第23回シンガポール国際映画祭から見えてくること…… シルバー・スクリーン・アワード発表!

 第23回シンガポール国際映画祭で各賞の結果が発表になりました。

 ◆シンガポール短編コンペティション

 ・最優秀作品賞:“Promises in December” 監督:Ho Elgin Tat Chuen

 ・最優秀監督賞:Ho Elgin Tat Chuen “Promises in December”

 ・最優秀パフォーマンス賞:Li Xie “Mu Dan”

 ・最優秀撮影賞:“Mu Dan”

 ・スペシャル・メンション:“Life With Ummu” 監督:Lai Huiyi Tanya

 ◆アジア映画コンペティション

 ・最優秀作品賞:“Sex Volunteer”(韓) 監督:Cho Kyeong-Duk
 物語:女子学生エリ、不能の男チュンギル、そして僧侶という3人が売春容疑でホテルで逮捕される。これは、セックス・ボランティアなのだと主張しても聞き入れられない。チュンギルは自分を詩人だというが、自分の初恋のことも言葉にすることができない。オンライン・デートも相手の家族に切られてしまった。生涯に一度だけセックスを経験したことがある、と彼は僧侶に告白する。そこで、エリが助け舟を出す。自分は2本の映画を作ったことがあるが、次は、自分の経験を元にセックス・ボランティアの映画を作りたかったのだと……。
 監督のKyeong-Duk Choは、これが初長編。
 全州国際映画祭2009 ワールド・プレミア作品。
 モントリオール世界映画祭2009 上映作品。
 サンパウロ国際映画祭2009グランプリ受賞。

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 ・最優秀監督賞:Cho Kyeong-Duk  “Sex Volunteer”(韓)

 ・最優秀パフォーマンス賞 『私は太陽を見た』(トルコ) 監督:マフスン・クルムズギュル

 ・最優秀撮影賞:『私は太陽を見た』(トルコ)

 ・NETPAC賞:“The Dreamer”(インドネシア) 監督:リリ・リザ

 『私は太陽を見た』は東京国際映画祭2009で上映された作品。東京国際映画祭でスペシャル・メンション受賞、米国アカデミー賞2010外国語映画賞トルコ代表作品。
 “The Dreamer”は、昨年末に開催されたジャカルタ国際映画祭2009でお披露目になった作品で、香港国際映画祭2010でも上映されています。
 リリ・リザは、2002年に『エリアナ、エリアナ』(“Eliana,Eliana”)でヤング・シネマ賞とNETPAC/国際批評家連盟賞を受賞して以来の受賞となりました。

 アジア映画コンペティションで受賞した3作品は、コンペ部門のラインナップの中では有力作品であったので、この受賞は一般的なコンペとしてはまあまあ順当なところ、と言えるかもしれません。

 意外なのは、これがシンガポール国際映画祭の受賞結果だからで、明らかに性描写があると思われる“Sex Volunteer”が、センサーシップの厳しいシンガポールで上映されて、評価されたらしいというのは、映画祭であっても、これまで正式上映作品としてエントリーさせておきながら、直前になって平気で上映禁止にする(される)ということが度々あったので、ちょっとびっくりさせられる出来事でした。(過去には廣木隆一『ヴァイブレータ』がコンペ部門に出品されて審査員特別賞を受賞するということもありましたが、『縛師』は上映中止にされています。)
 ひょっとすると、“Sex Volunteer”は、過激なのはタイトルだけで、内容や描写はいたってソフトなものなのかもしれませんが……。
 なお、この作品は、韓国では、ちょうど4月22日から劇場公開されたばかりです。

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 さて、今年のシンガポール国際映画祭のラインナップは、ちょっと寂しいねというようなことをノミネーションの記事に書いていましたが、昨年、この映画祭で発表されていたシンガポール・フィルム・アワードがどうやら今年は開催されなかったようで、なんだかさらにがっかりしてしまいました。

 どこにも説明はないので、はっきりしたことはわかりませんが、この映画祭での公式上映作品を見ても、今、シンガポール映画界が苦境に立たされているらしいことは明白ですから、今年はシンガポール・フィルム・アワードをやれるほど作品が揃わなかったんじゃないか、ということは容易に想像できます。

 List of SingaporeのWikipedia(http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Singaporean_films)を見ても、2008年は充実しているのに、2009年は全然作品が挙がっていませんから、たぶんそうなのでしょう。

 エリック・クーの『マジック』がカンヌ国際映画祭のコンペ部門にエントリーされた(シンガポール映画として初)のが、シンガポール映画の1つの頂点ということになるのでしょうか。

 寂しいですね。

 とすれば、昨年開催されたsintokシンガポール映画祭は、日本でシンガポール映画祭が成立するギリギリのタイミングで開催されたということになるのかもしれません。

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 *当ブログ記事
 ・第23回シンガポール国際映画祭 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_14.html
 ・第22回シンガポール国際映画祭 ラインナップ&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_3.html
 ・第21回シンガポール国際映画祭 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200804/article_1.html
 ・シンガポール国際映画祭 1991~2007:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200804/article_2.html
 ・映画祭&映画賞スケジュール表 2009年12月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

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