日本人がグランプリ! アンアーバー映画祭2010

 第48回アンアーバー映画祭(The Ann Arbor Film Festival)の各賞が発表になりました。(3月23日~28日)

 アンアーバー映画祭のことは、タイ映画について調べていて、私も初めて知ったんですが、この映画祭は北米で2番目に古い映画祭(1番古いのはコロンバス国際映画祭)で、特に、実験映画を積極的に取り上げることでよく知られています。

 開催地はミシガンで、ミシガン大学の先生が始めた映画祭だそうで、最も高額の賞金が3000ドル(約30万円)という慎ましいものですが、それでも2500もの作品の応募があるといいますから、伝統と実績には定評があるということなのでしょう。
 ここの出身者には、アンディー・ウォーホル、ケネス・アンガー、オノ・ヨーコ、ガス・ヴァン・サント、バーバラ・ハマー、ジョージ・ルーカスなどがいる、と公式サイトに紹介があります。

 賞は多く、最優秀フィクション作品に贈られるローレンス・カスダンという名前のついた賞もあれば、マイケル・ムーアという名前のついたドキュメンタリー賞もあります。

 へえ~、そうなんだと思ったのは、そんな映画祭で、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の作品が賞を獲り(それがタイのサイトで紹介されていました)、日本人監督がグランプリを受賞していたことです。

 なお、今年の審査員は、Irina Leimbacher、Ben Russell、西川智也(インターナショナルな創作活動をしている日本人映像作家)でした。

--------------------------------

 ◆グランプリ/ケン・バーンズ賞(Ken Burns Award for Best of the Festival )- $3,000
 ◎"Beauty Plus Pity" 監督:Emily Vey Duke & Cooper Battersby
 ◎"Trees of Syntax, Leaves of Axis" 監督:斉藤大地

画像

 ◆最優秀フィクション作品賞/ローレンス・カスダン賞(Lawrence Kasdan Award for Best Narrative Film) - $1,000
 ◎"Seven Songs About Thunder" 監督:Jennifer Reeder
 ◎"Some Days Are Better Than Others" 監督:Matthew McCormick

 ◆最優秀アニメーション賞/クリス・フレイン賞(Chris Frayne Award for Best Animated Film) - $1,000
 ◎"Please Say Something" 監督:David Bailey

 ◆実験映画ビデオ・アーティスト賞/バーバラ・アロノフスキー賞(The Barbara Aronofsky Latham Award for Emerging Experimental Video Artist) - $1,000
 ◎Jesse McLean ("Somewhere Only We Know")

 ◆ファニー映画賞/プリックス・デヴァルティ賞(Prix DeVarti for Funniest Film) - $1,000
 ◎"El ataque de los robotos de Nebulosa-5" 監督:Chema Garcia Ibarra
 ◎"Passage Briare" 監督:Friedl vom Groller (Kubelka)

 ◆技術革新賞/ピーター・ワイルド賞(Peter Wilde Award for Most Technically Innovative Film) - $500
 ◎"Travelling Fields" 監督:Inger Lise Hansen

 ◆最優秀LGBT賞(/aut/FILM Award for Best LGBT Film) - $500
 ◎"City of Borders" 監督:Yun Suh

 ◆最優秀音響デザイン賞(Award for Best Sound Design) - $500
 ◎"Wayfare" 監督:Sylvia Schedelbauer

 ◆最優秀実験映画賞(Award for Best Experimental Film WIT’S END) - $1,000
 ◎"The Presentation Theme" 監督:Jim Trainor

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞/マイケル・ムーア賞(Michael Moore Award for Best Documentary Film) - $1,000
 ◎"Bernadette" 監督:Duncan Campbell

 ◆最優秀撮影賞/コダック・フィルム・クラフト・イメージング賞(Kodak/Filmcraft Imaging Award for Best Cinematography) - $3,000 ($1,500 film plus $1,500 processing)
 ◎"Songs from the Shed" 監督:Melika Bass
 ◎"I Know Where I’m Going" 監督:Ben Rivers

 ◆有望フィルムメーカー賞/トム・バーマン(Tom Berman Award for Most Promising Filmmaker) - $1,000
 ◎Laida Lertxundi ("My Tears Are Dry")

 ◆最優秀インターナショナル賞(Best International Film) - $750
 ◎"Lost World" 監督:Gyula Nemes

 ◆最優秀ミシガン・フィルムメーカー賞(Best Michigan Filmmaker) - $500
 ◎"Sleeping Bear" 監督:Jack Cronin

 ◆心の憩い賞(Food Gatherers Feeding the Soul Award) - $500
 ◎"Portrait #3: House of Sound" 監督:Vanessa Renwick

 ◆アイリーン・マイトランド賞(The Eileen Maitland Award) - $500
 ◎"Twist of Fate" 監督:Karen Aqua

 ◆暴力反対賞(The No Violence Award) - $500
 ◎"Golden Hour" 監督:Robert Todd

 【審査員賞】(Jury Awards) - $1,200
 ◆街は劇場だ賞(The City is Cinema Award)
 ◎"Vineland" 監督:Laura Kraning

 ◆ダブル・スペース賞(The Doubling of Space Award)
 ◎"Simultaneous Contrast" 監督:Chris Kennedy

 ◆ファルス賞(The False Fiction Award)
 ◎"Atlantropa" 監督:Samuel Stevens

 ◆ロスト&ファウンド賞(The Lost and Found Award)
 ◎"From the Archives of an Inventor" 監督:Stephen Wetzel

 ◆マップ・オブ・タイム賞(The Map of Time Award)
 ◎"Piensa en Mi" 監督:Alexandra Cuesta

 ◆メモリー・アンド・マジック賞(The Memory and Magic Award)
 ◎『ブンミおじさんへの手紙』"A Letter to Uncle Boonmee" 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン

画像

--------------------------------

 正直なところ、知らない作品、聞いたことのない名前の監督ばかりですが、その中では、やはりグランプリの斉藤大地監督が注目されます。

 斉藤大地/Daichi Saito
 日本生まれの実験映画作家。
 アメリカで哲学を学び、インドでヒンディー語とサンスクリット語を学ぶ。
 現在、カナダのモントリオールを拠点に活動。
 主な作品は、“Chiasmus”(2003)、“Chasmic Dance”(2004)、“All That Rises”(2007)、“Trees of Syntax, Leaves of Axis”(2009)。
 *関連サイト
 ・LIGHT CON:http://www.lightcone.org/en/filmmaker-1158-daichi-saito.html
 ・The World 公開記念オールナイト~ Image & Sound Eternity ~:http://www.bakuon-bb.net/theworld/allnight.php
 ・ロッテルダム国際映画祭2010:http://www.filmfestivalrotterdam.com/en/films/trees-of-syntax-leaves-of-axis/
 ・アンアーバー映画祭2010:http://aaff.bside.com/2010/films/treesofsyntaxleavesofaxis_aafilmfest2010;jsessionid=8F30230845F5EE32476FCCAC79D89F64

 Daichi Saitoという名前には見覚えがあると思って調べてみたら、2007年のトロント国際映画祭のWAVELENGHS部門で“All That Rises”が上映されていて、それを当ブログでも紹介していたのでした。

 “Trees of Syntax, Leaves of Axis”は、2009年の爆音オールナイトで上映されていたようですが、斉藤大地監督はイメージフォーラム系の映像作家ともつながりがあり、つきあいがあるようなので、いずれイメージフォーラム・フェスティバルか何かで上映されることもあるのではないでしょうか。

 なお、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『ブンミおじさんへの手紙』は、短編版のほかに長編版も作られているとかいないとかいう情報もありますが、今回受賞したのは18分の短編版(2009年のイメージフォーラム・フェスティバルで上映されたバージョン)です。

 追記:
 Daichi Saitoで検索すると、日本語のサイトがいくつかヒットしますが、同名異人のサイトであることも多いようです。

 *この記事がなかなか興味深かった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 画像
 ↑ ↑ ↑ ↑
 応援してね!

 *当ブログ記事
 ・アピチャッポン・ウィーラセタクン全フィルモグラフィー:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200903/article_13.html
 ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック