第44回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 結果発表!

 第44回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(7月3日~11日)の各賞が発表になりました。

 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭と言っても、日本では単にそういう映画祭があると知られているくらいだと思いますが、ヨーロッパでのカルロヴィ・ヴァリの注目度&重要度は高くて、開催期間中、ヨーロッパ系の映画情報サイトはカルロヴィ・ヴァリ上映作品のことでもちきり、のようでした。さすがに歴史のある映画祭だけのことはありますね。

 以下が受賞結果です。

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 【コンペティション部門】

 ◎グランプリ(Grand Prix - Crystal Globe):“Angel at Sea(Un ange à la mer)”(ベルギー・カナダ)
 監督:Frédéric Dumont

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 出演:オリヴィエ・グルメ、アンヌ・コンシニ、Martin Nissen
 物語:ルイは、モロッコ南部の小さな町に両親と兄と一緒に暮らしている12歳の少年。彼の幸せな少年時代は、父からある秘密を聞かされることで一変してしまう……。
 Frédéric Dumont監督のデビュー作。ワールド・プレミア。

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 ◎審査員特別賞: “Twenty(Bist)”(イラン)
 監督:Abdolreza Kahani
 物語:ソレイマニ氏のレストランの閉店まであと20日。そこで働くことが、単に収入を稼ぐこと以上のものであった従業員たちは、氏のために何かできることはないかと考える……。
 インターナショナル・プレミア。

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 ◎監督賞:アンドレアス・ドレーゼン
 “Whisky with Vodka(Whisky mit Wodka)”(独)

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 物語:オットーは、有名な俳優であったが、気分屋でもあった。そんな彼のために、監督が代役を雇ったことから、トラブルが起こる……。
 インターナショナル・プレミア。

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 ◎男優賞: オリヴィエ・グルメ
 “Angel at Sea(Un ange à la mer)”(ベルギー・カナダ) 監督:Frédéric Dumont

 ◎男優賞: ポール・ジアマッティ
 “Cold Souls”(米) 監督:Sophie Barthes
 出演:ポール・ジアマッティ、デイヴィッド・ストラザーン、エミリー・ワトソン
 物語:ニューヨークの舞台役者が自分の神経衰弱と向き合おうとする物語。
 ゴーゴリ、ブニュエル、ユング、ウディ・アレンからインスペイアされた作品だとか。
 Sophie Barthes監督のデビュー作。ヨーロッパ・プレミア。サンダンス映画祭2009で上映。


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 ◎女優賞:Paprika Steen
 “Applause”(デンマーク) 監督:Martin Pieter Zandvliet

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 物語:主人公は、アルコールのためにすべてを失ってしまった女優で、リハビリ生活の後、彼女は、彼女にとって最も大切なもの、すなわち彼女の2人の息子を取り戻そうとする……。
 Martin Pieter Zandvliet監督デビュー作。ワールド・プレミア。

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 ◎審査員スペシャル・メンション:Filip Garbacz(俳優)
 “Piggies(Świnki)”(ポーランド・独) 監督:Robert Gliński
 物語:トメクは、天文学と父とサッカーをすることが好きな少年。彼が住んでいるのは貧民街だが、川を挟んで向こう側にはドイツの富裕者層の住む地域が広がっていた。ある日、トメクは、ディスコでマルタと出会って恋に落ち、彼女の関心を得るために。ある方法で金を稼ごうとする。しかし、それが悲劇の始まりだった……。
 ワールド・プレミア。

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 【ドキュメンタリー部門】

 ◎グランプリ 30分未満の作品:“Wagah”(独・インド・パキスタン)
 監督:Supriyo Sen

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 1つの町の真ん中に国境が引かれて、インドとパキスタンに分かれてしまったWagahの現在についてのドキュメンタリー。

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 ◎審査員スペシャル・メンション:“Till It Hurts(Do bolu)”(ポーランド)
 監督:Marcin Koszałka
 物語:主人公は53歳の精神科医で、彼はその年になっても母親と共に暮らしていた。そんな彼も、ようやくある女性と出会って恋に落ちるが、それは母親のヒステリックな反応を引き起こすことになる。
 キェシロフスキの『デカローグ』を思わせるシリーズの1編だとか。

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 ◎グランプリ 30分以上の作品:“Osadné”(スロヴァキア・チェコ)
 監督:Marko Škop
 物語:スロヴァキアの小さな村Osadnéの東方教会司祭と、その村長、そして活動家の3人が、村の未来を賭けて、ブリュッセルで開催されるヨーロッパ議会に向かう……。

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 ◎審査員スペシャル・メンション:“We Live in Public”(米)
 監督:Ondi Timoner
 インターネット界のパイオニア、ジョシュ・ハリスに関するドキュメンタリー。サンダンス映画祭2009審査員グランプリ受賞作品。

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 【EAST OF THE WEST部門】

 ◎East of the West 賞:“Room and a Half(Poltory komnaty ili sentimentalnoje putěšestvije na rodinu)”(ロシア)
 監督:Andrey Khrzhanovsky

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 ノーベル賞作家ヨシフ・ブロツキー(1940~1996)と彼の家族に関するポートレイト。

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 ◎スペシャル・メンション:“Scratch(Rysa)”(ポーランド)
 監督:Michał Rosa

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 物語:妻の父親のことを夫が秘密警察に報告していたことを知ってから、長年連れ添った夫婦関係に暗雲が立ち込める……。

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 【その他の賞】

 ◎観客賞:“A Matter of Size(Sipur Gadol)”(イスラエル・独・仏)
 監督:Erez Tadmor、Sharon Maymon
 物語:イスラエルの肥満のグループがダイエットのワークショップに来ている。過酷なプログラムに耐えられずに逃げ出した彼らは、SUMOという世界があることを知る。
 エルサレム映画祭2009 オープニング作品。日本人俳優 伊川東吾さんも出演している。

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 ◎特別賞―ワールドシネマへの芸術的な貢献に対して(Special Crystal Globe For Outstanding Artistic Contribution To World Cinema):
 ・イザベル・ユペール

 ・ジョン・マルコヴィッチ

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 ・ヤン・シュヴァンクマイエル

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 ◎映画祭委員長賞(Festival President´s Award):アントニオ・バンデラス

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 ◎国際批評家連盟賞:“Will Not Stop There(Nije kraj)”(クロアチア・セルビア)
 監督:Vinko Brešan
 物語:マーティンは、退役軍人で、ポルノ版赤ずきんを見て、そこに出ていた女性デサに恋をする。彼は、狼役で出演していたジューロに彼女を探してくれるよう頼み、彼女が娼婦であることを知る。彼は、ポン引きに金を払って彼女を買い、ベオグラードからザグレブに連れ出すが、彼女の方は彼が何をしようとしているのかが理解できない。戦争は終わっていたが、2人とも心に傷を負っているのだった……。

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 ◎ヨーロッパ映画賞(Europa Cinemas Label Award):“Applause”(デンマーク)
 監督:Martin Pieter Zandvliet

 ◎インディペンデント・カメラ賞(Independent Camera:新人監督賞):“Eamon”(アイルランド)
 監督:Margaret Corkery
 物語:イーモンは、母グレースと同じベッドで眠るのが好きだったが、母の恋人ダニエルはそれを面白く思っていなかったし、グレースがそれを気に留めていないことにも不満を持っていた。彼らが海にバカンスに出かけた時、問題が表面化する……。

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 そんなに派手な作品はありませんが、なかなかユニークな作品が並んでいます。

 日本で劇場公開の可能性を考えてみるなら、今の日本では「地味だけれどいい作品」よりは「完成度はそんなに高くなくてもユニークで刺激的な作品」、「おなじみの監督のまあまあ悪くない作品」より「未知の監督のちょっとトンガッた作品」が求められる傾向にありますから、“Will Not Stop There(Nije kraj)”なんか面白いと思うのですが、どうでしょうか。

 ポール・ジアマッティやオリヴィエ・グルメ、アンドレアス・ドレーゼンは、それぞれの作品で今年の賞レースにノミネートされるような気がしますね。

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 *当ブログ記事
 ・第44回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_28.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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