『キング・オブ・フィルム 巨匠たちの60秒』 チャン・イーモウ篇

 『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』より、チャン・イーモウ篇。特にタイトルはつけられていないようです。



 【物語】
 万里の長城の上で昔の衣装を身につけた2人が、扇などを使って、伝統舞踊を見せている。カチンコがたたかれると、(音声も入り)2人は衣装を脱いで、パンクを演じ始める。

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 ◆コメント
 当ブログでご紹介する『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』も、これで4作品目です(下記参照)。

 「映画誕生100年記念」「リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフを使って撮影する」「52秒まで」といった条件でできる短編ということでチャン・イーモウが考えたのは、2000年以上の歴史を持つ万里の長城の上で、リュミエール兄弟が活躍した頃の中国の民族舞踊と現代の音楽を対比的に見せるということだったようです。

 デイヴィッド・リンチ作品が、短くてもいかにもリンチらしく、パトリス・ルコント作品がこの企画の趣旨に相応しい題材を選び出しているのに対して、チャン・イーモウ作品は、特にチャン・イーモウらしいということもなく、映像的にもアイディアとしてもちょっと弱いですね。
 チャン・イーモウは、この企画で唯一選ばれた中国人監督で、あとは日本の吉田喜重くらいしかアジアの監督はいません。他の監督だったら、もうちょっと違うものを見せてくれたでしょうか。
 チャン・イーモウ的には、ちょうどこの頃は、コン・リー主演の「紅」のシリーズから、『あの子を探して』で始まる3部作へ移る過渡期にあって、自分のスタイルを模索している時期に当たります。
 この作品には、ちょっとスラップスティックなところがありますが、それはこの次の監督作品『キープ・クール』に通じるもの、と考えられるかもしれません。

 ◆作品データ
 1995年/中国/50秒
 北京語台詞あり?/日本語字幕なし
 実写映画

 
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 ◆『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』“Lumière et compagnie/Lumière and Company” INDEX
 『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』は、リュミエール兄弟が発明した世界初の映画撮影用カメラ“シネマトグラフ”を使って、「52秒、同時録音しない、テイク3まで」という条件で、企画された映画誕生100年記念のオムニバス映画で、総監督がサラ・ムーンで、40人の映画監督が競作しています。各編のタイトルは最初からつけられていないものもあり、また『パリ』は3組もの監督がタイトルに使っています。

 ・サラ・ムーン Sarah Moon
 ・Merzak Allouache 『オーベルヴィリエ』“Aubervilliers”
 ・ガブリエル・アクセル Gabriel Axel 『コペンハーゲン』“Copenhague”
 ・ヴィンセンテ・アランダ Vicente Aranda
 ・テオアンゲロプロス Theo Angelopoulos
 ・ビガス・ルナ Bigas Luna
 ・ジョン・ブアマン John Boorman
 ・ユーセフ・シャヒーン Youssef Chahine
 ・アラン・コルノー Alain Corneau
 ・コスタ・ガブラス Costa-Gavras
 ・レイモン・ドパルドン Raymond Depardon
 ・フランシス・ジロー Francis Girod
 ・ピーター・グリーナウェイ Peter Greenaway
 ・ラッセ・ハルストレム Lasse Hallström
 ・ミヒャエル・ハネケ Michael Haneke 『ウィーン』“Vienne”
 ・ヒュー・ハドソン Hugh Hudson
 ・ガストン・カボレ Gaston Kaboré
 ・アッバス・キアロスタミ Abbas Kiarostami
 ・セドリック・クラピッシュ Cédric Klapisch
 ・アンドレイ・コンチャロフスキー Andrei Konchalovsky
 ・パトリス・ルコント Patrice Leconte 『ラ・シオタ駅 1996年』“La Ciotat 1996”
 ・スパイク・リー Spike Lee
 ・クロード・ルルーシュ Claude Lelouch
 ・デイヴィッド・リンチ David Lynch 『邪悪なものがやってくる!』“Premonition Following An Evil Deed”
 ・イスマイル・マーチャント&ジェームズ・アイヴォリー Merchant & Ivory 『パリ』“Paris”
 ・クロード・ミレール Claude Miller 『パリ』“Paris”
 ・イドリッサ・ウエドラオゴ Idrissa Ouedraogo 『ブルキナファソ』“Burkina Faso”
 ・アーサー・ペン Arthur Penn
 ・ルチアン・ピンティリエ Lucian Pintilie
 ・ジャック・リヴェット Jacques Rivette 『パリ』“Paris”
 ・ヘルマ・サンダー=ブラームス Helma Sanders-Brahms
 ・ジェリー・シャッツバーグ Jerry Schatzberg
 ・ナディーヌ・トランティニャン Nadine Trintignant
 ・フェルナンド・トルエバ Fernando Trueba
 ・リヴ・ウルマン Liv Ullmann
 ・吉田喜重 Yoshishige Yoshida
 ・ジャコ・ヴァン・ドルマル Jaco Van Dormael 『キス』
 ・レジス・ヴァルニエ Régis Wargnier
 ・ヴィム・ヴェンダース Wim Wenders
 ・チャン・イーモウ Zhang Yimou

 *この作品は、日本ではビデオ発売のみで、今のところDVDのリリースはありません。

 ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ
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 ◆監督について
 チャン・イーモウ 張藝謀/Zhan Yimou
 中国第五世代を代表する監督の一人。

 1951年、西安生まれ。
 高等中学を卒業後、1966年より農村や紡績工場などで働く。
 1978年に北京電影学院撮影科に入学、1982年卒業。
 1985年、西安映画製作所に配属される。『一人と八人』『黄色い大地』『大閲兵』『古井戸』の撮影監督を務め、中国ニューウェーブの映像・画面作りに大きく貢献した。
 1987年の『紅いコーリャン』で監督デビュー。この作品はベルリン映画祭金熊賞を受賞し、チェン・カイコーらとともに中国第五世代の登場を大きく印象づけた。
 1990年の『菊豆』は中国映画(香港映画を除く)として日本で初めて拡大公開された作品となった。
 1995年までの初期の監督作品は、過酷な歴史や厳しいしきたりの中で本音や本能で生きようとした女性を描いた作品で、女優コン・リーが主役を務め、「紅」を基調とした画面作りを特徴とした。
 1999~2002年は、それまでの作風から一転させ、現代中国の庶民の生き方をやさしいまなざしで見つめた3部作『あの子を探して』『初恋のきた道』『至福のとき』を発表。これ以降の作品は国外での配給をハリウッド・メジャーが手がけるようになった。
 2002年の『HERO』以降は、特撮を多用したスペクタクル性の強いアクション大作を発表し、新境地を開いた。
 さらに、2006年の『王妃の紋章』は、中国映画史上ナンバーワンとなる興行成績を残している。

 起用した俳優から才能を引き出す手腕には定評があり、何人ものスターを生み出している。

 『紅夢』でベネチア国際映画祭銀獅子賞、『秋菊の物語』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『活きる』でカンヌ国際映画祭審査員特別賞、『あの子を探して』で2度目のベネチア国際映画祭金獅子賞、『初恋のきた道』でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)など受賞歴も多い。

 映画『「あの子を探して」ができるまで』は、単なるメイキングにとどまらない、チャン・イーモウの創作の秘密を知ることができる出色のドキュメントである。

 【フィルモグラフィー】
 ・1984年 『一人と八人』 [撮影] (監督:チャン・チュンチャオ)
 ・1984年 [撮影] (監督:チェン・カイコー)
 ・1985年 『大閲兵』 [撮影] (監督:チェン・カイコー)
 ・1987年 『古井戸』 [撮影/出演] (監督:ウー・ティエンミン)
 ・1987年 『紅いコーリャン』 [監督/出演] 
 ・1988年 『ハイジャック/台湾海峡緊急指令』 [監督] (共同監督:ヤン・フォンリャン)
 ・1989年 『テラコッタ・ウォリア/秦俑』 [出演] (監督:チン・シウトン)
 ・1990年 『菊豆』[監督](共同監督:ヤン・フォンリャン) 
 ・1991年 『紅夢』 [監督] 
 ・1992年 『画魂-愛、いつまでも』 [製作総指揮] (監督:ホァン・ショーチン)
 ・1992年 『秋菊の物語』 [監督] 
 ・1994年 『活きる』 [監督]
 ・1994年 『項羽と劉邦/その愛と興亡』 [監修](監督:スティーヴン・シン)
 ・1995年 『上海ルージュ』 [監督]
 ・1995年 『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』[監督]
 ・1996年 『龍城恋歌』 [製作総指揮](監督:ヤン・フォンリャン)
 ・1997年 『キープ・クール』 [監督/出演]
 ・1999年 『あの子を探して』 [監督]
 ・1999年 『初恋のきた道』 [監督]
 ・2000年 『トゥーランドット』 [演出](監督:アラン・ミラー)
 ・2002年 『「あの子を探して」ができるまで』 [監修/出演](監督:吉田啓)
 ・2002年 『至福のとき』 [監督]
 ・2002年 『HERO』 [監督/脚本]
 ・2003年 “威馳新風” [監督][PV]
 ・2004年 『LOVERS』 [監督/脚本]
 ・2005年 『単騎、千里を走る。』 [監督/原案]
 ・2006年 『王妃の紋章』 [監督/脚本]
 ・2006年? “成都~一座來了就不想離開的都市” [監督][PV]
 ・2007年 『映画をみる』(『それぞれのシネマ』) [監督]
 ・2007年 『北京オリンピック・聖火リレー』 [監督][PV]

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