留守番電話をモチーフに 『ライラ』 ショーン・エリス

 ショーン・エリス(Sean Ellis)は、映画業界に少なくとも3人いて、1人が監督(イギリス人)、1人が俳優(たぶんアメリカ人)、1人がスタッフ(オーストラリア人)で、ネットで検索していて、どれが誰のことだかちょっとわかりかねる部分があったりするのですが、あるサイト(http://www.listal.com/director/sean-ellis)で『フローズン・タイム』の監督であるショーン・エリスの作品として(公式サイト(2004年あたりで更新が止まっている)にもIMDbにも載っていない)『ライラ』“Lila”という作品が挙がっていました。

 この作品は、『キャッシュバック』や“Left Turn”とも違って、あまり作り込まれておらず、同じ監督の作品なのかどうか確証は持てないのですが、ここでは一応、上のサイトを信用して、彼の作品ということでピック・アップしておきたいと思います。



 【物語】
 ライラが寝ていると、留守番電話にメッセージが吹き込まれる。
 それは友人からで、シャーロットが死んだという内容だった。
 ライラは驚いて、飛び起き、テレビをつけると、ちょうどそのニュースをやっている。
 <映画監督ケヴィン・モーカを夫に持つ、国際的なモデル シャーロット・ボーデインがドラッグの過剰摂取により死亡しました……>
 ライラは、留守電の未再生メッセージを聞いて、既に自分にも問い合わせが来ていることを知る。
 事件に巻き込まれたくなくて、自分の持っているドラッグを処分しようとしたりもする。
 そんなライラのところにケヴィンがやってくる。実は、シャーロットに隠れて2人はつきあっていたのだ。
 情事の後、ライラは、シャーロットが妊娠して悩んでいたことを洩らしてしまう。
 それを聞いて、ケヴィンはショックを隠せない。
 「だって、別れるつもりだったんじゃないの?」
 「何言ってるんだ。俺は彼女を愛してたんだ」
 「それは妻だからってことじゃないの? 私を好きだって言ってくれてたじゃない?」
 ケヴィンは、ライラの自分勝手さに腹を立てて、部屋を出て行ってしまう。
 途方にくれてしまったライラは、ドラッグの売人と連絡を取って、ドラッグを手に入れる。
 警察が来ても、ドラッグに気づかれないように、別の容器にしまう。
 留守番電話に次々とメッセージが吹き込まれている。そのそばには、ドラッグで意識を失ってしまったらしいライラが倒れている。

画像

 【コメント】
 ところどころ英語が聞き取れなかったりするのですが、ストーリーは大体上のような感じでしょうか。

 この作品が、(『キャッシュバック』の監督である)ショーン・エリス監督作品であると思われる可能性は――
 ・ストーリーの中に国際的な活躍をしていた(という)モデルが出てくること
 ・主役を演じ、台本も書いたLiza Callinicosがロンドンで活躍している女優らしいこと
 ひょっとすると別のショーン・エリス監督による作品であるという可能性は――
 ・作品のタッチが『キャッシュバック』とも“Left Turn”とも“Never Ever”とも違うこと(もっともこの3作品自体が全くタイプの異なる作品なのですが)
 ・『キャッシュバック』とも“Left Turn”とも違い台詞主体の作品であること
 ・監督自身が撮影も編集も手がけていること
 ・撮影がアメリカのベニスで行なわれていること
 ・これまでの作品に関わったキャスト&スタッフがこの作品には1人も関わっていないこと

 う~ん、どうでしょうか。決め手がありません。

 この年、ショーン・エリスは、『フローズン・タイム』を持って、世界中の映画祭(カンヌとかトロントとか)を回っていたはずで、その合間に、Liza Callinicosが書いた脚本を本人主演で即興的に撮影した(だから撮影も編集も独りでやった)という可能性もあります。

 作品としては、留守番電話を重要なモチーフとして使った短編としてちょっと面白かったりするので、そういう意味では、まあ、誰の作品であってもいいわけですが……。

 ◆作品データ
 2006年/英/10分47秒
 英語台詞あり/日本語字幕なし
 実写作品

 
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 ◆監督について
 ショーン・エリス Sean Ellis
 1970年 イギリス・サセックス州ブライトン生まれ。
 11歳から写真を撮り始め、スティール・カメラマンとしてキャリアをスタートさせる。
 1994年にロンドンに移り、スティール・カメラマンの経験を生かして、ファッション写真へと転身し、“The Independent”紙・日曜版では、イギリスのフォトグラファー トップ10の1人に数えられるまでになる。

 ファッション・フォトグラファーとしての主な活動媒体は、“i-D”、“The Face”、“Arena”、“Arena Homme Plus”、“Visionaire”、“Dazed and Confused”、“Numero”、“Vogue”(フランス版、イギリス版、日本版、アメリカ版)、“Harper’s Bazaar”、“Big Magazine”など。

 過去に手がけた人物写真は、エルトン・ジョン、北野武、トレント・レズナー、カイリー・ミノーグ、エリック・バナ、ステラ・マッカートニー、Air、Kosheen、リチャード・アシュクロフトなど。
 “Harper’s Bazaar”誌では、ファッション・イメージのシリーズでデイヴィッド・リンチとコラボレーションしたりもしている。

 1年間毎日写真を撮るというアイデアで1999年に撮りためた写真を写真集“365-A Year in Fashion”としてまとめる(第一写真集)。

 元々写真にストーリー性を持ち込むことを得意としていたが、それがミュージック・ビデオやCMへの移行を容易にした。
 1997年に手がけたAll Saintsのビデオ“Never Ever”は、1998年 Brit Awardのビデオ部門を受賞している。
 CM作品としては、ジャン・ポール・ゴルティエ、ランド・ローヴァー、リンメル、O2など。

 リドリー・スコットのプロダクションRSAのプロデュースで、2001年に最初の短編“Left Turn”(サイコ・ホラー)を発表。続いて2004年に“Cashback”を発表した。
 “Cashback”は、米国アカデミー賞短編部門にノミネートされたほか、シカゴ国際映画祭の短編部門でゴールド・ヒューゴー賞(グランプリ)を受賞するなど、高評価を受け、2006年に長編版“Cashback”(邦題『フローズン・タイム』)を制作した。

 ◆フィルモグラフィー
 ・1997年 “Never Ever”[ミュージック・ビデオ]
 ・2001年 “Left Turn”[短編]
 ・2001年 “Gabriel”[ミュージック・ビデオ]
 ・2004年 “Cashback”[短編]
 ・2006年 『フローズン・タイム』“Cashback”
 ・2006年 “Lila”[短編]
 ・2008年 “The Brøken”

 *参考サイト
 ・ショーン・エリス公式サイト:http://www.sean-ellis.com/contents.html
 ・SEAN ELLIS PHOTOGRAPHER:http://www.seanellis.co.uk/index.asp
 ・“Cashback”(長編版)公式サイト(英語):http://www.cashbackthemovie.com/
 ・『フローズン・タイム』公式サイト:http://www.frozen-time.jp/
 ・ショーン・エリスに関するWikipedia(フランス語):http://fr.wikipedia.org/wiki/Sean_Ellis
 ・デザイナー 岡沢高宏さんのブログ honeyee.com(ハニカム):http://blog.honeyee.com/tokazawa/archives/2007/12/sean_ellis.html

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