2010年を代表する韓国映画はこの作品?! 利川春史大賞映画祭2010 各賞発表!

 第18回利川春史大賞映画祭の各賞が発表されました。(9月18日)

 映画祭という名前がついていますが、この映画祭は、映画祭形式で行なわれる映画賞で、2010年度韓国映画賞レースの先陣を切って、発表される映画賞になっています。(全世界的に見ても、7月以降に発表される2010年度映画賞レースの最初のもの、と見なしてもいいかもしれません。ただし、細かいことを言えば、これに先立つ映画賞がないこともなく、例えば、7月末にクロアチアで行なわれたプーラ映画祭で最優秀クロアチア映画が選ばれたりしています。)

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 今年の最優秀作品賞は、『ツー・コップス』『シルミド』『公共の敵』などで知られるカン・ウソク監督の最新作“이끼/Moss”(苔)で、この作品は、最優秀作品賞を含む7部門で賞を制して、最多受賞作品にもなりました。

 シノプシスを読んだだけでは、この作品のどこがそんなにいいのか、2010年の韓国映画を代表する作品なのかどうか、よくわかりませんが、内容は、大体、以下のようになっています。

 ・“이끼/Moss”(苔)
 監督:カン・ウソク
 出演:チョン・ジェヨン、パク・ヘイル、ユ・ジュンサン、ユ・ソン
 物語:ヘグクは、父の訃報を聞いて、もう何年も帰っていなかった田舎に帰る。都会生活に疲れを感じていた彼は、葬儀が終わってもソウルに戻ろうとはせず、このままずっとここに留まることを宣言する。そんな彼に、村民は、不快感を隠そうとしない。しかし、ある老人の一言で、村民たちはがらっと態度を変えるのだった……。
 2010年7月14日韓国公開。

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 なお、カン・ウソク監督は、2006年に『韓半島』で作品賞と監督賞をダブル受賞していて、今回が4年ぶり2度目の快挙ということになります。(作品賞を2度受賞した監督は、他に、パク・クァンス監督とイム・グォンテク監督しかいません。)

 各部門の受賞結果は、以下のようになっています。

 ※各作品の内容に関しては、エントリー作品の記事(http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_15.html)をご覧ください。

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 ・最優秀作品賞:“이끼/Moss”(苔)

 ・審査委員特別賞:“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)

 ・審査委員特別演技賞:パク・チュンフン『私のチンピラのような恋人』

 ・監督賞:カン・ウソク(“이끼/Moss”(苔) )

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 ・主演男優賞:ソル・ギョング(“용서는 없다/No Mercy”(許すことはできない))

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 ・主演女優賞:オム・ジョンファ(『ベストセラー』“베스트셀러/Bestseller”)

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 ・助演男優賞:ユ・ジュンサン(“이끼/Moss”(苔))、ゴ・チャンソク(『裸足の夢』)

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 ・助演女優賞:ユン・ヨジョン(“하녀/ The Housemaid”(メイド))

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 ・新人監督賞:カン・デギュ(『ハーモニー』)

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 ・新人男優賞:チェ・ジェウン(『炎のように、蝶のように』)、チョ・ジウン(『ベストセラー』“베스트셀러/Bestseller”)
 チョ・ジウンは、キャリア15年目にして、新人賞受賞だそうです。

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 ・新人女優賞:ガン・イェウォン(『ハーモニー』)

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 ・脚本賞:ユン・ジェグ “시크릿/ Secret”(シークレット)
 ユン・ジェグは、“시크릿/ Secret”(シークレット)の監督であり、脚本家として『セブンデイズ』などを手がけている。

 ・撮影賞:キム・ソンボク(김성복) “이끼/Moss”(苔)
 キム・ソンボクは、カン・ウソク組の撮影監督として、『公共の敵』『シルミド』『公共の敵2 あらたなる闘い』『カン・チョルジュン 公共の敵1-1』などを手がけているほか、『シュリ』『カル』『JSA』『エンジェル・スノー』『猟奇的な彼女』『ス SOO』(崔洋一)『斬〜KILL〜』(押井守総監修)などを手がける、韓国映画界を代表する撮影監督の1人です。

 ・編集賞:コ・イムビョ(고임표) “이끼/Moss”(苔)

 ・照明賞:カン・デヒ(강대희) “이끼/Moss”(苔)

 ・美術賞:ヤン・ホンサム(양홍삼)、チャン・ソクチン(장석진) 『ベストセラー』“베스트셀러/Bestseller”
 ヤン・ホンサムが手がけた作品には、他に『国家代表』があります。

 ・映像技術賞:FXGear、エフェクトストーム(음란서생/Effect Storm) 『炎のように、蝶のように』
 エフェクトストームが手がけた作品には、他に『恋の罠』があります。

 ・音響技術賞:パク・チョンゴン(박종근)、パク・チョンオ(박종오) “포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)
 パク・チョンゴンが手がけた作品には、他に『GO GO 70』などがあります。

 ・音楽賞:チョ・ヨンウク(조영욱) “이끼/Moss”(苔)
 チョ・ヨンウクが手がけた作品には、他に『白夜行 白い闇の中を歩く』『渇き』『カン・チョルジュン 公共の敵1-1』などがあります。

 ・プロデューサー賞:チョン・テウォン “포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)
 チョン・テウォンは、他に『アウトライブ』『黒水仙』『誰にでも秘密がある』『三国志』などのプロデュースを手がけています。

 ・うつくしい映画人功労賞:ムン・ヒ(문희)
 ムン・ヒは、60年代から活躍するベテラン女優。

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 ・春史大賞:イ・テグン(이대근)
 イ・テグンは、『暗闇の子供たち』『鯨とり』『桑の葉』『最強☆彼女』をはじめとする作品に出演する、60年代から活躍するベテラン男優。

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 ※上記作品のうち、『私のチンピラのような恋人』『ハーモニー』『ベストセラー』の3作品は、10月23日~24日に開催されるコリアン・シネマ・ウィークで上映される予定になっています。

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 最高賞の名前は何度も変わっていますが、利川春史大賞映画祭の過去の最優秀作品賞は、以下のようになっています。

 【最優秀作品賞】
 第1回(1990年) 『彼らも我らのように』 監督:パク・クァンス
 第2回(1991年) 『死の讃美』 監督:キム・ホソン
 第3回(1992年) 『われらの歪んだ英雄』 監督:パク・ジョンウォン
 第4回(1993年) 『風の丘を越えて/西便制』 監督:イム・グォンテク
 第5回(1994年) 『太白山脈』 監督:イム・グォンテク
 第6回(1995年) 『美しい青年、全泰壱』 監督: パク・クァンス
 第7回(1999年) 『スプリング・イン・ホームタウン』 監督: イ・グァンモ
 第8回(2000年) 『JSA』 監督:パク・チャヌク
 【春史映画芸術祭大賞】
 第9回(2001年) 『友へ チング』 監督:クァク・キョンテク
 第10回(2002年) 『オアシス』 監督:イ・チャンドン
 第11回(2003年) 『殺人の追憶』 監督:ポン・ジュノ
 【作品賞】
 第12回(2004年) 『僕が9歳だったころ』 監督:ユン・イノ
 第13回(2005年) 『血の涙』 監督:キム・デスン
 第14回(2006年) 『韓半島』 監督:カン・ウソク
 【最優秀作品賞】
 第15回(2007年) 『夏物語』 監督:チョ・グンシク
 第16回(2008年) 『クロッシング』 監督:キム・テギュン
 第17回(2009年) 『国家代表』 監督:キム・ヨンファ

 毎年、審査員が変わるので、受賞傾向も毎年のように変わってくるはずですが、2003年までは、その年の韓国映画を代表する作品が選ばれているように思います。
 2004年以降は、そうした標準的な認識とはちょっとズレたところで、最優秀作品を選んでいるようにも見えます。

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 エントリー作品の記事のところでも書きましたが、今回のエントリー作品には、2010年を代表する韓国映画がいくつか抜け落ちているので、今後、発表される2010年度韓国映画賞は、上記の顔ぶれとは、明らかに変わってくると思われます。

 今回の受賞結果が順当なものなのかどうかは、現時点ではちょっと判断がつかないのですが、そういった点も含め、今後、発表される映画賞で、この映画賞の結果がどういうものであったか、わかってくる(相対化される)と思われます。

 次に発表される韓国の映画賞は、釜山国際映画祭期間中(10月7日~15日)に発表される韓国映画評論家協会賞と釜山映画評論家協会賞です。

 目下のところの要チェック作品は、やはりイ・チャンドンの『詩』でしょうか。

 いろいろ注目作品、ヒット作品はあるようですが(ちょうど、今、ヒットしているらしいソル・ギョングの最新作“해결사”(シューティング)とか)、とりあえずは、この『詩』(と主演女優ユン・ジョンヒ)が韓国映画賞レースにどんな形で食い込んでくるかが注目されます。(やっぱりというか、利川春史大賞映画祭に『詩』がエントリーもされていないのはおかしいんじゃないか、とエントリー作品の選び方を疑問視する声も上がっていたようです。)

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 *当ブログ記事
 ・2010年度韓国映画賞レースはここから始まる! 利川春史大賞映画祭2010ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_15.html
 ・利川春史大賞映画祭2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_6.html
 ・米国アカデミー賞2010 外国語映画賞 韓国代表発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_11.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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