まずは順当に! アジア太平洋映画賞2009 結果発表!
第3回アジア太平洋映画賞(Asia Pacific Screen Awards)の結果が発表になりました。(11月26日@オーストラリア・ゴールド コースト)
アジア太平洋映画賞といっても、世界各地で開催される様々な映画祭・映画賞の1つに過ぎませんが、スポンサーにユネスコとCNNと国際映画製作者連盟がついているというのがユニークで、そんな映画賞がなぜかオーストラリアのクイーンズランドを拠点として開催されています(音頭取りをしているのが、クイーンズランドだからなんですが)。
アジア太平洋映画賞は、2007年から始まった賞で、中東までを含めたアジア全域と、オセアニアの映画の振興を目的とする賞で、対象国は70カ国にも及んでいます。(以上、昨年の当ブログ記事からそのまま転載)
昨年も70カ国の中に入っていたのかどうかはわかりませんが、ロシア映画もノミネートされているというのが、昨年と今年との違いでしょうか。
今年のノミネーション&受賞結果は以下の通りです。
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◆作品賞
◎“Samson & Delilah”(オーストラリア) 監督:Warwick Thornton
・『花の生涯-梅蘭芳』(中) 監督:チェン・カイコー
・『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
・『時の彼方へ』(仏・英・伊・ベルギー) 監督:エリア・スレイマン
◆監督賞
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
◎『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
・『2つの世界の間で』“Ahasin Wetei /Between Two Worlds”(スリランカ・仏) 監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ
・“Dev.D”(インド) 監督:Anurag Kashyap
・『愛のむきだし』(日) 監督:園子温
◆脚本賞
◎『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 脚本:アシュガル・ファルハディ
・『おくりびと』(日) 脚本:小山薫堂
・“Jang-rye-sik-ui Member /Members of the Funeral”(韓) 脚本/監督:Baek Seung-bin
・『母なる証明』(韓) 脚本/監督:ポン・ジュノ
・“Mumbai Meri Jaan /Mumbai My Life”(インド) 脚本:Yogesh Vinayak Joshi、Upendra Sidhaye 監督:Nishikant Kamat
◆撮影賞
・“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 撮影/監督:Uruphong Raksasad
◎『南京!南京!』(中) 撮影:Chao Yu
・“Cheraghi Dar Meh /A Light in the Fog”(イラン) 撮影:Ali Mohammad Ghasemi 監督:Panahbarkhoda Rezaee
・“Bumaznyj Soldat /Paper Soldier”(ロシア) 撮影:Alisher Khamidhodjaev、Maxim Drozdov 監督:アレクセイ・ゲルマン Jr.
・“Volchok/Wolfy”(ロシア) 撮影:Alexei Arsentiev 監督:Vasili Sigarev
◆男優賞
◎本木雅弘 『おくりびと』(日)
・ヤン・イクジュン 『息もできない』(韓) 監督:ヤン・イクジュン
・モハメド・バクリ(Mohamed Bakri) 『ライラの誕生日』“Eid milad Laila /Laila's Birthday”(パレスチナ・チュニジア・オランダ) 監督:ラシード・マシャラーウィ
・Naseeruddin Shah “A Wednesday”(インド) 監督:Neeraj Pandey
・葛優(グォ・ヨウ) 『誠意なる婚活』“Fei Cheng Wu Rao /If You Are The One”(中・香港) 監督:フォン・シャオガン
◆女優賞
・Golshifteh Farahani 『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン)
◎キム・ヘジャ 『母なる証明』(韓)
・Malani Fonseka “Akasa Kusum /Flowers of the Sky”(スリランカ/インド) 監督:Prasanna Vithanage
・Yana Troyanova “'Volchok /Wolfy”(ロシア)
・ジョウ・シュン “The Equation of Life and Death /李米的猜想”(中) 監督:ツァオ・バオピン(曹保平/Cao Baoping)
◆児童映画賞
・“3 Doa 3 Cinta/Pesantren: 3 Wishes 3 Loves”(インドネシア) 監督:Nurman Hakim
・“The Strength of Water”(ニュージーランド・独) 監督:Armagan Ballantyne
・“Tahaan/Tahaan: A Boy with a Grenade”(インド) 監督:サントーシュ・シヴァン(Santosh Sivan)
◎『旅人』“A Brand New Life”(韓・仏) 監督:ウニー・ルコント
・“'Mommo-Kizkardesim/The Bogeyman”(トルコ) 監督:Atalay Tasdiken
◆長編アニメーション賞
・“Perviy Otryad /First Squad: The Moment of Truth”(ロシア・日・カナダ) 監督:
◎『メアリーとマックス』“Mary and Max”(オーストラリア) 監督:アダム・エリオット
・『スカイ・クロラ』(日) 監督:押井守
・『サマーウォーズ』(日) 監督:細田守
・“Pro Fedota-Streltsa, Udalogo Molodtsa /The Tale of Soldier Fedot, The Daring Fellow”(ロシア) 監督:Lyudmila Steblyanko
◆長編ドキュメンタリー賞
・“Polamuang Juling /Citizen Juling”(タイ) 監督:Kraisak Choonhavan、Ing K.、Manit Sriwanichpoom
◎“Hashmatsa /Defamation”(イスラエル・オーストリア・デンマーク・米) 監督:Yoav Shamir
・“Gandhi's Children”(オーストラリア) 監督:David MacDougall
・『精神』(日) 監督:想田和弘
・“L’important, c’est de Rester Vivant /Survive, In the Heart of the Khmer Rouge Madness”(カンボジア・仏) 監督:Rosane Saidnattar
◎FIAPF(国際映画製作者連盟)賞:松岡功(東宝名誉会長)
◎ユネスコ賞:“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 監督:Uruphong Raksasad
◎審査員グランプリ:『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
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イスラエルであれ、イランであれ、中国であれ、台湾であれ、韓国であれ、日本であれ、ノミネートするなら、まだまだ違う映画/対象があったでしょう?と思ったりもしますが、それでも、昨年よりは、大分ましになったようです。
ノミネート作品の中では、『南京!南京!』がどの程度のクオリティーの作品なのかはわかりませんが、その他はほぼ世評通りの順当な受賞になりました。
アジア映画賞をはじめ、今後発表されるいくつかの映画賞でも受賞者/受賞作品が重なるのではないかと思われます。
受賞作は、もうすでに有名な作品ばかりですが、とりあえず軽く紹介しておきたいと思います。
・“Samson & Delilah”(オーストラリア) 監督:Warwick Thornton
物語:オーストラリア中央の砂漠で悲劇に遭い、命がけで帰還しようとするサバイバル・ストーリー。
出演:Rowan McNamara 、Marissa Gibson 、Mitjili Gibson
カンヌ国際映画祭2009 カメラドール、2009年度米国アカデミー賞外国語映画賞オーストラリア代表。
オーストラリア 第11回Kodak Inside Film Awards 作品賞・監督賞・男優賞・女優賞・音楽賞受賞。
オーストラリア映画協会賞2009作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演女優賞・脚本賞・撮影賞・編集賞・音響賞・作曲賞など12部門・13ノミネート。
・『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
物語:1937年。日中戦争の南京戦とその後を日本兵と中国人の視点を交互に切り替えつつ描いた作品。
出演:劉燁、高圓圓、范偉、中泉英雄、宮本裕子、木幡竜
トロント国際映画祭2009、釜山国際映画祭2009上映作品。
サンセバスチャン国際映画祭2009 グランプリ&審査員賞受賞。
台湾・金馬奨2009撮影賞ノミネート。
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
物語:アハマッドは、ドイツで暮らしていて、久々の休暇に故郷イランに帰る。友人たちは、3日間のカスピ海旅行を計画してくれる。アハマッドは、ドイツ人女性との不幸な結婚を解消したばかりで、今度はイラン人女性と結婚したいと思っていて、気を利かせた友人は、その旅行に女性も誘う。その1人が保育園で保母をしているエリだったが、旅行の2日目に彼女は忽然と姿を消してしまう……。
出演:主演は『半月 ハーフムーン』『それぞれのシネマ』(キアロスタミ編)『ワールド・オブ・ライズ』にも出演しているゴルシフテ・フャハラニ。ほかにTaraneh Alidoosti。
アシュガル・ファルハディは初監督作品“Raghs dar ghobar”(2003)で環太平洋映画祭監督賞&脚本賞を受賞している。第2作“Shah-re ziba”はワルシャワ国際映画祭とインド国際映画祭でともにグランプリを受賞。第3作“Chaharshanbe-soori”はシカゴ国際映画祭グランプリ。
ベルリン国際映画祭2009銀熊賞(監督賞)受賞。
トライベッカ映画祭2009 ワールド・コンペティション グランプリ受賞。
アジアフォーカス・福岡映画祭2009上映作品。
米国アカデミー賞2010外国語映画賞イラン代表。
※監督名に関しては今のところ統一表記がなく、アスガーとかファラーディとか複数の表記が混在しています。
・『旅人』“A Brand New Life”(韓・仏) 監督:ウニー・ルコント
物語:ジニは、9歳で父親に孤児院に捨てられる。父に捨てられたという現実をなかなか受け入れられないジニだったが、それでも孤児院仲間に教わって、徐々に処世術を学んでいく。最初は、いつか父が引き取りにきてくれることを信じて、里親にもらわれていくことなど全く考えられず、養女を探しに大人たちが訪ねてきても硬い表情を崩さないジニだったが、いつしか彼女も笑顔が作れるようになっていく……。
韓国生まれのフランス人ウニー・ルコント(Ounie Lecomte)自身の経験に基づく物語で、共同製作にはイ・チャンドンも参加している。
韓仏映画共同制作協定第1回作品。
カンヌ国際映画祭2009 アウト・オブ・コンペティション部門上映作品。
トロント国際映画祭2009上映作品。
東京国際映画祭2009「アジアの風」部門で上映。アジア最優秀映画賞受賞。
・『メアリーとマックス』“Mary and Max”(オーストラリア) 監督:アダム・エリオット
物語:メルボルン郊外に住む8歳の少女メアリーとニューヨークに住む44歳の自閉症(アスペンガー症候群)のユダヤ人男性マックスの、文通を通して進む物語。純粋ではあるが、世間知らずではない2人が、2つの大陸に離れたまま、20年という歳月を通して、友情を育んでいく。
声:トニ・コレット、フィリップ・シーモア・ホフマン、エリック・バナ
サンダンス映画祭2009 オープニング作品。
ベルリン国際映画祭2009 ジェネレーション 14plus長編映画部門出品。スペシャル・メンション受賞。
アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009グランプリ受賞。
オタワ国際アニメーションフェスティバル2009グランプリ受賞。
オーストラリア 第11回Kodak Inside Film Awards 美術賞受賞。
オーストラリア映画協会賞2009 作品賞・脚本賞・美術賞・AFIメンバーズチョイス賞ノミネート。
米国アカデミー賞2010長編アニメーション賞セミファイナリスト選出。
・“Hashmatsa /Defamation”(イスラエル・オーストリア・デンマーク・米) 監督:Yoav Shamir
監督自身が世界中を旅をして、反ユダヤ主義の現状を探る。
ベルリン国際映画祭2009フォーラム部門出品。
ロンドン映画祭2009 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
ワルシャワ国際映画祭2009 ドキュメンタリー部門観客賞受賞。
ヨーロッパ映画賞2009 ドキュメンタリー部門ノミネート。
・“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 監督:Uruphong Raksasad
タイでも機械化された米作りが主流になっていて、機械を使わない米作りが忘れられつつあるが、それを嘆いた監督が、「機械を使わない昔ながらの米作り」を将来に残すべく、フィクションとドキュメンタリーを融合させて作った作品。
Uruphong Raksasad監督は、アプチャッポン・ウィーラセタクン監督と同じスクール・オブ・アート・インスティテュート・シカゴで修士をおさめた監督。
ロッテルダム国際映画祭2009 スペシャル・メンション受賞。
*アジア太平洋映画祭 公式サイト:http://www.asiapacificscreenawards.com/
ちなみに、今年は43カ国から212本のエントリーがあったそうです。

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*当ブログ記事
・アジア太平洋映画賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_7.html
・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html
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◆Photo Gallery
・園子温
・なぜかAIが登場!
・AI & この角度が多いという印象の本木
アジア太平洋映画賞といっても、世界各地で開催される様々な映画祭・映画賞の1つに過ぎませんが、スポンサーにユネスコとCNNと国際映画製作者連盟がついているというのがユニークで、そんな映画賞がなぜかオーストラリアのクイーンズランドを拠点として開催されています(音頭取りをしているのが、クイーンズランドだからなんですが)。
アジア太平洋映画賞は、2007年から始まった賞で、中東までを含めたアジア全域と、オセアニアの映画の振興を目的とする賞で、対象国は70カ国にも及んでいます。(以上、昨年の当ブログ記事からそのまま転載)
昨年も70カ国の中に入っていたのかどうかはわかりませんが、ロシア映画もノミネートされているというのが、昨年と今年との違いでしょうか。
今年のノミネーション&受賞結果は以下の通りです。
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◆作品賞
◎“Samson & Delilah”(オーストラリア) 監督:Warwick Thornton
・『花の生涯-梅蘭芳』(中) 監督:チェン・カイコー
・『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
・『時の彼方へ』(仏・英・伊・ベルギー) 監督:エリア・スレイマン
◆監督賞
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
◎『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
・『2つの世界の間で』“Ahasin Wetei /Between Two Worlds”(スリランカ・仏) 監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ
・“Dev.D”(インド) 監督:Anurag Kashyap
・『愛のむきだし』(日) 監督:園子温
◆脚本賞
◎『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 脚本:アシュガル・ファルハディ
・『おくりびと』(日) 脚本:小山薫堂
・“Jang-rye-sik-ui Member /Members of the Funeral”(韓) 脚本/監督:Baek Seung-bin
・『母なる証明』(韓) 脚本/監督:ポン・ジュノ
・“Mumbai Meri Jaan /Mumbai My Life”(インド) 脚本:Yogesh Vinayak Joshi、Upendra Sidhaye 監督:Nishikant Kamat
◆撮影賞
・“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 撮影/監督:Uruphong Raksasad
◎『南京!南京!』(中) 撮影:Chao Yu
・“Cheraghi Dar Meh /A Light in the Fog”(イラン) 撮影:Ali Mohammad Ghasemi 監督:Panahbarkhoda Rezaee
・“Bumaznyj Soldat /Paper Soldier”(ロシア) 撮影:Alisher Khamidhodjaev、Maxim Drozdov 監督:アレクセイ・ゲルマン Jr.
・“Volchok/Wolfy”(ロシア) 撮影:Alexei Arsentiev 監督:Vasili Sigarev
◆男優賞
◎本木雅弘 『おくりびと』(日)
・ヤン・イクジュン 『息もできない』(韓) 監督:ヤン・イクジュン
・モハメド・バクリ(Mohamed Bakri) 『ライラの誕生日』“Eid milad Laila /Laila's Birthday”(パレスチナ・チュニジア・オランダ) 監督:ラシード・マシャラーウィ
・Naseeruddin Shah “A Wednesday”(インド) 監督:Neeraj Pandey
・葛優(グォ・ヨウ) 『誠意なる婚活』“Fei Cheng Wu Rao /If You Are The One”(中・香港) 監督:フォン・シャオガン
◆女優賞
・Golshifteh Farahani 『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン)
◎キム・ヘジャ 『母なる証明』(韓)
・Malani Fonseka “Akasa Kusum /Flowers of the Sky”(スリランカ/インド) 監督:Prasanna Vithanage
・Yana Troyanova “'Volchok /Wolfy”(ロシア)
・ジョウ・シュン “The Equation of Life and Death /李米的猜想”(中) 監督:ツァオ・バオピン(曹保平/Cao Baoping)
◆児童映画賞
・“3 Doa 3 Cinta/Pesantren: 3 Wishes 3 Loves”(インドネシア) 監督:Nurman Hakim
・“The Strength of Water”(ニュージーランド・独) 監督:Armagan Ballantyne
・“Tahaan/Tahaan: A Boy with a Grenade”(インド) 監督:サントーシュ・シヴァン(Santosh Sivan)
◎『旅人』“A Brand New Life”(韓・仏) 監督:ウニー・ルコント
・“'Mommo-Kizkardesim/The Bogeyman”(トルコ) 監督:Atalay Tasdiken
◆長編アニメーション賞
・“Perviy Otryad /First Squad: The Moment of Truth”(ロシア・日・カナダ) 監督:
◎『メアリーとマックス』“Mary and Max”(オーストラリア) 監督:アダム・エリオット
・『スカイ・クロラ』(日) 監督:押井守
・『サマーウォーズ』(日) 監督:細田守
・“Pro Fedota-Streltsa, Udalogo Molodtsa /The Tale of Soldier Fedot, The Daring Fellow”(ロシア) 監督:Lyudmila Steblyanko
◆長編ドキュメンタリー賞
・“Polamuang Juling /Citizen Juling”(タイ) 監督:Kraisak Choonhavan、Ing K.、Manit Sriwanichpoom
◎“Hashmatsa /Defamation”(イスラエル・オーストリア・デンマーク・米) 監督:Yoav Shamir
・“Gandhi's Children”(オーストラリア) 監督:David MacDougall
・『精神』(日) 監督:想田和弘
・“L’important, c’est de Rester Vivant /Survive, In the Heart of the Khmer Rouge Madness”(カンボジア・仏) 監督:Rosane Saidnattar
◎FIAPF(国際映画製作者連盟)賞:松岡功(東宝名誉会長)
◎ユネスコ賞:“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 監督:Uruphong Raksasad
◎審査員グランプリ:『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
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イスラエルであれ、イランであれ、中国であれ、台湾であれ、韓国であれ、日本であれ、ノミネートするなら、まだまだ違う映画/対象があったでしょう?と思ったりもしますが、それでも、昨年よりは、大分ましになったようです。
ノミネート作品の中では、『南京!南京!』がどの程度のクオリティーの作品なのかはわかりませんが、その他はほぼ世評通りの順当な受賞になりました。
アジア映画賞をはじめ、今後発表されるいくつかの映画賞でも受賞者/受賞作品が重なるのではないかと思われます。
受賞作は、もうすでに有名な作品ばかりですが、とりあえず軽く紹介しておきたいと思います。
・“Samson & Delilah”(オーストラリア) 監督:Warwick Thornton
物語:オーストラリア中央の砂漠で悲劇に遭い、命がけで帰還しようとするサバイバル・ストーリー。
出演:Rowan McNamara 、Marissa Gibson 、Mitjili Gibson
カンヌ国際映画祭2009 カメラドール、2009年度米国アカデミー賞外国語映画賞オーストラリア代表。
オーストラリア 第11回Kodak Inside Film Awards 作品賞・監督賞・男優賞・女優賞・音楽賞受賞。
オーストラリア映画協会賞2009作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演女優賞・脚本賞・撮影賞・編集賞・音響賞・作曲賞など12部門・13ノミネート。
・『南京!南京!』(中) 監督:ルー・チュアン
物語:1937年。日中戦争の南京戦とその後を日本兵と中国人の視点を交互に切り替えつつ描いた作品。
出演:劉燁、高圓圓、范偉、中泉英雄、宮本裕子、木幡竜
トロント国際映画祭2009、釜山国際映画祭2009上映作品。
サンセバスチャン国際映画祭2009 グランプリ&審査員賞受賞。
台湾・金馬奨2009撮影賞ノミネート。
・『アバウト・エリ』“About Elly”(イラン) 監督:アシュガル・ファルハディ
物語:アハマッドは、ドイツで暮らしていて、久々の休暇に故郷イランに帰る。友人たちは、3日間のカスピ海旅行を計画してくれる。アハマッドは、ドイツ人女性との不幸な結婚を解消したばかりで、今度はイラン人女性と結婚したいと思っていて、気を利かせた友人は、その旅行に女性も誘う。その1人が保育園で保母をしているエリだったが、旅行の2日目に彼女は忽然と姿を消してしまう……。
出演:主演は『半月 ハーフムーン』『それぞれのシネマ』(キアロスタミ編)『ワールド・オブ・ライズ』にも出演しているゴルシフテ・フャハラニ。ほかにTaraneh Alidoosti。
アシュガル・ファルハディは初監督作品“Raghs dar ghobar”(2003)で環太平洋映画祭監督賞&脚本賞を受賞している。第2作“Shah-re ziba”はワルシャワ国際映画祭とインド国際映画祭でともにグランプリを受賞。第3作“Chaharshanbe-soori”はシカゴ国際映画祭グランプリ。
ベルリン国際映画祭2009銀熊賞(監督賞)受賞。
トライベッカ映画祭2009 ワールド・コンペティション グランプリ受賞。
アジアフォーカス・福岡映画祭2009上映作品。
米国アカデミー賞2010外国語映画賞イラン代表。
※監督名に関しては今のところ統一表記がなく、アスガーとかファラーディとか複数の表記が混在しています。
・『旅人』“A Brand New Life”(韓・仏) 監督:ウニー・ルコント
物語:ジニは、9歳で父親に孤児院に捨てられる。父に捨てられたという現実をなかなか受け入れられないジニだったが、それでも孤児院仲間に教わって、徐々に処世術を学んでいく。最初は、いつか父が引き取りにきてくれることを信じて、里親にもらわれていくことなど全く考えられず、養女を探しに大人たちが訪ねてきても硬い表情を崩さないジニだったが、いつしか彼女も笑顔が作れるようになっていく……。
韓国生まれのフランス人ウニー・ルコント(Ounie Lecomte)自身の経験に基づく物語で、共同製作にはイ・チャンドンも参加している。
韓仏映画共同制作協定第1回作品。
カンヌ国際映画祭2009 アウト・オブ・コンペティション部門上映作品。
トロント国際映画祭2009上映作品。
東京国際映画祭2009「アジアの風」部門で上映。アジア最優秀映画賞受賞。
・『メアリーとマックス』“Mary and Max”(オーストラリア) 監督:アダム・エリオット
物語:メルボルン郊外に住む8歳の少女メアリーとニューヨークに住む44歳の自閉症(アスペンガー症候群)のユダヤ人男性マックスの、文通を通して進む物語。純粋ではあるが、世間知らずではない2人が、2つの大陸に離れたまま、20年という歳月を通して、友情を育んでいく。
声:トニ・コレット、フィリップ・シーモア・ホフマン、エリック・バナ
サンダンス映画祭2009 オープニング作品。
ベルリン国際映画祭2009 ジェネレーション 14plus長編映画部門出品。スペシャル・メンション受賞。
アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009グランプリ受賞。
オタワ国際アニメーションフェスティバル2009グランプリ受賞。
オーストラリア 第11回Kodak Inside Film Awards 美術賞受賞。
オーストラリア映画協会賞2009 作品賞・脚本賞・美術賞・AFIメンバーズチョイス賞ノミネート。
米国アカデミー賞2010長編アニメーション賞セミファイナリスト選出。
・“Hashmatsa /Defamation”(イスラエル・オーストリア・デンマーク・米) 監督:Yoav Shamir
監督自身が世界中を旅をして、反ユダヤ主義の現状を探る。
ベルリン国際映画祭2009フォーラム部門出品。
ロンドン映画祭2009 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
ワルシャワ国際映画祭2009 ドキュメンタリー部門観客賞受賞。
ヨーロッパ映画賞2009 ドキュメンタリー部門ノミネート。
・“Sawan Baan Na /Agrarian Utopia”(タイ) 監督:Uruphong Raksasad
タイでも機械化された米作りが主流になっていて、機械を使わない米作りが忘れられつつあるが、それを嘆いた監督が、「機械を使わない昔ながらの米作り」を将来に残すべく、フィクションとドキュメンタリーを融合させて作った作品。
Uruphong Raksasad監督は、アプチャッポン・ウィーラセタクン監督と同じスクール・オブ・アート・インスティテュート・シカゴで修士をおさめた監督。
ロッテルダム国際映画祭2009 スペシャル・メンション受賞。
*アジア太平洋映画祭 公式サイト:http://www.asiapacificscreenawards.com/
ちなみに、今年は43カ国から212本のエントリーがあったそうです。

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*当ブログ記事
・アジア太平洋映画賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_7.html
・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html
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◆Photo Gallery
・園子温
・なぜかAIが登場!
・AI & この角度が多いという印象の本木
この記事へのコメント
そうみたいですね。
1ヶ月前には予告されていて、ニュースになっていたし、知ってる人は知っていたみたいでしたね。