ヘルツォーク、ワイズマン、スプリングスティーン、河瀬、ANPO トロント2010 ラインナップ第2弾

 トロント国際映画祭2010のラインナップ第2弾が発表になりました。(8月4日)

 今回はドキュメンタリーを4つの部門に振り分けるような発表で、メイン部門であるREAL TO REEL部門には、21本の作品が発表になりました。

 この部門もなかなか充実していて、米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞監督の新作が2本あり、サンダンス映画祭グランプリ受賞監督の新作が1本あり、そのほか、フレデリック・ワイズマンやヴェルナー・ヘルツォーク、キム・ロンジノット、ホセ・ルイス・ゲリン、河瀬直美、リンダ・ホーグラントらの作品もあります。

 上映部門は分かれますが、今年のカンヌ国際映画祭批評家週間のグランプリと、ロサンゼルス映画祭のグランプリもあります。

 ブルース・スプリングスティーンのドキュメンタリーは、GALA PRESENTATIONS部門での上映ですが、この作品は、なかなかよさそうで、何らかの形で日本にも紹介されるのではないでしょうか。(そのほかこの中から何本か日本に紹介されるような作品がありそうです。)

 日本映画は、前回発表になった『ノルウェイの森』と合わせて、これで5作品になりました。

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 【GALA PRESENTATIONS】

 ・“The Promise:The Making of Darkness on the Edge of Town”(米) 監督:Thom Zimny [ワールド・プレミア]
 ブルース・スプリングスティーンとEストリートバンドの4枚目のアルバムのレコーディング風景と、1976~78年の幻の未公開映像、ホーム・リハーサル風景などを収録。
 監督は、ブルース・スプリングスティーンの撮影チームとして知られるThom Zimny で、“Bruce Springsteen and the E Street Band: Live in New York City”(2001)でエミー賞、“Wings for Wheels: The Making of 'Born to Run'”(2005)でグラミー賞を受賞している。

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 【MASTERS】

 ・“Nostalgia for the Light”(仏・独・チリ) 監督:Patricio Guzmán [北米プレミア]
 物語:チリのアタカマ砂漠。天文学者が、生命の起源に関わる答を求めて、宇宙をじっと凝視している。その近くでは、女性たちのグループがピノチェト時代に殺された愛する者たちの遺体を求めて、砂をふるいにかけている……。

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 ・“Erotic Man”(デンマーク) 監督:Jørgen Leth [ワールド・プレミア]
 デンマークの巨匠Jørgen Lethによる、エロスの世界を探求する男についての、官能的で、挑発的で、ところどころ自伝的でもあるシネマ・エッセイ。

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 【REAL TO REEL】

 ・“Pink Saris”(英) 監督:キム・ロンジノット(Kim Longinotto) [ワールド・プレミア]
 インドのウッタル・パラデーシュ州のストリートで、女性虐待をなくそうという活動をしている“Pink Gang”のリーダー、Sampat Pal Deviに関するドキュメンタリー。

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 ・“The Sound of Mumbai: A Musical”(英) 監督:Sarah McCarthy [北米プレミア]
 ムンバイのスラムで暮らす子どもたちが、クラシックのオーケストラとともに「サウンド・オブ・ミュージック」を演じることで、ひょっとしたら自分たちの生活も変えられるかもしれないという経験をする。

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 ・“The Pipe”(アイルランド) 監督:Risteard Ó Domhnaill [インターナショナル・プレミア]
 シェルがアイルランド中に天然ガスのパイプラインを引こうとした時、農民や漁民の猛反対に遭う。このローカルな対立は、エネルギー産業が地域や環境にとってどうあるべきかということに関して、国際的に大きな議論を呼び起こす。

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 ・“Guest”(西) 監督:ホセ・ルイス・ゲリン [北米プレミア]
 映画監督ホセ・ルイス・ゲリンが、1年間に映画祭で招かれた20カ国以上の国々と、彼がそこで出会った人々に関する旅日記。

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 ・“The Game of Death”(仏) 監督:Christophe Nick、Thomas Bornot [北米プレミア]
 1960年代にイェール大学のスタンリー・ミルグラム教授が行なった服従と刑罰の実験を、テレビ番組に置き換えて行なったもので、テレビ番組という設定であれば人々はどこまで残酷になれるか(エンタテインメントとして罰ゲームを楽しむことができるか)ということに関して検証を行なったドキュメンタリー。

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 ・“Armadillo”(デンマーク) 監督:Janus Metz [北米プレミア]
 物語:デンマーク軍のダニエルとマッツは、アフガニスタンのアルマジロ駐屯地にいる。ここは、最前線ヘルマンドに兵士を送り込むための基地で、彼らはタリバンと戦い、アフガニスタンを助けるためにここにいるが、彼らとアフガニスタン住民とのギャップは広がるばかりで、彼らはパラノイアに陥っていく。
 カンヌ国際映画祭2010 批評家週間グランプリ受賞。

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 ・“Tears of Gaza”(ノルウェー) 監督:Vibeke Løkkegerg [ワールド・プレミア]
 2008年~2009年にかけてガザ地区に落とされた爆弾とその衝撃の記録。

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 ・“Precious Life”(イスラエル) 監督:Shlomi Eldar
 [インターナショナル・プレミア]
 先天性の不治の病を持つ赤ん坊を抱え、助けを求めるパレスチナ人の母親と、手を差し伸べることができるイスラエルの小児科医が、それぞれの現実に抗いつつ、不可能を可能にしていく様子を追ったドキュメンタリー。

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 ・“When My Child is Born”(中) 監督:Guo Jing、Ke Dingding [ワールド・プレミア]
 中国の若き大学教授や研究者に赤ちゃんができたら、どうなるのか。予期せぬ妊娠と出産で学究活動が中断されることがどういうことを意味するのか。学究の徒の妊娠を通して、日々変化する現代中国における、近代化と伝統と愛とキャリアと家族の関係を浮き彫りにする。

 ・『玄牝』“Genpin”(日) 監督:河瀬直美 [ワールド・プレミア]
 40年以上にわたって自然分娩にこだわってきた愛知県岡崎市吉村医院の吉村正医師。吉村医院での出産に立ち会って、河瀬直美監督は、生命について、そして、母と子の固い絆について深く瞑想する。

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 ・『ANPO』“ANPO”(日・米) 監督:リンダ・ホーグラント [ワールド・プレミア]
 60年安保当時、日本のアーティストは、それをどのように作品に表現したのか。絵画や写真などの作品とアーティストたち本人の証言を通して、日米関係を検証する。

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 ・“Machete Maidens Unleashed!”(オーストラリア) 監督:Mark Hartley [インターナショナル・プレミア]
 予算が全くなくて、衣裳すら用意されない代りに、エキゾチックな風景があり、労働力が安く、しかも、労働規約などなくて、70年代~80年代のフィリピンは、映画製作者にとってやりたい放題で、まさにB級映画の天国だった……。ロジャー・コーマン、ジョー・ダンテ、ジョン・ランディス、シド・ヘイグ、エディー・ロメロらが、当時のフィリピンでの映画制作について語る。

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 ・“Mother of Rock: Lillian Roxon”(オーストラリア) 監督:Paul Clarke [インターナショナル・プレミア]
 「ロック・エンサイクロペディア」の著者としても知られ、1960年代から70年代初頭にかけて音楽ジャーナリストとしてニューヨークで活動し、“ロックの母”とも呼ばれたリリアン・ロクソン(Lillian Roxon)(1932-73)の半生に焦点を当てたドキュメンタリー。

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 ・“Boxing Gym”(米) 監督:フレデリック・ワイズマン [北米プレミア]
 フレデリック・ワイズマンによる、テキサスのボクシング・ジムをモチーフとしたドキュメンタリー。

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 ・“Cave of Forgotten Dreams”(米) 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク [ワールド・プレミア]
 人類最古の洞窟絵画が発見されてもいる南フランス、ショーヴェの洞窟にヴェルナー・ヘルツォークがカメラを入れて、驚くべき自然の造形と3万年の歴史に思いを馳せる。

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 ・“Client 9: The Rise and Fall of Eliot Spitzer”(米) 監督:アレックス・ギブニー(Alex Gibney) [ワールド・プレミア]
 ニューヨーク州知事にまで上りつめながら、高級売春クラブ通いを暴露されて辞任に追い込まれたエリオット・スピッツァーに関するドキュメンタリー。
 監督は、『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』、『「闇」へ』(アカデミー賞受賞)などで知られるアレックス・ギブニー。

 ・“Cool It”(米) 監督:オンディ・ティモナー(Ondi Timoner) [ワールド・プレミア]
 『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態』“The Skeptical Environmentalist”を発表して、大論争を巻き起こしたデンマークの政治学者ビョルン・ロンボルグ(Bjorn Lomborg)に関するドキュメンタリー。
 監督は、『Dig!』(2004)と“We Live in Public”(2009)で、サンダンス映画祭グランプリを受賞しているオンディ・ティモナー。

 ・“Inside Job”(米) 監督:Charles Ferguson [北米プレミア]
 2008年の金融危機に関する原因と犯人探しのドキュメンタリー。米国アカデミー賞2008 長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた“No End In Sight”のCharles Ferguson監督最新作。
 カンヌ国際映画祭2010 特別上映作品。

 ・“Tabloid”(米) 監督:エロール・フリン [ワールド・プレミア]
 元ミス・ワイオミングに選らばれ、その後、(元恋人のモルモン教宣教師を誘拐してセックスを強要するという事件を起こすなど)タブロイド新聞を騒がせることになったジョイス・マッキニー(Joyce McKinney)の物語。
 監督は、『フォッグ・オブ・ウォー』でアカデミー賞を受賞したエロール・フリン。

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 ・“Windfall”(米) 監督:Laura Israel [インターナショナル・プレミア]
 ニューヨークのアッパーステートに風力発電のタービン設置が提案された時、最初、それは興奮を持って受け入れられたが、やがて疑惑の目を向けられるようになる。風力発電のダークサイドと、潜在的な金融詐欺に関する驚くべき物語。

 ・“!Women Art Revolution – A Secret History”(米) 監督:Lynn Hershman Leeson [ワールド・プレミア]
 フェミニズム・アートの先駆者ジュディ・シカゴ(Judy Chicago)から、Guerilla Girls、『君とボクの虹色の世界』の監督ミランダ・ジュライまで、過去40年以上前までさかのぼって女性アーティストたちの活動をまとめたドキュメンタリー。

 【SPROCKETS FAMILY ZONE】

 ・“Make Believe”(米・日・南ア) 監督:J. Clay Tweel [インターナショナル・プレミア]
 毎年、ラスベガスでは10代のマジシャンのチャンピオン大会(Teen World Champion at the World Magic Seminar)が開催されるが、本作ではそこに参加する6人の若者を追う。シカゴの若者は几帳面に自分の小道具を整え、コロラドの風変わりな少年はトランプのトリックを練習する。アクロバティックな手品を得意とする南アフリカの2人組は、コミカルさに磨きをかけ、マリブの女性マジシャンは輪を使ったマジックの完成度を高め、日本の少年(原大樹)は、マジックの殿堂(ハリウッドにある世界的に有名なマジック専用会員制クラブ「マジックキャッスル(MAGIC CASTLE)」)でパフォーマンスすることを夢見る……。
 ロサンゼルス映画祭2010 ドキュメンタリー・コンペティション グランプリ受賞。

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 【WAVELENGTHS】

 WAVELENGTHS 1: Soul Of The City
 ・“Tokyo-Ebisu”(日) 監督:西川智也
 恵比寿駅のラッシュアワー時にプラットホームにゴーストが現れる。
 恵比寿駅に複数設置したカメラの映像をパッチワーク的に構成した作品。

 ・“The Soul of Things”(米) 監督:Dominic Angerame
 ・“Get Out of the Car”(米) 監督:Thom Andersen
 ・“Victoria, George, Edward and Thatcher”(英) 監督:Callum Cooper
 ・『ランドスケープ,セミサラウンド』“Landscape, semi-surround”(日) 監督:園田枝里子
 列車の窓に映る風景を、分割したフレームの中に構成。

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 ・“Everywhere was the Same”(米・パレスチナ) 監督:Basma Al-Sharif
 ・“Leona Alone”(カナダ) 監督:Oliver Husain

 Wavelengths 2: Plein-Air
 ・“Burning Bush”(カナダ・米) 監督:Vincent Grenier
 ・“Home Movie”(カナダ) 監督:John Price
 ・“Ouverture”(仏・カナダ) 監督:Christopher Becks
 ・“Cinematographie”(オーストリア) 監督:Philipp Fleischmann
 ・“Portrait, Teetrinken, Roter Vorhang”( ) 監督:Helga Fanderl
 ・“Anne Truitt Working”(米) 監督:Jem Cohen
 ・“Color Field Films 1 & 2”(米) 監督:Madison Brookshire

 Wavelengths 3: Ruhr
 ・“Ruhr”(独) James Benning

 Wavelengths 4: Pastourelle
 ・“Compline”( ) 監督:Nathaniel Dorsky
 ・“Aubade”( ) 監督:Nathaniel Dorsky
 ・“Pastourelle”( ) 監督:Nathaniel Dorsky
 ・“Water Lillies”( ) 監督:T. Marie

 Wavelengths 5: Blue Mantle
 ・“One”(米・オーストリア) 監督:Eve Heller
 ・“753 McPherson Ave.”(米) 監督:Kevin Jerome Everson
 ・“Blue Mantle”(米) 監督:Rebecca Meyers
 ・“Hell Roaring Creek”( ) 監督:Lucien Castaign-Taylor
 ・“Atlantiques”(セネガル・仏) 監督:Mati Diop
 ・“Slaveship”( ) 監督:T. Marie

 Wavelengths 6: Coming Attractions
 ・“Il Finish delle figure(Il finish delle figure)”(伊) 監督:Paolo Gioli
 ・“The Day Was a Scorcher”(米) 監督:Ken Jacobs
 ・“Concorso di bellezza fra bambini a Torino”( ) 監督:Segundo de Chomón
 ・“Delphine de Oliveira”(オーストリア) 監督:Friedl vom Gröller
 ・“Jonas Mekas in Kodachrome Days”(米) 監督:Ken Jacobs
 ・“Coming Attractions”(オーストリア) 監督:Peter Tscherkassky
 ・“Bits and Pieces”( ) 監督:Various and Anonymous

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 *当ブログ記事
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第1弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_28.html
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第3弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_6.html
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第4弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_8.html
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第5弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_10.html
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第6弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_11.html
 ・トロント国際映画祭2010 ラインナップ第7弾:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_12.html
 ・トロント国際映画祭2010 全タイトル・リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_13.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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