映画賞レース2009、いよいよスタート! まずはゴッサム・アワードから

 全米映画賞レースの先陣を切って発表されるゴッサム・アワードのノミネーションが発表されました(10月19日)。

 もうそろそろそんな時期だとは思っていましたが、あと1週間くらい後じゃないかとぼんやり予想していたので、このタイミングでの発表を知ってちょっと意表をつかれました…。

 ゴッサム・アワードは、インディーズのための映画賞なので、全米映画賞レースとの合致度は60%くらい、アカデミー賞との合致度で40%くらいですが、今後の全米映画賞レースの先陣を切って発表されるということもあって、非常に重要で注目される映画賞となっています。
 昨年は、ここに『フローズン・リバー』『脳内ニューヨーク』『それでも恋するバルセロナ』『扉をたたく人』『レイチェルの結婚』『世界の果ての出会い』『マン・オン・ワイヤー』
などが挙がっていましたが、これらのタイトルを見てもこの映画賞の先見性&重要性が窺われると思われます。

--------------------------------

 ◆最優秀作品賞
 ・“Amreeka” 監督:Cherien Dabis
 ・“Big Fan” 監督:Robert Siegel
 ・“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 ・“The Maid” 監督:Sebastian Silva
 ・“A Serious Man” 監督:ジョナサン&イーサン・コーエン

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞
 ・“Food, Inc” 監督:Robert Kenner
 ・“Good Hair” 監督:Jeff Stilson
 ・“My Neighbor My Killer” 監督:Anne Aghion
 ・“Paradise” 監督:マイケル・アルメレイダ(Michael Almereyda)
 ・“Tyson” 監督:ジェームズ・トバック

 ◆ブレイクスルー監督賞(Breakthrough Director)
 ・Cruz Angeles “Don’t Let Me Drown”
 ・Frazer Bradshaw “Everything Strange and New”
 ・Noah Buschel “The Missing Person”
 ・Derick Martini “Lymelife”
 ・Robert Siegel “Big Fan”

 ◆ブレイクスルー俳優賞(Breakthrough Actor)
 ・Ben Foster “The Messenger”
 ・パットン・オズワルト “Big Fan”
 ・ジェレミー・レナー “The Hurt Locker”
 ・Catalina Saavedra “The Maid”
 ・Soulemane Sy Savane “Goodbye Solo”

 ◆アンサンブル・パフォーマンス賞(Best Ensemble Performance)
 ・“Adventureland”:ジェシー・アイゼンバーグ、クリスティン・スチュワート、マーティン・スター、クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ライアン・レイノルズ
 ・“Cold Souls” 監督:Sophie Barthes
 出演:ポール・ジアマッティ、ディナ・コルズン、デイヴィッド・ストラザーン、エミリー・ウィルソン、ローレン・アンブローズ、オクサナ・ラダ
 ・“The Hurt Locker”:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ゲラティー、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース、デイヴィッド・ムーア、エヴァンジェリン・リリー
 ・“A Serious Man”:マイケル・ストゥルバーグ、リチャード・カインド、フレッド・メラメッド
 ・“Sugar”:Algenis Perez Soto、Rayniel Rufino、Michael Gaston、Andre Holland、Ann Whitney、Richard Bull、Ellary Porterfield、Jaime Tirelli

 ◆映画館じゃ上映していないけれど、いい映画で賞(Best Film Not Playing at a Theater Near You)
 ・“Everything Strange and New” 監督:Frazer Bradshaw
 ・“Guy and Madeline on a Park Bench” 監督:Damien Chazelle
 ・“October Country” 監督:Michael Palmieri、Donal Mosher
 ・“You Won’t Miss Me” 監督:Ry Russo-Young
 ・“Zero Bridge” 監督:Tariq Tapa

 ◆生涯貢献賞(Career Tribute Awards)
 ◎キャスリン・ビグロー
 ◎ナタリー・ポートマン
 ◎スタンリー・トゥッチ
 ◎ティム・ビーヴァンとエリック・フェルナー

--------------------------------

 一昨年のトロント、昨年のベネチア、今年のサンダンスあたりから上がってきた作品が多いようです。

 当ブログで既に触れたことのある作品ばかりですが、主だった作品について簡単に紹介しておきたいと思います。

 ・“Amreeka”(米・カナダ・クウェート) 監督:Cherien Dabis
 物語:離婚したパレスチナ人女性と彼女の10代の息子がイリノイの田舎に引越し、新しい人生がチャレンジに満ちていることを発見する。
 出演:Nisreen Faour, Melkar Muallem, ヒアム・アッバス, Yussuf Abu-Warda, Alia Shawkat.
 サンダンス映画祭2009出品。
 カンヌ国際映画祭2009監督週間 国際批評家連盟賞受賞。

画像

 ・“Big Fan” 監督:Robert Siegel
 出演:パットン・オズワルト、マイケル・ラパポート、ケヴィン・コリガン、マルシア・ジーン・クルツ、マット・セルヴィト
 ニューヨーク・ジャイアンツ・ファンの駐車場係員が、彼の大好きな選手と口論をして、彼のそれまでの世界観がガラガラと崩れてしまう。
 サンダンス映画祭2009出品。

画像

 ・“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー
 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ゲラティー、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース、デイヴィッド・ムーア、エヴァンジェリン・リリー
 物語:イラク。米国陸軍の爆発物処理班は、誰が敵かもわからず、どこに爆弾が仕掛けられているかもわからない市部を進んでいく……。
 ベネチア国際映画祭2008 コンペティション部門出品。SIGNIS Award、La Navicella – Venezia Cinema Award、Human Rights Film Network Award、Arca Cinemagiovani Award作品賞受賞。
 インディペンデント・スピリット・アワード2009 主演男優賞ノミネート(ジェレミー・レナー)。
 トロント国際映画祭2009出品。

画像

 ・“The Maid(La Nana)”(メキシコ・チリ) 監督:Sebastian Silva
 物語:ラクエルは、18歳からヴァルデス家に勤めて、5人の子供の乳母として、そしてお手伝いとして休みなく働き、自分ではすっかり一家の一員のように思い込んでいた。しかし、長女カミーラと衝突することが多くなり、偏頭痛もひどくなってくる。そこで家長が下した判断は、もう1人、お手伝いさんを雇うことであった。この決定は、ラクエルにとって面白くないもので、彼女は自分の居場所を侵害されたように思い、新しいお手伝いルーシーに嫌がらせを始めるのだった……。
 出演:Catalina Saavedra、Claudia Celedon、Mariana Loyola、 Alejandro Goic、Andrea Garcia-Huidobro.
 サンダンス映画祭2009審査員グランプリ&パフォーマンス賞受賞。
 マイアミ国際映画祭2009イベロ・アメリカン・コンペティション部門 審査員スペシャル・メンション主演女優賞受賞。
 Cartagena映画祭2009Golden IndiaCatalina賞女優賞&批評家賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2009パフォーマンス賞受賞(全キャストに対して)。
 パリ映画祭2009観客賞受賞。

画像

 ・“A Serious Man” 監督:ジョナサン&イーサン・コーエン
 出演:マイケル・ストゥルバーグ、サリ・レニック、フレッド・メラメッド、アーロン・ウォルフ、ジェシカ・マクマヌス
 物語:1967年。ミッドウェスタン大学の物理学の教授ラリーの家庭は、トラブルが山積していた。妻は、愛人ができて家を出て行こうとし、息子は学校で問題を抱え、娘は財布から金をくすね、弟は働きもせずに居候を決め込んでいた……。
 トロント国際映画祭2009でワールド・プレミア。

画像

 ・“Food, Inc” 監督:Robert Kenner
 エリック・シュローサー(映画『ファースト・フード・ネイション』の元になった『おいしいハンバーガーのこわい話』の著者)やマーケル・ポーラン(“The Omnivore's Dilemma”の著者)らにインタビューしつつ、現在流通している食べ物について調査し、その危険性を描き出す。ドキュメンタリー版『ファースト・フード・ネイション』。
 ベルリン国際映画祭2009特別上映作品。

画像

 ・“Good Hair” 監督:Jeff Stilson
 俳優クリス・ロックが、アフロ・アメリカンの髪と髪型に興味を持って、ドキュメンタリー作家に転身する。
 サンダンス映画祭2009 審査員特別賞受賞。
 トロント国際映画祭2009出品。

画像

 ・“My Neighbor My Killer”(米) 監督:Anne Aghion
 ルワンダの人々が、告白と許しを通じて、「虐殺」という過去から立ち直ろうとする。
 カンヌ国際映画祭2009 特別上映作品。

画像

 ・“Paradise” 監督:マイケル・アルメレイダ(Michael Almereyda)
 イーサン・ホーク主演の『ハムレット』の監督、デイヴィッド・サーレ監督の『サーチ&デストロイ』の脚本などで知られるマイケル・アルメイダが10年にわたって撮り続けた「ホームムービー」の集大成。

画像

 ・“Tyson” 監督:ジェームズ・トバック
 マイク・タイソンについてのドキュメンタリー。
 カンヌ国際映画祭2008 ある視点部門 ノックアウト賞(The Knock Out Prize)受賞。

画像

 ・“Goodbye Solo” 監督:Ramin Bahrani
 物語:ノース・カロライナでタクシー・ドライバーをしているセネガル人運転手のソロは、70代らしい男性客ウィリアムが実行しようとしていることを悟り、なんとかそれを思いとどまらせようとする。
 監督のRamin Bahraniは、インディペンデント・スピリット・アワードやゴサッム・アワードなどで、高い評価を受けているインディペンデント系の新鋭。
 ベネチア国際映画祭2008 Orizzonti部門出品。国際批評家連盟賞受賞。
 トロント国際映画祭2008出品。

画像

 ・“The Messenger” 監督:オーレン・ムーヴァーマン(Oren Moverman)
 出演:サマンサ・モートン、ウディ・ハレルソン、ジェナ・マローン、ベン・フォスター、ピーター・フリードマン、スティーヴ・アントヌッティ
 物語:アメリカの兵士が、死んだ将校の未亡人と知り合い、倫理的に悩むことになる。
 オーレン・ムーヴァーマンは、『アイム・ノット・ゼア』『あぁ、結婚生活』の脚本家で、これが初監督作品。
 ベルリン国際映画祭2009 コンペティション部門銀熊賞(脚本賞)、平和映画賞2009(Peace Film Award 2009)受賞。

画像

 ・“Everything Strange and New” 監督:Frazer Bradshaw
 出演:Rigo Chacon Jr.、Beth Lisick、Jerry McDaniel、Luis Saguar、Diana Tenes
 物語:大工のウェインは、もう若くはなく、漠然とした不安を抱えている。人生に対する目的も見失い、離婚したばかりの親友レオと一緒に家で酒を飲んでばかり……。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009 インディペンデント・フォーラム部門出品。
 ミュンヘン映画祭2009 CineVision賞受賞。
 サンフランシスコ国際映画祭2009国際批評家連盟賞受賞。

画像

 ・“Adventureland” 監督:Greg Mottola
 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリスティン・スチュワート、マーティン・スター、クリスティン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ライアン・レイノルズ
 物語:1987年。大学入学前にヨーロッパ旅行するというプランがおじゃんになってしまい、ジャームズは高校最後の夏を遊園地でアルバイトして過ごすことになるが、そこで一緒に働いていたエミリーに恋してしまう……。

画像

 ・“Cold Souls” 監督:Sophie Barthes
 出演:ポール・ジアマッティ、ダイナ・コルズン、デイヴィッド・ストラザーン、エミリー・ウィルソン、ローレン・アンブローズ、オクサナ・ラダ.
 物語:実存的な危機の真っ只中にいるアメリカの有名俳優が、日常生活の重圧からの解放を求めて、自分の「精神の抽出」を行なおうとする。
 サンダンス映画祭2009出品。

画像

 ・“Sugar” 監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック
 出演:Algenis Perez Soto、Rayniel Rufino、Michael Gaston、Andre Holland、Ann Whitney、Richard Bull、Ellary Porterfield、Jaime Tirelli
 物語:Miguel “Sugar” Santosは、ドミニカ出身の野球選手で、貧しい暮らしをしているドミニカの少年たちの期待の星だった。彼は、マイナーリーグからキャリアをスタートさせるが、順調だったのは最初だけで、ホームシックにかかったり、不器用な恋をしたり、怪我をしたりする……。
 “Half Nelson”が高い評価を受けたライアン・フレックとアンナ・ボーデン コンビの最新作。
 サンダンス映画祭2008出品。
 トロント国際映画祭2008出品。
 インディペンデント・スピリット・アワード2009 脚本賞ノミネート。

画像

--------------------------------

 一部「アメリカ映画」ではない映画が混じっていたり、インディペンデント・スピリット・アワード2009にノミネートされていた作品が混じっていたりもしますが、まあ、いろんな映画祭に出品されて賞を獲ったりしているおなじみの作品が多く並んでいます。

 この中に入ってきてもいいのに入っていないのは、サンダンスで審査員特別賞を獲った“Humpday”(監督:リン・シェルトン)、サンダンスで審査員グランプリ、トロントで観客賞を獲るなど、最近のインディペンデント映画の中では最も話題を集めている『プレシャス!』(監督:リー・ダニエルズ)、サンダンスで観客賞&撮影賞を受賞している“An Education”(監督:ロネ・シェルフィグ)あたり、でしょうか。

 上記作品の中で、アカデミー賞をはじめとする映画賞に確実にからんできそうなのは、まずなんと言っても“The Hurt Locker”、それからドキュメンタリー部門で“Food, Inc”と“My Neighbor My Killer”でしょうか。
 “The Hurt Locker”のキャスリン・ビグローは監督賞にノミネートされることは確実で、主演のジェレミー・レナーの主演男優賞ノミネートも有望視されます。“Cold Souls”のポール・ジアマッティも主演男優賞候補となりそうです。

 ゴッサム・アワードの結果発表は11月30日ですが、それに続く(12月上旬の)ナショナル・ボード・オブ・レビューと、ロサンゼルス、ワシントンDC、ニューヨークの各映画批評家協会賞の発表で本年度も映画賞レースの体勢は判明することになります。

 いずれにしても、アカデミー賞結果発表までの4ヶ月半、怒涛の映画賞レースの火蓋が切って落とされたことになります!

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 応援してね!

 *当ブログ記事
 ・ゴッサム・アワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_2.html
 ・米映画サイトスコア表2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_1.html
 ・27週前のオスカー2010予想:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_35.html
 ・ゴッサム・アワード2008 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_4.html
 ・ゴッサム・アワード2008 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_7.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック