愛と冒険とタコ 『オクタポディ』

 米国・アカデミー賞短編アニメーション賞には、今年は日本(『つみきのいえ』)、アメリカ(『プレスト』)、ロシア(『ラヴァトリー‐ラブストーリー』)、イギリス(“This Way Up”)と各国の短編アニメーションがノミネートされていますが、もう1本の『オクタポディ』“Oktapodi”はフランスで製作された作品です。



 【物語】
 水槽の中で、タコのカップルが絡み合うようにして泳いでいる。
 メスのタコが水槽から引き上げられ、計量されて、クーラーボックスの中へ。
 残されたオスは、メスが殺されてしまうと思い、水槽を飛び出して、クーラーボックスが積み込まれた三輪トラックにしがみつく。
 運転席でのドライバーとの対決。
 運転しながら、ドライバーも必死で闖入者のタコと闘う。
 2匹はいったん車の外に逃げ延びるが、ドライバーは尚もしつこく追いかけてくる。
 三輪トラックが海に突っ込んで、ようやく2匹は難を逃れたと思ったのも束の間、今度はオスの方がカモメにさらわれる。
 メスは、オスを助けるために、しがみついていたロープをしならせて、オスをさらっていったカモメ目掛けて飛び掛っていく……。

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 ◆解説
 この作品は、フランスのGobelins L'Ecole de L'Image(ゴブラン・レコール・ド・リマージュ/ゴブラン映像専門学校)の3年生6人(Julien Bocabeille、François-Xavier Chanioux、Olivier Delabarre、Thierry Marchand、Quentin Marmier、Emud Mokhberi)が監督して作った卒業制作作品です。
 「ゴブラン」は、パリ将校会議所が経営する専門学校で、創立以来30年の歴史があり、メルチメディア、グラフィック、写真、アニメーションの各学科を設けています。
 『オクタポディ』を作った6人が在籍したアニメーション学科は、定員25名に1000人近い受験者が殺到するという人気学科で、卒業生は、フランス国内にとどまらず、世界中で活躍しています。

 この作品は、「引き離されたタコのカップルが相手を取り戻そうとするアドベンチャー」というコンセプトで企画され、7ヶ月かけて完成されました。

 音楽は、UCLA音楽科の卒業生のケニー・ウッドに依頼して作曲してもらったもの。

 ファニーでリズム感がいい作品に仕上げることを目指して作られ、アヌシー国際アニメーションフェスティバル2008 Canal+ファミリー・アワードを受賞しているほか、SIGGRAPH2008 Best of Show&観客賞受賞など数多くの賞を受賞しています。

 6人の監督のうち、中心にいるのは、ティエリー・マルシャン(Thierry Marchand)とエムド・モクベリ(Emud Mokhberi)らしく、米国アカデミー賞でもこの2人がノミネーション対象者となっています。

 中でも、エムド・モクベリは、アメリカ生まれのイラン人で、父親の都合で世界中を転々とした後、UCLA(UCLA School of Engineering)に進み、そこでコンピューター・サイエンスの学士と博士号を取得、その後、ゴブランに進んでいます(そんな人が学んでいるということでもゴブランの凄さが伺われます)。
 モクベリの監督作品には、『オクタポディ』のほか、“Final”(2005)、“The Muffin”(2006)があり、現在制作中の作品に“Spectacles of Strangeness”(2009)があります。

 『オクタポディ』は、いたってシンプルな追跡活劇(以前テレビで放映されていたフリスクのCMを思い出させたりもしまう)ですが、刻々と変わり行く港町の風景をバックに、三輪トラックが右往左往しつつ走っていくところが見どころの作品(主役はタコというよりもむしろ港町の方)になっています。

 ◆作品データ
 2007年/仏/2分25秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 この作品は、広島国際アニメーションフェスティバル2008で上映されて、審査員特別賞を受賞しています。ちなみに『つみきのいえ』はヒロシマ賞&観客賞、『ラヴァトリー‐ラブストーリー』は審査員特別賞を受賞しています。

 この作品は、アヌシー国際アニメーションフェスティバル2008でCanal+ファミリー・アワードを受賞しているほか、SIGGRAPH2008 Best of Show&観客賞など、多くの賞を受賞しています。

 *参考サイト
 ・『オクトポディ』公式サイト(英語):http://www.oktapodi.com/index.html
 たくさんのデザイン画が紹介されています。
 ・『オクトポディ』に関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Oktapodi
 ・エムド・モクベリに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Emud_Mokhberi
 ・ユーロジャパンコミック:http://www.eurojapancomic.com/fr/topics/gobelins/gobelins.shtml
 ゴブランに関する記事
 ・エムド・モクベリの公式サイト Emud Mokhberi:Photo of the Week:http://emud.org/potw/2008/pages/17.html
 ロベール・ドアノーっぽいモノクロ写真がいっぱいあります。写真をクリックすると次の写真に変わります。

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 *当ブログ記事
 ・「つみきのいえ」:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_15.html
 ・「ラヴァトリー‐ラブストーリー」:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_25.html
 ・第81回米国アカデミー賞ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_28.html

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 ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ
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    Excerpt: タコが主人公のドタバタ短編アニメーションです。はっきり言って、素晴らしい。凄いなと思って、公式サイトを見たら、やはり、いろんな賞を受賞してました。どうやら、これはフランスの映像専門学校の卒業作品として.. Weblog: FILM DATA racked: 2010-02-06 06:58