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zoom RSS ヤン・シュヴァンクマイエルの5年ぶりの新作は『サバイビング・ライフ(理論と実践)』!

<<   作成日時 : 2010/08/07 03:42   >>

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 ヤン・シュヴァンクマイエルの5年ぶり新作が完成していて、ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門で上映されることになっています。

 タイトルは、「サバイビング・ライフ(理論と実践)」“Přežít svůj život (teorie a praxe)/Surviving Life (Theory and Practice)”です。

 以前は、『オテサーネク』の時も、『ルナシー』の時も、事前に少しずつ情報が流れてきたものですが、今回は、製作段階で日本が噛んでいたり、事前に配給が決まっていたりしないためか、日本語による公式の情報は全くなく、ごく一部の人が自身のサイトで手に入るわずかな情報を紹介しているくらいでした。

 まあ、シュヴァンクマイエルならある程度の固定ファンもいるし、DVDも売れないことはないでしょうから、日本で劇場公開もされないってことはないと思いますが。

 そこで、今回は、現時点で入手できる情報をまとめてみることにしました。

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 【物語】

 エヴジェン(Evžen)は、二重生活を送っている。1つは現実世界で、もう1つは夢の中の世界で。現実世界には、ミラドゥ(Miladu)という妻がいて、夢の世界ではエヴジェニー(Evženii)という別の若い恋人がいる。エヴジェンは、2つの世界を時間で分けられている別の世界のように考えていたが、こうしたことが起こるのには何か深い意味があるのだろうと考えて、心理分析医ホルボヴォウ(Holubovou)のところにでかけていく。ホルボヴォウは、彼の夢の世界を分析して、これには幼少時に彼が両親を失ったことに関係があるにちがいないと話す。
 夢の世界には、美しいエヴジェニーと息子のペトリセカ(Petříčka)のほかに、醜く薄汚い老女が現れて、「エヴジェニーを傷つけてはいけない。彼女を大事にすればすべてうまくいく」と警告の言葉を発する。また、別の夢では、ミラン(Milan)という男性が現れ、彼に、男らしく、ペトリセカの父親らしくしろ、というようなことを言う。
 エヴジェンは、エヴジェニーとの子を欲しがるが、このことをホルボヴォウに話すと、これは近親相姦よりも恐ろしいことだと話す。
 一方、妻のミラドゥは、こそこそ隠れて行動している夫のことを不審に思い、夫の行動をスパイするようになる。
 そうこうするうちに……、1枚の古い写真が発見され、彼の両親がどうなったのかということと、彼の夢が意味するものが明らかになる。

 ※情報のソースはチェコ語サイトで、上記は、機械翻訳の助けを借りながらの、ラフな翻訳なので、不確かなところ、一部割愛したところがあります。

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 【解説】

 脚本は、シュヴァンクマイエルのオリジナルですが、シュヴァンクマイエル自身の見た夢が創作の原点になっていると言われています。

 この作品に先立って、シュヴァンクマイエルは、夢に関する28分の短編ドキュメンタリー「夢を縫い合わせる(シュヴァンクマイエルが話す様々な夢/映画の話) 」“Přešít svůj sen”(Sewing through dream (Oral Variations of the Svankmajer Dream/film)を発表しています。
 この作品は、「サバイビング・ライフ(理論と実践)」の製作中に完成させたもので、映像の錬金術師たるシュヴァンクマイエルの、現実世界と夢の世界を行ったり来たりする深層に、見る者を誘い込むような作品で、断片的な映像がモザイクのように構成されている、と紹介されています。

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 シュヴァンクマイエルの描く世界は、そもそも「悪夢」のような世界が多いわけですが、はっきりと作品の中に「夢」を描いたのは「ジャバウォッキー」「地下室の怪」『アリス』、パラレル・ワールド(アナザー・ワールド)を扱った作品としては「ファウスト」が挙げられるくらいでしょうか。
 しかしながら、どこかを物語の入り口として、主人公もしくは観客を別世界(シュヴァンクマイエル・ワールド)に誘い込むのが彼の手法であって、「現実世界と並行して存在するものとして夢の世界」を描く、というようなことはあまりしてこなかったように思います。作品の中で描かれる夢の世界も、これまでの作品では、現実世界との境界線が曖昧なものが多かったようです。

 内容的には、これまでのシュヴァンクマイエルの創作スタイルからすると、「オブセッションとしての夢」をテーマとした作品として、本作の創作が進められたのではないかと考えられます。

 本作は、シュヴァンクマイエルの奥さん、エヴァ・シュヴァンクマイロヴァー死後、初めて製作された作品で、これまでシュヴァンクマイエル作品で美術を担当していたエヴァ(特に、『オテサーネク』では、その世界観もエヴァのものでした)を失って、シュヴァンクマイエルの世界観がどう変わるか、あるいはほとんど変わらないのか、も注目されます。(下に記すようにスタッフはほとんど常連ばかりなのですが。)

 「サバイビング・ライフ(理論と実践)」本編の映像は、実写と、写真を切り抜いたカットアウト・アニメーションのミックスだそうです。

 映像のタッチからすると、『ルナシー』より、『悦楽共犯者』や『オテサーネク』に近い感じでしょうか。

 ワールド・プレミアは、ベネチア国際映画祭2010のアウト・オブ・コンペティション部門で、チェコでの劇場公開は、2010年11月4日と発表されています。

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 【キャスト】
 ・Václav Helsus
 ・Klára Issová
 ・Zuzana Kronerová
 ・ダニエラ・バケロヴァ(Daniela Bakerova)
 ・Emília Doseková
 ・Marcel Nemec
 ・Jan Pocepický
 ・Jana Olhová
 ・パヴェル・ノヴィー(Pavel Nový)
 ・Karel Brozek

 今のところ、配役は不詳です。
 子役以外はチェコで活躍するベテラン俳優が多いのですが、『悦楽共犯者』『オテサーネク』『ルナシー』に出演しているパヴェル・ノヴィー以外は、シュヴァンクマイエル組の俳優は出ていないようです。
 ダニエラ・バケロヴァは『ホステル』にも出演している女優さんです。

 【スタッフ】

 プロデューサー:ヤロミール・カリスタ(Jaromír Kallista)
 *1939年 プラハ生まれ。国立芸術アカデミー映画学部(FAMU)卒業後、1970年までバランドフ映画スタジオに勤務。その後フリーに。1973年から1988年までラテルナ・マギカのプロデュースを担当。
 『アリス』以降のほとんどのシュヴァンクマイエル作品のプロデュースを手がける(「アナザー・カインド・オブ・ラブ」「肉片の恋」「フローラ」「スターリン主義の死」「フード」「ファウスト」『悦楽共犯者』『オテサーネク』『ルナシー』)。「フード」では出演もしている。
 シュヴァンクマイエルとの出会いは、ラテルナ・マギナを通じてで、1989年11月にアタノル・フィルム・プロダクション・カンパニーをシュヴァンクマイエルと共同で設立する。

 共同プロデューサー/撮影:ユライ・ガルヴァーネク(Juraj Galvánek)
 *「地下室の怪」『オテサーネク』『ルナシー』と本作で撮影を手がけ、『ルナシー』以降製作にも関わる。

 撮影:Jan Ruzicka

 編集:マリエ・ゼマノヴァー(Marie Zemanová)
 *『アリス』以降のシュヴァンクマイエル作品の編集を担当。
 1943年 フリーストフ生まれ。1960年代半ばからチェコスロバキアテレビのアニメ制作部門に勤める。1990年にフリーに。
 シュヴァンクマイエル作品での担当作品は、『アリス』(1987)、「アナザー・カインド・オブ・ラブ」(1988)、「肉片の恋」(1989)、「フローラ」(1989)、「スターリン主義の死」(1990)、「フード」(1992)、『ファウスト』(1994)、『悦楽共犯者』(2000)、『オテサーネク』(2000)、『ルナシー』(2005)。

 衣裳デザイン:Veronika Hrubá
 *「アナザー・カインド・オブ・ラブ」「肉片の恋」「フローラ」等でアート・ディレクターを、『ルナシー』と本作では衣裳を担当。

 音響:イヴォ・シュパリ(Ivo Spalj)
 *『地下室の怪』以降のほとんどのシュヴァンクマイエル作品の音響を手がける。
 担当作品は、「地下室の怪」(1982)、「陥し穴と振り子」(1982)、『アリス』(1987)、「男のゲーム」(1988)、「アナザー・カインド・オブ・ラブ」(1988)、「肉片の恋」(1989)、「闇・光・闇」(1989)、「スターリン主義の死」(1990)、「フード」(1992)、『ファウスト』(1994)、『悦楽共犯者』(1996)、『オテサーネク』(2000)、『ルナシー』(2005)。
 シュヴァンクマイエル以外の作品は、『アマデウス』(1984)、ブジェチスラフ・ポヤル他「ナイトエンジェル」(1986)、ブジェチスラフ・ポヤル「蝶々の時間」(1990)、パヴェル・コウツキー「ネズミ、万歳!」(1993)、「マシュキンはコシュキンを殺した」(1995)、ヤン・スヴィエラーク『コーリャ 愛のプラハ』(1996)、パヴェル・コウツキー「決闘」(1997)など。

 視覚効果(digital intermediate assistant):Jiri Cvancara
 *『屋根裏のポムネンカ』などを手がける。

 アニメーター:マルチン・クブラーク(Martin Kublák)
 ベドジフ・グラゼルとともに最近のシュヴァンクマイエル作品のアニメーターを担当(『悦楽共犯者』(1996)、『オテサーネク』(2000)、『ルナシー』(2005))。

 [2010年/チェコ・スロヴァキア/105分]

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 気になるのは、日本での劇場配給がどうなるかで、『オテサーネク』はチェスキーケーとレンコーポレーション、『ルナシー』はレンコーポレーションとアットアームズの配給でしたが、レンコーポレーションは公式HPを見ても現在どのような活動をしているのかよくわからないし、アットアームズは、『ルナシー』『屋根裏のポムネンカ』を除けば、これまでは、かわいらしいチェコアニメーションの短編作品しか扱ってきておらず、シュヴァンクマイエルの今度の長編を扱ってくれるのかどうかは定かではありません(ここのHPも最近はほとんど更新されていないようです)。

 今のところ、日本では誰も手を挙げていないらしいのがちょっと心配なのですが、コロムビアミュージックエンタテインメントあたりが買い付けて、どこかの配給会社に配給を委託し、ユーロスペースかシアター・イメージフォーラムあたりで公開というのが、考えられる順当な流れでしょうか。

 *参考サイト
 ・Czech Film Center(チェコ語):http://www.filmcenter.cz/cz/film/detail/1086-prezit-svuj-zivot-teorie-a-praxe
 ・Cesko-Sloveska Filmova Databaze(チェコ語):http://www.csfd.cz/film/245606-prezit-svuj-zivot-teorie-a-praxe/?text=121098
 ・Bonton Film(チェコ語):http://www.bontonfilm.cz/prezit-svuj-zivot.html#
 ・Wikipedia(チェコ語/英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Surviving_Life
 ・第16回Golden Beaaar 国際ローカルテレビジョン映画祭:http://www.festival.sk/2010/index.php?option=com_content&view=article&id=219%3Asewing-thgrought-dream-oral-variations-of-the-svankmajer-dreamfilmpeit-svj-sen-oralne-variacie-na-senfilm-jana-vankmajera&catid=61%3Aregistration&Itemid=135&lang=en

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 ◆Photo Gallery
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 ※追記

 ・ヤン・シュヴァンクマイエル in ベネチア国際映画祭2010

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 ・シュヴァンクマイエルとプロデューサーのヤロミール・カリスタ

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 追記:
 本作は、第3回恵比寿映像祭 デイドリーム ビリーバー!!(2011年2月18日〜27日)でプレミア上映されます。
 邦題は『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』で、監督も来場してQ&Aを行なうほか、関連資料の展示等も行なわれる予定になっています。
 上映日は2月19日と2月27日のみです。
 *公式サイト:http://www.yebizo.com/#pg_ex5

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内 容 ニックネーム/日時
http://www.bontonfilm.cz/prezit-svuj-zivot.html
「サバイビング・ライフ」の予告編です。
さといも
2010/08/27 20:45

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