バンクーバー国際映画祭2010 受賞結果発表!

 閉会式で、2つの審査員賞と5つの観客賞が発表され、16日間にわたって開催されたバンクーバー国際映画祭2010の全日程を終了しました。(10月15日)

 先行して発表されていたタイガー&ドラゴン 新人賞を含む、全受賞結果は以下の通りです。

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 ◆最優秀カナダ映画賞(ET Canada Award for Best Canadian Feature Film)
 ◎“Incendies”(カナダ/ケベック) 監督:デニ・ヴィルヌーヴ
 出演:ルブナ・アザバル(Lubna Azabal)、Mélissa Désormeaux-Poulin、Maxim Gaudette、レミー・ジラール(Rémy Girard)
 物語:母の最後の望みは、双子のジャンとシモンに、彼らのルーツであるレバノンに旅させることであった。
 Wajdi Mouawadの舞台劇の映画化。
 ベネチア国際映画祭2010 ベネチア・デイズ部門出品。European Cinema Award スペシャル・メンション受賞。
 トロント国際映画祭2010 最優秀カナダ映画賞受賞。
 米国アカデミー賞2011 外国語映画賞 カナダ代表。

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 ◆審査員スペシャル・メンション
 ◎“Curling”(カナダ/ケベック) 監督:Denis Côté
 物語:ジャン・フランソワは、長くシングル・ファーザーを続けている。しかし、ある出来事が起こって、12歳の娘とのバランス関係が危うくなる。
 ロカルノ国際映画祭2010 インターナショナル・コンペティション部門出品。
 トロント国際映画祭2010 VISIONS部門出品。

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 ◆カナダ短編映画 有望監督賞(Most Promising Director of a Canadian Short Film)
 ◎“Mokhtar”(カナダ/ケベック) 監督:Halima Ouardiri

 ※審査員:Andrea Henning(Arts and Culture for the Province of British Columbiaのエグゼクティヴ・ディレクター)、デボラ・カラ・アンガー、Sandy Wilson(監督・脚本家・プロデューサー)、Frank Samson(ET Canadaのsupervising producer)

 ◆タイガー&ドラゴン 新人賞(Dragons & Tigers Award for Young Cinema)
 ◎『世界グッドモーニング!!』“Good Morning To The World”(日) 監督:廣原暁
 物語:「連日ニュースは、若者の自殺が多いことを報道していた。高橋ユウタは高校一年生で、母親の高橋聡美との二人暮らし。父親は幼い頃に出ていき、聡美は誰の力も借りずに一人でユウタを育ててきた。そんなある日、ユウタの通学路途中のトンネルに、見慣れぬホームレスが住み着く。ユウタは持ち前の好奇心から、何となくホームレスのことが気になってしまい、遂にはホームレスの鞄を盗んでしまう。しかし、その翌朝、ホームレスは死んでしまう。ユウタは、この鞄をホームレスの家族に届けようと決意し、旅に出る。」

 △次点:“Rumination”(中) 監督:Xu Ruotao
 △次点:“Don't Be Afraid, Bi!”(ベトナム) 監督:Phan Dang Di

 ※審査員:ポン・ジュノ、Denis Côté、ジャ・ジャンクー

 ◆芸術功労賞女性映画・TV作品賞(Women in Film & Television Vancouver Artistic Merit Award)
 映画やTV作品で優れた功績を認められた女性に贈られる。
 ◎April Telek (カナダ/ブリティッシュ・コロンビア) “Amazon Falls”(監督:Katrin Bowen)

 ◆観客賞(Rogers People's Choice Award)
 ◎『ヴィック・ムーニーズ/ごみアートの奇跡』“Waste Land”(米・ブラジル) 監督:ルーシー・ウォーカー
 国際的なアーティストVik Munizが、リオ・デ・ジャネイロの埋立地でゴミ漁りをする人々とコラボレートして、人々の生活がいかに変わったかを検証する。
 ルーシー・ウォーカーは『ブラインドサイト 小さな登山者たち』の監督。
 サンダンス映画祭2010 観客賞受賞。

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 ◆観客賞 ノンフィクション部門(VIFF Most Popular Nonfiction Film Award)
 ◎“Kinshasa Symphony”(独) 監督:Claus Wischmann、Martin Baer
 出演:Musiker des Orchestre Symphonique Kimbanguiste
 キンシャサのオーケストラ、Musiker des Orchestre Symphonique Kimbanguisteが、コンゴの独立記念日に開催予定の野外コンサートのために、リハーサルを行なっている。メンバーは素人か我流で演奏を学んだ者ばかり。コンサートのための衣裳は、みんな手作りで、メンバーは、リハーサルの間に食事をしたり、子どもたちにご飯を食べさせたり…。このオーケストラは、現指揮者Armand Diangiendaの祖父が設立したもので、今ではメンバーは200人にもなり、コンサートの来場者も数千人に及んでいる。
 ベルリン国際映画祭2010 ベルリン・スペシャル部門出品。

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 ◆観客賞 カナダ映画部門(VIFF Most Popular Canadian Film Award)
 ◎“Two Indians Talking”(カナダ/ブリティッシュ・コロンビア) 監督:Sara Mcintryre
 物語:アダムは、第7世代に当たる大卒のネイティヴ(インディアン)で、知識こそ自分たちが生き残るための頼みの綱だと考えている。ネイサンは、高校中退で、過去20年の間に挫折を繰り返し、すっかり夢を見失っている。いとこ同士の2人は、道路封鎖が行なわれる前日に、来るべき闘いのための準備をしつつ、人生について、文化について、女性について、夢について、政治について、文学について、教育について、貧困について、そして自分たちの未来について(そういうものがあるとしてだが)、語り合う。

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 ◆観客賞 ドキュメンタリー部門(National Film Board of Canada’s Most Popular Canadian Documentary Award)
 ◎“Leave Them Laughing” (カナダ/ブリティッシュ・コロンビア) 監督:John Zaritsky
 物語:筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、通称ALS)は、現在のところ、治療の見込みのない病気で、この病気にかかってしまうと、患者は、死ぬまでの限られた日々を病気とともに過ごすしかない。本作は、ALSにかかっても、それを笑い飛ばせるほどの元気さとユーモアの持ち主である、コメディアンで女優のCarla Zilbersmithと彼女の息子との日々を、あまり他人にさらしたくないような面も含めて、ドキュメントしていく。

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 ◆観客賞 環境映画部門(VIFF Environmental Film Audience Award)
 ◎“Force Of Nature: The David Suzuki Movie”(カナダ/ブリティッシュ・コロンビア) 監督:Sturla Gunnarsson
 75歳にして、いっこうに衰えを見せない環境保護活動家のDavid Suzukiに関するドキュメンタリー。
 トロント国際映画祭2010 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。

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 既に高い評価を受けている作品が受賞を重ねている中で、日本人にとって注目されるのは、やはり、ドラゴン&タイガー 新人賞を受賞した『世界グッドモーニング!!』でしょうか。

 アジア映画部門であるドラゴン&タイガー部門には、長編作品だけで42本もの作品が上映されたのですが、その中で、新人賞対象作品となったのは以下の6作品でした。

 ・“Don't Be Afraid, Bi!”(ベトナム) 監督:Phan Dang Di
 ・“Sandcastle”(シンガポール) 監督:ブー・ジュンフェン
 ・“Rumination”(中) 監督:Xu Ruotao
 ・“End of Animal”(韓) 監督:Jo Sung-Hee
 ・“Kimu; the strange dance”(韓) 監督:Park Donghyun
 ・『世界グッドモーニング!!』“Good Morning To The World”(日) 監督:廣原暁

 6作品からの受賞というと、大したことがないようにも見えますが、既に国際的な評価を得ている“Don't Be Afraid, Bi!”やブー・ジュンフェンを抑えての受賞であり、審査員であるポン・ジュノやジャ・ジャンクーのお墨つきをもらったという点でも、かなりの名誉ある賞であるように思えます。

 『世界グッドモーニング!!』は、武蔵野美術大学造形学部映像学科の卒業制作作品で、廣原暁監督の本格的な映画作品としては3本目であり、監督は、現在、東京藝術大学修士課程映画専攻監督領域に在学中だそうです。
 『世界グッドモーニング!!』は、ストーリー的には、今年のベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されたロシア映画“Ovsyanki (Silent Souls)”や、エラン・リクリス監督の:“The Human Resources Manager”に、似ているところがあるように思われます。

 *廣原監督のブログ「安心ごっこ」:http://waytogo0516.jugem.jp/

 ちなみに、過去にこの賞を受賞した作品には、ホン・サンスの『豚が井戸に落ちた日』、イ・チャンドンの『グリーン・フィッシュ』、ジャ・ジャンクーの『一瞬の夢』などのほか、古厩智之『この窓は君のもの』、早川渉『7/25 nana ni go』、高橋泉『ある朝スウプは』などがあります。

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 *当ブログ記事
 ・バンクーバー国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_46.html

 ・バンクーバー国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_36.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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 ◆Photo Gallery

 ・『白昼のイカロス』の監督の阿部綾織&高橋那月

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 ・ドラゴン&タイガー部門の審査員3人とトニー・レインズ

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 ・『世界グッドモーニング!!』の出演俳優・イズミミツノリ、廣原暁監督、撮影監督のコアライヒロタツ

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 ・ドラゴン&タイガー部門よりXu Ruotao監督、廣原暁監督、Phan Dang Di監督
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