見つけちゃった! ペトラ・フリーマン “The Mill”

 既知の作家、どっかで観たことがあるような作品、最初からオチがわかってるような作品……。まあ、そういうのもいいんですが、たまには全く新しい作品や作家に触れたいと思ったりしますよね。と思ってもそうはいないものですが……。
 そんな中でみつけたのが、イギリスのイラストレーター&アニメーション作家ペトラ・フリーマンの“The Mill”です。




 【物語】
 黄色い帆船が荒天の中を船出していくようなイメージ。
 組まれた白い両手の間からカーテンを開けて少女が歩いてくる。
 赤いひもを糸車にかけるとひもはどんどん伸びていく。
 ひもは伸び続けて、扉の形を作り、それが開くと中から蜂が飛び出す。
 蜂は開いた少女の胸の中に消える。
 座っている少女が手から何か小さな欠片4つを放ると、それが棒状に伸びてブランコのようなものができる。
 そこから蜂の巣箱ができて、ブランコは消える。
 少女が1匹の蜂を手から放つと、蜂は巣箱の中に入っていく。
 蜂の大群が現れ、少女も巣箱の中へと呑み込まれていく。
 暗闇の中に結び目のついたロープのようなものが2本降りかけて、また上に引き上げられる。
 少女が地面を這う。
 少女の目の中に白い炎がチロチロと燃える。
 女が現れて、びんから青い液体を器に注ぐ。
 少女がマッチを擦り、その液体に投じると、白い炎が上がって、一気にまわりが明るくなる。
 椅子に座っている少女に赤い布がかぶさる。
 それを蜂の大群が呑み込むと、黒い点となって消える。
 赤いカーテンの間から少女が現れる。
 赤いカーテンを覗いたのは、養蜂家。
 養蜂家によって、少女は外に出される。
 養蜂家は、蜂の巣箱になにやら粉を吹き付ける。
 少女は、去っていく養蜂家を追おうとするが、追いつけない。
 白い靄が巣箱から触手のように伸びて、少女の背後に迫るが、届くことはなく、少女は去ってしまい、靄はひっこんで、巣箱も閉じる。
 いくつもの白い円盤がついたひもがぶら下がっている。
 少女がその1本をひっぱって取る。
 少女はそれを持って、細い糸で作られたベールの下をくぐる。
 そのベールは養蜂家のマントのようにも見える。
 少女が歩いていき、養蜂家の足元にある四角い家を覗く。
 中には、白い蜂(?)がいて、少女に白い円盤をくれる。
 少女が円盤をかざすと円錐形に広がる。
 そのてっぺんに花のようなものが開き、蜂の群れを円錐形の中に取り込んだかと思うと、その中から蜂の王子(?)が舞い降りる。
 蜂の王子は、円錐形のカゴを支えている棒の1本を揺らす。
 すると、カゴはてっぺんからくずれてくる。
 カゴの外に少女が現れ、蜂の王子と手を取り合う。
 2人は、渦に巻かれ、白い細糸のベールの中へ消える。
 それが開かれると、青い空に白い雲が広がる。
 少女は蜂の王子とシーソーに乗って遊んでいる。
 2人の背後で、またひもが伸びている。

画像

 【解説】
 ペトラ・フリーマンは、イラストレーションの修士課程まで進みながら、絵を動かしてみたいという衝動から、アニメーションに進んだというキャリアの持ち主で、そうして完成させたアニメーションの第1作が本作になります。
 いろんなアニメ作家の作品を観てきた人であれば、ペトラ・フリーマンがただ者ではないことはすぐに気づくところだと思うのですが、やはりというか、この作品が出品された広島国際アニメーションフェスティバルでも驚嘆を持って受け止められたようで、彼女にデビュー賞を与えています。詩的とも言うべき、独特の世界観が感じられますもんね。

 最初から物語をたどってみると、本作は、どうやらこれは「蜂になって蜂と一緒に遊びたかった少女(そして実は蜂の方でも少女と遊びたかった)」の物語らしいということがわかりますが、そう言い切ってしまうことで何か大事なもの。繊細な作品世界が失われてしまうような気もし、何かそんな風に一言で言ってしまうことに躊躇を感じたりもします。

 ペトラ・フリーマン自身は、本作について「好奇心が少女を導いて、自分自身の想像力が作り出す世界で冒険をしている」というような説明をしています。作品の中にはシンボリックなものもたくさん出てくるので、そういう方面からの解釈もされているようですが、彼女自身はそういう見方をされることを好んでいない、といいます。

 本作は、ペトラ・フリーマンの28歳の時の作品で、発表されたのが、1992年。
 彼女はその2年後に“Jumping Joan”という作品を発表して、この作品でも高評価を受けているのですが、その後、今に至るまで10年以上も全く作品を発表していません。
 これだけユニークな個性を持っているのだから、もっともっと作品を発表してくれてもいいと思うのですが、また違うことに興味が移ったりしたのでしょうか。気になります。

 ◆作品データ
 1992年/英/7分34秒
 台詞なし/日本語字幕なし
 ペイント・オン・グラス

 ◆監督について
 ペトラ・フリーマン

 1964年生まれ。
 Wimbledon School of Artで舞台美術の学士号を修得。その後、王立芸術大学(Royal College of Art)でイラストレーションの修士課程に進むが、2年目で、絵を動かしてみたいと思うようになり、アニメーションの方に進む。

 ・1992年 “The Mill”
 1992年広島国際アニメーションフェスティバル デビュー賞受賞
 ・1994年 “Jumping Joan”
 1996年 オタワ国際アニメーションフェスティバル メディア・アワード(Unusual Technique)受賞

 *参考サイト
 ・screenomlone:http://www.screenonline.org.uk/film/id/1166246/index.html
 ・Animafest96:http://public.carnet.hr/animafest/z96/filmovi/freema_e.htm

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