ルイ・デリュック賞2009 ノミネーション発表!

 セザール賞2009のノミネーションが発表になりました。(11月21日)

 ◆作品賞

 ・“A l'origine/In the Biginning”(はじめに) 監督:グサヴィエ・ジャノリ

 物語:現在のフランス。詐欺師フィリップ・ミレルは、反対運動に遭い、建設途中のままほったらかしにされている高速道路を見つける。彼は、建設会社の責任者になりすまし、人も雇ったりして、工事を再開するフリをし、人々の歓心も集めて、しばし、自分のついた嘘に酔う。しかし、彼に会いに女性市長がやってきた時から、彼は自分のついた嘘にがんじがらめになり、抜き差しならない状況に追い込まれる……。
 出演:ジェラール・ドパルデュー、フランソワ・クリュゼ、エマニュエル・ドゥヴォス、ステファニー・ソコリンスキー カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品。

画像

 ・“Hadewijch” 監督:ブリュノ・デュモン

 物語:Hadewijchは、あまりにも純粋で激しい信仰心のために修道院を追い出されてしまう。元の世界に戻って、外交官の娘セリーヌらと知り合ったりするが、彼女の神への激しい情熱は彼女を誤った方向へと向かわせることになる……。
 出演:Julie Sokolowski、Yassine Salihine、David Dewaele、Karl Sarafidis
 トロント国際映画祭2009出品(ワールド・プレミア)。
 サンセバスチャン国際映画祭2009 オフィシャル・セレクション出品。

画像

 ・“Les Herbes Folles”(雑草) 監督:アラン・レネ

 物語:マルグリットは、ショピングセンターでカバンを引ったくられる。引ったくりは、お金だけ抜いて、駐車場にカバンの中身を捨てて去るが、そこをジョルジュが通りかかり、彼女の財布を見つける。話は、ジョルジュがマルグリットに財布を返して、それで終わりになるはずだったが、ジョルジュはマルグリットに運命的なものを感じてしまい……。
 出演:アンドレ・デュソリエ、サビーヌ・アゼマ、エマニュエル・ドゥヴォス、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ
 クリスチャン・ガイイ(Christian Gailly)が1996年に発表した“L’incident”の映画化。
 カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品。審査員特別賞受賞。

画像

 ・“Irène”(イレーネ) 監督:アラン・カヴァリエ(Alain Cavalier)

 イレーネとそのフィルムメイカーとは強い絆で結ばれていたが、イレーネには秘密にしている部分があり、ある日、彼女は忽然と姿を消す。何年か経って、日記が発見される……。
 カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門出品。
 トロント国際映画祭2009 出品。

画像

 ・“Je suis heureux que ma mère soit vivante”(母が健在で、ぼくはうれしい) 監督:クロード&ナタン・ミレール

 物語:トマスは、4歳の時に母親に捨てられ、里親に育てられる。にもかかわらず、彼は、長年、実の母親を探し続けて、ついに見つけ出す。そして2人の同居生活が始まる……。
 出演: Vincent Rottiers、Sophie Cattani、Christine Citti、Yves Verhoeven
 ナタン・ミレールは、クロード・ミレールの息子でこれが初監督。
 ベネチア国際映画祭2009ベネチア・デイズ出品作品。
 モントリオール世界映画祭2009 ワールド・コンペティション出品。脚本賞受賞(アラン・ル・アンリ(Alain Le Henry))。

画像

 ・“Non ma fille, tu n'iras pas danser/ Making Plans For Lena”(娘よ、踊りに行ってはダメよ) 監督:クリストフ・オノレ

 物語:レナは、夫と別れ、2人の子供を連れて、両親の住むブルターニュの家に戻ってくる。しかし、彼女の家族は、善意で、彼女の望まぬことばかりしてくるのだった……。
 出演:キアラ・マストロヤンニ、マリナ・フォイス、ジャン=マルク・バール、ルイ・ガレル、Marie-Christine Barrault、Julien Honoré、Marcial Di Fonzo Bo、Alice Butaud
 サンセバスチャン国際映画祭2009 オフィシャル・セレクション出品。

画像

 ・“Un Prophète”(預言者) 監督:ジャック・オーディアール

 物語:アラブ系の青年がフランスの刑務所に入れられ、そこを牛耳っているコルシカ系マフィアのボスと出会い、次々に出されるミッションをクリアして、彼の信頼を勝ち得ていく。一方で、秘密の計画も着々と準備を整えていく。
 出演:ニエル・アレストラップ、Alaa Oumouzoune、アデル・ベンチェリフ、Tahar Rahim
 カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 米国アカデミー賞2010外国語映画賞フランス代表。
 ロンドン映画祭2009 グランプリ受賞。
 ヨーロッパ映画賞2009 最多6部門ノミネート(作品賞・男優賞・脚本賞・撮影賞・技術部門)。男優賞候補はTahar Rahim。技術部門の対象はサウンドデザインで、対象者はブリジット・テイランディエ(Brigitte Taillandier)、Francis Wargnier、ジャン=ポール・ユリエ(Jean-Paul Hurier)、マルク・ドワーヌ(Marc Doisne)。

画像

 ・『ウェルカム』“Welcome” 監督:フィリップ・リオレ

 物語:フランス北部の海辺の町。17歳のクルド人の青年が水泳教室に通っている。実は彼にはイギリスに恋人がいて、彼女に会うためにドーバー海峡を泳いで渡ろうとしていたのだ……。
 出演:ヴァンサン・ランドン、Firat Ayverdi
 ベルリン国際映画祭2009 パノラマ部門出品。観客賞2位、エキュメニカル賞、Label Europa Cinemas受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009 ホライズンズ部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2009 出品。観客賞受賞。
 ヨーロッパ映画賞2009 ノミネーション48作品に入選。
 日本では第4回UNHCR難民映画祭-東京で上映。

画像

 ◆新人監督作品賞

 ・“Adieu Gary”(さよなら、ゲイリー) 監督:Nassim Amaouche

 物語:すっかり過疎化してしまった町が舞台。登場人物は、そんな町に取り残されたようにして生きている、機械修理工のフランソワとその息子のカミール、隣人のマリアとその息子のジョゼという4人。ジョゼは、自分の父親がゲイリー・クーパーだと思い込み、寂れて西部劇の舞台のようになってしまっている町でゲイリー・クーパーがやって来るのを待ち続けている……。
 出演:ジャン=ピエール・バクリ、ドミニク・レイモン
 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間出品。グランプリ受賞。

画像

 ・“Les Beaux Gosses (The French Kisses)”(美しい子どもたち) 監督:Riad Sattouf

 物語:エルヴェは、母親と2人暮らしの14歳。この頃、頭の中を占めるのは、女の子のことばかり。しかし、実際に女の子とつきあったことはなく、アタックしても失敗してばかり。ところが、クラスで一番かわいい女の子、オーロールがエルヴェのことが好きらしいと知る……。
 出演:エマニュエル・ドゥヴォス、ノエミ・ルヴォフスキー、イレーヌ・ジャコブ、ヴァレリア・ゴリーノ
 BD作家として知られるRiad Sattoufの初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間出品。
 釜山国際映画祭2009 ワールド・シネマ部門出品。

画像

 ・“Espion(s)/ Spy(ies)”(スパイ(たち)) 監督:Nicolas Saada

 物語:ヴァンサンは空港の荷物係で、仲間のジェラールとともに、こっそり搭乗客の荷物を開けては、中から品物を失敬していた。ある日、ジェラールが、シリアの外交官の荷物を開けて、爆死するという事件が起こる。ヴァンサンは、呼び出され、窃盗罪で刑務所に入るか、爆弾を仕掛けた犯人を捜す手伝いをするか、という二者選択を迫られることになる……。
 出演:ギヨーム・カネ、スティーブン・レイ、イッポリト・ジラルド、ヒアム・アッバス

画像

 ・“Rien de personnel/The Ordinary People”(普通の人々) 監督:Mathias Gokalp

 物語:製薬会社の極秘の新製品のためのパーティーが開かれて、重役陣やマネージャー、従業員たちが集められる。パーティーが盛り上がってきたところで、ロール・プレイング・ゲームが行なわれるが、招待客たちは、何かがおかしいと気づき始め、これが会社の身売りのためのシミュレーションだと察し、パニックが広がっていく……。
 出演:ジャン=ピエール・ダルッサン、ドゥニ・ポダリデス、パスカル・グレゴリー、Mélanie Doutey、Zabou Breitman、Bouli Lanners
 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間オープニング作品。

画像

--------------------------------

 昨年のルイ・デリュック賞は、ドキュメンタリー作家レイモン・ドパルドンの作品であり、新人監督部門にサンドリーヌ・ボネールの『彼女の名はサビーヌ』がノミネートされていたりして、ドキュメンタリーづいたルイ・デリュック賞でしたが、今年は1本もドキュメンタリーがなく、昨年とは少々装いの異なるノミネーションになりました。まあ、ここに入ってしかるべき、アニエス・ヴァルダの『アニエスの浜辺』が入っていないから、なおそう感じるのですが。

 今年の特徴は、なんといっても、ノミネートされた12作品のうち7作品がカンヌ上映作品だということで、カンヌのコンペの仕切り直しのようなルイ・デリュック賞になってしまいました。

 日本にいて、今年のフランス映画で最も評価が高いと感じるのは、ジャック・オーディアールの“Un Prophète”ですが、ドラマ性よりも作家性を評価し、娯楽性の強い作品よりも一般には評価されにくい作品を評価し、作品より作家を評価するのがルイ・デリュック賞であってみれば、今年の作品賞は“Un Prophète”ではないような気がします(セザール賞の方はたぶん“Un Prophète”ですが)。

 だとすれば、ある意味、地味さ勝負ということにもなりますが、そうすると、これまでなぜかルイ・デリュック賞を受賞していないブリュノ・デュモンか、受賞すれば20年ぶりとなるアラン・カヴァリエが最有力候補、ということになります。

 新人監督部門は、ドラマ性、娯楽性の高い作品ばかりで困ってしまいますが、映画作家としての期待度も含めて考えるなら“Adieu Gary”のNassim Amaoucheでしょうか。

 ルイ・デリュック賞の発表は、12月11日です。

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 Veuillez cliquer sur le!

 *当ブログ記事
 ・ルイ・デリュック賞2008発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_22.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

 追記:
 ルイ・デリュック賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_18.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック