ウズベキスタン映画 1929~2007

 東京近代美術館フィルムセンターで、ウズベキスタン映画祭が開催(9月27日~10月7日)されて、「へえ~、ウズベキスタン映画かぁ、いくつか思い浮かぶタイトルはあるけど……」、と思い、ウズベキスタン映画をリスト化してみたんですが、ブログにアップしないまま、あっという間に1ヶ月経ってしまいました。
 今後、そんなにウズベキスタン映画が上映される機会もないだろうとも思うので、ここでまとめておきたいと思います。

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 ◆ウズベキスタン映画(1929~2007)

 1929年

 ・トゥルクシブ(監督:ヤーコフ・アーロン、ヴィクトル・シクロフスキー) ③

 1934年

 ・黒い砂(砂漠のオアシス)(監督:ニコライ・クラド)[ドキュメンタリー]

 1939年

 ・“Druzia vstrechaiutsa vnov”(監督:カミール・ヤルマートフ)

 1945年

 ・“Takhir i Zukhra”(監督:Nabi Ganiyev)

 1947年

 ・草原の英雄(監督:カミール・ヤルマートフ)

 ・“Pokhozhdeniya Nasreddina”(監督:Nabi Ganiyev)

 1961年

 ・解放されたウズベック婦人[ドキュメンタリー]

 1962年

 ・君たちは孤児ではない(監督:シュフラト・アバーソフ)

 1964年

 ・“Burya nad Aziey”(監督:カミール・ヤルマートフ)

 1966年

 ・ウズベックの秋[ドキュメンタリー]

 1968年

 ・タシケントはパンの町(監督:シュフラト・アバーソフ) ③

 1969年

 ・恋するものたち(恋人たち)(監督:エリヨル・イシムハメドフ) ③

 ・“Minuvshie dni”(監督:Yuldash Agzamov)

 ・“Yabloki sorok pervogo goda”(監督:Ravil Batyrov)

 1970年

 ・“Gibel chernogo konsula”(監督:カミール・ヤルマートフ)

 1971年

 ・“Pod palyazhchym soltsem”(監督:Albert Khachaturov)

 1972年

 ・“Gory zovut”(監督:Damir Salimov)

 ・“Semurg”(監督:Khabib Faiziyev)

 1973年

 ・七発目の銃弾(監督:アリ・ハムラーエフ)

 1974年

 ・“Abu Raykhan Beruni”(監督:シュフラト・アバーソフ)

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 1976年

 ・“Intiqam Ke Sholay”(監督:Arif Khan)

 ・“Ptitsy nashikh nadezhd”(監督:エリヨル・イシムハメドフ)

 1977年

 ・“Ozornik”(監督:Damir Salimov)

 1979年

 ・“Beregis, zmey!”(監督:Zakir Sabitov)

 1983年

 ・“Perevorot po instruktyi 107”(監督:Georgi Bzarov、Zakir Sabitov)

 ・「わが大学」(監督ファリド・ダヴレトシン)
 *ソ連学生映画祭監督賞受賞

 1984年

 ・雨はやさしく(やさしい雨が降る)(監督:ナジム・トゥリヤ=ホジャーエフ(ナジム・トゥラフジャエフ))[短編/アニメーション] ③

 ・「アクマルと龍と王女」(監督ファリド・ダヴレトシン)

 1986年

 ・ブハラ大公の秘密の旅(監督ファリド・ダヴレトシン) ③

 1987年

 ・「ツバメ」(監督:ズリフィカル・ムサコフ)[短編]

 1988年

 ・「犬肉スープ」(監督:ジャハンギール・ファイズィーエフ)
 *モスクワ国際映画祭監督賞受賞?

 ・「兵士の物語」(監督:ズリフィカル・ムサコフ)

 1989年

 ・カイープの最後の旅(監督ファリド・ダヴレトシン) ①

 ・“Malenkiy chelovek v bolshoy voyne”(監督:シュフラト・アバーソフ)

 ・「リンゴを投げて」(監督ファリド・ダヴレトシン)

 1990年

 ・お前は誰?(監督:ジャハンギール・ファイズィーエフ) ①

 ・糸(監督:S・ムラト=ホジャーエワ)[アニメーション]

 1992年

 ・UFO少年アブドラジャン(監督:ズリフィカル・ムサコフ) ①③ DVD

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 ・“Kirk kulok siri”(監督:Rashid Malikov)

 ・“Kodeks molchaniya-2”(ロシア・ウズベキスタン)(監督:Zinovi Roizman)

 ・“Nulevoy variant”(監督:R. Otkirov)

 1993年

 ・夜明け前(監督:ユスフ・アジモフ) ①

 ・“V Bagdade vsyo spokoyno”(ウズベキスタン・タジキスタン)(監督:Mukhitdin Mukhammadiyev)

 1995年

 ・“Velikij turan”(ウズベキスタン・アルジェリア)(監督:Giyas Shermukhamedov)

 ・“Vsyo vokrug zasypalo snegom”(ロシア)(監督:Kamara Kamalova)

 1997年

 ・I WISH …(監督:ズリフィカル・ムサコフ) ③

 ・「マルギアナ」(監督:ハタム・ファイジエフ)

 ・“De Verstekeling(The Stowaway)”(オランダ・ウズベキスタン)(監督:Ben van Lieshout) *1997年 マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭グランプリ&エキュメニカル審査員賞受賞、1998年 ベルガモ・フィルム・ミーティング銀賞受賞

 1998年

 ・超能力少年ダニヨル(監督:ズリフィカル・ムサコフ) ②

 ・“Bo Ba Bu”(ウズベキスタン・仏・伊)(監督:Ali Khamrayev)
 *2001年 上海国際映画祭最優秀音楽賞受賞

 1999年

 ・演説者(監督:ユスフ・ラジコフ) ②③

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 ・『ルナ・パパ』(独・日・タジキスタン・ウズベキスタン・オーストリア・スイス・仏・ロシア)(監督:バフティヤル・フドイナザーロフ)

 2000年

 ・女の楽園(監督:ユスフ・ラジコフ) ②
 *2000年 モスクワ国際映画祭コンペティション部門出品

 ・チミルディク(監督:メリス・アブザロフ) ②

 2001年

 ・オイジョン(母) (監督:ズリフィカル・ムサコフ) ②③

 ・“Gwenchana uljima”(韓国・ウズベキスタン)(監督:Boung-hun Min)
 *2002年 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭国際批評家連盟賞&スペシャル・メンション受賞、テッサロニキ映画祭特別芸術貢献賞&スペシャル・メンション受賞

 ・“Hurly Burly”(監督:Shavkat Karimov)

 2002年

 ・男が踊るとき(監督:ユスフ・ラジコフ) ③

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 ・“Cinedictum”(監督:Shavkat Karimov)

 ・“Malchiki v nebe(Boys in the Sky)” (監督:ズリフィカル・ムサコフ)

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 2004年

 ・“Giant and Squab”(監督:Djakhangir Kasymov)

 ・“Malchiki v nebe 2” (監督:ズリフィカル・ムサコフ)

 2005年

 ・“Erkak”(監督:ユスフ・ラジコフ)
 *2005年 モスクワ国際映画祭コンペティション部門出品

 ・“Orzu ortida(Teenager)”(監督:Yolkin Tuychiev)

 ・“Rodina”(監督:ズリフィカル・ムサコフ)

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 2007年

 ・“Birinchi bekat”(監督:Shukhrat Makhmudov)

 ・“Shima”(監督:Bakhodir Yuldashev)

 ・“Tussen hemel en aarde(Between Heaven and Earth)”(ベルギー・オランダ)(監督:Mascha Novikova、Frank van den Engel)[ドキュメンタリー]


 ※①1994年<中央アジア映画祭>@国際交流フォーラム
 ②2002年<ウズベキスタン映画祭2002>@国際交流フォーラム:http://home.att.ne.jp/lemon/kino/uzbek/material.html
 ③2007年<ウズベキスタン映画祭>@東京国立近代美術館フィルムセンター:http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2007-09-10/kaisetsu.html#list

 1991年以降の作品が、製作国がウズベキスタンになります(それ以外は特記しました)。それ以前はソ連製作の作品ということになります。ソ連時代の作品は、言語、監督名などを頼りにピックアップしてありますが、正確には「ウズベキスタンで製作された映画」ではない可能性もあります。

 なお、製作年や監督名などは資料によって異なる場合があります。

 日本未公開作品は、「 」もしくは“ ”で示しました。

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 【ウズベキスタン】
 ウズベキスタンは、北にカザフスタン、東にキルギスタンとタジキスタン、南にアフガニスタンとトルクメンを接する国で、シルクロードの中継地として栄え、タシケント、コーカンド、サマルカンド、ブハラなどの都市があります。その位置的立場から、アフガン侵攻では、米軍の駐留を認めています(~2005年)。

 古くからシルクロードを通して栄え、8世紀にイスラム化。10世紀にテュルク族が進出する。
 13世紀にモンゴル帝国によって征服されるが、モンゴル系遊牧民と土着のテュルク系ムスリムの遊牧民が一体化していき、1370年に継承政権であるイスラム系の王朝ティムール帝国がこの地に興る。その後、北からウズベク人が侵入し、定住化。16世紀から20世紀にかけて、ウズベク系3ハン国ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国、コーカンド・ハン国を建てる。
 19世紀にロシア帝国に征服され、ロシア革命後、ソ連の中で民族共和国を形成する。
 ソ連崩壊により、1991年に独立。1992年に日本と国交を樹立する。

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 【ウズベキスタン映画】
 ウズベキスタンと映画の関わりは、けっこう古くて、リュミエール兄弟によって映画が発明された1895年の、その2年後にはタシケントで映画が上映されたという記録が残っています。しかし、それがすぐに映画が産業と結びつくということもなかったようで、ウズベキスタンに映画産業が興るのには、それから20年余を要することになります。

 ウズベキスタンには、老舗の映画会社ウズベクフィルムがありますが、IMDbにはウズベキフィルムの製作した作品のラインアップ(http://www.imdb.com/company/co0114204/)があって、これを見ると、ウズベクフィルムは1920年代から既に映画を製作していることがわかります。
 そのリストには、ウズベク語の映画もちらほらありますが、ほとんどがロシア語の作品で、どうやらソ連がイデオロギーの流布やプロパガンダとして映画が有用だと考え、政策の一環としてウズベキスタンにも映画スタジオを作り、映画が製作されていたらしいと想像できます(正確には、1925年にウズベクゴスキノ(ウズベク国家映画委員会)が組織され、シャルク・ユルドゥジ映画工場を設立したそうで、これがのちにウズベクフィルムになります。(中央アジア映画祭パンフより))。

 中央アジア諸国には、カザフスタンにラシド・ヌグマノフやアミール・カラクロフ、キルギスタンにアクタン・アブディカルコフ、タジキスタンにバフティヤル・フドイナザーロフがいて、これらの監督の作品は日本でも劇場公開されて、人気を得ていますが、ウズベキスタン映画では、『UFO少年アブドラジャン』が劇場公開(ユーロスペースでレイトショー公開)されたくらいで、どう見ても認知度は低いように思います(『UFO少年アブドラジャン』は日本で初めて劇場公開された「ウズベキスタン映画」でしたが、大ヒットした『不思議惑星キン・ザ・ザ』の後続企画(旧ソ連圏にもこんなに面白い映画があるというような趣旨の企画)で上映されていました)。

 ウズベキスタンは、映画製作に関してもさほど活発ではないようで、1994年に開催された中央アジア映画祭でもカザフスタン映画が7作品上映されたのに対して、ウズベキスタン映画は4本しか上映されず、現在、IMDbで検索して得られる「ウズベキスタン映画」も23作品しかなく、「ウズベク語映画」も31作品しかありません(今回の映画祭のチラシには「ソ連時代(ウズベク共和国)から国営のウズベクフィルムによる映画製作が盛んで」とありますが、私が調べた限りではそうとは思えませんでした。「ソ連時代(ウズベク共和国)に設立された国営のウズベクフィルムによる映画製作の歴史は古く」が正しいのではないでしょうか)。

 にも拘らず、今世紀に入って2度も日本でウズベキスタン映画祭が開催されているのは、おそらく、近年、ユスフ・ラジコフ、ズリフィカル・ムサコフという映画監督が精力的な制作活動を見せているからで、ズリフィカル・ムサコフの方は毎年のように新作を発表しています。
 上のリストでもわかるように、ウズベキスタンでも海外との合作が増え、また、ウズベクフィルムがたくさんの国際的なプロジェクトに積極的に参加しているところを見ると、ウズベキスタン映画が国際的に大きな注目を浴びる日もそう遠いことではないかもしれません。

 で、ウズベキスタン映画ってどういう映画なのかということを考えてみたのですが、シルクロード、イスラム文化、ソ連による支配、そして現在のウズベキスタン……、とさまざまな方向性があって、はっきりした特徴を挙げることはできません。
 個人的には、ウズベキスタン映画に関しては、ちょっと、つかみきれなさを感じてしまうというか、キルギスタン映画やタジキスタン映画の方がずっと親しみやすいと考えてしまうのですが、これは単にアクタン・アブディカルコフやバフティヤル・フドイナザーロフの作家性をそれぞれの国の映画と同一視しているだけなのかもしれません。まあ、そうは言っても、中央アジアのどの国の映画もそんなにたくさん観たわけでもないし、観ることもできないのですが……。

 ウズベキスタン出身の映画監督としては、1930~40年代にカミール・ヤルマートフ、1960~80年代にシュフラト・アバーソフ、80年~90年代にファリド・ダヴレトシン、1990年代以降にユスフ・ラジコフとズリフィカル・ムサコフがいます。『聖なるブハラ』で知られるバコ・サディコフもウズベキスタン出身ですが、彼はタジキスタンで活躍しています。

 ◇ウズベキスタン出身の有名人
 アノーラ(歌手)、タチアナ・マリニナ(フィギュア・スケート)、ユーリス・ラザグリアエフ(フィギュア・スケート)、ルスラン・チャガエフ(ボクサー)、イェフィム・ブロンフマン(ピアニスト)など。

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