女性監督が大健闘! トライベッカ映画祭2010 結果発表!

 トライベッカ映画祭2010の各賞が発表されました。(会期は4月21日~5月2日)

 ご存知の通り、トライベッカ映画祭は、同時多発テロの被害を受けて元気を失ってしまったニューヨークを、映画を通じて元気づけようという目的で2002年から始められた映画祭で、今年で9回目になります。

 そういう映画祭なので、コンペ部門には、巨匠やベテラン、期待の新鋭などがこぞって作品を出品するという感じでもなく、ほとんど知られていないような監督の作品ばかりになってしまいますが、そのかわりプレミア度は高く、ワールド・プレミア作品か北米プレミア作品ばかりが並ぶことになります。

 といいつつ、近年は、後々高い評価を得ていくことになる作品も集まるようになってきていて、昨年のワールド・ナラティヴ・コンペティションの最優秀作品賞は『アバウト・エリ』、2008年は『ぼくのエリ 200歳の少女』“Let the Right One in”が受賞しています。ワールド・ドキュメンタリー・コンペティションの方は、2008年は“Prey the Devil Back to Hell”(ワールド・プレミア)、2007年は『米国“闇”へ』“Taxi to the Dark Side”(ワールド・プレミア/アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞)がそれぞれ最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しています。

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 【ワールド・ナラティヴ・コンペティション】(World Narrative Competition)

 ・“My Brother”(アイルランド) 監督:Paul Frazer [ワールド・プレミア]
 ・“Snap”(アイルランド) 監督:Carmel Winters [ワールド・プレミア]
 ・“Dog Pound”(仏) 監督:Kim Chapiron [ワールド・プレミア]
 ・“Gainsbourg, Je t’Aime… Moi Non Plus”(仏) 監督:Joann Sfar [北米プレミア]
 ・“Loose Cannons”(伊) 監督:フェルザン・オズペテク [北米プレミア]
 ・“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:Feo Aladag [北米プレミア]
 ・“Buried Land”(ボスニア ヘルツェゴビナ・英・米) 監督:Geoffrey Alan Rhodes、Steven Eastwood [ワールド・プレミア]
 ・“The White Meadows”(イラン) 監督:Mohammad Rasoulof [北米プレミア]
 ・“Paju”(韓) 監督:パク・チャノク [北米プレミア]
 ・“Lucky Life”(米) 監督:Lee Isaac Chung [ワールド・プレミア]
 ・“Open House”(米) 監督:Andrew Paquin [ワールド・プレミア]
 ・“William Vincent”(米) 監督:Jay Anania [ワールド・プレミア]

 ※審査員:ホープ・デイヴィス、アーロン・エッカート、ジョン・ハンバーグ(John Hamburg)、シェリル・ハインズ(Cheryl Hines)、ジョン・リドリー(John Ridley)、ゲイリー・ロス(Gary Ross)、ゲイリー・ウィニック(Gary Winick)

 ◆最優秀作品賞(The Founders Award for Best Narrative Feature)
 ◎“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:Feo Aladag
 出演:シベル・ケキリ、Settar Tanriögen
 物語:ドイツ生まれのトルコ人女性ウマイは、イスタンブールでの抑圧的な結婚生活を逃れるようにして、息子と2人でベルリンに戻ってくる。それは、ベルリンに戻れば、家族が助けてくれるだろうと期待しての帰国だったが、現実はそんなに甘くはなく、伝統としきたりを重んじる家族は、彼女の思いとは裏腹に、息子を父親の元に返そうとするのだった……。
 ベルリン国際映画祭2010 パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞。
 ドイツ映画賞2010 ブロンズ賞受賞。

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 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎“Loose Cannons”(伊) 監督:フェルザン・オズペテク
 出演:リカルド・スカルマッチョ、Nicole Grimaudo、Alessandro Preziosi、エンニオ・ファンタスキーニ(Ennio Fantastichini)、Lunetta Savino
 物語:カントーネ家は、イタリアのパーリアで、パスタ工場を営んでいる。今日は、長男のアントニオが工場を引き継ぐのを記念して、家族みんなで集まって食事会をすることになっている。弟のトマッソは、この機会に、自分がゲイであることをみんなに告白して楽になろうと考えていたが、彼が口を開こうとした瞬間に、先に、兄が自分がゲイであると宣言してしまう。しかも、彼は、男の恋人がいることまで話してしまったので、いったい工場は誰が引き継いでいくことになるのかと、大騒ぎになってしまう……。
 ベルリン国際映画祭2010 パノラマ部門出品。

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 ◆新人監督賞(Best New Narrative Filmmaker)
 ◎Kim Chapiron “Dog Pound”(仏)
 物語:青少年更正センターに入れられた3人の少年が、他の収容者に攻撃されたり、仲間はずれにされたりしながらも、懸命にサバイバルしていく様子を描いた作品。

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 ◆男優賞(Best Actor in a Narrative Feature Film)
 ◎Eric Elmosnino “Gainsbourg, Je t’Aime… Moi Non Plus”(仏)(監督:Joann Sfar)
 本作は、人気コミック作家 Joann Sfarの監督デビュー作で、セルジュ・ゲンズブールの人生を描く。ロシア系ユダヤ人の一家に生まれ、ナチ占領下のフランスで少年時代を過ごし、やがて名声を得ていく様子を描く。セルジュ役はEric Elmosnino、ブリジット・バルドー役はレティシア・カスタ、ジェーン・バーキン役はルーシー・ゴードン。
 イスタンブール国際映画祭2010 インターナショナル・コンペティション出品作品。

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 ◆女優賞(Best Actress in a Narrative Feature Film)
 ◎シベル・ケキリ(Sibel Kekilli) “When We Leave (Die Fremde)”

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 【ワールド・ドキュメンタリー・コンペティション】(World Documentary Competition)

 ・“The Arbor”(英) 監督:Clio Barnard [ワールド・プレミア]
 ・“Feathered Cocaine”(アイスランド) 監督:Thorkell Hardarson、Örn Marino Arnarson [ワールド・プレミア]
 ・“Thieves By Law”(独・イスラエル・西) 監督:Alexander Gentelev [ワールド・プレミア]
 ・“Into Eternity”(デンマーク) 監督:Michael Madsen [北米プレミア]
 ・“Freetime Machos”(フィンランド・独) 監督:Mika Ronkainen [北米プレミア]
 ・“American Mystic”(米) 監督:Alex Mar [ワールド・プレミア]
 ・“Budrus”(米・パレスチナ・イスラエル) 監督:Julia Bacha [北米プレミア]
 ・“Earth Made of Glass”(米) 監督:Deborah Scranton [ワールド・プレミア]
 ・“Monica & David”(米) 監督:Alexandra Codina [北米プレミア]
 ・“Son of Perdition”(米) 監督:Tyler Measom、Jennilyn Merten [ワールド・プレミア]
 ・“The Woodmans”(米・伊・中) 監督:C. Scott Willis [ワールド・プレミア]
 ・“The Two Escobars”(コロンビア・米) 監督:Jeff Zimbalist、Michael Zimbalist [ワールド・プレミア]

 ※審査員:ジェシカ・アルバ、Margaret Brown、アビー・コーニッシュ、Marshall Curry、ウーピー・ゴールドバーグ、エイダン・クイン、エリック・スティール(Eric Steel)

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature)
 ◎“Monica & David”(米) 監督:Alexandra Codina
 ともにダウン症を患っているカップルのユニークな家族像をとらえたドキュメンタリー。

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 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎“Budrus”(米・パレスチナ・イスラエル) 監督:Julia Bacha
 イスラエル政府がパレスチナとの間に築いた隔離壁は、ブルドゥス村(Burdus)の住民1500人にとっては死活問題で、壁によって300エーカーの土地と3000本のオリーブの木が失われてしまう。村民たちは、非暴力で抵抗運動を実践する……。

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 ◆新人監督賞(Best New Documentary Filmmaker)
 ◎Clio Barnard “The Arbor”(英)
 北イングランドの住宅プロジェクトは、The Arborと呼ばれ、劇作家アンドレア・ダンバーにとっては、忘れられないもので、彼女は、同名の戯曲まで発表している。ダンバーは1990年に亡くなってしまっているが、Clio Barnard監督は、ダンバーの家族へのインタビューを通して、彼女の人生を1本の映画にまとめる。

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 【ニューヨーク・コンペティション】(New York Competition)

 ※審査員:セルマ・ブレア、ザック・ブラフ、ゾーイ・カサヴェテス、ダルコ・ルングロヴ(Darko Lungulov/セルビアの監督) 、アンドリュー・マッカーシー

 ◆最優秀作品賞(Best New York Narrative)
 ◎“Monogamy”(米) 監督:Dana Adam Shapiro

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎メリッサ・レオ “The Space Between”(米)(監督:Travis Fine)

 【ニューヨーク・ドキュメンタリー・コンペティション】(New York Documentary Competition)

 ※審査員:アメリカ・フェレーラ、Dave Karger、Dan Klores、スコット・ノイスタッター、Kate Snow

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞(Best New York Documentary)
 ◎“The Woodmans”(米・伊・中) 監督:C. Scott Willis

 【短編コンペティション】(Short Film Competition)

 ※審査員:ジャスティン・バーサ、Katherine Dieckmann、Jack Dorsey、ピーター・ファシネリ(Peter Facinelli)、ブルック・シールズ

 ◆最優秀短編賞(Best Narrative Short)
 ◎“Father Christmas Doesn’t Come Here”(南ア) 監督:Bekhi Sibiya

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎“The Crush”(アイルランド) 監督:Michael Creagh

 【短編ドキュメンタリー&学生作品コンペティション】(Documentary and Student Short Competition)

 ※審査員:Perry Miller Adato、ティム・アームストロング(Tim Armstrong)、Jared Cohen、Scandar Copti(“Ajami”の監督)、ラリー・ガゴシアン(Larry Gagosian/ギャラリー・オーナー)、アリシア・キーズ、シリン・ネシャット

 ◆最優秀短編ドキュメンタリー賞(Best Documentary Short)
 ◎“White Lines & The Fever: The Death of DJ Junebug”(米) 監督:Travis Senger

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎“Out of Infamy: Michi Nishiura Weglyn”(米) 監督:Nancy Kapitanoff、Sharon Yamato

 ◆学生ヴィジョナリー賞(Student Visionary Award)
 ◎“some boys don’t leave”(米) 監督:Maggie Kiley

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention)
 ◎“The Pool Party”(イラン・米) 監督:Sara Zandieh

 【トライベッカ映画祭ヴァーチュアル】(Tribeca Film Festival Virtual)

 プレミア・パス購入者が投票できるコンペ部門

 ◆最優秀作品賞(Tribeca Film Festival Virtual Best Feature Film)
 ◎“Spork”(米) 監督:J. B. Ghuman, Jr.

 ◆最優秀短編賞(Tribeca Film Festival Virtual Best Short Film)
 ◎“Delilah, Before”(シンガポール) 監督:Melanie Schiele

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 そんなに派手な作品は見当たりませんが、受賞作は、いずれの作品もまあまあ悪くはなさそうで、今後、いろんな場面(映画祭や映画賞)で顔を出してくることもありそうです。

 今回の特徴は、特に女性監督の健闘が目立ったことで、ワールド・ドキュメンタリー・コンペティションの受賞監督は3人とも女性監督で、ワールド・ナラティヴ・コンペティションの方も最優秀作品賞の監督が女性です。(その他の部門でも女性監督が多数受賞しています。)
 2009年は全世界的に女性監督が大活躍した年でしたが、それは2010年になっても続いている(常態化している?)ということなのかもしれません。

 ちなみに、日本からの出品作はたった1本で、それは『鉄男 THE BULLET MAN』でした!
 日本では、ニューヨークの上映で、爆音のため退出者続出というようなニュースが伝えられていますが、それはたぶんこのトライベッカ映画祭でのことだと思われます。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞スケジュール表 2009年12月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

 追記:
 ◆観客賞(The Heineken Audience Award )
 ◎“RUSH: Beyond the Lighted Stage”(カナダ)  監督:Scot McFadyen、Sam Dunn
 カナダの伝説的プログレッシブ・ロックバンドRushについてのドキュメンタリーで、トロント近郊で活躍していた初期から、代表的なアルバムが生まれ、そして今日に至るまでの軌跡を追う。

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