「ひつじの芸術家」 『ひつじのショーン』第6話

 古きよきサイレント映画風の1編。



 【物語】
 牧場主が牧場の中で絵を描き始める。
 描いていた絵の中に羊が入ると、それもいいかと思って、絵の中に描き込む。
 しかし、余所見しているうちに視界は羊だらけになってしまい、それでは絵にならないので、牧羊犬のビッツァーを呼んで、理想的な位置に羊たちを配置し直す。
 牧場主は、絵の具が足りなくなって、キャンバスはそのままにして、いったん家に戻る。
 ビッツァーは、描きかけの絵を見て、自分が描かれていないのを不満に思い、絵の中に自分の姿を描き足す。しかし、絵の具が垂れてきてしまい、慌ててごまかそうとするがかえって、絵はひどい有様になってしまう。
 それを見たショーンが、なってないなとばかりにビッツァーに代わって絵筆を持つ。
 ショーンによって、絵はコローを思わせる見事な風景画として完成。
 それを見ていたティミーは、自分もやりたいと言って、体を持ち上げてもらって、ボディー・ペインティングする。
 他の羊たちも参加して、絵はモナリザ風になったり、ピカソ風になったり……。
 どんどんエスカレートして、最後に絵はめちゃくちゃになってしまう。
 牧場主が戻ってきて、絵がひどいことになっているのを見て、怒るが、そこに高級リムジンが乗り付けて、その絵を高値で買い上げて去っていく。
 牧場主は大喜びし、絵の具まみれのティミーを抱き上げてキスをする。

画像

 ◆コメント
 牧場主が何かやり始めることで、ストーリーが始まるというタイプのエピソード。

 「ひつじのショーン」自体、コメディーの要素が強いのですが、冒頭の、絵を描こうとしても、イーゼルが倒れたりして、なかなか描き始められないというあたり、サイレント期のスラップスティック・コメディーを思い出させます。元々「ひつじのショーン」には、台詞がないので、サイレント映画っぽいところは多いのですが。

 本作では、牧場主が描いている風景の中に最初にショーンが入っていくということになっていますが、羊たちの遊びのリーダーであり、アイデアマンであるはずのショーンがこういういたずらっ子みたいなことをするのは珍しく、シリーズ初期の作品として、ショーンのキャラクターがまだ定まっていないようにも思われます(こういういたずらっ子的な役目を演じるのはもっぱらティミーのはずで、ショーンは、普通、ビッツァーと一緒に他の羊たちの暴走を食い止めたり、リペアしたりする役目を担います)。

 ちなみに、この作品の原題は“Still Life”(静かな生活)です。

 ◆作品データ
 2007年/英/6分01秒
 台詞なし/字幕なし
 クレイ・アニメーション

 脚本家:Ian Carney

 *この作品は、2007年にNHK教育テレビで放映されました(2008年1月1日~3日にもNHK教育テレビにて特別放映)。

 *この作品は、DVD『ひつじのショーン DVD-BOX1』に収録されています。

 *この作品は、2007年12月に渋谷シネ・ラ・セットにて劇場公開されました(全40作品を4プログラムに分けて)。

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 ◆シリーズについて

 『ウォレスとグルミット』のサブ・キャラクター ひつじのショーンを主人公とするシリーズで、2007年3月と9月に各20話ずつがBBC One(およびCBBC)で放送された。
 各エピソードは7分。
 日本ではNHK教育テレビで2007年4月8日から3話ずつ放送された。
 ショーンらひつじは台詞は発せず、登場する人間は話しても解読不可能な“音”としてのみ聞こえる。
 ひつじのショーンの初登場は、『ウォレスとグルミット、危機一髪』 Wallace & Gromit in A Close Shave (1995年)。
 ショーンはひつじたちのリーダー的存在で、頭に帽子のような白い毛があるのが特徴。他の登場キャラクターとして、大きく太ったひつじのシャーリー、牧羊犬ビッツァーらがいる。
 ひつじたちは、運動することが好きで、組体操のように上下に組むのが得意。
 『ウォレスとグルミット』同様、映画からの引用も多い。“Little Sheep of Horrors”などタイトルからして映画のパロディーだったりすることもしばしば。

 第1話「ショーンとサッカー」 Off the Baa!
 第2話「みんなでバスタイム」 Bathtime
 第3話「シャーリーのダイエット」 Shape Up With Shaun
 第4話「ティミーのぬいぐるみ」 Timmy In A Tizzy
 第5話「りんごを手に入れろ!」 Scrumping
 第6話「ひつじの芸術家」 Still Life
 第7話「くいしんぼうなヤギ」 Mower Mouth
 第8話「ピザが食べたい!」 Take Away
 第9話「ショーンの闘牛」 The Bull
 第10話「サタデー・ナイト・ショーン」 Saturday Night Shaun
 第11話「ショーンと凧」 The Kite
 第12話「リトル・シープ・オブ・ホラーズ」 Little Sheep of Horrors
 第13話「ママはショーン?」 Who's the Mummy?
 第14話「カットはおしゃれに」 Fleeced
 第15話「ハイ! チーズ!」 Shaun Shoots the Sheep
 第16話「ティミーのサーカス」 Big Top Timmy
 第17話「ビッツァーの恋」 Fetching
 第18話「ショーンのモグラたたき」 Mountains Out of Molehills
 第19話「みつばちパニック!」 Buzz Off Bees
 第20話「ショーンのこわい夜」 Things That Go Bump In the Night
 第21話「おるすばん大作戦」 Sheeps on the Loose
 第22話「セメントぬりは、さあ大変!」 Bitzer Puts His Foot In It (Marks on Concrete)
 第23話「シャーリーのしゃっくり」 Hiccups
 第24話「せんたくびより」 Washday
 第25話「トラブルトラクター」 Troublesome Tractor
 第26話「ここほれ! メェーメェー」 Heavey metal Shaun(The Treasure Hunters)
 第27話「ビッツァーのムシ歯」 Tooth Fairy
 第28話「キャンプでドタバタ」 Camping Chaos
 第29話「おもいでの木」 Save The Tree
 第30話「ショーンは大いそがし」 Shaun the Farmer
 第31話「ショーンの夢ぼうけん」 Sheepwalking
 第32話「いたずらっこがやってきた」 The Farmer's Niece
 第33話「のりのり大さわぎ」 Stick with Me
 第34話「水あそびはなかよく!」 If You Can't Stand the Heat
 第35話「みんなで大そうじ?」 Tidy Up
 第36話「なぞの訪問者」 The Visitor
 第37話「ドタバタ ロボット犬」 Helping Hound
 第38話「シャーリーの大いびき」 Snore Worn Shaun
 第39話「まほうのステッキ」 Abracadabra
 第40話「なぞの訪問者・・・(2)」 Shaun Encounters

 ※エピソードの順番は(あるいはタイトルも)、データにより異なっていたりします(第13話と第19話が入れ替わっていたり、第21話~第26話の順番が違っていたりします)が、ここでは日本版DVDを参考にしています。

 *「おもいでの木」「ショーンの夢ぼうけん」「のりのり大さわぎ」が第7回飛騨国際メルヘンアニメ映像祭(2007年)で、子どもメルヘン大賞と中日新聞社賞を受賞しています。

 *参考サイト
 ・公式サイト(英語):http://www.shaunthesheep.com/
 Join the flock!(登録してログインするとBBSや最新情報のページへ)、Competition(賞品つきクイズ)、Shaun’s CD singles(CDの紹介)、Games(迷路、数独、ジグソーパズル、ビートボックスなど)、Make & Do(塗り絵、羊のマスク、メモパッドなど)、Downloads(スクリーンショット、壁紙、clipなど)、Shopなど。
 ・公式サイト(BBC/CBBC):http://www.bbc.co.uk/cbbc/cartoons/shaunthesheep/
 Meet the flock、Videoes(clip集)、Fun & Games、Make & Doなど(上の公式サイトからのセレクト)。
 ・公式サイト(NHKアニメワールド):http://www3.nhk.or.jp/anime/shaun/main.html
 簡単な紹介、スタッフ、放送予定
 ・公式サイト(ソニー・ミュージックエンタテインメント):http://www.sonymusic.co.jp/MoreInfo/Chekila/Shaun/
 キャラクター紹介、最新情報、壁紙、リンク集
 ・DVD公式サイト(ポニーキャニオン):http://www.ponycanyon.co.jp/shaun/
 各エピソードの紹介
 ・アードマン・アニメーションズ:http://www.aardman.com/html/home.asp
 ・ファン・サイト(英語):http://www.seanthesheep.com/
 ・ひつじのショーンに関するWikipedia(日本語):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%A4%E3%81%98%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%B3
 キャラクター、スタッフ、各エピソードのタイトル、リンク集
 ・ひつじのショーンに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Shaun_the_Sheep
 より詳しいキャラクター紹介、各国での放送局、リファレンス、リンク集
 ・ひつじのショーン 各エピソードに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Shaun_the_Sheep_episodes
 ・クラッパ!:http://clappa.jp/Product/21/
 キャラクター紹介

 ◆監督について

 クリストファー・サドラー Christopher Sadler
 2002年の『ウォレスとグルミットのおすすめ生活』“Wallace & Gromit's Cracking Contraptions”で「雪だるま」"Snowmanotron"と「おつかい」"Shopper 13")の監督を担当。
 2007年の『ひつじのショーン』では、1~3、6、10~14話の監督を手がける(共同監督作品もある)。

 監修:リチャード・ゴルゾウスキー(ゴレソウスキー) Richard Goleszowski
 1959年 イギリス・サフォーク生まれ。
 愛称ゴリー。アードマン・スタジオを代表する監督の1人。

 CM業界でキャリアをスタート。アードマン社に招かれ、初の社員となる。
 いくつかのCM作品の後、アードマン社最初のミュージック・ビデオ作品『スレッジハンマー』(1986)に撮影とアニメーションを手がけ、続いて“barefootin'”(1987)では監督をも務めた。“barefootin'”は初期のリップシンク作品の1つ。
 反アニメーションという発想で「レックス・ザ・ラント」を生み出す。
 となかいのロビー、ひつじのショーンなど、愛嬌ある動物のキャラクターを生み、もしくは、育てるのが得意。

 【フィルモグラフィー】
 ・1986年 『スレッジハンマー』[撮影とアニメーション]
 ・1987年 “barefootin'”
 ・1989年 『アイデントの正体』“Ident”
 ・1991年 Rex the Runt: Dinosaurs
 ・1991年 『レックス・ザ・ラント(チビのレックス) 夢』Rex the Runt: Dreams
 ・1994年 『レックス・ザ・ラント(チビのレックス) 恐竜はなぜ絶滅したか?』Rex the Runt: How Dinosaurs Became Extinct
 ・1995年 Wallace & Gromit: The Aardman Collection
 ・1998年 『ハッピーワンコ劇場/レックス・ザ・ラント』"Rex the Runt Adventures on Telly 1 " (TV)
 ・1999年 『となかいのロビー 炎のランナー』“Hooves of Fire(Robbie the Reindeer in Hooves of Fire)” (TV)
 2000年 ライプチヒDOKフェスティバル観客賞受賞、オタワ国際アニメーションフェスティバルBest Television Special OIAF賞受賞、2001年ベルリン国際映画祭短編部門 Glass Bear&Deutsches Kinderhilfswerk - Special Award 受賞
 ・2003年 『快適な生活 ぼくらはみんないきている』"Creature Comforts" (13エピソード)
 「ザ・サーカス」“The Circus”
 「病院」“Pets at the Vets”
 「仕事」“Working Animals”
 「海」“The Sea”
 「庭」“The Garden”
 「食事」“Feeding Time”
 「海」“The Beach”
 「ペットショップ」“The Pet Shop”
 「大騒ぎ」“What's It All About?”
 「鳥」“Being a Bird”
 「宇宙人」“Is Anyone Out There?”
 「猫と犬」“Cats or Dogs?”
 「クリスマス」“Merry Christmas”
 2004年 BAFTA TV Award Comedy Programme or Series Award ノミネート、シカゴ国際チルドレンズ フィルム フェスティバルテレビ・アニメーション部門Adult's Jury Award & Children's Jury Award 受賞、フロリダ映画祭 最優秀国際短編賞観客賞受賞、オタワ国際アニメーションフェスティバルBest Television Series for Adults OIAF賞受賞、2006年 BAFTA TV Award Best Comedy Programme or Series ノミネート
 ・2007年 『ひつじのショーン』"Shaun the Sheep"
 第1シーズン全20話のうち、1~6話と8話はシリーズ監修のみ担当の作品。他の13話は監督も手がけています。シリーズが軌道に乗るまで(BBCでは毎日連続で放送された)は、ゴルゾウスキーは、シリーズ監修に専念していた、ということでしょうか。第2シーズンの監督については未確認です(おそらくゴルゾウスキーがすべての作品のシリーズ監修と、多くの作品の監督を引き受けていると思われます)。

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