ロイ・アンダーソンCM集!

 カンヌ国際広告祭で8度のグランプリを受賞しているというロイ・アンダーソンのCM集。4分39秒で全部で7編あります。



 【物語】
 1.Trygg Hansa(保険会社)
 トラブルがあったのか、車を路肩に止めて、ドライバーが車の前にまわる。そこへ、別の車が猛スピードで走ってきて、開けっ放しにしていたドアをクラッシュさせて走り去ってしまう。
 “Sooner or later you need insurance”(遅かれ早かれ保険は必要です)

 2.Swedish Sugar
 アメリカ人らしい老女が、スウェーデンの食料品店で砂糖が欲しいと言っているらしいが、言葉が通じず、老女もはっきりと砂糖と言わずに「コーヒーに入れる甘いヤツ」とか言っているので、話がかみ合わない。客どうしの会話で「人工甘味料が欲しいのよ」「ここにはないって言えば?」「ガソリンスタンドに行かせればいいんじゃないか」などと言われている。

 3.Lotto
 ロトの抽選結果がテレビで発表されようとしていて、中年男性とその子供がテレビの前に陣取っている。
 そこへその父親らしい老人がよたよたと歩いてきて、隣のソファに腰かける。しかし、彼が腰かけたソファの上にはテレビのリモコンがあったため、テレビがオフになってしまう。
 中年男性は怒って、老人の尻の下からリモコンを取り出し、再びテレビをつけるが、番組はもう天気予報に変わっている。
 「ロトの結果はどうなったんじゃ?」という老人に中年男性はキレてしまう。

 4.スウェーデン社会民主労働党
 ・看護婦がストレッチャーに乗せた患者をストレッチャーごと病室に押しやると「おやすみ」と言ってそのまま行ってしまう。
 ・若い男女がバーのテーブル席についているが、大柄の男がビール片手にやってきて、2人を追い立ててしまう。そこへもっと図体の大きな男がやってくると、今、席を確保したばかりの彼もあっさり席を譲る。
 ・湯気が上がっている大きな鍋がかき回されている(?)。
 ・頭にタオルを当てて不安そうな表情を浮かべている少年の前で、その母親らしい人物が医者と看護婦にバッグの中身をひっくり返させられている。
 ・食堂の中。トレーに食べ物を取って、子供たちがキャッシャーに列を作っている。しかし、先頭の少年はお金が見つからず、どかされてしまう。
 ・男性が自分の持っていた荷物に蹴躓いてしまう。投げ出された荷物は雑踏の中で、どんどん蹴飛ばされていき、めちゃくちゃになってしまう。
 “Why should we care about each other”(なぜもっと他人に気を使わないのか?)

 5.Sitram(調理器具メーカー)
 箱からフライパンを取り出す花嫁。彼女は、フライパンをひっくり返してそのメーカーを確認すると、夫らしき人物の頭に振り下ろしてしまう。フライパンは見事にひん曲がり、花嫁は冷蔵庫の傍らに身を寄せる。
 “Take Sitram or take your lumps”(Sitramを使わないと罰が当たりますよ!)

 6.Handelesbanken(銀行)
 旅客機の中。席についている乗客が見守る中、一部の乗客がスチュワーデスの指導の元、パラシュートをつけて、ハッチから飛び降りる。その後で、スチュワーデス自身も飛び降り、遅れて、パイロット2人も飛び降りていく。席についていた乗客だけがスチュワーデスもパイロットもいない機内に取り残される。
 “Drop gently into retirement with Handelesbanken pens on plans”(Handelesbankenの資産運用で安心の老後を!)

 7.Gigantti(フィンランドの家電メーカー)
 テーブルの上に箱から出されたオーブンが置かれている。BGMは「オーソレミーオ」
 1人の主婦がそのオーブンをちらちら見つつ、暖炉の灰をかき出している。突然、何を思ったか(いままで毎日こんなことをしていた自分がバカらしくなった?)、彼女はかき出した灰を頭からかぶってしまう。

画像

 ◆コメント
 まさに『愛おしき隣人』の世界そのまま、というか、『愛おしき隣人』の世界がロイ・アンダーソンのCM作品の延長線上に作られたものであったことが、これを見るとててもよくわかります。

 最初から何のCMか示されているものは皆無で、「これは何?」「これからどんなストーリーが始まるの?」と思わせて、最後にCMのクライアント名を出すことで「ああ、そうだったのか」とわかる仕組みになっています。

 内容としては、「こんなことありそう」と誰でもが感じてしまうような「小さな災難に見舞われた愛すべき人びと」の物語が多く、「そうしたトラブルに遭わないためにはこうしたらいいですよ」という風に、視聴者を導くべく作品を構成しているものが多いようです。

 ◆作品データ
 ?/スウェーデン?/4分39秒
 スウェーデン語・英語台詞あり(台詞のない作品もある)/英語字幕あり
 CM

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 ◆監督について
 ロイ・アンダーソン(ロイ・アンデルソン) Roy Andersson

 1943年スウェーデンのヨーテボリ生まれ。
 スウェーデン・フィルム・インスティテュートで文学と映画を学ぶ。
 69年に同校を卒業後、最初の長編作品『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』(1970)を発表。この作品は15歳の少年と14歳の少女の初々しい恋を描いたもので、ベルリン国際映画祭に出品されて、Interfilm Award - Recommendation、ジャーナリスト特別賞ほかを受賞した(この年は審査員の辞任騒ぎがあり、審査員による各賞の選出はなかった)。一転して、第二長編“Giliap”(1975)は、ダーク・コメディーで、カンヌ国際映画祭監督週間に出品されたが、興行的にも批評的にも失敗し、以後25年以上もの間、彼は長編映画から離れることになる。
 続く70年代~90年代は、CMの世界に身を置き、カンヌ国際広告祭で8度のグランプリを受賞するなど、CM界の巨匠となった。手がけたCMは、エール・フランスやボルボ、シトロエンなど世界各国におよび、作品数は、現在までに400本を越える。
 1981年には自身のプロダクション「スタジオ24」をストックホルムに設立。
 80年代、90年代に1本ずつ短編を発表した後、1996年から第三長編『散歩する惑星』にとりかかり、2000年に完成したこの作品でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した。第四長編『愛おしき隣人』は、2007年のカンヌ国際映画祭のある視点部門でワールド・プレミアされた。

 25年も長編映画を撮ることができなかったことについてロイ・アンダーソン自身は、「多く人は、私が“本物の”映画を撮ることができなくて残念に思っていると思うが、実際のところは私は幸運だったのだ。そのおかげで、私は伝統的な映画業界に染まることはなかったし、そうしていれば妥協してばかりで心の平安が得られなかったかもしれない。もちろん、結果として生活は厳しいものになったが、慣習に流されたくはなかったんだ」と語
っている。

 彼の作品は、シリアスな状況でもファニーな笑い(時に暴力的、時に残酷で、毒が含まれることも多い)があるのが特徴で、「ヴィレッジ・ヴォイス」誌は、彼に「スラップスティックなイングマール・ベルイマン」の称号を贈っている。

 【フィルモグラフィー】

 ・1967年 “Besöka sin son”[短編]
 ・1968年 “Hämta en cykel”[短編]
 ・1968年 “Den vita sporten”[短編]
 ・1969年 “Lördagen den 5.10”[中編](卒業制作)
 ・1970年 『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』(初公開時タイトル『純愛日記』) “En Kärlekshistoria/ A Swedish Love Story”
 ・1975年 “Giliap”
 ・1987~1993年 “Någonting har hänt/ Something Happened”[短編]
 ・1991年 “Härlig är jorden/ World of Glory”[短編]
 ・2000年 『散歩する惑星』“Sånger från andra våningen/ Songs from the Second Floor”
 ・2007年 『愛おしき隣人』“Du levande/You,the Living”

 *参考サイト
 ・ロイ・アンダーソン公式サイト(スウェーデン語/英語):http://www.royandersson.com/
 ・Sanalforum.com(英語):http://www.sanalforum.com/arsiv/roy-andersson-collection19702007-t73477.0.html

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