(独・グルジア) 監督:Rouven Rech、Gudrun F. Widlok
 ・“More Than Just Words”(オーストリア) 監督:Anna Katharina Wohlgenannt
 ・“Armadillo”(デンマーク) 監督:Janus Metz Pedersen
 ・“Beijing Punk”(米・中・オーストラリア・英) 監督:Shaun M. Jefford
 ・“Last Train Home”(カナダ・中・英) 監督:Lixin Fan
 ・“Marwencol”(米) 監督:Jeff Malmberg
 ・“The Tillman Story”(米) 監督:Amir Bar-Lev
 ・“One Day Less(Un día menos)”(メキシコ) 監督:Dariela Ludlow
 ・“The Two Escobars”(コロンビア・米) 監督:Jeff Zimbalist、Michael Zimbalist
 ・“Hauling”(ブラジル) 監督:Sean Walsh

 ※審査員:Jennifer Fox (アメリカの監督・プロデューサー・撮影監督)、Chris Paine (アメリカの監督・プロデューサー)、Mark Lewis (オーストラリアの監督・脚本家・プロデューサー)、Nenad Puhovski (クロアチアの監督・プロデューサー)、Heidi Specogna (スイスの監督)

 ◎最優秀作品:“Armadillo”(デンマーク) 監督:Janus Metz Pedersen
 物語:デンマーク軍のダニエルとマッツは、アフガニスタンのアルマジロ駐屯地にいる。ここは、最前線ヘルマンドに兵士を送り込むための基地で、彼らはタリバンと戦い、アフガニスタンを助けるためにここにいるが、彼らとアフガニスタン住民とのギャップは広がるばかりで、彼らはパラノイアに陥っていく。
 カンヌ国際映画祭2010 批評家週間グランプリ受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 トロント国際映画祭2010 REAL TO REEL部門出品。

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 ◎審査員スペシャル・メンション(Eine Besondere Erwähnung):“Last Train Home”(カナダ・中・英) 監督:Lixin Fan
 たくさんの人とつきあいつつ、遠い故郷の家族の関係も途切らせないようにしている中国人移民の物語。
 サンダンス映画祭2010 コンペティション部門出品。
 カナダ・Jutra賞2010 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。

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 ◆The Golden Icon(名誉賞)
 ◎マイケル・ダグラス
 病気療養中のマイケル・ダグラスに代わりダニー・デビートが授与式に出席しました。
 昨年はモーガン・フリーマン、一昨年はシルヴェスター・スタローンが受賞しています。

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 昨年、ポランスキーに贈られたのはこれではなく、“A Tribute To”という名の功労賞で、今年はミロシュ・フォアマンに贈られ、彼の作品11本が上映されました(“Audition” “Why Do We Need All The Brass Bands?”『黒いピーター』『ブロンドの恋』『消防士の舞踏会』『カッコーの巣の上で』『ヘアー』『アマデウス』『ラリー・フリント』『マン・オン・ザ・ムーン』“A Walk Worthwhile”)。

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 ちなみに、昨年の事件を踏まえて、今年は、“レッド”・カーペットを辞めて、グリーン・カーペットを採用したそうです。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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