第67回ベネチア国際映画祭 受賞結果発表!

 第67回ベネチア国際映画祭の受賞結果が発表になりました。

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 【コンペティション部門】

 ・“Balada Triste De Trompeta(A Sad Trumpet Ballad)”(西・仏) 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア 銀獅子賞(監督賞)、オゼッラ賞(脚本賞:アレックス・デ・ラ・イグレシア)、Arca Cinemagiovani Award

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 ・“Happy Few”(仏) 監督:Antony Cordier

 ・『しあわせの雨傘』“Potiche”(仏) 監督:フランソワ・オゾン Roberto Bognanno Prize

 ・“Venus Noire(Black Venus)”(仏) 監督:アブデラティフ・ケシシュ Equal Opportunity Award

 ・“Noi Credevamo(We Believed)”(伊・仏) 監督:マリオ・マルトーネ(Mario Martone)

 ・“La Passione”(伊) 監督:カルロ・マッツァクラティ(Carlo Mazzacurati)

 ・“La Pecora Nera(The Black Sheep)”(伊) 監督:Ascanio Celestini  Fondazione Mimmo Rotella

 ・“La Solitudine Dei Numeri Primi(The Solitude of Prime Numbers)”(伊) 監督:Saverio Costanzo

 ・“Drei(Three)”(独) 監督:トム・ティクヴァ

 ・“Essential Killing”(ポーランド・アイルランド・ノルウェー・ハンガリー) 監督:イエジー・スコリモフスキ 審査員特別賞、男優賞(ヴィンセント・ギャロ)、CinemAvvenire Award

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 ・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari 女優賞(Ariane Labed)、Lina Mangiacapre Award

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 ・“Ovsyanki (Silent Souls)”(ロシア) 監督:Aleksei Fedorchenko オゼッラ賞(撮影賞:Mikhail Krichman)、国際批評家連盟賞、SIGNIS賞スペシャル・メンション、Nazareno Taddei Award、Mouse d'Oro

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 ・“The Ditch”(香港・仏・ベルギー) 監督:ワン・ビン(王兵/Wang Bing)  La Navicella – Venezia Cinema Award

 ・“Di Renjie Zhi Tongtian Diguo (Detective Dee And The Mystery Of Phantom Flame/狄仁杰之通天帝国)”(中) 監督:ツイ・ハーク Future Film Festival Digital Award

 ・『十三人の刺客』“Jûsan-Nin No Shikaku (13 Assassins)”(日・英) 監督:三池崇史 Future Film Festival Digital Award スペシャル・メンション(『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』と併せて)

 ・『ノルウェイの森』“Noruwei No Mori (Norwegian Wood)”(日) 監督:トラン・アン・ユン

 ・“Barney's Version”(カナダ・伊) 監督:リチャード・J・ルイス Leoncino d’Oro (Golden Lion Cub)

 ・“Black Swan”(米) 監督:ダーレン・アロノフスキー マルチェロ・マストロヤンニ賞/若手俳優賞(ミラ・クニス)

 ・“Meek's Cutoff”(米) 監督:Kelly Reichardt SIGNIS賞

 ・“Miral”(米・仏・イスラエル) 監督:ジュリアン・シュナーベル ユニセフ賞(Cinema for UNICEF commendation)、C.I.C.T. UNESCO Enrico Fulchignoni Award

 ・“Promises Written In Water”(米) 監督:ヴィンセント・ギャロ

 ・“Road To Nowhere”(米) 監督:モンテ・ヘルマン 特別獅子賞(これまでの業績に対して)

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 ・“Somewhere”(米) 監督:ソフィア・コッポラ 金獅子賞

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 ・“Post Mortem”(チリ・メキシコ・独) 監督:パブロ・ラライン

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 【Orizzonti部門】

 ◆Orizzonti賞(長編映画)
 ◎“Summer of Goliath”(メキシコ・カナダ) 監督:Nicolàs Pereda

 ◆審査員特別賞
 ◎“The Forgotten Space”(オランダ・オーストリア) 監督:Noel Burch、Allan Sekula

 ◆最優秀短編賞
 ◎“Coming Attractions”(オーストリア) 監督:Peter Tscherkassky

 ◆最優秀中編映画賞(Best Medium-length Film)
 ◎“Tse (Out)”(イスラエル) 監督:Roee Rosen

 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Jean Gentil”(ドミニコ・メキシコ・独) 監督:Israel Cardenas、Amelia Laura Guzman

 ◆ヨーロッパ映画賞2010短編賞ベネチア代表
 ◎“The External World”(独) 監督:デイヴィッド・オライリー

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 ◆国際批評家連盟賞(Orizzonti部門&批評家週間)
 ◎“El Sicario - Room 164”(仏・伊) 監督:Gianfranco Rosi Orizzonti部門

 【批評家週間】

 ◆“Regione del Veneto per il cinema di qualità”Award
 ◎“Svinalängorna (Beyond )”(スウェーデン) 監督:ペルニラ・アウグスト

 【Controcampo Italiano部門】

 ◆Controcampo Italiano Prize(イタリアの映画ジャーナリストから贈られる賞)
 ◎“20 Cigarettes”(伊) 監督:Aureliano Amadei

 ◆スペシャル・メンション
 ◎Vinicio Marchioni “20 Cigarettes”(伊)

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 【その他の賞】

 ◆ルイジ・ディ・ラウレンティス賞/新人監督賞(Luigi De Laurentiis Award for Best Debut Film)
 ◎“Majority”(トルコ) 監督:Seren Yüce ベネチア・デイズ部門

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 ※審査員:スタンリー・クワン、Nina Lath Gupta、ファティ・アキン(審査員長)、ジャスミン・トリンカ、Samuel Maoz

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 ◆European Cinema Award
 ◎“Le Bruit Des Glacons(The Clink of Ice)”(仏) 監督:ベルトラン・ブリエ ベネチア・デイズ

 ◆European Cinema Award スペシャル・メンション
 ◎“Incendies”(カナダ・仏) 監督:デニ・ヴィルヌーヴ ベネチア・デイズ部門

 ◆Francesco Pasinetti (SNGCI) Award
 ◎“20 sigarette”(伊)  Controcampo Italiano部門
 ◎女優賞:アルバ・ロルヴァケル

 ◆C.I.C.A.E賞
 ◎“La belle endormie”(仏) 監督:カトリーヌ・ブレイヤ Orizzonti部門

 ◆Christopher D. Smithers Foundation Special Award
 ◎“Svinalängorna (Beyond )”(スウェーデン) 監督:ペルニラ・アウグスト

 ◆Biografilm Lancia Award
 フィクション、ノンフィクションを問わず、人の一生にスポットライトを当てた作品に贈られる賞のようです。
 ◎“I’m Still Here”(米) 監督:ケイシー・アフレック アウト・オブ・コンペティション部門
 ◎“A Letter to Elia”(米) 監督:マーティン・スコセッシ、Kent Jones アウト・オブ・コンペティション部門
 ◎“Prezit svuj zivot (Surviving Life)”(チェコ) 監督:ヤン・シュヴァンクマイエル アウト・オブ・コンペティション部門
 ◎“20 sigarette”(伊) 監督:Aureliano Amadei Controcampo Italiano部門
 ◎“Incendies”(カナダ・仏) 監督:デニ・ヴィルヌーヴ ベネチア・デイズ部門
 ◎“El Sicario - Room 164” 監督:Gianfranco Rosi Orizzonti部門

 ◆Città di Roma – Arcobaleno Award
 ◎“Passione”(伊) 監督:ジョン・タトゥーロ アウト・オブ・コンペティション部門

 ◆Brian Award
 ◎“baci mai dati(Lost Kisses)(伊)” 監督:Roberta Torre Controcampo Italiano部門

 ◆クイア獅子賞(Queer Lion/ Best gay film)
 ◎“En el Futuro (In the Future)”(アルゼンチン) 監督:Mauro Andrizzi Orizzonti部門

 ◆Lanterna Magica Award (Cgs)
 ◎“L’Amore buio”(伊) 監督:Antonio Capuano ベネチア・デイズ部門

 ◆FEDIC Award
 ◎“L’Amore buio”(伊) 監督:Antonio Capuano ベネチア・デイズ部門

 ◆FEDIC Award スペシャル・メンション
 ◎“Hai paura del buio”(伊) 監督:Massimo Coppola 批評家週間

 ◆Arca Cinemagiovani Award 最優秀イタリア映画
 ◎『重なり合う時』“La doppia ora”(伊) 監督:ジュゼッペ・カポトンディ

 ◆Lina Mangiacapre Award スペシャル・メンション
 ◎“The Accordion”(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ ベネチア・デイズ部門

 ◆AIF Forfilmfest Award
 ◎“L’amore buioby”(伊) 監督:Antonio Capuano ベネチア・デイズ部門

 ◆Gianni Astrei Award
 ◎“L’amore buioby”(伊) 監督:Antonio Capuano ベネチア・デイズ部門

 ◆Premio Selezione Cinema.Doc Selezione Cinema.Doc Venezia
 ◎“El Sicario - Room 164”(仏・伊) 監督:Gianfranco Rosi Orizzonti部門

 ◆Premio Selezione Cinema.Doc Selezione Cinema.Doc Autori
 ◎“Il sangue verde”(伊) 監督:Andrea Segre ベネチア・デイズ部門

 ◆Mouse d'Oro
 ◎Mouse d’Argento “Incendies”(カナダ・仏) ベネチア・デイズ部門

 ◆Città di Venezia Award
 ◎“Pumzi”(南ア・ケニア) 監督:Wanuri Kohiu

 ◆3Dアワード(Persol 3-D Award For The Most Creative 3-D Film Of The Year)
 ◎『アバター』(米・英) 監督:ジェームズ・キャメロン
 ◎『ヒックとドラゴン』(米) 監督:ディーン・デュボア、クリス・サンダース

 ◆Premio L’Oréal Paris Per Il Cinema
 ◎ヴィットリア・プッチーニ(Vittoria Puccini)(イタリア女優)

 ◆監督・ばんざい!賞(Jaeger-Lecoultre Glory To The Filmmaker)
 ◎マニ ラトナム

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 ◆生涯金獅子賞
 ◎ジョン・ウー

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 タランティーノのはしゃぎぶりばかりが目立ち、そして報道されたベネチア国際映画祭でしたが、受賞結果も見事にタランティーノ寄りというか、気難しい映画、「芸術映画」を一切無視する形で、アメリカ映画にばかり賞を与えて閉幕しました。

 エントリーされた6本のアメリカ映画のうち、3作品に(オフィシャルな)賞を与え、監督作品では賞を与えなかったヴィンセント・ギャロには別の作品で男優賞を与えるという形で気配りの利かせ、アメリカ映画への圧倒的な支持を表明しています。

 かつて、カンヌ国際映画祭で『ノーカントリー』が無視され(その後、米国アカデミー賞およびその年度の映画賞を総なめ)、ベネチア国際映画祭で『ハート・ロッカー』が無視されたということがありました(その後、米国アカデミー賞およびその年度の映画賞を総なめ)が、そうしたことを反省材料として、自分が審査員長である今年は、積極的にアメリカ映画を推して行こうという姿勢で映画祭に臨んだということでしょうか。

 アレックス・デ・ラ・イグレシアは、個人的には大好きな監督ですが、これまでのキャリアで最高傑作を撮ったというのでもない限り、彼は、ベネチア・クラスの映画祭で、監督賞と脚本賞をダブル受賞するような監督ではないし、モンテ・ヘルマンに特別獅子賞を与えるというのもあまりにも普通過ぎるように思います。

 映画祭で賞を与えることの意味と効果を考えれば、もう少し違った賞の与え方をしてもよかったはずで、これまでも映画祭での受賞を通して、国際的に認められ、飛躍していった監督は多いわけですが、残念ながら、今回の受賞内容ではそういった効果を見出すことができそうにありません。

 そういう意味では、今回の受賞内容は、今年のカンヌ国際映画祭とは真逆だった、と言うことができるかもしれません。

 少なくとも、今回の結果を受けて、興行結果が左右されるということはほとんどなさそうです。(賞を獲ったから値段が上がったという作品もなさそうですし。)

 一方で、ご当地のイタリア映画を一切無視するという強心臓ぶりも見せているわけで(各イタリア映画のメディアでの評価は決して低くなかったのに)、それはそれであっぱれと言うべきかもしれません(笑)。

 ま、こうした映画祭の結果というものは水物で、審査員の顔ぶれが違えばその結果も変わってくるというのはみんなわかっていますし、これから約半年かけて、各国の映画祭や映画賞を通して、各作品の評価・再評価が行なわれていくのだろうとも考えられます。(全米映画賞レースで“Somewhere”よりも“Miral”の方が支持されたら、「やっぱりね」、と言われることは必至ですが。)

 個人的には、オフィシャルの賞もそうでない賞も含めて、たくさんの賞を受賞した“Ovsyanki (Silent Souls)”が気になります。審査員が違えば、この作品が金獅子賞だったかもしれません。

 データ的には、ソフィア・コッポラは、3大映画祭で、親子2代にわたって最高賞を受賞した初めてのケースということになるでしょうか。(フランシス・フォード・コッポラは、ベネチアのコンペ部門に出品したことはありませんが、カンヌで2度パルムドールを受賞し、ベネチアからは1992年に生涯金獅子賞を授与されています。)

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 【データ】

 ・女性監督の作品が金獅子賞を受賞するのは、9年ぶり4度目。アメリカ人女性監督としては初めて。
 他の監督は、ミーラー・ナイール 『モンスーン・ウェディング』(2001)、アニエス・ヴァルダ 『冬の旅』(1985)、マルガレーテ・フォン・トロッタ 『鉛の時代』(1981)。

 ソフィア・コッポラは、米国アカデミー賞監督賞にノミネートされた4人の女性監督の1人でもあり、女性映画監督のパイオニアということになります。他の3人は、リナ・ウェルトミュラー、ジェーン・カンピオン、キャスリン・ビグロー。

 ・共同製作作品を除けば、金獅子賞を受賞したアメリカ映画は、5本目。他の4本は、『レスラー』(2008)、『ブロークバック・マウンテン』(2005)、『ショート・カッツ』(1993)、『グロリア』(1980)。

 5本中3本は、マルコ・ミュラーが芸術監督就任した2004年以降ですから、マルコ・ミュラーとアメリカ映画の金獅子賞受賞とは無関係ではないと考えられます。

 ・金獅子賞は、2003年のロシア映画『父、帰る』以降、あるいは、2002年のアイルランド映画『マグダレンの祈り』以降、ヨーロッパ映画からは出ていません。

 ・スペイン映画からの監督賞受賞は初めて。

 ・ポーランドからの審査員特別賞は、1982年のクシシュトフ・ザヌーシ以来2人目。ただし、ザヌーシの作品“ Imperativ”は西ドイツ製作の映画だったので、ポーランド映画としては初。
 ポーランド映画からの上位入賞は、1984年のクシシュトフ・ザヌーシ 『太陽の年』以来。共同製作作品まで含めると、1993年のキェシロフスキ『トリコロール 青の愛』以来。

 ・アメリカ人の男優賞受賞は、過去8年間で5人目。アメリカ映画『シングルマン』で受賞したコリン・ファースまで含めると、6人目。この受賞率は、ちょっと尋常ではありません。

 ・ギリシャ映画からの女優賞受賞はたぶん初めて。

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 *当ブログ記事
 ・『冷たい熱帯魚』 in ベネチア国際映画祭2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_19.html
 ・ベネチア国際映画祭2010にウサギ男現る!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_18.html
 ・『十三人の刺客』 in ベネチア国際映画祭2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_16.html
 ・『ノルウェイの森』 in ベネチア国際映画祭2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_5.html
 ・タランティーノとツイ・ハークがジョン・ウーの生涯金獅子賞を祝う:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_7.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_9.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_29.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門以外 ラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_30.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門以外 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_1.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 追加上映作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_4.html 

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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