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zoom RSS ドリームワークス+アードマン=『フレンチ・ロースト』!

<<   作成日時 : 2010/02/26 07:19   >>

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 アカデミー賞短編アニメーション賞セミファイナリスト発表の時点でも、アカデミー賞ノミネーション発表の時点でも動画が見つからなかった“French Roast”が、いつのまにかYou Tubeにアップされていました。

 こうしたものは、いつ削除されてしまうかもわからないので、観れる間に観ておきましょう。

 ちなみに、台詞はないので、外国語がわからなくても大丈夫です。



 【物語】
 風に紙くずが舞い、それを浮浪者が集めてまわっている。
 そんな通りの様子が見えるカフェの中では、ビジネスマンらしい男性が経済新聞を広げている。
 浮浪者がカフェに入ってきて、男から小銭をせびろうとするが、男は知らぬふりを決め込む。
 男は、おかわりのコーヒーを口にしたところで、懐に手を入れ、財布を探すが、あるべきはずの財布がないことに気づく。
 何かを思い出したのか、ハッとして葉巻の灰を落としたコーヒーを飲み、顔をしかめる。
 テーブルの下を覗き込んでみるが、もちろん財布はなく、やってきたウェイターにもう1杯コーヒーのおわかりを頼んでとりあえず時間かせぎをする。
 時刻は、朝方から昼に移り、男の前には山のように飲み終わったコーヒーカップが積まれている。
 また、浮浪者が入ってきて、小銭を求めるが、男は拒絶し、浮浪者は隣の席でいねむりをしている老シスターにターゲットを移す。
 シスターは、寝ぼけているのか、バッグの中から札束を取り出すと、その中の1枚をテーブルの上に置く。浮浪者は、間髪いれずにそれを奪って、店から出て行く。
 シスターは、またすぐ居眠りし始める。
 男は、シスターのバッグに手を伸ばすが、ちょうど外にパトカーがやってきたので、ドキリとしてあきらめる。
 シスターはトイレに入り、入れ替わりに警官が店の中に入ってくる。
 警官は、指名手配犯のポスターをウェイターに手渡す。
 夜。なぜか、警官は、そのまま居座ってしまったようで、男にもたれかかるようにして、居眠りをしている。
 ウェイターは、腕時計を指して、もういいかげんに出て行ってくれないかと男に催促する。
 思い余った男は、シスターのバッグに手をつっこんで、中にあったものを引っ張り出すが、それはお金ではなく、指名手配犯のマスクだった。
 ウェイターは、驚いて、警官に水をかけて起こす。
 そこに浮浪者が入ってきて、また、小銭をせびるが、男は何もくれないので、長いレシートをもらって行こうとする。
 そのレシートに足をとられたのか、警官はころんで、銃を暴発させてしまう。
 宙を舞うたくさんの紙くず。
 浮浪者は、発砲にも驚かず、散らばった紙くずの中から目当てのものを探そうとする。
 ずっとトイレに入っていたらしいシスターが出てきて、男が自分のバッグの中にあったマスクを手にしているのをたしなめると、店を出て、すぐにやってきたバスに乗って、去る。
 男は、万策尽きて、手に顔をうずめる。
 すると、横から手が伸びて、トレイの上に紙幣が置かれる。
 ウェイターは、それを取り、すぐにおつりを置く。
 何もなかったように浮浪者は店の外にでて行き、男は複雑な表情を浮かべる。

画像

 ◆作品データ
 2008年/仏/8分18秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 SIGGRAPH2009 Best in Show部門最優秀賞受賞。
 米国アカデミー賞2010 短編アニメーション賞ノミネート。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 あらすじを読んだ感じでは、もう少しエスプリの利いた小粋な作品なのかなと思っていたのですが、初見では、ちょっと期待はずれかもという印象を持ってしまいました。

 凶悪犯らしい「老シスター」があっさりと逃げ失せ、浮浪者に冷たかった男が浮浪者に助けてもらって、難を逃れる、というオチもよくわかりません。まさか、「だから、困った人を見つけたら親切にしましょう」といった教訓めいたものを言おうとしているわけでもないでしょうし。

 で、1回見終わった後で、「あれっ、ひょっとするとあの浮浪者は、凶悪犯を追う捜査官が変装していたということだったのかも」、と思い、もう1回観てみたのですが、別にそういうことを示唆しているような表現もありませんでした。

 どうやらあの浮浪者は、小銭以外はお金と認識しておらず、紙くずは紙幣で何でも同じで、等しく集めて回っている、ということのようです。

 はじめて観た時は、男が葉巻を吸っているのに、テーブルに灰皿がないのも気になりました。が、これは作り手の意図的なもののようですね。
 物語にとって積極的な意味はありませんが、「あれっ、灰皿は?」と観客に思わせることで、観客にちょっとしたストレスを与えて、作品にアクセントをつける、そんな目的で、わざとテーブルに灰皿を置いていない(描いていない)ようです。

 で、何度か繰り返し見たのですが、こまかく見ていくうち、この作品は、なかなかよくできていて、悪くもないかなと思えるようになってきました。
 ・経済新聞を読むようなビジネスマンがコーヒー1杯の小銭にも困るという皮肉。
 ・客席の後ろが窓ではなく、鏡になっていて、男が見ている通りの景色を観客も同時に見ることができるようになっているという仕掛け。
 ・最初に浮浪者が紙くずを拾うのが、オチの伏線になっている。
 ・すぐに倒れて消えてしまう店内の灯り、も伏線になっている。
 ・老シスターのバッグの中の札束も老シスターの正体を示す伏線になっている。

 ノミネーション作品のすべてを観たわけではないので断定はできませんが、このくらいのレベルなら、アカデミー賞を受賞してもいいかな、とも思えてきました。ま、これだったら、昨年の『つみきのいえ』の方が全然いいんですけどね。

 ◆監督について
 Fabrice O. Joubert

 元々は、漫画が好きで、漫画家になりたいと思っていたが、成長するにつれて、映画監督になりたいと思うようになり、パリ大学とソルボンヌ大学で映画を学ぶ。しかし、ここでは、大学で映画を学ぶ者が観るような映画を観る4年間だった。

 その後で、パリにレゴブラン美術学校(Les Gobelins)というアニメーションの学校があるのを知り、ここなら絵を描きたいという幼い頃から情熱と映画監督になりたいという夢が一度に叶えられると思い、22歳でここに進む。

 卒業後、2Dアニメーションのスタッフを募集していたドリームワークスに応募し、ドリームワークスで『プリンス・オブ・エジプト』(1998)、『エルドラド/黄金の都』(2000)、『スピリット』(2002)、『シンドバット 7つの海の伝説』(2003)、『シャーク・テイル』(2004)などにアニメーターとして参加。
 ここままここにいてもCGアニメーション監督にしかなれないと思い、いったんヨーロッパに引き上げる。

 ストップ・モーション・アニメーションに魅かれて、さらに2年間、アードマン・スタジオで過ごす。『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ』(2005)、『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』(2006)の制作に参加する。
 ここで、ようやく自分の野心を実現する時がやってきたと感じ、パリに戻り、監督第1作にとりかかることに決める。

 2007年の夏は、エコール・ジョルジュ・メリエス(Ecole Georges Méliès)の学生たちと過ごし、製作資金が集まるのを待つ。
 ドリームワークス時代をともに過ごしたビボ・バージェロン(Eric “Bibo” Bergeron/『シャーク・テイル』の監督の1人)が帰国し、彼と彼のパートナーの協力によって、ようやく第1作“French Roast”に取り掛かることができる。

 子どもの頃に観たアニメーションはディズニー作品だったが、大きな影響を受けたと思う作品は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。『ウォレスとグルミット』から学ぶことも多かった。

 “French Roast”を作るために、参考にしたのは、ジャック・タチ作品やロナルド・サール(Ronald Searle)の絵で、会話によらない、パントマイムのようなコメディー作品を目指した。

 “French Roast”の作品のために、65人ものスタッフが集まった。

 “French Roast”を作るのに、特にこだわったのはシングル・ショットで撮影することで、パンやカットを使わないために後ろに大きな鏡を置くというアイデアを採用した。

 難しかったのは、浮浪者の巻き毛とひげ。

 今後は、アニメーション監督として、『熱血どんぐりハンター!』のクリス・ルノーらが監督を務める“Dispicable Me”(2010)と、ビボ・バージェロンの長編アニメーション“A Monster in Paris”(2011年にヨーロッパ・コープ配給予定)に参加。
 自身の次回監督作については、現在ストーリーを温め、資金調達を行なっているところ。

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 *参考記事
 ・Animation Magazine(英語):http://www.animationmagazine.net/article/10460

 *当ブログ記事
 ・SIGRAPH2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_12.html
 ・米国アカデミー賞2010短編アニメーション賞セミファイナリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_34.html
 ・米国アカデミー賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_6.html
 ・アカデミー賞短編アニメーション賞リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200701/article_11.html

 ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ
 ・「tantano 短編映画をたのしむ」INDEX
 ・「tantano 短編映画をたのしむ」 人気動画 トップ39!

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短編アニメーション上映会イベント告知です。
失礼します。
アート・アニメーションのちいさな学校、初の卒業生誕生!
卒業制作作品上映会、題して
「あー!っとアニメーションのぶっとび上映会」
2010年3月27、28日 ゲスト&イベントあり
http://laputa-open.net/index.html(公式ページ)
http://www.laputa-jp.com/school/top.html(学校ページ)
smallschool
URL
2010/03/11 15:26

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