『おくりびと』に栄冠! 第20回パームスプリングス国際映画祭

 19日まで開催のパームスプリングス国際映画祭2009(1月6日~19日)の各賞が発表されました(1月18日。受賞結果の発表が最終日ではないのは、最終日に受賞作を上映するため)。

 パームスプリングス国際映画祭は、北米で開催される映画祭の中では最大級の映画祭の1つで、イキのいいインディペンデントのアメリカ映画と質の高い外国映画が集まってくることで知られています。
 2008年だと、観客賞にヘレン・ハントの『いとしい人』、国際批評家連盟賞男優賞にソン・ガンホ(『シークレット・サンシャイン』)、国際批評家連盟賞女優賞にアナマリア・マリンカ(『4ヶ月、3週と2日』)、監督賞にショーン・ペン(『イントゥ・ザ・ワイルド』)、ライジング・スター賞にエミール・ハーシュ、ヴァンガード賞に『JUNO/ジュノ』、ヴィジョナリー賞にジョー・ライト、等を選んでいて、映画祭としてのセンスのよさが伺われます。

 パームスプリングス国際映画祭の賞は、実は、2部構成になっていて、映画祭の上映作品から選ばれる、いわゆるコンペティション形式のものと、前年度劇場公開作品の中から優秀作品/優秀者を表彰するBlack Tie Awards Gala(ブラック・タイ賞特別表彰)があります。
 後者は、同時期に続々発表される全米映画賞と同じ性格を持つもので、部門こそ俳優・監督・作曲家を対象としたものしかありませんが、受賞者はその年の賞レースノミニー/受賞者と完全に重なっていて、実質的に賞レース・シーズンに発表される「映画賞」の1つにもなっています。Black Tie Awards Galaは事前に発表され、映画祭の初めに受賞式が行なわれます(香港国際映画祭の中でアジア映画賞が発表されるのと似ています)。

 また、パームスプリングス国際映画祭は、アカデミー賞外国語映画賞ノミネーション作品をまとめて観られる機会にもなっていて、今回もアカデミー賞外国語映画賞候補9作品のうち“The Class”を除く8作品が上映されました(“The Class”が上映されないのは2008年のうちに既に限定公開されたからでしょうか)。

 パームスプリングス国際映画祭は、トロント国際映画祭や、同時期に開催になるサンダンス映画祭のようにプレミア度を競ったりはしていませんが(上映作品にはトロントでプレミア上映された作品も多い)、新しい年に先陣を切って開催される映画祭として、前年度を締めくくり、新年度のショーケースとなるような役割を果たしている映画祭、と言ってもいいかもしれません。

 というわけで、以下が今年の受賞作品/受賞者です。

 ・観客賞作品賞(the Mercedes-Benz Audience Award for Best Narrative Feature):『おくりびと』(日)(監督:滝田洋二郎)

 ・観客賞ドキュメンタリー賞(Audience Award for Best Documentary Feature):“Visual Acoustics: The Modernism of Julius Shulman”(米)(監督:Eric Bricker)

 ・国際批評家連盟賞 外国語映画賞:“Revanche”(オーストリア)(監督:Götz Spielmann)

 ・国際批評家連盟賞 男優賞:Natar Ungalaaq “The Necessities of Life”(カナダ)(監督:Benoît Pilon)

 ・国際批評家連盟賞 女優賞:Martina Gusman “Lion’s Den”(アルゼンチン) (監督: Pablo Trapero)

 ・ニュー・ボイス/ニュー・ヴィジョン賞:“Hooked”(ルーマニア/仏)(監督:Adrian Sitaru)

 ・審査員特別賞(Special Jury Mention):“Rain”(バハマ)(監督:Maria Govan)

 ・ジョン・シュレシンジャー賞(第1回作品賞):Amin Matalqa “Captain Abu Raed”(ヨルダン/米)

 ・ブリッジ・ザ・ボーダー賞(Bridging the Borders Award(境界の架け橋賞)):『バシールとワルツを』(イスラエル)(監督:アリ・フォルマン)

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 ◆Black Tie Awards Gala

 ・ブレイクスルー・パフォーマンス賞:フリーダ・ピント(『スラムドッグ$ミリオネア』)

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 ・生涯功労賞:クリント・イーストウッド

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 ・会長賞(Chairman's Award):ダスティン・ホフマン

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 ・デザート・パーム功労賞(Desert Palm Achievement Award)女優賞:アン・ハサウェイ 『レイチェルの結婚』

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 ・デザート・パーム功労賞男優賞:ショーン・ペン(『ミルク』)

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 ・アンサンブル・パフォーマンス賞:『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』

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 ・フレデリック・ロー賞(作曲賞):アレクサンドル・デプラ(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)

 ・生涯功労賞監督賞:ロン・ハワード

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 ・ライジング・スター賞:ダコタ・ファニング 『リリィ、はちみつ色の夏』

 ・ソニー・ボノ ヴィジョナリー賞:ガス・ヴァン・サント(『ミルク』)

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 ・スポットライト賞:エイミー・アダムス(『ダウト あるカトリック学校で』)

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 北米での『おくりびと』の評価の高さというのはよくわからないのですが(伊丹十三の『お葬式』との類似性が指摘されているようです)、ひょっとすると日本人がイム・グォンテクの『祝祭』に感じるのと似た感覚(エキゾチズム?)があるのかもしれません。アカデミー賞でもいい線いくかもしれないですね。

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 *当ブログ記事
 ・2008年度 ゴールデン・グローブ賞受賞発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_13.html
 ・2008年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_10.html
 ・2008年度映画賞の結果をまとめてみました(アメリカ編):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_37.html
 ・2008年度の映画賞の結果をまとめてみました(日本編):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_11.html
 ・早くも第81回アカデミー賞を予想してみました!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_19.html
 ・2008年度の映画賞&ベストテンを予想してみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_2.html

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