日本人も受賞! 第56回オーバーハウゼン国際短編映画祭 結果発表!

 第56回オーバーハウゼン国際短編映画祭(International Short Film Festival Oberhausen/Internationale Kurzfilmtage Oberhausen)の各賞が発表になりました。(会期は4月29日~5月4日)

 オーバーハウゼン国際短編映画祭は、毎年、ドイツのオーバーハウゼンで開催される短編に特化した映画祭で、そういう映画祭としては、世界で最も古いものの1つで、1962年にニュー・ジャーマン・シネマのきっかけとなったオーバーハウゼン宣言が発せられた地としても知られています。

 Wikipediaには、この映画祭に参加したことのある監督として、ヴィム・ヴェンダース、マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ヴェルナー・ヘルツォークの名前が挙げられていますが、日本人の映画ファンにとってよりなじみがあるのは、シュヴァンクマイエルのフィルモグラフィーに何度も出てくる映画祭として、でしょうか。

 といっても、上映作品は(少なくとも現時点では)知らない監督の作品ばかりで、出品作が日本に紹介されたりすることも少ないので、取り上げられることもあまりないと思いますが(2003年の大阪ヨーロッパ映画祭で特集が組まれています)、今年は日本人監督が受賞したということもあり、受賞結果を書き出しておきたいと思います。

 コンペティション部門は5つあり、インターナショナル・コンペティション、ジャーマン・コンペティション、児童向け作品が対象で、審査員も児童が務めるキッズ&ユース・コンペティション、ドイツのミュージック・ビデオを対象とするMuViコンペティション、より地元作品に限定したNRWコンペティション(North Rhine-Westphalia Competition/ノルト・ライン=ヴェルトファーレン・コンペティション)(2009年に新設)があります。

画像

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 【インターナショナル・コンペティション】

 ◆グランプリ(Grand Prize of the City of Oberhausen)
 ◎“Madam & Little Boy”(2009/スウェーデン) 監督:Magnus Bärtås

 ◆優秀賞(Principal Prize)
 ◎“Mur i wieża(Wall and Tower)”(2009/イスラエル・オランダ・ポーランド) 監督:Yael Bartana
 ◎“Monolog”(2009/英) 監督:Laure Prouvost

 ◆ヨーロッパ最優秀作品(ARTE Prize for a european short film)
 ◎“Flag Mountain”(2010/英) 監督:John Smith

 ◆国際審査員スペシャル・メンション(Special Mentions of the international Jury)
 ◎“Filmas apie nežinomą menininkę”(2009/リトアニア) 監督:Laura Garbštienè

 ◎“Travelling Fields”(ノルウェー/2009) 監督:Inger Line Hansen

 ◆ノルト・ライン=ヴェストファーレン州首相賞(Prize of the Jury of the Minister President of North Rhine-Westphalia)
 ◎“Definitively Unfinished”(2009/モルドヴァ) 監督:Pavel Braila

 ◆ノルト・ライン=ヴェストファーレン州首相賞スペシャル・メンション
 ◎“Rendez-vous à Stella-Plage”(2009/仏) 監督:Shalimar Preuss

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Filmas apie nežinoma menininkę (Film about an Unknown Artist)”(2009/リトアニア) 監督:Laura Garbštienė

 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“Mur i wieża(Wall and Tower)”(2009/イスラエル・オランダ・ポーランド) 監督:Yael Bartana

 ◆エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 ◎“Electric Light Wonderland”(2009/英) 監督:Susanna Wallin

 ◆Prize of the Cinema Jury
 ハンブルク短編映画エージェンシーに買い上げられる特典あり。
 “you and me”(2008/独) 監督:Karsten Krause

 ◆Prize of the Cinema Jury スペシャル・メンション
 ◎“Fly in the Sky”(2010/英)

 ◆オーバーハウゼン国際短編映画祭賞(Prize of the International Short Film Festival Oberhausen)
 ◎『Hand Soap』(2008/日) 監督:大山慶

 【ジャーマン・コンペティション】

 ◆グランプリ
 ◎“Gesang der Jünglinge”(2009/独) 監督:Andree Korpys、Markus Löffler

 ◆3sat-Promotional-Award
 革新的な作品に贈られる。副賞として放送局3satに買い上げられる。
 ◎“Nach Klara”(2010/独) 監督:Stefan Butzmühlen

 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Mention of the Jury of the German Competition)
 ◎“Shadows Inside”(2009/独) 監督:Moana Vonstadl
 ◎“Amerika”(2010/独) 監督:Eldar Grigorian

 【キッズ&ユース・コンペティション】

 ◆キッズ部門 グランプリ
 ◎“Jongens zijn we”(2009/オランダ) 監督:Tomas Kaan

 ◆キッズ部門 審査員スペシャル・メンション(Special Mention of the Children Jury)
 ◎“Das Kleine und das Biest”(2009/独) 監督:Uwe Heidschötter、Johannes Weiland

 ◆ユース部門 グランプリ
 ◎“luzazul”(2010/メキシコ) 監督:Osiris Luciano
 ◎“Eni”(2009/独) 監督:Ingo Monitor

 ◆ユース部門 審査員スペシャル・メンション(Special Mention of the Youth Jury)
 ◎“bro”(2009/英) 監督:Chris Dundon

 【MuViコンペティション】

 ◆第1位(1st Prize)
 ◎“Lightning Strikes”(2009/独) 監督:Sönke Held、音楽:Felix Kubin

 ◆第2位(2nd Prize)
 ◎“Bit by Bit”(2009/独) 監督:Felix Hüffelmann、Philip Frowein 音楽:Comfort Fit

 ◆第3位(3rd Prize)
 ◎“u_08-1 (future past perfect pt.3)” 監督:Carsten Nicolai、Simon Mayer 音楽:alva noto feat. Anne-James Chaton

 ◆オンライン観客賞(The MuVi Online Audience Award)
 ◎“Lifeguide”(2009/独) 監督:Gitti & Kitti 音楽:Pappkameraden

 【NRWコンペティション】

 ◆第1位(First Prize of the NRW Competition)
 ◎“Holding Still”(2010/独) 監督:Florian Riegel

 ◆第2位(Second Prize of the NRW Competition)
 ◎“Legenden”(2009/独) 監督:Angélique Dubois

 ◆スペシャル・メンション(Special Mention)
 ◎“Driving Élodie”(2009/独) 監督:Lars Henning

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 大山慶監督の『Hand Soap』に与えられたオーバーハウゼン国際短編映画祭賞というのは、審査員によって決められるオフィシャルな賞ではなくて、審査員の賞が決定した後、映画祭の選定委員会が、この作品にも賞をあげて、作品への賛辞を示したいと特別に贈ることを決定した賞だそうで、映画祭選定委員会に特に愛された作品であることがわかります。

 選定委員会からのコメントは以下の通りです。
 「審査員による賞が決まった時、映画祭の選定委員会は、昔から行なわれていることであるが、われわれが特に優れていると考える作品に賞を贈って、その作品にも注意を喚起したいと考えた。日本のアニメーション『Hand Soap』は、優れた技術を使って、思春期の少年の肉体的・精神的経験を印象的なイメージで描いている。われわれは、大山慶に、賞として500ユーロを贈ることができて、うれしく思っている。」
 “Die Auswahlkommission der Kurzfilmtage verleiht nach Bekanntwerden der Jury-Entscheidungen traditionell den Preis der Kurzfilmtage, um auf eine Arbeit im Wettbewerb aufmerksam zu machen, die wir für besonders wichtig erachten. Der japanische Animationsfilm Hand Soap findet mit seinen außergewöhnlichen Techniken beeindruckende Bilder für die körperlich-seelischen Erfahrungen eines pubertierenden Jungen. Wir freuen uns, den mit 500 Euro dotierten Preis an Oyama Kei zu überreichen.”

 大山慶監督は、映画『Tokyo Loop』参加監督の1人で、映画『私は猫ストーカー』のアニメーション部分を担当しているアニメーション作家でもあり、2009年10月にはアップリンク・ファクトリーで特集上映も行なわれています。
 その時のトレーラーをYou Tubeで見ることができますが、トニー・レインズの「クローネンバーグさえ夢見ることのなかったボディホラー」という惹句が凄いですね。



 『Hand Soap』は、6月1日~6日に開催されるザグレブ国際アニメーションフェスティバルのコンペティション部門、6月7日から開催されるアヌシー国際アニメーションフェスティバルの短編コンペティション部門にもエントリーされています。

 *関連サイト
 ・大山慶公式ブログ「Kei Oyama Official Weblog」:http://d.hatena.ne.jp/keioyama/
 ・大山慶公式Twitter:http://twitter.com/Kei_Oyama
 ・大山慶に関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E6%85%B6
 ・Web Dice 大山慶・黒坂圭太・山村浩二トークショー:http://www.webdice.jp/dice/detail/2052/
 ・映画『Tokyo Loop』公式サイト:http://www.imageforum.co.jp/tokyoloop/

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 今回のオーバーハウゼン国際短編映画祭には、日本から他に2作品がインターナショナル・コンペティションにエントリーされていました。

 その1つは、佐竹真紀監督の『暮らしあと』で、もう1つはKim Dong-hun監督の “Sunday”です。

 ・佐竹真紀公式HP:http://park1.wakwak.com/~satakemaki/

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 冒頭で、オーバーハウゼン国際映画祭上映作品は日本ではあまりなじみがないと書きましたが、日本からの出品作がけっこう賞を受賞したりもしていて、受賞作には主に以下のような作品があります。たぶんまだまだ受賞作があるかもしれず、出品作は多々ありますが、ざっと調べてわかる範囲は以下のようなものです。

 ・1963年 『愛』(監督:久里洋二) グランプリ受賞

 ・1964年 『アオス』(監督:久里洋二) 優秀賞受賞

 ・1967年 『殺人狂時代』(監督:久里洋二) グランプリ受賞

 ・1973年 『寄生虫の一夜』(監督:久里洋二) 銀賞(?)受賞

 ・1994年 『トワイライツ』(監督:天野天街) グランプリ受賞

 ・2000年 『ドルメン』(監督:冨永昌敬) 審査員スペシャル・メンション受賞

 ・2001年 『よろこび』(1999)(監督:松村浩行) 国際批評家連盟賞受賞

 ・2004年 『前衛仙術』(監督:金井勝) 国際批評家連盟賞受賞

 ・2005年 『マリコ三十騎』(2004)(監督:真利子哲也) オーバーハウゼン国際短編映画祭賞受賞

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 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル、アヌシー国際アニメーションフェスティバルの今年のラインナップはもう既に発表されていますが、そのうちに当ブログでも記事にしたいと思っています。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞スケジュール表 2009年12月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

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