ベスト・ケベック映画2009! 第12回Jutra賞発表!

 カナダ・ケベック映画賞、Jutra賞が発表になりました。(3月28日)

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 ◆作品賞(Meilleur film)
 ・“1981” 監督:Ricardo Trogi
 ・“Before tomorrow” 監督:Marie-Hélène Cousineau、Madeline Piujuq Ivalu
 ・“Dédé à travers les brumes” 監督:Jean-Philippe Duval
 ◎“J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother” 監督:Xavier Dolan
 ・“Polytechnique” 監督:デニ・ヴィルヌーヴ

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 ◆監督賞(Meilleure realization)
 ・Marie-Hélène Cousineau、Madeline Piujuq Ivalu “Before tomorrow”
 ・Xavier Dolan “J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”
 ・Jean-Philippe Duval “Dédé à travers les brumes”
 ・Ricardo Trogi “1981”
 ◎デニ・ヴィルヌーヴ “Polytechnique”

 ◆主演男優賞(Meilleur acteur)
 ・Jean-Carl Boucher “1981”
 ・ミシェル・コテ(Michel Côté) “De père en flic / Father and Guns”(監督:Émile Gaudreault)
 ・Normand D'Amour “5150, rue des Ormes”(監督:Éric Tessier)
 ・Xavier Dolan “J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”
 ◎Sébastien Ricard “Dédé à travers les brumes”

 ◆主演女優賞(Meilleure actrice)
 ・セリーヌ・ボニア(Céline Bonnier) “Je me souviens / Némésis / I Remember”(監督:André Forcier)
 ◎Anne Dorval “J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”
 ・Marie-Thérèse Fortin “Les grandes chaleurs”(監督:Sophie Lorain)
 ・Isabelle Guérard “Détour”(監督:Sylvain Guy)
 ・Élise Guilbault “La donation”(監督:ベルナール・エモン)

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 ◆助演男優賞(Meilleur acteur de soutien)
 ・Normand Daneau “Suzie” (監督:Micheline Lanctôt)
 ◎Maxime Gaudette “Polytechnique”
 ・レミー・ジラール(Rémy Girard) “De père en flic / Father and Guns”
 ・スティーヴン・マクハティ(Stephen McHattie) “The Timekeeper”(監督:Louis Bélanger)
 ・Dimitri Storoge “Dédé à travers les brumes”

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 ◆助演女優賞(Meilleure actrice de soutien)
 ◎サンドリーヌ・ビソン(Sandrine Bisson) “1981”
 ・Hélene Bourgeois-Leclerc “Je me souviens / Némésis / I Remember”
 ・Bénédicte Décary “Dédé à travers les brumes”
 ・Fanny Mallette “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”(監督:Patrice Sauvé)
 ・Sonia Vachon “5150, rue des Ormes”

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 ◆脚本賞(Meilleur scenario)
 ・Jean-Philippe Duval “Dédé à travers les brumes”
 ・Ken Scott “Les doigts croches / Sticky Fingers”(監督:Ken Scott)
 ・ベルナール・エモン(Bernard Émond) “La donation”
 ・André Forcier、Linda Pinet “Je me souviens / Némésis / I Remember”
 ◎Xavier Dolan “J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”

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 ◆撮影賞(Meilleure direction de la photographie)
 ・Bernard Couture “Cadavres”(監督:Erik Canuel)
 ◎ピエール・ギル(Pierre Gil) “Polytechnique”
 ・Daniel Jobin “Je me souviens / Némésis / I Remember”
 ・Sara Mishara “La donation”
 ・Ronald Plante “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”

 ◆編集賞(Meilleur montage)
 ・ミシェル・アルカン(Michel Arcand) “Love and Savagery”(監督:John N. Smith)
 ・Glenn Berman “Un ange à la mer / Angel at Sea”(監督:Frédéric Dumont)
 ◎Richard Comeau “Polytechnique”
 ・Michel Grou “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ・Linda Pinet “Je me souviens / Némésis / I Remember”

 Richard Comeauは、『生きるために必要なこと』も手がけた編集者。

 ◆美術賞(Meilleure direction artistique)
 ・Jean Babin “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ・Andre-Line Beauparlant “The Timekeeper”
 ・ジャン・ベコット(Jean Bécotte) “Cadavres”
 ・Danielle Labrie “Les doigts croches / Sticky Fingers”
 ◎David Pelletier “Dédé à travers les brumes”

 ◆衣裳賞(Meilleurs costumes)
 ・Carmen Alie “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ・Atuat Akkitirk、Micheline Ammaq “Before tomorrow”
 ◎Judy Jonker “Dédé à travers les brumes”
 ・Sophie Lefebvre “The Timekeeper”
 ・ジネット・マニ(Ginette Magny) “Les doigts croches / Sticky Fingers”

 ◆メイキャップ賞(Meilleurs maquillages)
 ・Djina Caron “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ・Bruno Gatien、Sophie Lebeau、Mélanie Rodrigue 『マーターズ』“Martyrs”(監督:パスカル・ロジェ)
 ・Jo Pat Parris “5150, rue des Ormes”
 ◎Colleen Quinton “Cadavres”
 ・Fanny Vachon “The Timekeeper”

 ◆ヘアスタイリング賞(Meilleure coiffure)
 ・Andre Duval “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ◎Linda Gordon “1981”
 ・Martin Lapointe “Serveuses demandées / Waitresses Wanted”(監督:Guylaine Dionne)
 ・Marie-Lyne Normandin “Dédé à travers les brumes”
 ・Martin Rivest “Je me souviens / Némésis / I Remember”

 ◆音響賞(Meilleur son)
 ・Mario Auclair、Christian Rivest、Sylvain Lefebvre、Michel Gauvin “Cadavres
 ・Mario Auclair、Pierre-Jules Audet、Luc Boudrias “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ◎Pierre Blain、Claude Beaugrand、Stephane bergeron “Polytechnique”
 ・Marcel Chouinard、Richard lavoie、Dean Giammarco、Bill Sheppard “The Timekeeper”
 ・Dominik Pagacz、Gavin Fernandes “Un ange à la mer / Angel at Sea”

 ◆音楽賞(Meilleure musique)
 ・ブノワ・シャレスト(Benoît Charest) “Polytechnique”
 ・Bertrand Chenier “Love and Savagery”
 ・ノーマンド・コーベイル(Normand Corbeil) “Grande Ourse: la clé des possibles / Master Key”
 ・Kate & Anna McGarrigle “Before tomorrow”
 ◎Dédé Fortin、レ・コロック(Les Colocs)、Éloi Painchaud “Dédé à travers les brumes”

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 ◆ドキュメンタリー賞(Meilleur documentaire)
 ・“Antoine” 監督:Laura Bari
 ・“Hommes à louer” 監督:Rodrigue Jean
 ◎“Last train home (Le dernier train) ” 監督:Lixi Fan
 ・“Silence, on vaccine” 監督:Lina B. More
 ・“Une tente sur mars” 監督:Martin Bureau、Luc Renaud

 ◆短編映画賞(Meilleur court-moyen métrage)
 ◎“Danse macabre” 監督:Pedro Pires
 ・“La chute” 監督:Ivan Grbovic
 ・“La neige cache l'ombre des figuiers” 監督:Samer Najari
 ・“L'ordre des choses” 監督:Anne Émond
 ・“Mon cher Robert” 監督:Claude Brie

 ◆アニメーション賞(Meilleur film d'animation)
 ・“M” 監督:Félix Dufour-Laperrière
 ・“Oko” 監督:Alain Fournier
 ・“Playtime” 監督:Steven Woloshen
 ◎“Robe de guerre” 監督:Michèle Cournoyer
 ・“Le tiroir et le corbeau” 監督:Frédérick Tremblay

 ◆ケベック以外で最も成功した映画(Most successful film outside Quebec)
 ◎“J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”

 ◆ボックス・オフィス賞(Le billet d'or (for box office performance))
 ◎“De père en flic”

 ◆生涯功労賞
 ◎レネ・マロ(René Malo)
 レネ・マロは、『アメリカ帝国の滅亡』、『回転扉』、スキャナーズ・シリーズなどを手がけるプロデューサー。

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 主な作品のノミネーション&受賞状況は以下のようになっています。

 ・“Dédé à travers les brumes”(4/10):作品・監督・主演男優・助演男優・助演女優・脚本・美術・衣裳・ヘア・音楽
 ・“Grande Ourse: la clé des possibles”(0/9):助演女優・撮影・編集・美術・衣裳・メイク・ヘア・音響・音楽
 ・“Polytechnique”(5/7):作品・監督・助演男優・撮影・編集・音響・音楽
 ・“Je me souviens”(0/6):主演女優・助演女優・脚本・撮影・編集・ヘア
 ・“1981”(2/5):作品・監督・主演男優・助演女優・ヘア
 ・“J'ai tué ma mère”(3/5):作品・監督・主演男優・主演女優・脚本
 ・“The Timekeeper”(0/5):助演男優・美術・衣裳・メイク・音響
 ・“Cadavres”(1/4):撮影・美術・メイク・音響
 ・“Before tomorrow”(0/4):作品・監督・衣裳・音楽
 ・“5150, rue des Ormes”(0/3):主演男優・助演女優・メイク
 ・“La donation”(0/3):主演女優・脚本・撮影
 ・“Les doigts croches”(0/3):脚本・美術・衣裳

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 注目されていたのは、ジニー賞(カナダ・アカデミー賞)が完全に無視した“J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”に対して、Jutra賞がどういう評価を下すのかという点でしたが、作品賞・主演女優賞・脚本賞の3部門受賞というほぼ順当と思える結果となりました。
 監督本人は、監督賞と主演男優賞でもノミネートされていたわけですが、作品賞と脚本賞でもノミネート対象となっていたので、十分満足と言える結果なのではないでしょうか。

 最多受賞となったのは、デニ・ヴィルヌーヴ監督の“Polytechnique”で、ノミネートされていた7部門のうち、監督賞を含む5部門で栄冠を勝ち取りました。

 最多ノミネートだった“Dédé à travers les brumes”は、実在したミュージシャンの映画らしく、主演男優賞と音楽賞、それに美術賞と衣裳賞という音楽映画ならではの部門で受賞を果たしています。

 長編フィクションを対象とする部門は、これら3作品に“1981”と“Cadavres”を加えた5作品で、全15部門を分け合った形になりました。

 全体としては、Xavier Dolanという若きスターの誕生、実話を元にした2つ(あるいは3つ)の映画化、ミュージシャンがミュージシャンを演じての主演男優賞、と話題性豊かで、バラエティーに富んだケベック映画界の1年を象徴するような受賞結果となったのではないでしょうか。

 各作品の紹介は、ノミネーションの記事に書いていますが、ここで再録しておきたいと思います。(ちょっとだけ加筆しました)

 ・“Polytechnique”
 監督:デニ・ヴィルヌーヴ
 出演:カトリーヌ・ヴァナッス、Maxim Gaudette
 1989年にモントリオールの学校で起きた事件(エコール・ポリテクニークの大虐殺(École Polytechnique massacre)、もしくはモントリオールの大虐殺(Montreal Massacre)と呼ばれる)を映画化。
 物語:教室に若い男性がライフルを持って入ってくる。彼は、男子は出て行け、女子だけ残れと命じ、脅しが本気であることを示すために、天井に向けて、ライフルを発砲する。男子生徒が教室から出て行き、女子生徒だけ教室に残ると、彼は「俺はフェミニストが嫌いだ」と言って、女子生徒に向かって発砲する。女子生徒の多くが死に、他は重症を追う。彼は、教室を出ると、廊下からカフェテリア、さらに別の教室へと向かい、発砲を重ねていく。
 物語は、2人の生徒の視点で語られる。1人は、死んだふりをして、生き延びたヴァレリーという女子生徒であり、もう1人は殺人者の命令に従って、女子生徒を見捨てた男子生徒ジャン=フランソワで、彼は、良心の呵責に耐え切れず、事件からしばらくして、自殺してしまう。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間で上映。
 助演男優賞を受賞したMaxime Gaudetteは、殺人者役を演じた男優。

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 ・“Dédé à travers les brumes”(デデは霧の彼方に)
 監督:Jean-Philippe Duval
 出演:Sébastien Ricard、Joseph Mesiano、Dimitri Storoge、Bénédicte Décary
 1990年代にケベック地方を中心に絶大な人気を誇ったバンド、レ・コロックを描いた音楽映画で、ボーカルのデデとドラムのジミーが組んでバンドを始めた1990年から、一躍人気バンドとなり、その後、ハーモニカのパットのエイズによる死、ボーカルのデデの謎の自殺によって、解散に置きこまれるまでを描く。
 ケベックでラップ・グループ、ココロカスを組むミュージシャン、セバスチャン・リヒャールが主役のデデを演じる。
 この作品は、釜山国際映画祭2009で上映されています。

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 ・“J'ai tué ma mère/ I Killed My Mother”
 監督:Xavier Dolan
 16歳のユベールは、クールで、静かな少年だが、母親のことが大嫌いで、いつもケンカばかりしていた。彼は、母のプラスチックの家具を選ぶセンスも気に入らなかったし、日焼けサロンに通うようなライフスタイルも嫌いだった。ある日、ユベールは、学校で、母親について作文を書けと言われ、何も書くことを思いつけず、作文の中で母親が死んでいることにしてしまう。母子の諍いはエスカレートし、母は彼を寄宿学校に送ることに決める。ユベールは抵抗するが、母とは離婚していたユベールの実父も生活環境が変わるのもいいだろうと賛成する。しかし、母子の諍いはほぐれず、むしろ膠着状態に陥る……。
 若きXavier Dolanの自伝的作品で、監督自身が監督・脚本・主演の3役を務める。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間上映作品。アート・シネマ賞&若者の視点賞(Regards Jeunes Prize&SACD Prize受賞。
 パリ映画祭2009 Les avant-premières部門で上映。
 トロント国際映画祭2009 SPECIAL PRESENTATIONS部門で上映。
 バンコク国際映画祭2009 スペシャル・メンション。
 バンクーバー国際映画祭2009 最優秀カナダ映画。
 サテライト・アワード2009 外国語映画賞ノミネート。
 アカデミー賞2010外国語映画賞カナダ代表。

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 ・“1981”
 監督:Ricardo Trogi
 出演:Jean-Carl Boucher、サンドリーヌ・ビソン
 監督自身の少年時代の物語を映画化したもの。
 物語:リカルド少年は11歳。彼は、抵当権という言葉は知らなかったが、家族に何か悪いことが起こっているらしいということはおぼろげながらわかっていた。彼は、新たに引越しすることになるが、転校先の学校は、裕福な生徒ばかりだった。彼は、友達を作るために家族に関するウソをつくが、ウソの上にウソが重ねられて、取り返しがつかなくなっていく。そして、ついに、彼にも真実に向き合わなければならない時がやってくる。

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 ・“Cadavres”
 監督:Erik Canuel
 出演:パトリーク・ユアール(Patrick Huard)、Julie LeBreton、Sylvie Boucher
 物語:ハロウィンの日。酔っ払ったレイモンの母が、溝に落ちて死ぬ。彼は、長らく会っていなかった女優の姉を呼び、母の遺体を捜すが、見つかった遺体は全く別人のものであった。彼らは、対立するギャングの抗争に巻き込まれてしまったことを悟る。それから、ギャング、ディーラー、悪徳エージェント、驚くほどバカな警官などを巻き込む大騒ぎが始まる……。

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 *当ブログ関連記事
 ・第12回Jutra賞ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_8.html
 ・第11回Jutra賞 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200903/article_19.html
 ・第30回ジニー賞ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_7.html
 ・トロント国際映画祭が選んだ2009年カナダ映画トップ10:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_17.html

 ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

 なお、第30回ジニー賞(カナダ・アカデミー賞)の発表は、4月12日です。

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