第7回パリ映画祭 結果発表!

 第7回パリ映画祭(7ème Festival de Paris Cinéma)が13日間の会期を終え(7月2日~14日)、コンペティション部門の結果が発表になりました。

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 ◆長編部門(Long-métrage )
 ※審査員は、シャーロット・ランプリング(審査員長)、シャンタル・ロビーほか。

 ◎審査員グランプリ(Prix du jury):“L'Autre rive(Gagma Napiri/The Other Bank)”(グルジア・カザフスタン) 監督:George Ovashvili

 “L'Autre rive(Gagma Napiri/The Other Bank)”は、ベルリン国際映画祭2009のジェネレーション部門でワールドプレミアされた作品で、モスクワ国際映画祭2009ではMoscow Euphoria部門に、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009ではイースト・オブ・ウエスト部門に出品されていた作品です。

 物語:テドは、12歳で、7年前に、グルジア-アブハズ紛争を逃れて、故郷アブハズを離れ、今は、母とともにトビリシ近郊に住み、一緒に自動車修理工場を手伝うことでなんとか生計を立てている。しかし、ある日、母が恋人らしい男性といるのを見てショックを受け、病気のために一緒に来ることができなかった父のことを思い出し、父を探しに行こうと決める……。

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 ◎学生審査員賞(Prix de l'avenir):『ベガス』“Vegas : Based on a true story”(米) 監督:アミール・ナデリ

 『ベガス』は、東京フィルメックス2008で上映されています。

 ◎観客賞(Prix du public):“La Nana(The Maid)”(チリ) 監督:Sebastian Silva

 “La Nana(The Maid)”は、サンダンス映画祭2009で審査員グランプリ&パフォーマンス賞を受賞した作品で、マイアミ国際映画祭のイベロ・アメリカン・コンペティション部門(審査員スペシャル・メンション主演女優賞受賞)、トランシルヴァニア国際映画祭2009のコンペティション部門(パフォーマンス賞受賞/全キャストに対して)、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009のアナザー・ビュー部門にも出品され、チリはもちろん今年の南米を代表する1本になっています。

 物語:ラクエルは、18歳からヴァルデス家に勤めて、5人の子供の乳母として、そしてお手伝いとして休みなく働き、自分ではすっかり一家の一員のように思い込んでいた。しかし、長女カミーラと衝突することが多くなり、偏頭痛もひどくなってくる。そこで家長が下した判断は、もう1人、お手伝いさんを雇うことであった。この決定は、ラクエルにとって面白くないもので、彼女は自分の居場所を侵害されたように思い、新しいお手伝いルーシーに嫌がらせを始めるのだった……。
 出演:Catalina Saavedra、Claudia Celedon、Mariana Loyola、 Alejandro Goic、Andrea Garcia-Huidobro.

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 ◆短編部門(Court-métrage)

 ◎審査員グランプリ(Prix CinéCinéma):“Vostok'”(仏) 監督:Jan Andersen

 ◎Kookai Film賞(Prix émotion Kookaï):“L'Autre Monde(The Other World)”(仏) 監督:Romain Delange

 ◎観客賞(Prix du public):“Diplomacy”(米) 監督:Jon Goldman

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 フランスには、カンヌ国際映画祭があり、ナント三大陸映画祭があり、アヌシー国際アニメーションフェスティバルがあり、クレモンフェラン国際短編映画祭があり、という具合に、世界的に有名な国際映画祭がいくつもありますが、いずれもなぜか地方都市での開催で、映画の都であるはずのパリにはこれまで映画祭らしい映画祭はありませんでした。

 世界的に見て、映画祭を持たない大都市というのは非常に珍しく、おそらくパリ市民もパリの映画人も不思議に思っていたのではないかと思われますが、そんなパリで2003年からスタートしたのが、パリ映画祭です。

 映画祭としては、規模も注目度もさほど大きくありませんが、パリ中の映画館を会場として使って、なかなかユニークなプログラムを組んでいます(街の映画館全体で映画祭を盛り上げようとしている感じは初期の東京国際映画祭にも似ているでしょうか)。

 この時期に開催されるのは、もちろんパリ祭のプレ・イベントという意味合いもあるのでしょう。

 長編と短編のコンペティション部門のほかは、以下の通りです。
 新作の上映がないのが寂しいですが、何本もの日本映画が上映されています。
 ※いくつかのプログラム/サブ・プログラムは部門間でクロスしています。

 ◆Les avant-premières部門
 新作上映部門。

 Christian Carion “L'Affaire Farewell”(仏)
 Roberto Castón “Ander”(西)
 ブリュノ・ポダリデス “Bancs publics (Versailles rive droite)”(仏)
 ヴォルフガング・ムルンベルガー “Bienvenue à Cadavres-Les-Bains”(オーストリア)
 ラリー・チャールズ “Bruno”(米)
 バフマン・ゴバディ “Les Chants persants”(イラン・独)
 Axelle Robert “La Famille Wolberg”(仏・ベルギー)
 アンドレア・アーノルド “Fish Tank”(英)
 Jean-Jacques Zilbermann “La Folle Histoire d'amour de Simon Eskenazy”(仏)
 スティーヴン・ソダーバーグ “The Girlfriend Experience”(米)
 Xavier Dolan “J'ai tué ma mère !”(カナダ)
 ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン 『カールじいさんの空飛ぶ家』(米)
 Lisandro Alonso “Liverpool”(西)
 クロード・ミレール “Marching Band”(仏)
 アダム・エリオット “Mary and Max”(オーストラリア)
 Wang Chao “Memory of Love”(中)
 北村龍平 『ミッドナイト・ミート・トレイン』(米)
 Semih Kaplanoglu “Milk”(トルコ・独・仏)
 Gabriel Julien-La Ferrière “Neuilly sa mère”(仏)
 Mia Hansen-Løve “Le Père de mes enfants”(仏)
 マイケル・マン “Public Enemies”(米)
 スティーヴン・ダルドリー 『愛を読むひと』(米)
 Bruno Barreto “Rio ligne 174”(ブラジル)
 Alain Guiraudie “Le Roi de l'évasion”(仏)
 ミヒャエル・ハネケ “The White Ribbon”(独・オーストリア・仏・伊)
 Micha Wald “Simon Koniansky”(ベルギー・仏・カナダ)
 Nina Paley “Sita chante le blues(Sita Sings the Blues)”(米)
 アン・リー “Taking Woodstock”(米)
 エリア・スレイマン “The Time That Remains”(仏・パレスティナ)
 Ivan Calbérac “Une semaine sur deux et la moitié des vacances scolaires”(仏)
 イッポリト・ジラルド、諏訪敦彦『ユキとニナ』(仏・日)

 ◆Les invités d'honneur部門
 ゲストを招いてミニ・レトロスペクティヴを行なう。

 今年は―
 ・クラウディア・カルディナーレ:『鞄を持った女』(1961)
 ・ジェン=ピエール・レオ:『アタラント号』『夜霧の恋人たち』『家庭』『逃げ去る恋』『ママと娼婦』
 ・ツァイ・ミンリャン:『ふたつの時、ふたりの時間』『楽日』
 ・Lluis Miñarro(プロデューサー):『シルビアのいる街で』“Un rêve(A Dream/El Somni)”
 ・河瀬直美:『火垂』(2009年版)『七夜待』

 ◆Ouverture publique : la Nuit du cinéma部門(ナイト・プログラム)

 今年は6つのサブ・プログラムで構成されていました。
 ①アジアのセックス・コメディー(『アンティーク』、Dimas Djayadiningrat “Quickie Express”、Su Chao-bin “Better than Sex”、Taweewat Wantha “The Sperm”、Joey Gosiengfiao “Temptation Island”)
 ②トルコのスーパーヒーロー(Yilmaz Atadeniz “Kilink in Instanbul”、Çetin İnanc “Turkish Star Wars”、Yilmaz Atadeniz “The Deathless Devil”)
 ③ロバート・ワイズ 『深く静かに潜行せよ』
 ④ラス・メイヤー(『ファスター プシーキャット キル!キル!』『ヴィクセン』『UP!メガヴィクセン』)
 ⑤日本のアニメーション(スタジオジブリ:『おもひでぽろぽろ』、マッドハウス:『東京ゴッドファーザーズ』、東映動画:『どうぶつ宝島』)
 ⑥アメリカン・コメディー(『メリーに首ったけ』、『40歳の童貞男』、『ズーランダー』、『バス男』、“SuperGrave”、『ふたりにクギづけ』)

 ◆Clôture publique : "Paris Cinéma fait sa fête au CENTQUATRE"

 映画のさまざまな楽しみ方を提供するプログラム。
 今年は溝口健二『マリアのお雪』(1935)のシネコンサート(おそらく伴奏つき上映会のこと)。

 ◆トルコ映画特集

 ①ヌリ・ビルゲ・ジェイラン:『冬の街』“Uzek”、『Climate/うつろいの季節』
 ②Reha Erdem
 ③イェシム・ウスタオウル

 ④[長編パノラマ]
 “A.R.O.G” Cem Yilmaz
 “Automne (Sonbahar / Autumn)” Özcan Alper
 『パンドラの箱』 イェシム・ウスタオウル
 “La Dernière Saison : Shawaks (Demsala Dawî : Şewaxan / The Last Season : Shawaks)” Kazim Öz
 “Destiny (Kader)” ゼキ・デミルクブス
 “Milk (Süt)” Semih Kaplanoglü
 『私のマーロンとブランド』 フセイン・カラベイ
 “My Only Sunshine (Hayat var)” Reha Erdem
 “On The Way To School (İki dil bir bavul)” Özgür Dogan、Orhan Eskiköy
 “Pari(s) d'exil” Ahmet Zîrek
 “The Storm (Bahoz)” Kazim Öz
 “Summer Book (Tatil Kitabı)” Seyfi Teoman

 ⑤[短編パノラマ]

 ⑥[ドイツとトルコのつながり]
 “Au bord des villes (Am Rand der Städte / On the Outskirts)” Aysun Bademsoy
 『クロッシング・ザ・ブリッジ』 ファティ・アキン
 “De loin (Aus der Ferne / From Far Away)” Thomas Arslan
 “It's my Turn (Bende Sıra – Ich bin dran)” Ismet Ergün

 ⑦[トルコのスーパーヒーロー]
 Yilmaz Atadeniz “The Deathless Devil”
 Çetin İnanc “Turkish Star Wars”
 Yilmaz Atadeniz “Kilink in Instanbul”
 Yilmaz Atadeniz “Kilink vs Superman”
 ・Un film restauré à découvrir

 ◆Paris CinéMômes
 アニメーションの上映部門。

 ①Des avant-premières !
 “La Boutique des pandas”(1979-1985/中) Jiaxiang Pu、Borong Wang、Jiaxin Qian、Zuwei Shen、Keqin Zhou
 “Les Deux Moustiques”(2007/デンマーク) Jannik Hastrup、Quist Flemming
 『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009/米) ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 “Malin comme un singe”(1962-1983/中) Xiaonghua Hu、Zuwei Shen、Jingqing Hu
 “L'Ours et le magicien”(2008-2009/リトアニア) Māris Brinkmanis、Jǎnis Cimermanis
 『ぱんだこぱんだ』(1972-1973/日) 高畑勲
 『ピエールと狼』(2006/英) スージー・テンプルトン
 “Le Rêve et autres courts”(2008/イラン) Farshid Shafiei、Hadi Yaghinlou、Mahin Javaherian、Farkhondeh Torabi、Alireza Chitaï
 “Sita chante le blues”(2009/米) Nina Paley

 ②Tour du monde de l’animation(ワールド・アニメーション)
 アルゼンチン:『火星人メルカーノ』ホアン・アンティン
 カナダ:ポール・ドリエセン 6作品上映
 中国:“Malin comme un singe” Xiaonghua Hu、Zuwei Shen、Jingqing Hu
 中国:“La Boutique des pandas” Shen Zuwei、Zhou Keqin
 デンマーク:“Les Deux Moustiques” Jannik Hastrup、Quist Flemming
 アメリカ:“Merlin l'enchanteur” Wolfgang Reitherman
 アメリカ:“Brisby et le secret de Nimh” Don Bluth
 アメリカ:“Sita chante le blues” Nina Paley
 アメリカ:『カールじいさんの空飛ぶ家』 ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
 フランス:『王と鳥』 ポール・グリモー
 イギリス:『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』 ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
 イギリス:『ピーターと狼』 スージー・テンプルトン
 イラン:“Les Contes de la mère poule” Vajiollah Fard-e-Moghadam、Morteza Ahadi Sarkani、Farkhondeh Torabi
 イラン:“Le Rêve et autres courts” Farshid Shafiei、Hadi Yaghinlou、Mahin Javaherian、Farkhondeh Torabi、Alireza Chitaï
 日本:『ぱんだこぱんだ』 高畑勲
 日本:『パーフェクトブルー』 今敏
 日本:『時をかける少女』 細田守
 リトアニア:“L'Ours et le magicien” Māris Brinkmanis、Jǎnis Cimermanis
 チェコ:『ぼくらと遊ぼう!』 ブジェチスラフ・ポヤル、Mirosiav Stepànek
 チェコ:『アリス』 ヤン・シュヴァンクマイエル
 ロシア:ユーリ・ノルシュテイン 『話の話』

 ③Focus sur trois générations de studios japonais(3つの日本のアニメーション・スタジオ)
 スタジオジブリ:『おもひでぽろぽろ』
 マッドハウス:『東京ゴッドファーザーズ』
 東映動画:『どうぶつ宝島』

 ④Temps forts(その他の各種のイベント&プログラム)

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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