日本で上映されたブルガリア映画 1958-2009

 フィルムセンターで、1974年以来となるブルガリア映画特集が開催された(2009年4月29日~5月8日)のに合わせて、ブルガリア映画について調べてみました。

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 【日本で上映されたブルガリア映画】

 1958年

 ・『小さな島で』“Na malkiaostrov”(監督:ランゲル・ヴァルチャノフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 1960年

 ・『マツの枝の話(松の枝の話)』(監督:トドル・ディノフ)[短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1963年

 ・『ジェラシー』(監督:トドル・ディノフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 1964年

 ・『桃泥棒』“Kradetsat na praskovi”(監督:ヴーロ・ラデフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『リンゴ』(監督:トドル・ディノフ、ストヤン・ドゥコフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 1965年

 ・『ひなぎく(一輪の花)』(監督:トドル・ディノフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1967年

 ・『一番長い夜』“Nai dalgata nosht”(監督:ヴーロ・ラデフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『あなぽこ(おとし穴)』(監督:ゼンカ・ドイチェヴァ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1969年

 ・『鳥と猟犬』“Ltichi i Hratki”(監督:ゲオルギ・ストヤノフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『聖像壁』“Ikonostasut”(監督:トドル・ディノフ、フリスト・フリストフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『陽気な仲間』(監督:ペンチョ・ボグダノフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1970年

 ・『相続人』(監督:イヴァン・ヴァッセリノフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 1971年

 ・『毛のないヤマアラシ』“Taralezhite se razhdat bez bodli”(監督:ディミテル・ペトロフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『情熱の生涯ゴヤ』(監督:コンラート・ヴォルフ)(西独・ソ連・ブルガリア・ユーゴスラビア・ポーランド)

 1972年

 ・『炎のマリア』“Koziat Rog”(監督:メトディ・アンドノフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で『山羊の角』というタイトルで上映。
 その後、1976年に岩波ホールで現邦題で公開。ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『愛情』“Obich”(監督:リュドミル・スタイコフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『やさしい村』(監督:ドンヨ・ドネフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『間抜けな三人』(監督:ドンヨ・ドネフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 1973年

 ・『仕事のない男たち』“Mazhe bez Rabota”(監督:イヴァン・テルジエフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『私が知っている一番親切な男』“The Kindest Man I Know”(監督:リュボミル・シャルランジェフ)
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。

 ・『水族館』(監督:ゼンカ・ドイチェヴァ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『三馬鹿狩人』(監督:ドンヨ・ドネフ) [短編アニメーション]
 現代ブルガリア映画の展望(1974)で上映。
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『ばんじ休す』(監督:ドンヨ・ドネフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1975年

 ・『ライオン』“The Lion”(監督:ドンヨ・ドネフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『ランチタイム』“Sociology Lesson”(監督:ペンチョ・ボグダノフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1976年

 ・『小さな風船』(監督:エミル・アバジェフ(Emil Abadjiev))[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1978年

 ・『シマウマの狩り』“Hunting Zebras”(監督:イワン・ハドジトネフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1979年

 ・『無名兵士のエナメル靴』(監督:ランゲル・ヴァルチャノフ)
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 1981年

 ・『汗の栄光』(監督:リュドミル・スタイコフ)
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『猫とカナリア』“The Cat and Canary”(監督:ラドカ・バチヴァロヴァ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1982年

 ・『引き出しの中の犬』(監督:ディミータル・ペトロフ)
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 1984年

 ・『一日だけの王様』(監督:ニコライ・ヴォレフ)
 1988年5月にTBSで放映。

 ・『歌うカウボーイ』“The Singing Cowboys”(監督:プロイコ・プロイコフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1986年

 ・『昔々のお話』“An Old Old Story”(監督:アントン・トラヤノフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1987年

 ・『キャンプ』“Laguezat”(監督:ゲオルギー・デュールゲロフ)
 湘南カンヌ国際映画祭’90にて上映。

 ・『好奇心』“Curiosity”(監督:エミリア・コレヴァ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1988年

 ・『略奪の大地』(監督:リュドミル・スタイコフ)
 第3回東京国際映画祭(1989)招待作品部門で上映後、1990年劇場公開。

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 ・『ぼくと彼女のために』“1952,Ivan i Alexandra”(監督:イヴァン・ニチェフ)
 東欧映画祭’90で『1952、イワンとアレクサンドラ』というタイトルで上映後、1992年に劇場公開。

 ・『ゆかいなぼうけん』“Animato”(監督:ペンチョ・ボグダノフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 1989年

 ・『マルガリートとマルガリータ』“Margarit I Margarita”(監督:ニコライ・ヴォレフ)
 湘南カンヌ国際映画祭’90で上映。

 ・『天国とバイオリン』“Ti,Koito Si Na Nebeto”(監督:ドゥチョ・ボジャコフ)
 東欧映画祭’90にて上映。

 1997年

 ・『ザ・シューター』(監督:ジョセフ・ラスナック)(米・ブルガリア・英)

 1998年

 ・『イースト/ウエスト 遙かなる祖国』(監督:レジス・ヴァルニエ)(仏・露・西・ブルガリア)

 2000年

 ・『トレイン・ジャック~オリエント急行~』(監督:マーク・ローパー)(カナダ・英・ブルガリア・伊)[DVDのみ]

 2001年

 ・『ジョヴァンニ』(監督:エルマンノ・オルミ)(伊・仏・独・ブルガリア)

 ・『青白き月』(監督:ペンチョ・クンチェフ)[短編アニメーション]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 2002年

 ・『ラプソディ・イン・ホワイト』“Rapsodiya v byalo”(監督:テディ・モスコフ)
 ブルガリア映画特集(2009)、EUフィルムデーズ2009にて上映。

 2004年

 ・『ゲオルギーと蝶々』(監督:アンドレイ・パウノフ)[ドキュメンタリー]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『アイス・ハザード』(監督:マーク・ローパー)(カナダ・ブルガリア・英)[Vのみ]

 2006年

 ・『レディース・タイム』“Vreme za Zheni”(監督:イリヤ・コストフ)
 EUフィルムデーズ2008、ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『A+E』(監督:ツヴェトミラ・ニコロヴァ)[短編アニメーション]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『ホーンテッド』(監督:ナチョ・セルダ)(米・西・ブルガリア)[Vのみ]

 2007年

 ・『ソフィアの3つの運命』“Shivachiki”(監督:リュドミル・トドロフ)
 大阪ヨーロッパ映画祭2008、ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『蚊の問題その他の話』(監督:アンドレイ・パウノフ)[ドキュメンタリー]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『襤褸』(監督:アンリ・クレフ)[短編アニメーション]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『ZIRO』(監督:スラフ・バカロフ)[短編アニメーション]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・『五月』(監督:ストヤン・ドゥコフ)[短編アニメーション]
 ブルガリア映画特集(2009)にて上映。

 ・“Shadows”(監督:ミルチョ・マンチェフスキー)(マケドニア・独・伊・ブルガリア・西)

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 ★制作年・内容不詳作品

 ・『村は大さわぎ』
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『黒い鳥』“THE BLACK BIRD”(監督:ゲオロギー・チャグダーノフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『冬の物語』(監督:ゲオロギー・チャグダーノフ)[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『夢の星座』(監督:アナスタス・パブロフ(Anastas Pavlov))[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『ペンギンと白熊』(監督:ボリス・アプリノフ(Boris Aprilov))[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ・『ひとりぼっちのサンタ』“CHRISTMAS STORY”(監督:アレクサンドル・ザハリエフ(Alexander Zahariev))[短編アニメーション]
 神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集(2008)にて上映。

 ★上映作品不詳プログラム

 ・2004年 第5回ラピュタ アニメーション フェスティバル ブルガリア傑作集

 ・2008年 広島国際アニメーションフェスティバル ドニョ・ドネフ(ドンヨ・ドネフ)特集

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 以上のほか、ブルガリアを物語の舞台の1つ(必ずしもブルガリアで撮影しているとは限らない)として登場させる作品としては、テオ・アンゲロプロス『ユリシーズの瞳』(1996/仏・伊)、ファティ・アキン『太陽に恋して』(2000/独)、ポール・フェイグ『アイ・アム・デビッド』(2003/米)などがあります。

 ブルガリア出身の有名人としては、シルヴィー・バルタン、クリスト、琴欧洲などがいます。

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 【ブルガリアの主な映画監督】

 ・Slatan Dudow(1903~1963)
 ブルガリアで生まれ、東ドイツで活躍した映画監督。
 “Frauenschicksale”(1952)がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭監督賞受賞。

 ・トドル・ディノフ(Todor Dinov)(1919~2004) アニメーションの監督
 40本以上の短編アニメーションといくつかの短編実写作品を残す。イラストレーター、画家、グラフィック・アーティストでもある。
 ブルガリアで最初のアニメーションのスタジオを作り、美術学校(Theatre and Film Arts Institute)にアニメーション学部を創設して、後進の指導にも当たった。
 1999年には、ブルガリアで最高の勲章であるStara Planina order (First Degree)を受勲。
 2003年には、ブルガリア・アニメーションに対する貢献を称えて、ブルガリア映画製作者連盟から生涯功労賞としてCrystal Pyramide Awardを贈られた。
 【参考】 トドル・ディノフに関するWikipedia:http://en.wikipedia.org/wiki/Todor_Dinov

 ・ヴーロ・ラデフ(Vulo Radev)(1923~2001)
 日本に紹介されている作品には、『桃泥棒』(1960)、『一番長い夜』(1967)がある。

 ・Binka Jeliazkova(1923~ )
 “A byahme mladi”(We Were Young)(1961)がモスクワ国際映画祭グランプリ1959-1967受賞、“Poslednata duma”(The Last Word)(1973)がカンヌ国際映画祭コンペ部門選出、“Baseynat”(The Swimming Pool)(1977)がモスクワ国際映画祭銀賞受賞。“Golyamoto noshtno kapane”(The Big Night Bathe)(1980)はカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品。

 ・ディミタール・ペトロフ(Dimitar Petrov)(1924~ )
 日本では『毛のないヤマアラシ』(1971)、『引き出しの中の犬』(1982)が紹介されている。

 ・Christo Christov(1926~2007)
 “Cyklopat”(Cyclops)(1977)がベルリン国際映画祭インタフィルム・アワード スペシャル・メンション、“Barierata”(The Barrier)(1979)がモスクワ国際映画祭銀賞受賞、 “Kamionat”(The Truck)(1980)がベルリン国際映画祭コンペ部門選出、“Harakteristika”(Reference) (1985)がモスクワ国際映画祭コンペ部門選出。

 ・ランゲル・ヴァルチャノフ(Rangel Vulchanov)(1928~ )
 1960年“Parvi urok”(First Lesson)をカンヌ、1976年に“Sledovatelyat i gorata”(Judge and the Forest)をベルリン、1987年に“Za kude putuvate”(Where Are You Going?)をモスクワ、の各国際映画祭のコンペ部門に出品。“Za kude putuvate”はカンヌ国際映画祭ある視点部門でも上映。1962年に“Slantzeto i syankata”(Sun and Shadow)をカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭に出品し、国際批評家連盟賞を受賞している。
 日本に紹介されている作品には『小さな島で』(1958)、『無名兵士のエナメル靴』(1979)がある。
 娘のAni Vulchanovaは女優。

 ・Nikola Korabov(1928~ )
 1963年に“Tyutyun”(Tabacco)をカンヌ、1971年に“Gnevno patuvane”(Wrathful Journey )をモスクワ、の各国際映画祭コンペ部門に出品。

 ・ドンヨ・ドネフ(Donyo Donev)(1929~2007)
 アニメーションの監督
 【参考】広島国際アニメーションフェスティバル2008 ドニョ・ドネフ特集:http://hiroanim.org/ja/02program/2-05-02_ja.html

 ・メトディ・アンドノフ(Metodi Andonov)(1932~1974)
 『炎のマリア』(1972)がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭審査員特別賞受賞。

 ・リュドミル・スタイコフ(Lyudmil Staykov)(1937~ )
 『愛情』(1972)がモスクワ国際映画祭グランプリ。『略奪の大地』(1988)はカンヌ国際映画祭ある視点部門に選出され、米国アカデミー賞外国語映画賞ブルガリア代表作品にも選ばれた。
 息子のGeorgi Staykovは、北欧でも活躍する男優。

 ・Eduard Zahariev(1938~1996)
 モスクワ生まれの監督。
 “Wilna Zona”(Villa Zone)(1976)がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭審査員特別賞受賞、“Skapa moya, skapi moy”(My Darling, My Darling)(1986)がベルリン国際映画祭コンペティション部門選出、“Zakasnjalo palnolunie”(Late Full Moon)(1996)がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭審査員クリスタル・グローブ賞受賞。

 ・ゲオルギー・デュールゲロフ(Georgi Djulgerov)(1943~ )
 1970年代から精力的に作品を発表し、今なお現役の監督。
 “Izpit”(The Test)(1971)はロカルノ国際映画祭ヤング審査員賞受賞、“Avantazh”(Advantage)(1977)はベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞、“Leydi Zi”(Lady Zee)(2005)はサラエボ映画祭審査員賞受賞&ソフィア国際映画祭最優秀ブルガリア作品+国際批評家連盟賞受賞、“Kozelat”(The Goat)(2009)はソフィア国際映画祭観客賞受賞。
 日本に紹介されている作品には、『キャンプ』(1987)がある(カンヌ国際映画祭監督週間出品作)。

 ・ニコライ・ヴォレフ(Nikolay Volev)(1946~ )
 日本に紹介された作品には『一日だけの王様』(1984)、『マルガリートとマルガリータ』(1989)がある。『マルガリートとマルガリータ』はカンヌ国際映画祭監督週間に出品。

 ・Iglika Triffonova(1957~ )
 “Pismo do Amerika”(Letter to Ameica)(2002)がイスタンブール国際映画祭で審査員特別賞受賞、“Razsledvane”(Investigation)(2006)がソフィア国際映画祭で最優秀ブルガリア映画+最優秀バルカン映画に選出。

 ・Zornitsa-Sophia(1972~ )
 “Mila ot Mars”(Mila from Mars)(2004)がソフィア国際映画祭で最優秀ブルガリア作品に選出&サラエボ映画祭審査員賞受賞。

 ・Tonislav Hristov(1978~ )
 ブルガリア生まれで、フィンランドで活躍するドキュメンタリー映画監督。

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 上記の監督以外についても調べてみると――

 ・カンヌ国際映画祭コンペ部門に出品されたブルガリア映画は――
 1957年 “Zemya”(Earth)(監督:Zahari Zhandov)
 1959年 “Stene”(Stars)(監督:Konrad Wolf) 審査員特別賞受賞
 1960年 “Parvi urok”(First Lesson)(監督:ランゲル・ヴァルチャノフ)
 1961年 “Hudozhnikat Zlatyu Boyadzhiev”(The Painter Zlatyu Boyadzhiev)(監督:Ivan Popov)
 1963年 “Tyutyun”(Tabacco)(監督:Nikola Korabov)
 1965年 “Goreshto pladne”(Torrid Noon)(監督:Zako Heskija)
 1950年代半ばから60年代半ばにかけて、ブルガリア映画が国際的に注目されていたことがわかります。以後、今日に至るまでカンヌとは縁遠くなってしまいますが。
 1985年には、“Jenitba”(Marriage)(監督:Slav Bakalov、Roumen Petokov)が短編部門でパルムドールを受賞しています。

 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバルでは――
 1987年にBoiko Kanev監督の“Smachkan svyat”(Crushed World)(1986)がグランプリ受賞。
 2005年にAndrey Tzvetkov監督の“Cherno na byalo”(In Black and White)がユニセフ賞受賞。
 2007年にMilen Vitanov監督の“My Happy End”(独・ブルガリア)が審査員特別賞受賞。

 ・Radoslav Spassov監督の“Otkradnati ochi”(Stolen Eyes)(2005)は、モスクワ国際映画祭に出品されて、銀賞(女優賞)を受賞。ソフィア国際映画祭でも最優秀ブルガリア作品に選出。

 ・Javor Gardev監督の“Zift”(2008)は、モスクワ国際映画祭に出品されて、銀賞(監督賞)受賞。ソフィア国際映画祭でも最優秀ブルガリア作品に選出。

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 【ベスト・オブ・ブルガリア・アニメーション】

 2000年には、アメリカのImagine EntertainmentからDVD“Best Of Bulgarian Animation”がリリースされています。(全50分)
 その内容は―
 “The Intelligent Village”/ドンヨ・ドネフ
 “Baby Dreams at the Airport”/ペンチョ・クンチェフ
 “Baby Dreams at the Automobile Factory”/ペンチョ・クンチェフ
 “De Facto”/ドンヨ・ドネフ
 “Three Fools and the Automobile”/ドンヨ・ドネフ
 “Beach”
 “Caw!”/ストヤン・ドゥコフ
 “Left Right”/Emil Abadjiev

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 2001年には、ブルガリアのBoyana film compagnyからDVD“The Best of Bulgarian Animation Films”がリリースされています。(全112分)
 その内容は―
 ・“Left, Right”(6min) /Emil Abadjiev
 ・“Wow-Boom”(5min/1990)/ Ivanov Lachezar
 ・“Grandpa's glove”(10min)
 ・“A Workday”(9min) /E. Vrablianski & Assen Munning
 ・“The Wondrous Candy rooster”(8min) /ラドカ・バチヴァロヴァ
 ・“Rooster's Coin”(9min)/ラドカ・バチヴァロヴァ
 ・“Help”(7min)/ Hristov Ljubo
 ・“Scissors and a boy”(7min)
 ・“Scissors and a Girl 5”(10min)
 ・“The Lightning Rod”(5min)/トドル・ディノフ
 ・“The White Chimney-Sweeper”(3min)/ Yavor Kalatchev
 ・『水族館』(9min/1973)/ゼンカ・ドイチェヴァ
 ・“A Prelude”(10min)/ Proyko Proykov
 ・『ひとりぼっちのサンタ』“Chrismas Tale”(10min)/アレクサンドル・ザハリエフ&ドンヨ・ドネフ
 ・“Snow Zoo”(4min)/ Ivanov Lachezar

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 当ブログでルーマニア映画について書いた時、ブルガリア映画というのは観たことはあっても、ルーマニア映画というのは馴染みがない、と書いたように思いますが、こうやって調べてみると、日本でロードショー公開されたブルガリア映画というのは、たった3本しかなくて(『炎のマリア』『略奪の大地』『ぼくと彼女のために』)、ルーマニア映画よりも鑑賞機会が少なかったことがわかります。かろうじて『炎のマリア』と『略奪の大地』のビデオはあっても、DVD化された作品は(共同製作作品を除けば)1本もありません。

 上記リストには、邦題の挙がっている作品がたくさんありますが、「現代ブルガリア映画の展望」(1974)と「ブルガリア映画特集」(2009)というフィルムセンターでの2つの上映プログラムのほかは、短編アニメーションばかりです。(10年ほど前にブルガリア映画の小さな特集上映があったようにも思ったのですが、記憶違いだったのか、見つけることができませんでした。)

 ちなみに、IMDbに記載のあるルーマニア映画は約1900あるのに対し、ブルガリア映画は約1700で、やはりルーマニア映画の方が制作本数が多いらしいことがわかります(しかもブルガリア映画1700本の中には多数の短編アニメーションが含まれます)。

 近年、国際的に注目を浴びているのは、圧倒的にルーマニア映画の方で、ルーマニア映画にはフランスをはじめとする国際的なプロジェクトも多く、国際的に活躍する俳優や監督も数多く輩出しています。

 これは、たぶんルーマニアの方が山岳地帯の多いブルガリアよりも地理的に開けていて国際的にも開放的であったこと(チャウシェスク政権後半を除く)、ブルガリアには文学的伝統があまりないこと(国際的に知られている文学者がほとんどいない)、そして、おそらくルーマニアがラテン文字を使っているのに対してブルガリアがキリル文字を使っていること、などと無関係ではないと思われます。

 「現代ブルガリア映画の展望」(1974)のパンフレットによると、1974年当時のブルガリアは700万人の人口に対して映画館は3000もあって、対人口比率での映画館数は日本よりも遥かに多いと記載されていますから、映画が好きな国民であることは確かなのですが、国産映画を作って楽しもうという方向には行かなかったらしいということがわかります(同パンフには、戦後20年間にブルガリア国内で制作された映画は、長編が20本、短編が150本、科学映画が50本、アニメーションが20本、とあります)。

 国内にソフィア国際映画祭という、東欧(そしてバルカン半島)ではかなり大きな映画祭があるにも拘わらず、国産映画を作ることに熱心でないのは、政府が積極的に映画製作に乗り出す以前のシンガポールとも似ていて、「映画といえば外国映画であって、国産映画にはあまり興味がない」というムードがブルガリアのお国柄としてあるのかもしれません。

 そうした中で、短編アニメーションだけは製作が盛んで(短編アニメーションは、上記の「アニメーションが20本」の中には含まれず、「短編映画が150本」の中に含まれるのでしょう)、トドル・ディノフやドンヨ・ドネフが国際的にも知られていて、数多くの作品を残しています。
 フィルモグラフィーを調べてみればわかりますが、上記リストにあるアニメーション作家はすべてつながりがあって、現在まで続くブルガリア・アニメーションの伝統をつないできています。
 国内には、バルナ国際アニメーションフェスティバルというアニメーションフェスティバルの中でも比較的大きな映画祭があって、ここで川本喜八郎が『火宅』でグランプリを受賞したりもしています。
 現在でも、ブルガリアのアニメーション監督ペンチョ・クンチェフは、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)の副会長(兼ASIFAブルガリア支部長)を務めているそうです。

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 今回のフィルムセンターでのブルガリア映画特集は、ブルガリア映画の新しいムーブメント等を背景とするものではなく、単に「日本・ブルガリア外交関係再開50周年記念」の一企画として企画されたものであったようで、ブルガリア映画全体を見渡すにしても、ブルガリア映画の特質やブルガリアの映画作家を知るためのものとしても、あるいは、ブルガリア映画の魅力を語るのにも、ちょっと物足りないものでした。

 しかし、ラインナップとしては、一見、「現代ブルガリア映画の展望」(1974)以降のブルガリア映画を漫然と集めたもののようにも見えましたが、調べてみると、上映本数こそ少ないものの、ブルガリア映画史を彩る映画監督たち(ランゲル・ヴァルチャノフ、リュドミル・スタイコフ、メトディ・アンドノフ、ディミタール・ペトロフ)の作品を1本ずつ押さえつつ、さらに新進の映画監督たちの作品も紹介するという、よく考えられた好プログラムだったということがわかります。
 もちろん、滅多に観ることができない(ビデオ・リリースもされないし、される予定もない、テレビで放映されたりもしない)こうした映画を観る機会として、有意義なものであったことは言うまでもありません。

 今後、政府が映画製作を積極的に推進したり、国際的にも評価されるようなユニークな映画作家が1人か2人出てくれば、ブルガリア映画をめぐる状況も変わってくるのではないかと思われますが、どうでしょうか。
 次にまたブルガリア映画がまとめて観られるのが、25年先、30年先というのでは、あまりにも寂しい気がしますね。

 年に1~2本でも日本で新作が観られるような状況になるのが、ブルガリア映画を忘れないためにも望ましいと思いますが、とりあえずは、可能性の高いものとして、これまでのブルガリア・アニメーションが日本でもDVDとしてリリースされることを期待したいと思います。

 なお、「現代ブルガリア映画の展望」のパンフレットは、今もフィルムセンターのカウンターで当時のままの価格200円で買うことができます。全40ページで、コピーするより安い!

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 *参考サイト
 ・Cinema of Bulgariaに関するWikipedia:http://en.wikipedia.org/wiki/Cinema_of_Bulgaria
 ・東京国立近代美術館フィルムセンター ブルガリア映画特集(2009):http://www.momat.go.jp/FC/Cinema2-Bulgaria/kaisetsu.html#list
 ・広島国際アニメーションフェスティバル2008 ドニョ・ドネフ特集:http://hiroanim.org/ja/02program/2-05-02_ja.html
 ・神戸映画資料館 ブルガリア・アニメ特集:http://www.kobe-eiga.net/program/2008/10/post_143.php

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