今年の最優秀オランダ映画はこんな作品でした! オランダ映画祭2010 結果発表!

 オランダ映画祭(Nederlands Film Festival)2010の受賞結果が発表されました(開催期間は9月23日-10月1日)。

 オランダ映画祭は、台湾の台北電影節や韓国の利川春史大賞映画祭、クロアチアのプーラ映画祭(Pula Film Festival)と同じで、映画祭形式で国内の年間映画賞を決める催しです。

 コンペティション部門(Gouden kalf Competitie)には、長編部門、長編ドキュメンタリー部門、短編ドキュメンタリー部門、短編部門、TV映画部門という5部門があります。

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 ◆最優秀作品賞(Beste Speelfilm)
 ◎“Joy” 監督:マイケ・デ・ヨング(Mijke de Jong)

 ◆監督賞(Beste Regie)
 ◎Rudolf van den Berg “Tirza”

 ◆主演男優賞(Beste Acteur)
 ◎Barry Atsma “Komt Een Vrouw Bij De Dokter(Stricken)”(監督:Reinout Oerlemans)

 ◆主演女優賞(Beste Actrice)
 ◎Carice van Houten “De Gelukkige Huisvrouw(The Happy Housewife)”(監督:Antoinette Beumer)

 ◆助演男優賞(Beste Mannelijke Bijrol)
 ◎Jeroen Willems “Majesteit(Her Majesty)”(監督:Peter de Baan)

 ◆助演女優賞(Beste Vrouwelijke Bijrol)
 ◎Coosje Smith “Joy”

 ◆最優秀脚本賞(Beste Scenario)
 ◎Helena van der Meulen “Joy”

 ◆最優秀撮影賞(Beste Camera)
 ◎Lennert Hillege “R U There”(オランダ・台湾)(監督:David Verbeek)

 ◆最優秀編集賞(Beste Montage)
 ◎Job ter Burg “Tirza”

 ◆最優秀美術賞(Beste Production Design)
 ◎Vincent de Pater “Lang & Gelukkig(Happily Ever After) ”(監督:ピーター・クラマー(Pieter Kramer))

 ◆最優秀音響賞(Beste Geluid)
 ◎Peter Warnier “R U There”

 ◆最優秀音楽賞(Beste Muziek)
 ◎Ernst Reijseger “C'est Deja L' Ete”(ベルギー・オランダ)(監督:Martijn Maria Smits)

 ◆最優秀短編賞(Beste Korte Film)
 ◎“De Maan Is Kapot(The Moon Is Broken)” 監督:Arno Dierickx

 ◆最優秀短編ドキュメンタリー賞(Beste Korte Documentaire)
 “Weapon Of War” 監督:Ilse van Velzen、Femke van Velzen

 ◆最優秀長編ドキュメンタリー賞(Beste Lange Documentaire)
 ◎“Farewell” 監督:Ditteke Mensink

 ◆最優秀TV映画賞(Beste Televisiefilm)
 ◎“Finnemans” 監督:Thomas Korthals Altes

 ◆審査員特別賞(Speciale Juryprijs)
 ◎“Lang & Gelukkig(Happily Ever After)”のキャストに対して

 ◆観客賞(Film1 Publieksprijs)
 ◎“Lang & Gelukkig(Happily Ever After) ”

 ◆オランダ映画批評家協会賞(Prijs van de Nederlandse Filmkritiek)
 ◎“Schemer” 監督:Hanro Smitsman

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 主な作品の受賞状況は以下のようになっています。

 ・“Joy”(3):作品・助演女優・脚本
 ・“Tirza”(2):監督・編集
 ・“Komt Een Vrouw Bij De Dokter(Stricken)”(1):主演男優
 ・“De Gelukkige Huisvrouw(The Happy Housewife)”(1):主演女優
 ・“Majesteit(Her Majesty)”(1):助演男優
 ・“R U There”(2):撮影・音響
 ・“Lang & Gelukkig”(3):美術・審査員・音響
 ・“C'est Deja L' Ete”(1):音楽

 2010年のオランダ映画は、ベルリン、カンヌ、ベネチアのコンペティション部門にエントリーされた作品は1本もなく、大きな映画賞を受賞した作品もありませんでした。

 モスクワや上海、カルロヴィ・ヴァリ、サンセバスチャンのコンペ入りも1本もなく、モントリオールで、ベルギーとの合作である“Adem (Oxygen)”がかろうじてエントリーされていましたが、インターナショナルな注目作はほぼそれくらいでしょうか。

 ヨーロッパ映画賞2010 ロングリストにエントリーされた作品としては、グルジアとの合作となる“De Vliegenierster Van Kazbek(The Aviatrix Of Kazbek)と、オランダ映画としては昨年度の作品となる“Nothing Personal”があるくらいでした。

 寂しいといえば寂しいですが、スター監督が登場して、意欲的な作品を発表してくれないことには仕方ありません。かつて国際的に大きな注目を受けたオランダ人監督は何人もいたはずで、いずれもまだ現役のはずなんですが、企画や制作のチャンスに恵まれないということでしょうか。

 ポール・ヴァーホーヴェン、ヤン・デ・ボン、マルレーン・ゴリス、ヤン・クーネン、アントン・コービンら、認められた監督はみんな外国に出て行ってしまうのですが、近年は、外国に出ずに、共同製作という形で製作を進めるのが増えているらしく、それが、オランダ映画界を活性化するための希望、と言えば希望、でしょうか。

 ひょっとすると、インターナショナルに大活躍していたFortissimo Filmの代表バウター・バレンドレクト(Wouter Barendrecht)が2009年に亡くなって、オランダ映画の牽引者的な役割を果たす人がいなくなった、ということはあるかもしれません。

 と言いつつ、オランダ映画祭のエントリー&受賞作は↑↓、国際映画祭でグランプリを獲ったりするような作品ではないにしても、ある意味でオランダとオランダ映画の現在を映し出していて、決して悪くはなさそうです。

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 主な受賞作品の内容は下記の通りです。

 ・“Joy”
 監督:マイケ・デ・ヨング(Mijke de Jong)
 物語:ジョイは、18歳の女性で、地下鉄でアコーディオンを弾いたり、かっぱらいをしたりして小銭を稼いでいた。彼女は、生まれると同時に捨てられて、養父母に育てられたが、そのことがずっと心の傷となっていた。妊娠中の女友だちデニースの家に転がり込んでいたが、品行が悪くて、追い出されてしまう。彼女の唯一の望みは、生みの母を見つけ出すことで、昔の住所と自分に似ているということを頼りにたぶんこの人だろうという人を見つけ出す。その人は、新しい家庭を築いていて、そこには自分より若い女の子もいる。ジョイは、母を見つけたという喜びと恐れを半々に抱きながら、しばらくその家庭を観察するが、その人が自分の母とは違う名前で呼ばれるのを聞いてショックを受ける。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション部門 14plus出品。
 ズリーン国際映画祭2010 パノラマ部門出品。

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 ・“Tirza”
 監督:Rudolf van den Berg
 物語:Jörgenの人生はボロボロだった。早期退職を求められ、別れた妻からは不快な思いをさせられ、唯一の希望であった愛する娘Tirzaは旅先のナミビアで行方不明になってしまう。彼は、娘を捜してナミビアに向かう。暑さと飲酒癖と過去のいやな記憶に苦しめられつつ、娘の痕跡を追って旅をし、そして、最後に娘の運命を知る……。
 Arnon Grunbergのベストセラーの映画化。
 米国アカデミー賞2011 オランダ代表作品。

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 ・“R U There”(台湾・オランダ)
 監督:David Verbeek
 物語:Jitzeは、20歳のゲーマーで、ビデオゲームのトーナメント大会に参加して、世界中を回っていた。ある日、彼は、台北で大事故に遭遇し、いかに人の命が脆いかということに気づかされる。彼は、唐突に、出会ったばかりビンロウ売りの娘と第二の人生を生きようと決心をするが……。
 カンヌ国際映画祭2010 ある視点部門出品。
 バンクーバー国際映画祭2010 Cinema of Our Time部門出品。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2010 Noves visions- Fiction部門出品。

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 ・“Lang & Gelukkig(Happily Ever After)”
 監督:ピーター・クラマー(Pieter Kramer)
 「シンデレラ」と「赤ずきん」と“Prince Roderick”の物語をミックスした同名舞台劇の映画化で、シンデレラの物語をベースに、シンデレラ、赤ずきん、狼、意地悪な継母、王子らが登場する。
 『クリビアにおまかせ!』のピーター・クラマー最新作。

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 長編部門の選考対象となった作品は、以下の28作品です。

 ・“Bardsongs”(2010/オランダ) 監督:Sander Francken
 ・“C'est déjà l'été”(2010/ベルギー・オランダ) 監督:Martijn Maria Smits
 ・“First Mission”(2010/オランダ) 監督:Boris Paval Conen
 ・“Foeksia de miniheks(Fuchsia the Mini Witch)”(2010/オランダ) 監督:Johan Nijenhuis
 ・“Gangsterboys”(2010/オランダ) 監督:Paul Ruven
 ・“De gelukkige huisvrouw(The Happy Housewife)”(2010/オランダ) 監督:Antoinette Beumer
 ・“De hel van '63(The Hell of 63)”(2009/オランダ) 監督:Steven de Jong
 ・“Hunting & Zn.(Hunting & Sons)”(2010/オランダ) 監督:Sander Burger
 ・“Johan Primero”(2010/オランダ) 監督:ヨハン・クレイマー(Johan Kramer)
 ・“Joy”(2010/オランダ) 監督:マイケ・デ・ヨング(Mijke de Jong)
 ・“Kom niet aan mijn kinderen(Don't Touch My Children)”(2010/オランダ) 監督:Ron Termaat
 ・“Komt een vrouw bij de dokter(Stricken)”(2009/オランダ) 監督:Reinout Oerlemans
 ・“Lang & gelukkig(Happily Ever After)”(2010/オランダ) 監督:ピーター・クラマー(Pieter Kramer)
 ・“Lex”(2010/オランダ)監督:Frank Lammers、Eric Wobma
 ・“Majesteit(Her Majesty)”(2010/オランダ) 監督:Peter de Baan
 ・“De Nobelprijswinnaar(The Nobel Prize Winner)”(2010/オランダ) 監督:Timo Veltkamp
 ・“R U There”(2010/オランダ・台湾) 監督:David Verbeek
 ・“Richting West(Heading West)”(2010/オランダ) 監督:Nicole van Kilsdonk
 ・“Schemer(Dusk)”(2010/オランダ) 監督:Hanro Smitsman
 ・“Shocking Blue”(2010/オランダ) 監督:Mark de Cloe
 ・“Sterke verhalen”(2010/オランダ) 監督:Teddy Cherim、Kees van Nieuwkerk
 ・“Terug naar de kust(The Dark House)”(2009/オランダ) 監督:Will Koopman
 ・“Tirza”(2010/オランダ) 監督:Rudolf van den Berg
 ・“Vlees(Meat)”(2010/オランダ) 監督:Maartje Seyferth、Victor Nieuwenhuijs
 ・“De Vliegenierster van Kazbek(The Aviatrix of Kazbek)”(2010/オランダ) 監督:イネケ・スミツ(Ineke Smits)
 ・“Vreemd bloed(The Odd One Out)”(2010/オランダ) 監督:Johan Timmers
 ・“Win/Win”(2010/オランダ) 監督:Jaap van Heusden
 ・“Zwart water(Two Eyes Staring)”(2010/オランダ) 監督:Elbert van Strien

 ヨハン・クレイマーは、『アザー・ファイナル』(2002)の監督。
 マイケ・デ・ヨングは、『私の青い鳥』(2004)が映画祭上映されています。
 ピーター・クラマーは、『クリビアのおまかせ!』(2002)の監督。
 イネケ・スミツは、『マゴニア』(2001)の監督。 

 個人的に観たいと思うのは、“Joy”か“Tirza”かイネケ・スミツの最新作でしょうか。

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 *当ブログ記事
 ・日本で公開されたオランダ映画1912~2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200903/article_5.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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