ティム・バートンが手がけた唯一のミュージック・ビデオ “Bones”

 ティム・バートンが手がけたThe Killers“Bones”のミュージック・ビデオ。
 デヴォン青木が出演していることも含めて、けっこう話題になった作品です。



 【物語】
 土の中から姿を現す7人の骸骨戦士。
 そこはドライブ・イン・シアターで、スクリーンにレイ・ハリーハウゼンの『アルゴ探検隊の大冒険』が映し出され、それを車の中から若い男女が観ている(女性の方はデヴォン青木)。
 上映中のスクリーンの前で、The Killers の“Bones”の演奏も始まる。
 映画は、骸骨戦士の戦いからラブストーリーに変わる。
 ドライブ中のカップル(映画を観ているはずのカップルと同じカップル)が、車で海へ向かう。海辺に来た二人は、じゃれ合うようにして海へ駆けて行く。服を脱ぎ捨てるような感じで、女が肉体を脱ぎ捨てて、骸骨姿になり、男もそれに続く。骸骨姿のまま二人は波打ち際へ向かっていく。
 『地上より永遠に』風に波打ち際で抱き合っていた二人は、波に洗われて骸骨姿になる。
 映画の“ラブシーン”に刺激されたのか、映画を観ていた二人も、見つめ合い、そして車の中で肉体を脱ぎ捨てて、骸骨姿になる。
 スクリーンの中がカラーで、観ている側がモノクロになったり、演奏しているメンバーも骸骨姿になったりする。
 (映画の中の)骸骨二人は浜辺でかけよって、その衝撃でバラバラになる。
 『大アマゾンの半魚人』のシーン。
 海の中を泳ぐ男女。
 (映画も終盤で)骸骨姿の二人が車で帰る。
 “DRIVE CAREFULLY”の看板。
 演奏していたメンバー(みんな骸骨姿になっている)は、演奏終了と同時に力尽きてバラバラになる。

画像

 ◆コメント
 歌詞としては、「海に行って泳ごうよ」と女の子を誘っているだけの詞のようですが、ティム・バートンは、それをデフォルメして、服だけではなく、「肉体まで脱いでしまおう」というところまで発想を広げて、骸骨同士のラブ・ストーリーにし、いくつかの映画のパロディーを加えています。

 ティム・バートンが、レイ・ハリーハウゼン好きで、彼から多大な影響を受けていることはよく知られていることですが、本作では直接レイ・ハリーハウゼンを引用することで彼(と50~60年代のSF映画)へのオマージュを捧げたとも言えそうです(DVD『ハリーハウゼン コンプリート コレクション』には、「ティム・バートン、レイ・ハリーハウゼンと語る」という特典映像も収められているようです)。

 死者の世界をユーモラスに描くところもティム・バートンらしいところでしょうか。

 デヴォン青木は、エキゾチック&エキセントリックなところのある女優で、使いようによっては作品にとても面白いアクセントとなるのですが、彼女の魅力を引き出すのは難しいようで成功例はあまり多くはありません。その中では、本作は成功した部類に入ると思われます。彼女の役を、天真爛漫なアイドルか何かが演じたら、本作の印象もまた違ったのではないかと思われます。

 ティム・バートンクラスの監督であれば、ミュージック・ビデオの依頼も多いと思われますが、面白そうな、あるいは、想像力/創造力が刺激されるような楽曲がないためか、今のところ、本作が彼が手がけた唯一のミュージック・ビデオになっています。

 ◆作品データ
 2006年/米/3分51秒
 英語台詞(歌詞)あり/日本語字幕なし
 ミュージック・ビデオ

 
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 “BONES” Lyrics

 Come with me.
 We took a back road.
 We're gonna look at the stars.
 We took a backroad in my car.
 Down to the ocean,
 it’s only water and sand
 And in the ocean we'll hold hands.
 But I don't really like you, apologetically dressed in the best, but on a heartbeat glide.
 Without an answer, the thunder speaks for the sky, and on the cold, wet dirt I cry.
 And on the cold, wet dirt I cry.
 Don’t you wanna come with me? Don’t you wanna feel my bones on your bones?
 It's only natural.
 A cinematic vision ensued like the holiest dream.
 It's someone's calling?
 An angel whispers my name,but the message relayed is the same:
 “Wait till tomorrow,you'll be fine."
 But it's gone to the dogs in my mind.
 I always hear them when the dead of night comes calling to save me from this fight.
 But they can never wrong this right.
 Don't you wanna come with me? Don't you wanna feel my bones on your bones?
 It's only natural.
 Don’t you wanna swim with me? Don’t you wanna feel my skin on your skin?
 It's only natural.
 (Never had a lover)
 I never had a lover
 (Never had soul)
 I never had soul
 (Never had a good time)
 And I never had a good time
 (Never got cold)
 I never got gold.
 Don't you wanna come with me? Don't you wanna feel my bones on your bones?
 It's only natural.
 Don't you wanna swim with me? Don't you wanna feel my skin on your skin?
 It's only natural.
 Don't you wanna come with me? Don't you wanna feel my bones on your bones?
 It’s only natural.
 Come and take a swim with me. Don't you wanna feel my skin on your skin?
 It’s only natural

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 “BONES” 訳詞(拙訳)

 僕と一緒に来いよ
 裏道を通って
 星を見に行こう
 僕の車で裏道を行くのさ
 海岸へ降りれば
 水と砂しかない
 海中で手をつなごうよ
 僕が好きなのは、着飾った君じゃなくて、君のハートの方さ
 答えてくれないと、雷が鳴り、冷たい雨が降って、僕は泣いてしまうよ
 寒さで泣いてしまうよ
 僕と一緒に来ないか? 互いの骨を重ね合わせたくはないかい?
 それが自然だろう
 神聖な夢のように、映画のような視界が広がる
 誰かが呼んでいるのか?
 天使が僕の名を呼び、同じメッセージを繰り返す
 「明日になれば、きっとうまくいくさ」
 でも、そんなメッセージはもう何の役にも立たなくなっている
 悪魔が僕に囁きかけている時にそんなメッセージを伝えられても
 まるで無意味なのさ
 僕と一緒に来ないか? 互いの骨を重ね合わせようよ
 それが自然だろう
 僕と一緒に泳がないか? 互いの肌と肌を重ね合わせようよ
 それが自然だろう
 (こんなに愛した人はいない)
 こんなに愛した人はいない
 (これまでは心は空っぽだった)
 これまでは心は空っぽだった
 (こんなに楽しかったことはない)
 そしてこんなに楽しかったことはない
 (こんなに寒かったことはない)
 お金を持ってたことなんてない
 僕と一緒に来ないか? 互いの骨を重ね合わせようよ
 それが自然だろう
 僕と一緒に泳がないか? 互いの肌と肌を重ね合わせようよ
 それが自然だろう
 僕と一緒に来ないか? 互いの骨を重ね合わせようよ
 それが自然だろう
 僕と一緒に泳がないか? 互いの肌と肌を重ね合わせようよ
 それが自然だろう

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 ◆監督について
 ティム・バートン Tim Burton

 1958年カリフォルニア州バーバンク生まれ。
 幼い頃から絵を描いたり、古い映画を観たりするのが好きで、家に引きこもりがちな少年だった。
 13歳の時に、スーパー8を使って、H・G・ウェルズの『ドクター・モローの島』からインスパイアされたアニメーション“The Island of Doctor Agor”(1971)を作った。
 9学年の時に描いた「ゴミ散乱防止」のポスターは、ローカルの賞を獲り、彼のポスターが1年間ゴミ収集車に貼られた。
 高校卒業後、ディズニーの美術学校California Institute of the Arts(通称Cal Arts)に入学。彼が入ったのはディズニーがアニメーションの人材養成のために作ったクラスで、クラスメートには、ジョン・ラセターやブラッド・バードがいた。
 在学中に、鉛筆画によるアニメーション“Stalk of the Celery”(1979)を作り、これがクラスで話題になり、映画『マペットの夢見るハリウッド』(1979)に参加するきっかけとなった。
 卒業後、彼は、ディズニーの実習生として、『きつねと猟犬』(1981)のアニメーターの仕事を得るが、この仕事は自分には向いていないと思うようになり、ディズニーの仕事をする傍ら短編アニメーション“Doctor Doom”(1980)を作ったりしていた。
 その後、ディズニーは、バートンの企画を認め、彼は、ヴィンセント・プライスのようになりたいと考える少年を主人公とした短編『ヴィンセント』を制作。この作品は評論家からの評判もよく、オタワ国際アニメーションフェスティバルでは観客賞を受賞した。引き続き、彼は実写による数編の短編を監督。
 彼が監督した短編『フランケンウィニー』(1984)を観た俳優ポール・ルーベンス(ピーウィー・ハーマン)は、彼を『ピーウィーの大冒険』(1985)の監督に抜擢。この作品で彼は20代半ばで長編監督デビューすることになった。
 『ピーウィーの大冒険』は予想外の成功を収め、彼にはスピン・オフ作品など多数の監督依頼が舞い込むが、新しいものを作りたいと考えた彼は、3年間新作映画を撮ることはなかった。
 2本目の長編映画『ビートルジュース』(1988)は、マイケル・キートンと初仕事で、この作品のヒットで、ワーナー・ブラザースがキートンを主役にして『バットマン』を作るように依頼。『バットマン』は年間最大のヒットとなり、バートンは新作を自由に作る権利を得た。これで彼が作ったのが『シザーハンズ』(1990)で、ジョニー・デップとの初めてのコラボレーションとなった。
 続いて監督した『バットマン・リターンズ』(1992)は、前作よりも暗めの作品だったこともあってか、興行的に失敗し、シリーズ第3作の『バットマン・フォーエヴァー』(1995)ではバートンは製作にまわることになった。
 ヘンリー・セリックを監督に据えて初めての長編アニメーション『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)を製作した後、再びジョニー・デップを主役として『エド・ウッド』(1994)を発表。この作品はマーティン・ランドーにアカデミー賞助演男優賞をもたらした。
 彼の作り出す世界観が次第に明確になるにつれ、世界中に彼のファンが増え、その一方で、評論家からの評価も高まり、2003年に作った『ビッグ・フィッシュ』では数多くの監督賞にノミネート&受賞し、初めて監督を手がけた長編アニメーション『ティム・バートンのコープスブライド』(2005)でも米国アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた。
 結果的に、ティム・バートンは、ゴシック、ホラー、ファンタジーなどのジャンルの作品で独自の世界観を追求し、80年代後半以降最も人気のある監督の1人となった。

 ・1993年には初の絵本『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を出版。1997年には『オイスター・ボーイの憂鬱な死』を出版した。

 ・ヴィンセント・プライス、マリオ・バーヴァ、ロジャー・コーマン、バーバラ・スティール、ラス・メーヤーらが好きであることが知られている。

 ・彼の作品によく登場するモチーフとして、かかし、病気または死にかけの犬、雪の降る夜、クリスマス、ハロウィンなどがある。

 ・最初の妻はドイツ人アーティストLena Gieseke(1989~1991)。二度目の妻は、モデル・女優のリサ・マリー(1992~2001)で、『エド・ウッド』(1994)から『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001)までは彼女がバートンのミューズであり、製作にも関わった。『PLANET OF THE APES 猿の惑星』で、ヘレナ・ボナム=カーターと出会い、未入籍のまま1男1女をもうけた(ジョニー・デップが息子の名づけ親になった)。

 ・同じキャスト、同じスタッフを起用することが多い。特にジョニー・デップとは6作で組んでいる。ほとんどの作品の音楽はダニー・エルフマンが担当。ホラーやSF、ファンタジー作品の出演者を起用することも多い。

 ・1997年にはカンヌ国際映画祭の審査員を務めた。

 ・これまでに監督候補としてティム・バートンの名前の挙がった作品に『ザ・フライ』『スーパーマン』『カリガリ博士』などがある。

 【フィルモグラフィー】
 ・1971年 “The Island of Doctor Agor”<短編>[監督]
 ・1979年 “Stalk of the Celery”<短編>[製作・監督]
 ・1979年 『マペットの夢見るハリウッド』[マペット・パフォーマー、声の出演](監督:James Frawley)
 ・1980年 “Doctor Doom”<短編>[監督]
 ・1981年 『きつねと猟犬』[アニメーター](監督:テッド・バーマン、リチャード・リッチ、アート・スティーブンス)
 ・1982年 『トロン』[アニメーター](監督:スティーブン・リズバーガー)
 ・1982年 『ヴィンセント』<短編>[監督]
 ・1982年 『ヘンゼルとグレーテル』<TV>[監督]
 ・1982年 “Luau”[製作・監督・出演](監督:ティム・バートン、ジェリー・リース)
 ・1984年 『フランケンウィニー』<短編>[監督]
 ・1985年 『フェアリー・テール・シアター/アラジンと魔法のランプ』<TV>[監督]
 ・1985年 『ピーウィーの大冒険』 [監督]
 ・1985年 『コルドロン』“The Black Cauldron”[コンセプチュアル・アーティスト](監督:テッド・バーマン、リチャード・リッチ)
 ・1985年 『アラジンと魔法のランプ』(『フェアリー・テール・シアター』)<TV>[監督]
 ・1985年 『ファミリー・ドッグ』(『世にも不思議なアメージングストーリー』)<TV>[キャラクター・デザイン]
 ・1986年 『ザ・ジャー』(『新ヒッチコック劇場』)<TV>[監督]
 ・1988年 『ビートルジュース』 [監督]
 ・1989年 『バットマン』 [監督]
 ・1990年 『シザーハンズ』 [監督・製作・原案]
 ・1992年 『バットマン・リターンズ』 [監督・製作]
 ・1992年 『トイズ』[コンセプチュアル・アーティスト](監督:バリー・レヴィンソン)
 ・1992年 『シングルズ』[出演](監督:キャメロン・クロウ)
 ・1992年 『ホッファ』[出演](監督:ダニー・デヴィート)
 ・1993年 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』[製作・原案]
 ・1993年 『ティム・バートンのナイトメアー・ビフォア・クリスマス/ディズニー デジタル 3-D』[製作・原案](監督:ヘンリー・セリック)
 ・1993年 『キャビン・ボーイ/航海、先に立たず』[製作] (監督:ヘンリー・セリック)
 ・1994年 『エド・ウッド』 [監督・製作]
 ・1995年 『バットマン・フォーエヴァー』[製作](監督:ジョエル・シュマッカー)
 ・1996年 『マーズ・アタック!』 [監督・製作]
 ・1996年 『ジャイアント・ピーチ』[製作](監督:ヘンリー・セリック)
 ・1998年 “Gnome in the Garden”<CM>
 ・1999年 『スリーピー・ホロウ』 [監督]
 ・2000年 『ステインボーイ』<Webアニメーション>[監督]
 エピソード1:「ステアガール」Staregirl
 エピソード2:「有毒少年ロイ」Toxicboy
 エピソード3:Bowling Ball Head
 エピソード4:Robot Boy
 エピソード5:Match Girl
 エピソード6:Stainboy’s Birth
 ・2000年 “Timex”<CM>[監督]
 ・2000年 『マリオ・バーヴァ 地獄の舞踏』“Mario Bava: Maestro of the Macabre”<TVM>[出演](監督:ゲイリー・S・グラント)
 ・2000年 “Lost in Oz”<TV>[製作総指揮](監督:Michael Katleman)
 ・2001年『PLANET OF THE APES 猿の惑星』 [監督]
 ・2003年 『ビッグ・フィッシュ』 [監督]
 ・2005年 『ティム・バートンのコープスブライド』 [監督・製作]
 ・2005年 『チャーリーとチョコレート工場』 [監督]
 ・2006年 “Bones”<ミュージック・ビデオ>[監督]
 ・2007年 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』 [監督]
 ・2008年 “9”[製作](監督:シェーン・アッカー)
 ・2009年 “Frankenweenie”[監督・製作]
 ・2009年 “The Spook's Apprentice” [監督]
 ・2010年 『不思議の国のアリス』“Alice in Wonderland” [監督・製作]

 *参考サイト
 ・The Tim Burton Collective:http://www.timburtoncollective.com/
 ・ティム・バートンに関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3
 ・IMDb:http://www.imdb.com/name/nm0000318/
 ・SPACEMAN’S MOVIE & TV PAGE:http://www52.tok2.com/home/spaceman/director/T/TimBurton/TimBurton.htm

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