ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2009 ノミネーション!

 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード(BIFA/ British Independent Film Award)のノミネーションが発表になっています(10月26日発表)。

 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードは、イギリスのインディペンデント映画界最大の祭典であるレインダンス映画祭(1992年スタート)の創始者であるエリオット・グローヴ(Elliot Grove)がイギリスのインディペンデント映画を対象とする映画賞で、1998年にスタートし、今年で12回目を迎えます。

 BIFAは、名称はBAFTA(イギリス・アカデミー賞)と似ていますが、BAFTAがアメリカ映画も対象とし、結果的に、米国アカデミー賞と似たような結果になってしまうというのに対して、BIFAの方は、イギリス映画の振興を目的として、イギリス映画を対象とする映画賞として創設されたもの、と考えていいと思います。

 といいながら、2008年度は全米の映画賞レースもイギリス映画が席捲したので、結果的に、BIFAもBAFTAも米国アカデミー賞も似たようなものになってしまいましたが。

 2009年度のノミネーションは以下の通りです。

画像

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 ◆作品賞
 ・“An Education” 監督:ロネ・シェルフィグ
 ・“Fish Tank” 監督:アンドレア・アーノルド
 ・“In the Loop” 監督:Armando Iannucci
 ・“Moon” 監督:ダンカン・ジョーンズ
 ・“Nowhere Boy” 監督:サム・テイラー・ウッド(Sam Taylor Wood)

 ◆監督賞
 ・アンドレア・アーノルド “Fish Tank”
 ・Armando Iannucci “In the Loop”
 ・ダンカン・ジョーンズ “Moon”
 ・ジェーン・カンピオン “Bright Star”
 ・ロネ・シェルフィグ “An Education”

 ◆ダグラス・ヒコックス賞/新人監督賞(The Douglas Hickox Award For Best Debut Director)
 ・Armando Iannucci “In the Loop”
 ・ダンカン・ジョーンズ “Moon”
 ・ピーター・ストリックランド(Peter Strickland) “Katalin Varga”
 ・サム・テイラー・ウッド(Sam Taylor Wood) “Nowhere Boy”
 ・サマンサ・モートン “The Unloved”

 ◆主演男優賞
 ・Aaron Johnson “Nowhere Boy”
 ・アンディー・サーキス “Sex & Drugs & Rock & Roll”(監督:Mat Whitecross)
 ・ピーター・キャパルディ “In the Loop”
 ・サム・ロックウェル “Moon”
 ・トム・ハーディー “Bronson”(監督:Nicolas Winding Refn)

 ◆主演女優賞
 ・アビー・コーニッシュ “Bright Star”
 ・ケアリー・マリガン(Carey Mulligan) “An Education”
 ・エミリー・ブラント 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』“The Young Victoria”
 ・Katie Jarvis “Fish Tank”
 ・ソフィー・オコネド “Skin”(監督:Anthony Fabian)

 ◆助演男優賞
 ・アルフレッド・モリーナ “An Education”
 ・ジム・ブロードベント “The Damned United”(監督:Tom Hooper)
 ・ジョン・ヘンショウ(John Henshaw) 『エリックを探して』“Looking for Eric”
 ・マイケル・ファスベンダー “Fish Tank”
 ・トム・ホランダー “In the Loop”

 ◆助演女優賞
 ・アンヌ・マリー・ダフ(Anne-Marie Duff) “Nowhere Boy”
 ・ケリー・フォックス “Bright Star”
 ・カーストン・ウェアリング(Kierston Wareing) “Fish Tank”
 ・クリスティン・スコット・トーマス “Nowhere Boy”
 ・ロザムンド・パイク(Rosamund Pike) “An Education”

 ◆脚本賞
 ・ニック・ホーンビー “An Education”
 ・アンドレア・アーノルド “Fish Tank”
 ・Jesse Armstrong、Simon Blackwell、Armando Iannucci、Tony Roche “In the Loop”
 ・ネイサン・パーカー(Nathan Parker) “Moon”
 ・マット・グリーンハルシュ(Matt Greenhalgh) “Nowhere Boy”

 ◆ニューカマー賞(Most Promising Newcomer)
 ・Christian McKay “Me & Orson Welles”(監督:リチャード・リンクレイター)
 ・Edward Hogg “White Lightnin’”(監督:Dominic Murphy)
 ・George MacKay “The Boys Are Back”(監督:スコット・ヒックス)
 ・Hilda Péter “Katalin Varga”
 ・Katie Jarvis “Fish Tank”

 ◆プロダクション賞(Best Achievement In Production)
 ・“Bronson”
 ・“Bunny & The Bull”(監督:Paul King)
 ・“The Hide”(監督:Marek Losey)
 ・『Dr.パルナサスの鏡』“The Imaginarium of Doctor Parnassus”(監督:テリー・ギリアム)
 ・“Katalin Varga”

 ◆技術貢献賞(Best Technical Achievement)
 ・グレイグ・フレイザー(Greig Fraser)[撮影] “Bright Star”
 ・ゲイリー・ウィリアムソン(Gary Williamson)[美術] “Bunny & The Bull”
 ・Robbie Ryan[撮影] “Fish Tank”
 ・クリント・マンセル(Clint Mansell)[作曲] “Moon”
 ・Tony Noble[美術] “Moon”

 ◆ドキュメンタリー賞
 ・“The Age of Stupid” 監督:Franny Armstrong
 ・“The End of The Line” 監督:Rupert Murray
 ・“Mugabe and The White African” 監督:Lucy Bailey、Andrew Thompson
 ・“Sons of Cuba” 監督:Andrew Lang
 ・“Sounds Like Teen Spirit” 監督:Jamie Jay Johnson

 ◆短編映画賞(Best British Short)
 ・“Christmas with Dad” 監督:Conor Mccormack
 ・“Leaving” 監督:Sam Heam、Richard Penfold
 ・“Love You More” 監督:サム・テイラー・ウッド
 ・“Sidney Turtlebaum” 監督:Tristram Shapeero
 ・“Washdays” 監督:Simon Neal

 “Leaving”は、クラクフ映画祭2009 最優秀短編賞フィクション部門(Silver Dragon)&ドン・キホーテ賞スペシャル・メンション受賞、ロンドン映画祭最優秀短編賞(TCM Prize)受賞。
 “Love You More”は、初長編“Nowhere Boy”で新人監督部門・他にもノミネートされているサム・テイラー・ウッドの2008年度監督作品で、カンヌ国際映画祭2008 短編部門コンペティション出品、ヨーロッパ映画賞2008短編部門ノミネート、BAFTA2009短編部門ノミネート、サンダンス映画祭2009 Short Filmmaking Award - Honorable Mention受賞、ナッシュビル映画祭 最優秀ナラティブ・ショート第2位。
 “Sidney Turtlebaum”は、LA短編映画祭2009 最優秀外国映画賞受賞、Method Fest2009 最優秀短編賞受賞。
 “Washdays”は、Rush Soho短編映画祭グランプリ受賞。

 ◆外国映画賞
 ・『イル・ディーヴォ』“Il Divo”(伊・仏) 監督:パオロ・ソレンティノ
 ・“The Hurt Locker”(米) 監督:キャスリン・ビグロー
 ・“Let The Right One In”(スウェーデン) 監督:Tomas Alfredson
 ・“Sin Nombre”(メキシコ・米) 監督:Cary Joji Fukunaga
 ・『レスラー』“The Wrestler”(米・仏) 監督:ダーレン・アロノフスキー

 『イル・ディーヴォ』と“Let The Right One In”と『レスラー』といった2008年度の映画賞レースを賑わわせた作品が3つノミネートされていますが、2009年度映画賞レースの有力作品である“The Hurt Locker”やサンダンス映画祭2009で監督賞と撮影賞を受賞した“Sin Nombre”(監督は日系のケイリー・フクナガ)もノミネートされています。

 ◆レインダンス賞(Raindance Award ("for filmmakers working against the odds")
 ・“Colin” 監督:Marc Price
 ・“The Disappearance of Alice Creed” 監督:J Blakeson
 ・“Down Terrace” 監督:Ben Whiteley
 ・“Exam” 監督:Stuart Hazeldine
 ・“They Call It Acid” 監督:Gordon Mason

 ※この賞は、映画業界からの支援なしに作られた、真にインディペンデントな作品(主に新人監督のよる)に贈られます。2004年に新設されています。この映画賞の設立と運営自体がRaindance(http://www.raindance.co.uk/site/index.php?home)で、Raindanceが10月に開催しているレインダンス・フィルム・フェスティバルのイギリス映画コンペティション部門がこのレインダンス・アワードということになります。

 ◆リチャード・ハリス賞/英国映画貢献賞(The Richard Harris Award (for outstanding contribution to British Film))
 ◎ダニエル・デイ・ルイス

 ◆Variety賞(THE VARIETY AWARD)
 未発表

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 ノミネーション状況は以下の通りです。

 ・“Fish Tank”(8):作品・監督・主演女優・助演男優・助演女優・脚本・ニューカマー・技術
 ・“Moon”(7):作品・監督・新人監督・主演男優・脚本・技術・技術
 ・“An Education”(6):作品・監督・主演女優・助演男優・助演女優・脚本
 ・“In the Loop”(6):作品・監督・新人監督・主演男優・助演男優・脚本
 ・“Nowhere Boy”(6):作品・新人監督・主演男優・助演女優・助演女優・脚本
 ・“Bright Star”(4):監督・主演女優・助演女優・技術
 ・“Katalin Varga”(3):新人監督・ニューカマー・プロダクション

 全体的には、スティーヴン・フリアーズの“Cheri”やサリー・ポッターの“Rage”、ラシッド・ブシャールの“London River”はどこにもひっかからず、テリー・ギリアムもケン・ローチも1部門のみのノミネートで、ジェーン・カンピオンの“Bright Star”も作品賞へのノミネートはなく……という状況なのに対して、多数の新人監督作品がノミネートされていて、ベテラン監督作品よりも新人監督作品を評価したノミネーションとなっている、ということができると思います。(『エリックを探して』は、ケン・ローチ作品としては軽めの作品という評価がもっぱらですが、個人的には、ケン・ローチ マイ・ベストの第3位に入るくらいの秀作という評価で、2009年度ベストといってもいいくらいのお気に入りになっています。)

 上位7作品のうち、新人監督作品が4つあり、そのうちの2作品が監督賞と新人監督賞ノダブル・ノミネートになっています(新人監督賞の方は、監督にではなく、作品に贈られる賞なのですが)。

 ノミネート作品のうち、“Katalin Varga”はベルリン国際映画祭2009 コンペティション部門出品作(芸術貢献賞受賞)、“Fish Tank”と“Bright Star”と『エリックを探して』はカンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品作(“Fish Tank”は審査員賞受賞、『エリックを探して』はエキュメニカル審査員賞受賞)、“An Education”と“In The Loop”はサンダンス映画祭2009出品作(“An Education”は撮影賞&観客賞受賞)、“Moon”はエジンバラ映画祭2009グランプリ、シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2009 グランプリ&男優賞&美術賞受賞、という映画祭出品歴&受賞歴になっています。
 また、外国映画賞にノミネートされている“Sin Nombre”はエジンバラ映画祭2009で新人監督賞を受賞しています。

 過去の作品賞受賞作は、『スラムドッグ$ミリオネア』、『コントロール』、『THIS IS ENGLAND』、『ナイロビの蜂』、『ヴェラ・ドレイク』など、実に通好みのセレクションになっています。

 これらから今年の受賞作を予想してみたいとも思ったのですが、今年のノミネーション作品は過去の受賞傾向とはちょっとズレているというか、どれが受賞してもおかしくないというか、ちょっと判断がつきません。作品の勢いとしては“Moon”が最有力ですが、“Fish Tank”も最多ノミネートとなっているところを見ると侮れない作品だということなのでしょう。

 いずれにせよ、このうちのいくつかはBAFTAにもノミネートされ、“An Education”あたりは全米映画賞レースにも顔を出していくだろうと思われます。

 受賞結果の発表は12月6日です。

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 *当ブログ記事
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2008 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_3.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

 *追記:
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_12.html

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