ルイ・デリュック賞2008発表! 今年のテーマは「大地に帰れ」?

 ルイ・デリュック賞2008の結果が発表になりました(12月12日)。

【作品賞】
 ・ローラン・カンテ “Entre les murs(The Class)”(壁の間で(クラス))
 ・アルノー・デプレシャン 『クリスマス・ストーリー』“Un conte de Noël”
 ・ジャック・ドワイヨン 『誰でもかまわない』“Le premier venu”
 ・マルタン・プロヴォストMartin Provost “Séraphine”(セラフィーヌ)
 ・オリヴィエ・アサヤス “L'heure d'été”(夏時間)
 ・ラバ・アメール・ザイメッシュ Rabah Ameur-Zaimeche『最後の抵抗(マキ)』“Dernier maquis”
 ◎レイモン・ドパルドン “La Vie moderne”(モダン・ライフ)

 【新人監督作品賞】
 ・Pierre Schoeller “Versailles”
 ・サンドリーヌ・ボネール 『彼女の名はサビーヌ』“Elle s'appelle Sabine”
 ・Cedric Anger “Le Tueur”
 ◎Samuel Collardey “L'Apprenti”(見習い)

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 作品賞は、今年のカンヌでパルムドールを受賞したローラン・カンテ作品が強いのではないかと思われましたが、結果は、レイモン・ドパルドンの“La Vie moderne”(モダン・ライフ)でした。

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 この作品は、山間の農家についてのドキュメンタリーで、“Profils paysans: l'approche(農家の横顔:アプローチ)”(2001)、“Profils paysans: le quotidien(農家の横顔:日刊紙)”(2005)と続くシリーズの3作目になります。今年のカンヌの「ある視点部門」に出品されていましたが、賞を受賞することはありませんでした。
 大地に根ざした暮らしの豊かさを描いたような作品らしいのですが、詳しいことはわかりません。公式サイト(http://www.advitamdistribution.com/fiche.php?film_id=88)もありますが、至って質素なものです。

 監督のレイモン・ドパルドンは、『それぞれのシネマ』の中の1篇を撮っているので、名前を覚えている人もいるでしょうが、それ以前に1997年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で『アフリカ、痛みはいかがですか?』“Afriques: Comment ça va avec la douleur?”(1996)が山形市長賞を受賞しています(この時の表記は「レイモン・ドゥパルドン」。同じコンペティションには河瀬直美『杣人物語』、バーバラ・ハマー『テンダー・フィクションズ』、フレデリック・ワイズマン『コメディー・フランセーズ ―演じられた愛』も出品されていて、ワイズマン作品は特別賞を受賞しています。)

 レイモン・ドパルドンは、キャリアの初期にはルポルタージュ・カメラマンとして活躍し(マグナム会員)、その後、映画界に入って、トリュフォーの撮影現場に参加したこともあるそうです。
 *参考:山形国際ドキュメンタリー映画祭’97:http://www.yidff.jp/97/cat009/97c010.html

 この作品は、10月末にフランスで封切られたそうですが、動員はせいぜい20000人程度ということで、知名度も高くありません。今回のルイ・デリュック賞は、作品の力もさることながら、審査員が、もっとこの作品のことを知って多くの人に欲しいと思って、賞を与えることにしたんじゃないか、とも考えられます。

 ルイ・デリュック賞とセザール賞は同じ結果になりやすいので、この作品はセザール賞も受賞してしまうかもしれません。

 日本での公開は、劇場公開は難しそうですが、映画祭(来年の山形国際ドキュメンタリー映画祭とかフランス映画祭とか東京国際映画祭とか)での上映はありそうです。

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 新人監督作品賞に関しては、この結果を見て、あれっと思った人もいるんじゃないかと思いますが、私もあれっと思ったクチで、おかしいなあと思いながら、過去の記事や情報のソースを調べてみなければなりませんでした。
 というのは、受賞作品は、11月のノミネーション発表の段階ではリストの中に入っていなかったからで、知らないうちにノミネーションされ、受賞が決まってしまったようです。結果よければすべてよしなんでしょうが、フランス人て時々こういう横紙破りなことをするので困ってしまいます。

 受賞作は、今年のベネチア国際映画祭の批評家週間に出品されて、グランプリを受賞しています。内容はというと、農業高校に通いながら、農場で見習いをしている15歳の青年についての物語らしいのですが、こちらは“La Vie moderne”以上に、作品に関する情報がありません。

 日本での公開は“La Vie moderne”以上に難しそうですが、ひょっとすると日仏学院あたりでなら見せてもらえるかもしれません(ただし日本語字幕なしで)。

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 *当ブログ記事
 ・第34回セザール賞ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_30.html
 ・ルイ・デリュック賞2008ノミネーション発表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_5.html
 ・第14回リュミエール賞発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_25.html
 ・映画賞レーススケジュール表2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_10.html

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