米国アカデミー賞2011 短編ドキュメンタリー賞ショートリスト発表! 女性監督だらけ!

 米国アカデミー賞2011 短編ドキュメンタリー賞のショートリスト8作品が発表されました。(10月13日)

 昨年は、映画祭の受賞結果を通して、タイトルを知っている作品もあったのですが、今年は、知らない作品ばかりです。

 短編なので、テーマやモチーフ、アングル、語り口に関し、いろんな冒険ができる部門ですが、今年は、自爆テロ、銃乱射事件、対イラク戦、難民生活といった過酷な経験の後遺症と闘う人々の姿をとらえた作品が目を引きます。

 あと、エントリーされている作品の監督がほとんど女性であることも注目されます。

 一般的にドキュメンタリーは体力と根気が勝負のようなところがあって、どちらかと言えば、女性より男性が向いているというようなイメージがありますが、短編であれば、さほど過酷でもなく、むしろ取材相手にスムーズに入っていけたりするという点で女性の方が有利なのかもしれません。撮影機材も以前に比べたら、格段にコンパクトになりましたし。
 そう思ってみると、エントリー作品は、女性らしい興味関心の反映された作品ばかりですね。

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 ・“Born Sweet”(米・カンボジア)(やさしく生まれて)
 監督:Cynthia Wade
 物語:Vinh Voeurnは、カンボジアの小さな村に住む15歳の少年。彼は、砒素中毒に侵されて、いつまで元気でいられるかわからない体でありながら、牛の世話をし、車のバッテリーで機動させたカラオケマシーンで唄うのを楽しみに日々を過ごしている。彼の夢は、髪のきれいな女の子と結婚することと、カラオケでスターになること。しかし、結婚はできないし、自分の望むような人生を送れないだろうということは本人も気づいている。
 監督のCynthia Wadeは、キャリア15年以上になるドキュメンタリー作家で、“Freeheld”(2007)で、米国アカデミー賞2008 短編ドキュメンタリー賞を受賞しています。
 “Freeheld”で、サンダンス映画祭2007 Short Filmmaking Special Jury Prizeを受賞しているほか、本作でもサンダンス映画祭2010 Short Filmmaking Award - Honorable Mentionを受賞しています。

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 ・“Killing in the Name”(米)(神の名の下の殺人)
 監督:Jed Rothstein
 物語:4年前。Ashraf Al-Khaledの結婚式が、アルカイダの自爆テロに見舞われ、花婿・花嫁双方の父親を含む27人もの親類縁者が一瞬にして殺戮される。

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 ・“Living for 32”(米・仏)(亡くなった32人のために生きる)
 監督:
 物語:2007年4月16日に、ヴァージニア工科大学で起こった銃乱射事件の生き残りColin Goddardの物語。32名の死者と17名の負傷者を出した同事件を、Colin Goddardが持ち前の情熱とカリスマ性と楽観主義で乗り越えていこうとする姿をとらえる。

 ・“One Thousand Pictures: RFK’s Last Journey”(米・英)(1000枚の写真:ロバート・ケネディー最後の旅)
 監督:Jennifer Stoddart
 物語:ロバート・ケネディーが暗殺されて、ニューヨークのセント・パトリック大聖堂から、彼の兄の眠るアーリントン墓地に埋葬するために、移送される。たくさんの群集が集まってくる。子供たち、兵士たち、消防士たち、母たち、娘たち、父たち、息子たち……。ある者は敬礼し、ある者は泣き、また、ある者は胸に手を当てて立ち尽くす。ロバート・ケネディーの報道官であったフランク・マンキーウィッツは、今ここで何かが起こっていると感じるが、それが何なのかはわからない。しかし、写真家Paul Fuscoは、その様子を写真に撮り、1000枚の写真が残された。1000枚の写真を通して、あの日、あの時の物語が甦る。
 ロードアイランド国際映画祭2010 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。

 ・“Poster Girl”(米)(ポスターガール)
 監督:Sara Nesson
 物語:ロビン・マーレイ(Robynn Murray)は、オール・アメリカン・ハイスクールのチアリーダーだったが、“Army Magazine”の表紙に起用されて、闘う女たちの「ポスターガール」となる。今、彼女は、イラクから帰還し、PTSDと闘っている。鋼のような外見にはひびが入り、人生の再建に挑んでいる。

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 ・“Strangers No More”(米)(もうよそ者はいない)
 監督:Karen Goodman、Kirk Simon
 物語:Bialik-Rogozin Schoolは、テルアビブの中心部にある特別校で、ここには、48の異なる国、異なるバックグラウンドを持つ子供たちが集まってきている。ある者は、貧困から、ある者は政治的な迫害から、またある者は虐殺を逃れて、ここに来ることになった。ここには「よそ者」はいない。カメラは、何人かの子供たちを追い、彼らが新しい土地に馴染み、過酷な体験を乗り越えて、少しずつ心を開いてくる様子をとらえる。

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 ・“Sun Come Up”(米・パプアニューギニア)(陽は巡る)
 監督:Jennifer Redfearn、Tim Metzger
 物語:島が水没してしまったために、あるいは、戦争で疲弊してしまったために、離島から離島へと移り住むことになったパプアニューギニアの少数グループの人々の暮らしを追う。

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 ・“The Warriors of Qiugang(仇崗勇士)”(中・米)(仇崗で闘う人々)
 監督:Ruby Yang
 物語:中国中央部。化学工場のせいで、汚染されてしまった土地と水を元に戻すために奮闘する人々の姿を3年かけて追ったドキュメンタリー。

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 正直なところ、過去の受賞作品やノミネート作品もほとんど観れておらず、これまでの受賞結果から傾向性を見出すこともかないません。

 受賞実績から言えば、“One Thousand Pictures: RFK’s Last Journey”や、既にアカデミー賞を受賞したことのあるCynthia Wadeの“Born Sweet”が有望と言えるかも知れません。

 いずれも現代的なテーマやモチーフを扱った作品ばかりですが、受賞するかどうかは、審査する人がどれだけ共感し、彼らの感動を呼ぶかに係っていると言っていいかもしれません。
 とすると、“Killing in the Name”は、“Living for 32”と同じようなテーマを扱っていながら、少々不利で、“Sun Come Up”や“The Warriors of Qiugang”は、「優れたドキュメンタリーだとしても、しょせんは他人事」と見なされる可能性があります。“Poster Girl”は、これまで何度も取り上げられたテーマを扱っているし、遠まわしにイラクでの戦争責任を問われている気もします。

 そういう風に考えると、“One Thousand Pictures: RFK’s Last Journey”か“Living for 32”が有力で、感傷的な気分も含めて“One Thousand Pictures: RFK’s Last Journey”がやや有利と言えるでしょうか。あと、どれだけ感動できる話になっているかにも係っていますが、監督のキャリアがある“Born Sweet”か““Strangers No More””が「共感を得られやすい子供の話」として、第三・第四の候補と考えることができるでしょうか。

 今後は、専門の委員により3~5本に絞り込まれて、1月25日にノミネーションの発表となります。

 *当ブログ記事
 ・米国アカデミー賞2011 外国語映画賞エントリー65作品リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_22.html

 ・米国アカデミー賞2010 短編ドキュメンタリー賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_8.html
 ・米国アカデミー賞2010 ノミネーション 詳細!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_6.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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