続々発表! 米・映画批評家協会賞!

 米・映画批評家協会賞が続々と発表されています。
 もう記事のアップが間に合わないくらいなんですが、ひとまず、以下の7つの映画賞の結果から……。

 ボストン映画批評家協会賞(Boston Society of Film Critics Awards) 13日発表
 ロサンゼルス映画批評家協会賞(Los Angeles Film Critics Association Awards) 13日発表
 ニューヨーク映画批評家オンライン賞(New York Film Critics Online Awards) 13日発表
 ニューヨーク映画批評家協会賞(New York Film Critics Awards) 14日発表
 サウス・イースタン映画批評家協会賞(Southeastern Film Critics Awards) 14日発表
 インディアナ映画批評家協会賞(The Indiana Film Critics Awards) 14日発表
 サンフランシスコ映画批評家協会賞(San Francisco Film Critics Circle Awards) 14日発表

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 ※それぞれの映画賞に番号が振ってありますが、それが「6」から始まるのは、これ以前に5つの全米映画賞(ゴッサム・アワード、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、ワシントンDC映画批評家協会賞、女性映画批評家協会賞、女性映画ジャーナリスト同盟映画賞)が発表されているからで、2009年度全米映画賞の6番目以降のものという意味での、通し番号になっています。

 ◆作品賞
 6.ボストン:“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 7.LA:“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 次点:『マイレージ、マイライフ』 監督:ジェイソン・ライトマン
 8.NYオンライン:『アバター』 監督:ジェームズ・キャメロン
 9.NY:“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 10.サウス・イースタン:『マイレージ、マイライフ』 監督:ジェイソン・ライトマン
 11.インディアナ:『マイレージ、マイライフ』 監督:ジェイソン・ライトマン
 次点:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 12.サンフランシスコ:“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー

 ◆監督賞
 6.ボストン:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”
 7.LA:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”
 次点:ミヒャエル・ハネケ “The White Ribbon”
 8.NYオンライン:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”
 9.NY:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”
 10.サウス・イースタン:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”
 次点:ジェイソン・ライトマン 『マイレージ、マイライフ』
 11.インディアナ:スパイク・ジョーンズ 『かいじゅうたちのいるところ』
 次点:ウェス・アンダーソン “Fantastic Mr.Fox”
 12.サンフランシスコ:キャスリン・ビグロー “The Hurt Locker”

 ◆主演男優賞
 6.ボストン:ジェレミー・レナー “The Hurt Locker”
 7.LA:ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
 次点:コリン・ファース 『シングル・マン』
 8.NYオンライン:ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
 9.NY:ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』&“Fantastic Mr.Fox”
 10.サウス・イースタン:ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』
 次点:ジェレミー・レナー “The Hurt Locker”
 11.インディアナ:ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』
 次点:ジェレミー・レナー “The Hurt Locker”
 12.サンフランシスコ:コリン・ファース 『シングル・マン』

 ◆主演女優賞
 6.ボストン:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 7.LA:ヨランド・モロー “Seraphine”
 次点:ケアリー・マリガン “An Education”
 8.NYオンライン:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 9.NY:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 10.サウス・イースタン:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 次点:ギャバリー・シディビー 『プレシャス!』
 11.インディアナ:ケアリー・マリガン “An Education”
 次点:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 12.サンフランシスコ:メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』

 ◆助演男優賞
 6.ボストン:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 7.LA:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 次点:ピーター・キャパルディ “In the Loop”
 8.NYオンライン:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 9.NY:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 10.サウス・イースタン:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 次点:ウディ・ハレルソン “The Messenger”
 11.インディアナ:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 次点:スタンリー・トゥッチ “The Lovely Bones”、『ジュリー&ジュリア』
 12.サンフランシスコ:クリスチャン・マッケイ “Me and Orson Welles”

 ◆助演女優賞
 6.ボストン:モニーク 『プレシャス』
 7.LA:モニーク 『プレシャス』
 次点:アナ・ケンドリック 『マイレージ、マイライフ』
 8.NYオンライン:モニーク 『プレシャス』
 9.NY:モニーク 『プレシャス』
 10.サウス・イースタン:モニーク 『プレシャス』
 次点:アナ・ケンドリック 『マイレージ、マイライフ』
 11.インディアナ:モニーク 『プレシャス』
 次点:ヴェラ・ファーミガ 『マイレージ、マイライフ』
 12.サンフランシスコ:モニーク 『プレシャス!』

 ◆脚本賞/オリジナル脚本賞
 6.ボストン:ジョエル&イーサン・コーエン “A Serious Man”
 7.LA:ジェイソン・ライトマン、シェルドン・ターナー 『マイレージ、マイライフ』
 次点:Jesse Armstrong、Simon Blackwell、Armando Iannucci、Tony Roche “In the Loop”
 8.NYオンライン:クエンティン・タランティーノ 『イングロリアス・バスターズ』
 9.NY:Jesse Armstrong、Simon Blackwell、Armando Iannucci、Tony Roche “In the Loop”
 10.サウス・イースタン:スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー 『(500)日のサマー』
 次点:マーク・ボール “The Hurt Locker”
 11.インディアナ:ジェイソン・ライトマン、シェルドン・ターナー 『マイレージ、マイライフ』
 次点:スパイク・ジョーンズ、デイヴ・エガーズ 『かいじゅうたちのいるところ』
 12.サンフランシスコ:クエンティン・タランティーノ 『イングロリアス・バスターズ』

 ◆脚色賞
 10.サウス・イースタン:ジェイソン・ライトマン、シェルドン・ターナー 『マイレージ、マイライフ』
 次点:ウェス・アンダーソン、ノア・バウムバック “Fantastic Mr.Fox”
 12.サンフランシスコ:ウェス・アンダーソン、ノア・バウムバック “Fantastic Mr.Fox”

 ◆撮影賞
 6.ボストン:バリー・アクロイド “The Hurt Locker”
 7.LA:クリスティアン・ベアガー “The White Ribbon”
 次点:バリー・アクロイド “The Hurt Locker”
 8.NYオンライン:ロバート・リチャードソン 『イングロリアス・バスターズ』
 9.NY:クリスティアン・ベアガー “The White Ribbon”
 12.サンフランシスコ:ロジャー・ディーキンス 『シングル・マン』

 ◆編集賞
 6.ボストン:ボブ・ムラウスキ(Bob Murawski)、クリス・イニス(Chris Innis) “The Hurt Locker”

 ◆美術賞
 7.LA:フィリップ・アイヴィ “District 9”
 次点:リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ 『アバター』

 ◆衣裳賞

 ◆作曲賞
 6.ボストン(Best Use of Music in a Film):“Crazy Heart”
 7.LA:“Crazy Heart” Steve Bruton & T. Bone Burnett
 次点:アレクサンドル・デプラ “Fantastic Mr.Fox”
 8.NYオンライン:“Crazy Heart” Steve Bruton & T. Bone Burnett、Jeffrey Pollack(音楽スーパーバイザー)

 ◆歌曲賞

 ◆音響賞

 ◆視覚効果賞

 ◆新人賞

 ◆ブレイクスルー賞
 8.NYオンライン:クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』

 ◆ヤング・パフォーマンス賞

 ◆新人監督賞
 6.ボストン(Best New Filmmaker):ニール・ブロムカンプ “District 9”
 8.NYオンライン:マーク・ウェブ 『(500)日のサマー』
 9.NY(Best First Picture):スティーヴ・マックィーン 『ハンガー』

 ◆アンサンブル賞
 6.ボストン:『プレシャス!』 監督:リー・ダニエルズ、『スタートレック』 監督:J・J・エイブラムス
 8.NYオンライン:“In the Loop” 監督:Armando Iannucci

 ◆ドキュメンタリー賞
 6.ボストン:『ザ・コーヴ』 監督:ルイ・シホヨス
 7.LA:『アニエスの浜辺』 監督:アニエス・ヴァルダ、『ザ・コーヴ』 監督:ルイ・シホヨス
 8.NYオンライン:『ザ・コーヴ』 監督:ルイ・シホヨス
 9.NY(Best Non-fiction Film):“Of Time and the City”(英) 監督:テレンス・デイヴィス
 10.サウス・イースタン:“Food,Inc.” 監督:Robert Kenner
 次点:『ザ・コーヴ』 監督:ルイ・シホヨス
 11.インディアナ:『ザ・コーヴ』 監督:ルイ・シホヨス
 『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』 監督:サーシャ・ガバシ
 12.サンフランシスコ:『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』 監督:サーシャ・ガバシ

 ◆長編アニメーション賞
 6.ボストン:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 7.LA:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 次点:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 8.NYオンライン:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 9.NY:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 10.サウス・イースタン:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 次点:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 11.インディアナ:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 次点:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 12.サンフランシスコ:『コララインとボタンの魔女』 監督:ヘンリー・セリック

 ◆外国(語)映画賞
 6.ボストン:『夏時間の庭』(仏) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 7.LA:『夏時間の庭』(仏) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 次点:“The White Ribbon”(独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 8.NYオンライン:“The White Ribbon”(独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 9.NY:『夏時間の庭』(仏) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 10.サウス・イースタン:『夏時間の庭』(仏) 監督:オリヴィエ・アサイヤス
 次点:“The White Ribbon”(独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 11.インディアナ:『闇の列車、光の旅』(メキシコ) 監督:ケイリー・フクナガ
 次点:『ウェルカム』(仏) 監督:フィリップ・リオレ
 12.サンフランシスコ:『愛おしき隣人』(スウェーデン) 監督:ロイ・アンダーソン

 ◆その他の賞
 6.ボストン

 7.LA
 ・ニュー・ジェネレーション賞(New Generation Award)
 ◎ニール・ブロムカンプ “District 9”

 ・ダグラス・E・エドワース 実験映画/インディペンデント映画/ビデオ・アワード(Douglas E. Edwards Experimental/Independent Film/Video Award)
 Anders Edström、C.W. Winter “The Anchorage”

 8.NYオンライン:
 ・ベスト11
 “Adventureland” 監督:Greg Mottola
 『アバター』 監督:ジェームズ・キャメロン
 “Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 “The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 『イングロリアス・バスターズ』 監督:クエンティン・タランティーノ
 “The Messenger” 監督:オーレン・ムーヴァーマン
 『プレシャス!』 監督:リー・ダニエルズ
 “A Serious Man” 監督:ジョエル&イーサン・コーエン
 “Two Lovers” 監督:ジェームズ・グレイ
 『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 『マイレージ、マイライフ』 監督:ジェイソン・ライトマン

 9.NY
 ・特別賞(Special Award)
 Andrew Sarris 映画批評への貢献に対して。

 10.サウス・イースタン
 ・ベスト10
 1位:『マイレージ、マイライフ』 監督:ジェイソン・ライトマン
 2位:“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 3位:『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 4位:『イングロリアス・バスターズ』 監督:クエンティン・タランティーノ
 5位:“A Serious Man” 監督:ジョエル&イーサン・コーエン
 6位:『(500)日のサマー』 監督:マーク・ウェブ
 7位:『プレシャス!』 監督:リー・ダニエルズ
 8位:“The Messenger” 監督:オーレン・ムーヴァーマン
 9位:“Fantastic Mr.Fox” 監督:ウェス・アンダーソン
 10位:“District 9” 監督:ニール・ブロムカンプ

 ・Wyatt賞
 ◎“That Evening Sun”
 次点:“Goodbye Solo”

 11.インディアナ
 ・オリジナル・ヴィション賞
 ◎『かいじゅうたちのいるところ』
 次点:“District 9”

 12.サンフランシスコ
 ・特別賞(Special Citatation)
 ◎“Sita Sings the Blues”

 ・Marlon Riggs賞(ベイエリア映画コミュニティーにおける勇気やヴィジョンに対して送られる/Award for courage & vision in the Bay Area film community)
 ◎Frazer Bradshaw(監督) 監督作品“Everything Strange and New”に対して
 ◎Barry Jenkins(監督) 監督作品“Medicine for Melancholy”に対して

 ・メモリアル賞(In Memoriam)
 ◎ローズ・カウフマン(Rose Kaufman)(女優/脚本家/フィリップ・カウフマンの妻、プロデューサー ピーター・カウフマンの母)

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 アメリカ国内に映画批評家協会賞は約30ありますが、その中で、特に個性的&重要な映画批評家協会賞は、映画批評家協会賞の先陣を切って発表されるワシントンDC映画批評家協会賞、2つの女性映画賞(女性映画批評家協会賞と女性映画ジャーナリスト同盟映画賞)、国際批評家連盟賞アメリカ代表でもある全米映画批評家協会賞、映画批評家協会賞のトリを取り、アカデミー賞との合致度が高いことで知られる放送映画批評家協会賞、そして、今回、発表になったニューヨーク映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞があります。

 ニューヨーク映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞に関しては昨年も書いたのですが、再録しておくと――

 【ニューヨーク映画批評家協会賞】
 ニューヨーク映画批評家協会賞は、映画批評家が選ぶ映画賞としては最も古い映画賞で1935年に設立されています。
 多数決で決められるような映画賞には得てして“多数決によるブレ”があったりするものですが、ニューヨーク映画批評家協会賞にはそれが少なくて、作品賞であればその時々の意欲作、野心作、映画作家の成熟を示す作品、男優賞・女優賞であれば俳優としての転機となるような作品を確実に選んできています。
 たとえば、作品賞として、『ディパーテッド』ではなく『ユナイテッド93』を選ぶとか、『グラディエーター』ではなく『トラフィック』を選ぶとか、『タイタニック』ではなく『LAコンフィデンシャル』を選ぶとか、主演男優賞であれば、『ブロークバック・マウンテン』でヒース・レジャーを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマン)、『サイドウェイ』でポール・ジアマッティを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『Ray/レイ』のジェイミー・フォックス)、『ロスト・イン・トランスレーション』でビル・マーレーを選ぶとか(同年のアカデミー賞は『ミスティック・リバー』のショーン・ペン)……。
 まあ、ある意味、アカデミー賞よりもわかりやすい映画賞だと言ってもいいかもしれません。

 【ロサンゼルス映画批評家協会賞】
 ロサンゼルス映画批評家協会賞は、ハリウッドのお膝元でありながら、ハリウッド映画に全く背を向けた映画賞で、インディーズ寄りのセレクションになるならまだしも、外国映画をやたらと選んでしまうという、アメリカの映画賞らしからぬ“個性的な”映画賞になっています(いったいアメリカ映画についてどう思ってるんだって感じですが)。
 設立は1975年で、歴史もあり、1980年前後には『クレーマー、クレーマー』とか『E.T.』とか『アマデウス』とか、アカデミー賞と変わらないような作品を選んでいたんですが、どうも1985年に『未来世紀ブラジル』を選んだあたりから、「己の道を行く」ようになり、依然としてアカデミー賞の重要な前哨戦の1つと見なされながら、結果としてはアカデミー賞とはあまり重ならない映画賞として、現在に至っています(それでも『許されざる者』や『シンドラーのリスト』など、どうしても外せない年もあるようです)。
 2001年以降に作品賞を受賞した作品を見てもそれは歴然で、それぞれ『イン・ザ・ベッドルーム』『アバウト・シュミット』『アメリカン・スプレンダー』『サイドウェイ』『ブロークバック・マウンテン』『硫黄島からの手紙』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』をベスト作品に選んで、「他の映画賞とは違う」というところを見せています(『サイドウェイ』なんか5部門受賞で最多賞受賞作品になってしまったりしています)。
 2007年度のアカデミー賞には、フランス映画『エディット・ピアフ 愛の讃歌』や『ペルセポリス』がからんでいて、「なぜこれがここに?」と思わないでもありませんでしたが、ひょっとすると、こういうところに、逆に、ロサンゼルス映画批評家協会賞がアカデミー賞に与えている影響を見て取ることができる、ということもできるかもしれません。
 ちなみに、2007年のロサンゼルス映画批評家協会賞とアカデミー賞が重なった部門は、主演男優賞(本命)、主演女優賞(マリオン・コーティヤール)、長編アニメーション賞(ただしロサンゼルス映画批評家協会賞は『レミーのおいしいレストラン』と『ペルセポリス』という2作品に長編アニメーション賞を与えています)の3つでした。

 昨年のニューヨーク映画批評家協会賞は、作品賞に『ミルク』、監督賞にマイク・リーを選び、ロサンゼルス映画批評家協会賞は、監督賞こそダニー・ボイルですが、作品賞には『ウォーリー』を選んでいます。

 それから、特に個性的な映画賞という認識はありませんが、サウス・イースタン映画批評家協会賞は、昨年度の映画批評家協会賞の中で、最もアカデミー賞と合致率の高い映画賞となっていて、そういう意味で、注目されたりします。

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 以上の傾向性を踏まえて、上記の結果を見ると―

 ・作品賞は、一見、“The Hurt Locker”と『マイレージ、マイライフ』の一騎打ちのように見えるけれども、選んでいるのがロサンゼルスやニューヨークということを考えてみると、アカデミー賞の作品賞は“The Hurt Locker”ではありえず、やはり『マイレージ、マイライフ』が本命なのかな、ということが言えそうです。

 ・それに対し、監督賞はキャスリン・ビグローがほぼ本命に近いポジションにいます。
 これで、本年度は作品賞と監督賞が違った作品に贈られることと、女性初のアカデミー賞監督賞受賞、という2つの可能性が見えてきました。

 ・そのほか
 主演男優賞:混戦
 主演女優賞:メリル・ストリープが有力
 助演男優賞:クリストフ・ヴァルツが本命
 助演女優賞:モニークが本命
 脚本賞:『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ)が有力
 脚色賞:『マイレージ、マイライフ』が有力
 撮影賞:混戦
 作曲賞:“Crazy Heart”が本命
 長編ドキュメンタリー賞:『ザ・コーヴ』が有力
 長編アニメーション賞:『カールじいさんの空飛ぶ家』が本命だけれど、意外と混戦
 外国語映画賞:アカデミー賞候補にはなっていない『夏時間の庭』が善戦。次点が“The White Ribbon”

 ・今のところ、有力作品と見なされている『NINE』や『インビクタス/負けざる者たち』,、“The Last Station”は、ノミネーション対象期間事情のためか、全くタイトルが挙がってきていません。

 今後、各組合賞のノミネーションや受賞結果が出てくると、各賞の動向はよりいっそうはっきりしてくるのですが、現時点での2009年度全米映画賞レース途中経過は大体このような感じになっています。

 映画賞には、①どれだけ最大公約数的な受賞結果(誰しもが納得できる受賞結果)を出せるか、②それがどれだけアカデミー賞の結果を占うものなのか、③アカデミー賞云々とは関係なく、それがどれだけ見識のある受賞結果なのか、という3つの側面があって、それぞれの映画賞を、必ずしもアカデミー賞への前座やマイルストーンのような扱いはしたくないのですが……。

 映画賞は、今後も続々と発表されていくことになっています。
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 *当ブログ記事
 ・ボストン映画批評家協会賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_24.html
 ・ロサンゼルス映画批評家協会賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_16.html
 ・ニューヨーク映画批評家オンライン賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_24.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_18.html
 ・サウス・イースタン映画批評家協会賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_27.html
 ・サンフランシスコ映画批評家協会賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_27.html

 ・ゴッサム・アワード2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_2.html
 ・ナショナル・ボード・オブ・レビュー2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_6.html
 ・ワシントンDC映画批評家協会賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_11.html
 ・女性映画批評家協会賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_22.html
 ・女性映画ジャーナリスト同盟映画賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_22.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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