2009年は女性監督躍進の年でした! 断言!

 キャスリン・ビグローが史上初の女性オスカー監督になるかもしれない2009年度は、実は、女性監督が大きく飛躍した年(数々の映画祭を席捲した年)でもありました。

 まず、ベルリンで金と銀を獲り、モスクワで銀で、ベネチアでも銀、そしてロカルノで金!

 サンダンスでも、4つのコンペのうち、グランプリが1つと監督賞2つが女性監督の作品。

 アヌシーもワルシャワもシカゴもマル・デル・プラタもグランプリは全部女性です!

 別に騒ぐことでもないから騒がないのか?
 いや~、やっぱり、そうではないでしょう。ベルリンとカンヌとベネチアの最高賞が全部女性監督作品だったら、さすがにマスコミも騒ぎ出すのでしょうが、まだそこまではいっていないので、女性監督の大躍進にまだみんな気づいていないんですね。
 これまで女性のオスカー監督が1人もいないということが象徴的に表しているように、映画製作はやっぱりまだまだ男性中心の男性社会ですから……。

 「実は」ついでに、書いておくと、日本の映画賞でも、キネ旬の監督賞であれ、日本アカデミー賞であれ、ブルーリボン賞であれ、毎日映画コンクールであれ、これまで女性監督が監督賞を受賞したことは1回もありません。日本映画史上全くのゼロです(個々の映画賞や映画部門ではありますが)。
 2009年度は、すでにご存知のように、『ディア・ドクター』で、西川美和監督が監督賞を受賞する可能性が高いと目されていますから、受賞すれば、いずれも女性監督として初、となります。

 というわけで、2009年は、日本も含め、全世界的、同時多発で、女性監督が躍進を遂げた年になった、というわけです。

 ま、本当は、これはこれまでのいろんな積み重ねがあって、そうなったのであり、単発的な出来事でも、今回限りということでもなく、今後、女性監督がよりいっそう飛躍していくのは明らかなのですから、(後から考えると)その端緒となったのが2009年だった、ということになるかもしれません。

 以下は、2009年の国際映画祭での女性監督作品の受賞の記録です。

 ここでは主だったものだけピックアップしてみましたが、これだけでも女性監督の飛躍ぶりがわかるかと思います。

 各映画祭や受賞結果、作品の詳細等については、当ブログで記事にしているので、よかったら、(検索窓などを使って)過去の記事に遡って見てみてください。

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 ◆サンダンス映画祭(2009年1月)

 ・“The General (El General)”(米) 監督:ナタリー・アルマダ(Natalia Almada)
 USドキュメンタリー部門 監督賞

 ・“An Education”(英) 監督:ロネ・シェルフィグ
 ワールドシネマ・ドラマ部門 観客賞&撮影賞

 ・“Afghan Star”(アフガニスタン・英) 監督:ハヴァナ・マーキング(Havana Marking)
 ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門 観客賞&監督賞

 ・“Rough Aunties”(英) 監督:キム・ロンジノット
 ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門 審査員グランプリ

 ◆ベルリン国際映画祭(2009年2月)

 ・“Alle Anderen”(独) 監督:Maren Ade(マレン・アデ)
 銀熊賞(審査員グランプリ)、銀熊賞(女優賞:Birgit Minichmayr)

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 ・『リトル・ソルジャー』“Little Soldier”(デンマーク) 監督:アネット・K・オルセン
 エキュメニカル審査員賞

 ・“Rage”(英・米) 監督:サリー・ポッター

 ・『悲しみのミルク』“La Teta Asustada (The Milk of Sorrow)”(ペルー・西) 監督:クラウディア・リョサ
 金熊賞&国際批評家連盟賞

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 ・『木のない山』(米・韓) 監督:キム・ソヨン
 フォーラム部門エキュメニカル賞

 ・“A Horse is Not A Metaphor”(米) 監督:バーバラ・ハマー
 テディー賞短編賞

 ◆カンヌ国際映画祭(2009年5月)

 ・“Fish Tank”(英・オランダ) 監督:アンドレア・アーノルド
 審査員賞

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 ・『マップ・オブ・ザ・サウンズ・オブ・トーキョー』"Map of the Sounds of Tokyo”(西)監督:イザベル・コイシェ
 Prix Vulcain(Aitor Berenguer(音響))

 ・"Bright Star”(オーストラリア・英・仏) 監督:ジェーン・カンピオン

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 ◆アヌシー国際アニメーションファスティバル(2009年6月)

 ・“Slavar”(スウェーデン) 監督:Hanna Heilborn
 グランプリ(Annecy Cristal)&ユニセフ賞

 ◆上海国際映画祭(2009年6月)

 ・“白銀帝国(Empire of Silver)”(中・香港・台湾) 監督:クリスティーナ・ヤオ
 審査員賞

 ◆モスクワ国際映画祭(2009年6月)

 ・『ノラの遺言』“Five Days without Nora(Cinco dias sin Nora)”(メキシコ) 監督:マリアナ・チェニッリョ(Mariana Chenillo)
 銀賞(Silver George/監督賞)

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 ・“Melody for a Barrel Organ(Melodiya dlya sharmanki)”(ウクライナ) 監督:キラ・ムラートワ
 国際批評家連盟賞

 ◆ロカルノ国際映画祭(2009年8月)

 ・“She, A Chinese”(英・独・仏) 監督:シャルー・グォ(郭小櫓/Xiaolu Guo)
 金豹賞

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 ・“Nothing Personal”(オランダ・アイルランド) 監督:Urszula Antoniak
 第1回監督賞&国際批評家連盟賞&ヤング審査員賞1位

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 ◆ベネチア国際映画祭(2009年9月)

 ・“White Material”(仏) 監督:クレール・ドゥニ

 ・“Lo Spazio Bianco”(伊) 監督:フランチェスカ・コメンチーニ
 Francesco Pasinetti Award (SNGCI)最優秀作品賞&最優秀女優賞(マルゲリータ・ブイ)、FEDIC Prize、Air For Film Fest Award、Gianni Astrei Pro Life Award

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 ・“Women Without Men”(独) 監督:シリン・シャネット
 銀獅子賞(監督賞)、Cinema for UNICEF commendation

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 ・“Lourdes”(オーストリア) 監督:ジェシカ・ハウスナー
 国際批評家連盟賞、SIGNIS Prize、La Navicella - Venice Cinema Award、Brian Award

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 ◆トロント国際映画祭(2009年9月)

 ・“The Topp Twinns”(ニュージーランド) 監督:Leanne Pooley
 観客賞ドキュメンタリー部門

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 ◆シネマニラ国際映画祭(2009年10月)

 ・『タレンタイム』(マレーシア) 監督:ヤスミン・アハマド
 東南アジア映画コンペティション グランプリ

 ◆ワルシャワ国際映画祭(2009年10月)

 ・“Lourdes”(オーストリア) 監督:ジェシカ・ハウスナー
 ワルシャワ・グランプリ

 ◆ハワイ国際映画祭(2009年10月)

 ・“白銀帝国(Empire of Silver)”(中・香港・台湾) 監督:クリスティーナ・ヤオ
 グランプリ/ハレクラニ・ゴールデン・オーチャード・アワード

 ◆シカゴ国際映画祭(2009年10月)

 ・“Mississippi Damned”(米) 監督:Tina Mabry
 グランプリ/ゴールド・ヒューゴー賞

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 ・“Fish Tank”(英・オランダ) 監督:アンドレア・アーノルド
 審査員特別賞/シルバー・ヒューゴー賞

 ◆ヴァリャドリッド国際映画祭(2009年10月)

 ・『リトル・ソルジャー』(デンマーク) 監督:アネット・K・オルセン
 銀賞/銀のスパイク賞&撮影賞

 ◆モンペリエ地中海映画祭(2009年10月)

 ・“Retorno a Hansala/Return to Hansala”(西) 監督:Chus Gutiérrez
 批評家賞

 ◆マル・デル・プラタ国際映画祭(2009年11月)

 ・『ノラの遺言』“Five Days without Nora(Cinco dias sin Nora)”(メキシコ) 監督:マリアナ・チェニッリョ(Mariana Chenillo)
 グランプリ/Golden Astor

 ・“La hora de la siesta/ Siesta”(アルゼンチン) 監督:Sofia Mora
 最優秀ラテンアメリカ映画

 ◆ゴッサム・アワード(2009年12月)

 ・“The Hurt Locker”(米) 監督:キャスリン・ビグロー
 最優秀作品賞&アンサンブル・パフォーマンス賞&生涯貢献賞(キャスリン・ビグロー)

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 なお、最後につけ加えたゴッサム・アワードだけは、映画祭ではなく、映画賞ですが、“The Hurt Locker”とキャスリン・ビグローはどうしても2009年の女性監督映画を語るのに外せないと思ったので、あえて入れてあります(“The Hurt Locker”自体は、2008年のベネチア国際映画祭コンペ部門出品作でした)。

 上記の受賞作品は、現在、続々と発表されつつある各国の映画賞でも当然賞を受賞していくだろうと思われます。
 それらもできるだけ当ブログでフォローしていきたいと思っています。お楽しみに!

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

この記事へのコメント

通りすがり
2009年12月09日 12:47
いつも参考にさせていただいております。

“Five Days without Nora(Cinco dias sin Nora)”(メキシコ) 監督:Mariana Chenillo
は、今年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で「ノラの遺言」というタイトルで上映されていましたよ。監督とのQ&Aもありました。
なんというか、重いけどどこかユーモラスで温かい傑作でした。
umikarahajimaru
2009年12月09日 20:58
通りすがりさま
ありがとうございます。さっそく邦題を併記することにします。

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