サンパウロ国際映画祭2009 受賞結果!

 第33回サンパウロ国際映画祭(São Paulo International Film Festival/Mostra Internacional de Cinema de São Paulo)(2009年10月23日~11月5日)の受賞結果より――

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 ◆審査員賞 フィクション部門

 ◎作品賞:“Sex Volunteer”(韓) 監督:Kyeong-Duk Cho

 物語:女子学生エリ、不能の男チュンガイ、そして僧侶という3人が売春容疑でホテルで逮捕される。これは、セックス・ボランティアなのだと主張しても聞き入れられない。チュンガイは自分を詩人だというが、自分の初恋のことも言葉にすることができない。オンライン・デートも相手の家族に切られてしまった。生涯に一度だけセックスを経験したことがある、と彼は僧侶に告白する。そこで、エリが助け舟を出す。自分は2本の映画を作ったことがあるが、次は、自分の経験を元にセックス・ボランティアの映画を作りたかったのだと……。
 監督のKyeong-Duk Choは、これが初長編。
 全州国際映画祭2009 ワールド・プレミア作品。
 モントリオール世界映画祭2009 上映作品。

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 ◎監督賞:Andreas Arnstedt “The Dispensables/Die Entbehrlichen”(独)

 物語:主人公は11歳の少年。母親は重度のアル中で施設に入れられてしまい、父親は子供を育てられずに、リビングルームで自殺してしまう。少年は、父親が自殺したことが知れると孤児院に入れられると思い、父親の死を隠して、父親の死体と生活することにする……。


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 ◎俳優賞:Andrè Hennicke “The Dispensables/Die Entbehrlichen”(独)

 ◆審査員賞 ドキュメンタリー部門

 ◎作品賞:“Henri-Georges Clouzot’s Inferno”(仏) 監督:Serge Bromberg E Ruxandra Medrea

 ロミー・シュナイダー主演、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の未完の作品“L'Enfer”に関するドキュメンタリー。
 トロント国際映画祭2009出品。シカゴ国際映画祭2009出品。

 ◎スペシャル・メンション:“The Corporate Hug”(ブラジル) 監督:Ricardo Kauffman

 新聞の見出しはどんどん大きくなる一方、新聞はデジタルに取って代わられつつあって、コンサルタントが調査を行ない、メディア関係の専門家や政治家にインタビューしてまわる。

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 *審査員:Suzana Amaral(ブラジルの女優)、マルコ・ベキス、ジャン=ミシェル・フロドン、Ali Özgentürk(トルコの監督)、ゴラン・パスカリェーヴィチ。

 ◆批評家賞

 ◎作品賞:『ペルシャ猫を誰も知らない』“No One Knows About Persian Cats”(イラン) 監督:バフマン・ゴバディ

 物語:ネガールとアシュカンは、刑務所を出た後、バンドを組んでいて、ロンドンでギグすることを夢見ていた。お金もパスポートもなく、国を出ることだけでも大変なのだが、彼らは、その前にまず、なんとかして、レコーディングか、法律で禁じられている公衆の面前での演奏をやりたいと考えていた……。
 カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門出品。審査員特別賞受賞。
 サンセバスチャン国際映画祭2009上映作品。
 東京フィルムメックス2009 コンペティション部門出品。

 ◎最優秀ブラジル映画:“The Midday Sun”(ブラジル) 監督:Eliane Caffé

 物語:ある悲劇的な事件の後、アーサーは旅に出て、アナーキーな船長と知り合い、一緒に旅をすることになる。船は故障して、陸に上がることになっても、2人の旅は続く。やがて、ここに、やはり家から飛び出してきたクララが合流し、3人で旅することになる。三角関係のような関係になる3人だったが、互いの秘密が3人の関係性を変えていく……。

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 ◆観客賞

 ◎最優秀ブラジル映画:“Carmo, Hit The Road”(ブラジル) 監督:Murilo Pasta

 物語:マルコはハンディキャップを背負った孤独な男性で、ブラジル中をまわって、安物を売って暮らしていた。ある時、彼は、強盗に襲われ、荷物を奪われるが、地元の少女カルモに助けられる。カルモは、ずっとこの町にいるくらいなら死んだ方がましと思っていたので、マルコと一緒に旅に出ることにする。2人は南米の国境地帯に向かう……。

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 ◎最優秀外国映画:『抱擁のかけら』(西) 監督:ペドロ・アルモドバル

 ◎最優秀外国映画:“Mao’s Last Dancer”(オーストラリア) 監督:ブルース・ベレスフォード

 出演:ツァオ・チー、Chengwu Guo、ブルース・グリーンウッド、カイル・マクラクラン、ジョアン・チェン、アマンダ・シュール、アリス・パーキンソン
 物語:文化大革命時の中国。11歳のリーは、中国北部の貧しい村から選ばれて、バレエ・ダンサーとなるために北京舞踊学院で学ぶ。1979年に、彼は交換留学生となって、テキサスに渡るが、2年後、アメリカに亡命し、ヒューストン・バレエ団の主役となり、後にはオーストラリアのバレエ団で活躍するようになる。
 2003年に出版された中国人ダンサー李存信(Li Cunxin)の同名の自伝(邦訳『毛沢東のバレエダンサー』)の映画化。タイトルのMaoは毛沢東というより、Madame Mao、つまり毛沢東夫人江青のこと。
 監督は『テンダー・マーシー』『アリア』『ドライビング Miss デイジー』『ラストダンス』などの監督として知られ、オペラの演出も手がけるオーストラリアの映画監督ブルース・ベレスフォードで、脚本は『シャイン』『君に読む物語』などで知られるジョン・サルディ。
 トロント国際映画祭2009上映作品。
 オーストラリア映画協会賞2009 9部門ノミネート。

 ◎最優秀ドキュメンタリー/ブラジル映画:“Dzi Croquettes”(ブラジル) 監督:Tatiana Issa 、Raphael Alvarez

 70年代ブラジルのアート・シーンで活躍したグループDzi Croquettesについてのドキュメンタリー。

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 ◎最優秀ドキュメンタリー/外国映画: “Tom Zé Liberated Astronaut”(西) 監督:Ígor Iglesias Gonzáles

 70年代に活躍した実験音楽のブラジル人パフォーマーTom Zéに関するドキュメンタリー。

 ◎Youth Award:“The Swimsuit Issue”(スウェーデン) 監督:Måns Herngren

 ◆イタマラチ賞

 ◎作品賞:“Before The World Ends”(ブラジル) 監督:Ana Luiza Azevedo

 物語:15歳のダニエルにとって、淡々と過ぎていく日常世界が「世界」のすべてであった。しかし、会ったこともない父親からの手紙と中に同封されていた写真で、世界はもっと広く、自分の知らないことばかりだということを知る。

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 ◎最優秀ドキュメンタリー/ブラジル映画:“Dzi Croquettes”(ブラジル) 監督:Tatiana Issa、Raphael Alvarez

 ◎最優秀短編賞:“Insomne”(ブラジル) 監督:Marília Scharlach E Marina Magalhães

 ◎Quanta And Teleimage Awards:“Before The World Ends”(ブラジル) 監督:Ana Luiza Azevedo

 ◎Quanta And Teleimage Awards:“Dzi Croquettes”(ブラジル) 監督:Tatiana Issa、Raphael Alvarez

 ◎Teleimage Award:“Insomne”(ブラジル) 監督:Marília Scharlach E Marina Magalhães

 ◎特別賞:Paulo César Saraceni

 ◆Canal Brasil Award

 ◎最優秀短編賞:“Prince Charming”(ブラジル) 監督:Sérgio Machado 、Fátima Toledo

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 どうも探し方が悪いのが、公式サイトでコンペティション部門のラインナップが見つけられなかったので、公式サイト以外の部分でいろいろ検索してみたのですが、サンパウロ国際映画祭は上映本数がハンパじゃないですね。

 調べたのは公式サイトではないのでひょっとすると間違いがあるるかもしれませんが、ざっと数えて400本以上あります。これだとカンヌやベルリン、ベネチア、モスクワに勝るとも劣らない本数になります。(会期は2週間あります)

 上映部門も正確にはわからないのですが、
 ・新人監督コンペティション(約80本)
 ・ブラジル映画コンペティション(16本)
 ・インターナショナル・パースペクティヴ(ワールド・シネマ部門)(約180本)
 ・ブラジル映画パースペクティヴ(新作パノラマ)(46本)
 ・ブラジル短編部門(21本)
 のほか
 ・スウェーデンの短編映画特集(7本)
 ・テオ・アンゲロプロス レトロスペクティヴ(8本)
 ・ジャン・ヴィットリオ・バルディ レトロスペクティヴ(13本)
 ・スウェーデン映画特集(12本)
 ・ファニー・アルダン レトロスペクティヴ(6本)
 ・特別上映(『THIS IS IT』などを含み13本)
 というような感じになります。

 日本からの出品作は以下の通りです。
 ・『悪夢のエレベーター』
 ・『FUTEBOL BRASILERO』(Miki Kuretani)
 ・『WOLSON 海峡のアリア』(大田慎一)
 ↑ここまでがコンペ部門
 ・『アキレスと亀』
 ・『White On Rice』(デイヴィット・ボイル)
 ・『谷中暮色』(舟橋淳)
 ・『フェンス』(藤原敏史)
 ・『歩いても 歩いても』
 ・『赤い点』
 ・『TOKYO!』
 ・『ぐるりのこと。』
 ・『ユキとニナ』

 あまり知られていない作品もありますが、ネットで調べれば、公式HPがあったりもします。

 ま、それはともかく、受賞作は、暗い内容の作品ばかりになりました(ここではないどこかに希望を託すような)。世相が暗いからこんな作品を求めるのか、それともブラジルは元気で明るいからこんな暗めの作品を好むのか。それとも単に審査員の好みなのか……。

 審査員にはゴラン・パスカリェーヴィチが混じっていますが、彼は自分の作品が開催期間が丸かぶりのバリャドリッド国際映画祭のコンペ部門に出品されているのに、また別の国の国際映画祭の審査員を引き受けていることになります(ということは会期中はサンパウロに完全拘束で、バリャドリッドには顔を出せない。にもかかわらずバリャドリッドでグランプリ受賞!)。さすがにこれはちょっとひどいんじゃないかと思いますね~。

 ちなみに、サンパウロ国際映画祭の過去のグランプリ受賞作は以下のようになっています。
 ・2008年 “Das Fremde in mir (The Stranger in Me)”(独) 監督:Emily Atef
 ・2007年 『法王のトイレット』
 ・2006年 『下水って、匂う』
 ・2005年 “Cinema, Aspirins and Vultures (Cinema, aspirinas e urubus)”(ブラジル) 監督:Marcelo Gomes
 ・2004年 『そして、ひと粒のひかり』
 ・2003年 『わが故郷の歌』
 ・2002年 『クジラの島の少女』

 大きな映画祭のナンバー1作品と考えるとちょっと小粒な感じのする作品ばかりですが、良心的で、決して悪くないセレクションです。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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