トロント国際映画祭2009 各賞発表!

 始まってみれば10日間の会期などあっと言う間で、トロント国際映画祭2009も閉幕を迎え、各賞の結果が発表になりました。

 ◎観客賞(CADILLAC PEOPLE'S CHOICE AWARD):『プレシャス!』 “Precious: Based on the Novel "Push" by Sapphire”(米) 監督:リー・ダニエルズ
 物語:ハーレムに暮らす少女プリシャスは、無知と家庭内暴力に打ちのめされていたが、レイン先生と出会って、文字を覚え、自分自身を発見していく。
 出演:ギャブーレー・"ギャビー"・シディベ, ポーラ・パットン、モニク・アイムズ、レニー・クラヴィッツ
 サファイア(Ramona Lofton)の『プッシュ』が原作。
 サンダンス映画祭2009審査員グランプリ&観客賞&パフォーマンス賞(モニク・アイムズ)受賞。カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門出品。
 東京国際映画祭2009 World Cinema部門で上映決定!

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 ◎観客賞次点:“Mao’s Last Dancer”(オーストラリア・米・中) 監督:ブルース・ベレスフォード
 出演:ツァオ・チー、Chengwu Guo、ブルース・グリーンウッド、カイル・マクラクラン、ジョアン・チェン、アマンダ・シュール、アリス・パーキンソン
 物語:文化大革命時の中国。11歳のリーは、中国北部の貧しい村から選ばれて、バレエ・ダンサーとなるために北京舞踊学院で学ぶ。1979年に、彼は交換留学生となって、テキサスに渡るが、2年後、アメリカに亡命し、ヒューストン・バレエ団の主役となり、後にはオーストラリアのバレエ団で活躍するようになる。
 2003年に出版された中国人ダンサー李存信(Li Cunxin)の同名の自伝の映画化。タイトルのMaoは毛沢東というより、Madame Mao、つまり毛沢東夫人江青のこと。
 監督は『テンダー・マーシー』『アリア』『ドライビング Miss デイジー』『ラストダンス』などの監督として知られ、オペラの演出も手がけるオーストラリアの映画監督ブルース・ベレスフォードで、脚本は『シャイン』『君に読む物語』などで知られるジョン・サルディ。

 ◎観客賞次点2位:“Micmacs (Micmacs à tirelarigot)” 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
 出演:ダニー・ブーン、ドミニク・ピノン、ヨランド・モロー、アンドレ・デュソリエ、ジャン=ピエール・マリエル
 物語:9歳の時にブラジルは、モロッコの爆発事故で父を失う。数年後、彼は、頭に銃弾を受けて、九死に一生を得るが、銃弾はずっと頭の中に残ったままとなる。命は助かったものの、仕事を失った彼は、通りに放り出されて、ユニークな特技を持った仲間たちと知り合う。ある日、彼は、偶然から、彼に悲劇をもたした2つの武器会社を見つけ、仲間たちとともに、その会社を破壊することに決める。その方法は、奇想天外で、これまで誰も考えたことがないようなものだった……。

 ◎観客賞 ドキュメンタリー部門:“The Topp Twinns”(ニュージーランド) 監督:Leanne Pooley
 ニュージーランドでカントリー&ウェスタンを歌う人気レズビアン・デュオTopp Twinsに関するドキュメンタリー。

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 ◎観客賞 ドキュメンタリー部門次点:『キャピタリズム/マネーは踊る』(米) 監督:マイケル・ムーア
 『ロジャー&ミー』から20年。マイケル・ムーアが久々に経済問題に立ち返って、マンハッタンを発信源とする経済のグローバル化問題に挑む。
 ショウゲート配給で12月に日本公開予定。

 ◎観客賞 ミッドナイトマッドネス部門:“The Loved One”(オーストラリア) 監督:Sean Byrne
 物語:楽しいはずのプロム・ナイトは、頭上から注射器や釘、電動ドリルが雨あられと降り注いで、陰惨なものに変わってしまう……。

 ◎観客賞 ミッドナイトマッドネス部門次点:“Daybreakers”(オーストラリア・米) 監督:Michael Spierig、Peter Spierig
 出演:イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、サム・ニール
 人間がヴァンパイアより少数派になった世界の物語。

 ◎最優秀短編カナダ映画(Best Canadian Short Film):“Danse Macabre” 監督:Pedro Pires

 ◎最優秀短編カナダ映画オナラブル・メンション(Best Canadian Short Film with an honourable mention):“The Armoire” 監督:Jamie Travis

 ◎最優秀初監督カナダ映画:(THE SKYY Vodka AWARD FOR BEST CANADIAN FIRST FEATURE FILM):“The Wild Hunt” 監督:Alexandre Franchi

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 ◎最優秀カナダ映画(THE CITY OF TORONTO AND ASTRAL MEDIA'S THE MOVIE NETWORK AWARD FOR BEST CANADIAN FEATURE FILM):“Cairo Time”(カナダ・アイルランド) 監督:Ruba Nadda
 出演:パトリシア・クラークソン、トム・マカムス、アレクサンダー・シディング
 物語:雑誌編集者のジュリエットは、国連軍将校としてガザに駐留している夫マークに会うためにカイロにやってくる。彼女は、夫の案内で、カイロを見せてもらうが、その過程でカイロに魅了されるとともに、車に同乗していた元保安警官のタレクにも魅せられてしまうのだった。

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 ◎最優秀カナダ映画審査員特別賞(with a Special Jury Citation):“La Donation (The Legacy)” 監督:Bernard Émond
 出演:アンジェル・クトゥ、Elise Guilbault
 物語:ドクター・レインヴィルは、面倒見のいい田舎医者だが、年老いて、自分の仕事を引き継いでくれる相手を探していた。ジャンヌ・ディオンは、救急医療に携わる医者で、レインヴィルに請われて数週間の予定で、彼の代わりを務めてみることにする。彼女は、その後どうするかは決めていなかったが、レインヴィルが急死してしまい、早急な決断を迫られることになる。レインヴィルの仕事を引き受けるとなれば、半永久的に続ける覚悟が必要だった……。
 ロカルノ国際映画祭2009 インターナショナル・コンペティション部門出品作品。FICC/IFFS Prize受賞。

 ◎国際批評家連盟賞 Discovery部門:“The Man Beyond the Bridge”(インド) 監督: Laxmikant Shetgaonkar
 物語:孤独な男性が、インドの西ガーツの深い森で、気のふれた女性と知り合う。彼女が妊娠したとわかった時、世間との軋轢が生じる。彼女を平等に扱おうとしている彼に対して、社会的な責任が取れるのかと2人の将来を問題にしてきたのだった……。

 ◎国際批評家連盟賞 Special Presentations部門:“Hadewijch”(仏) 監督:ブリュノ・デュモン
 出演:Julie Sokolowski、Yassine Salihine、David Dewaele、Karl Sarafidis
 物語:Hadewijchは、あまりにも純粋で激しい信仰心のために修道院を追い出されてしまう。元の世界に戻って、外交官の娘セリーヌらと知り合ったりするが、彼女の神への激しい情熱は彼女を誤った方向へと向かわせることになる……。

 ◎CFTPA Producer's Award:ケヴィン・ティアニー(Kevin Tierney)
 ケヴィン・ティアニーは、カナダのPark Ex Picturesのプロデューサーで、“Love and Savagery”、“ Serveuses”、“Demandées”、『ブレイキング・コップス』(“Bon Cop/Bad Cop”)、“ One Dead Indian”、“CHOICE : The Henry Morgantaler Story”、“Twist (EP)”、“Varian's War”、“The Life of P.T. Barnam”、“More Tales of The City”、“The Song Spinner”、“Memoirs: Pierre Elliott Trudeau”などを手がけている。最新作は、息子のJacobが監督した“The Trotsky”。

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 なるほど!という結果。

 昨年の観客賞は『スラムドッグ$ミリオネア』で、これが米国アカデミー賞につながったわけで、たった1回そういうことがあっただけで、今年の観客賞も注目を集めていたわけですが、今年の観客賞は、サンダンス映画祭の時点で評判のよかった『プレシャス!』が受賞しました。
 『プレシャス!』は、この結果が出る以前から今年の賞レースにからんでくるのではないかと予想されていたので、この受賞ではずみがついて、アカデミー賞ノミネートを濃厚なものとしました。本年度は作品賞ノミネートが10本になったので、ノミネートはほぼ確実でしょう。(アメリカのマスコミでももう既にけっこうな騒ぎになっていますが。)
 東京国際映画祭での上映も大きな話題になりますね(チケットの争奪戦が予想されます!)。

 観客賞 ミッドナイトマッドネス部門次点の“Daybreakers”は、倒産してしまったムービーアイの配給で公開が告知されていた作品だったので(ムービーアイは作品を見る目があったということですが)、日本公開はどうなるのか、非常に懸念されます。

 観客賞次点の“Micmacs (Micmacs à tirelarigot)”は、ワーナー・ブラザーズ配給(たぶん)で日本でも観られそうです。

 カナダ映画部門の受賞作は、日本で上映されるかどうかはわかりませんが、このところ進境著しいパトリシア・クラークソンがここでも顔を出しているのが注目されます。(彼女に作品を選ぶ目があるのか、それとも、彼女が作品のクオリティーをアップさせるのか。たぶんその両方なのでしょう。)

 たくさん上映された日本映画からは今年も受賞作は出ませんでした。

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 *当ブログ記事
 *トロント国際映画祭2009 ラインナップ完全版
 ・その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_18.html
 ・その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_19.html
 ・その3:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_20.html
 ・その4:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_21.html
 ・その5:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_22.html
 ・その6:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_23.html
 ・その7:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_24.html
 ・全タイトル・リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_25.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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